カメラ用レンズ概説 (PENTAXを中心にして)

☆☆  前書き  ☆☆

 まず第一に、これは亭主の偏狭なる興味趣くままに、世上処々崛起散在する各種有益資料の泥濘地を跋扈渉猟して、そこで拾い得られ、浅学非才な亭主でも何とか理解することのできた事柄を選抜して、それを自ら経験会得した事実などで独善脚色して整理記録しようとするものです。誤謬や思い違いを多く含んでいるであろうことは覚悟していますが、これはもとより世に喧伝頒布しようなどというものではなく、亭主自身の恐ろしく消え足速い記憶を補助介護する道具としての存在ですから、そのために役立ち必要とする加除補正は、これからも随時続ける所存です。

 ここでは、カメラに必要不可欠なレンズというものについて述べて行きます。特に、我が国の一眼レフカメラ草創期以来発展の中心的存在であり続けたPENTAXの 「交換レンズ」を中心に据えてのものになります。「交換レンズ」という存在の中に含まれることについて、可能な限り網羅的に記述できればという望みを持っています。

 ☆☆  目次  ☆☆

第1章  レンズ構成

1 メニスカス

2 ダブレット

3 トリプレット

4 ダブルガウス

5 テレフォト

6 レトロフォーカス

7 対称形

8 焦点可変レンズ

9 バックフォーカスについて

第2章  レンズの収差

1 色収差

 (1) 軸上色収差

 (2) 倍率色収差

2 単色収差(ザイデルの5収差)

 (1) 球面収差

 (2) コマ収差

 (3) 非点収差

 (4) 像面湾曲

 (5) 歪曲収差

3 非球面レンズ

4 究極の収差補正

第3章  ズームレンズの原理

1 4グループ式ズーム

2 3グループ式ズーム

3 2グループ式ズーム

第4章  鏡胴の構造

1 マウント装置の発達

 (1) 自動絞り

 (2) 開放測光

 (3) 絞り自動制御

 (4) オートフォーカス(AF)

 (5) 電気信号接点の仕組み

    @ KAマウントの電気信号接点

    A KAFマウントの電気信号接点

    B KAF2マウントの電気信号接点

2 ヘリコイド装置

3 絞り装置

4 MF交換レンズの分解整備

第5章 コンバーター

1 フロント・コンバーター

2 リア・コンバーター

第6章 交換レンズの異機種互換性

1 換算画角(換算焦点距離)

2 フランジパック値とマウント口径

3 他用途レンズの流用

 (1) 引伸ばしレンズ

 (2) 天体望遠鏡の対物鏡

 (3) 顕微鏡の対物鏡

第7章 接写

1 マクロレンズ

2 接写用アクセサリー

3 ベローズ装置

☆☆  後書き  ☆☆

 亭主が「PENTAX」に拘る理由は二つあります。一つは経済的なもの。他社の製品を同時に所有するほどの財力を持ち合わせていないことが最も大きな要因です。

 二つ目は、「PENTAX」という会社が、これまでに取り続けてきた既存ユーザーに対する姿勢を良しとしているからです。ユーザーが手中にする珠玉である既存資産にとって大切な互換性という、企業にとっては重い軛ともなることに真摯に向き合い、その実現に苦闘してきた歴史を知るからです。他社の中には、既存ユーザーの手元にあるカメラ関係資産など無視する姿勢で自己製品の変革を進めてきた会社もあります。このような利己的企業姿勢は、到底亭主の受け入れるところではありません。亭主の俳号である「雌山」は、物成り乏しき山を指す「雄山」に対置するものであると同時に、「資産」をも意識しているからです。その「資産」とは、物のみならざることは言を待ちません。生憎財貨乏しき亭主としては、世上の深厚なる叡知や己の浅薄な経験からから得た知識資産をこうして路傍に積むことによって、それを自己のみの偏狭な占有物とせぬようにしている次第です。南無遍照金剛…

亭主雌山謹申  

   天焦す火焚くを願ひ落葉掃く   雌山

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