同じ空なのに違う空の下 edge in London '89-'90 PROLOGUE

 PROLOGUE

仕事部屋を整理していたら、
積み上がったガラクタの下からくしゃくしゃになった茶封筒が出てきた。
中には1989年の夏の始めから1990年の夏の終りまで過ごした
ロンドンでの生活を綴った文章が入っていた。
当時、日本はバブル経済絶頂期。
その頃はそんな浮かれた時代であることも気づかずに、
そんな日本から逃げ出すように異国の地へと渡り、
自分の中で泡のように消えてしまいそうな可能性だけを探して漂っていた。
茶封筒から出した紙の束を紐解くと、
そこにはロンドンの空の下にいた自分がいた。
いつも空ばかり見上げていた自分のようで自分ではないような自分が。

 

 

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