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第4章  鏡胴の構造

 カメラの交換レンズ鏡胴に求められる役割は、

@前章までで述べてきたような複数のレンズ玉による光学系を機能させるために必要不可欠な「正しい位置にレンズ玉を固定する 」ことと、

A「ピント合わせのための機構を備えている」ことと、

B光学系を透過する光の量をコントロールするための「絞り装置とそれを操作する機構を備えている」ことです。さらに、

C交換レンズをカメラ本体に正しく取り付ける「マウント」も 、また必要不可欠な装置です。

 このように、大きく分けると4つの機能が交換レンズには組み込まれているのです。

 カメラの発達により、ピント合わせをカメラが自動で行うようになりました。このことをオートフォーカス、略してAFと言います。このAFの交換レンズの鏡胴と、それまでのMFの交換レンズの鏡胴とでは、非常に大きな違いがあります。MFは人の手がピント環を操作するので、ある程度の操作抵抗があった方が行き過ぎたりし難いので使い易いのですが、AFは高速なものの 、トルクの小さなモーターがレンズ群を動かすので、操作抵抗と質量は少ない方が望ましいことになります。必要な場所で止まるのも瞬時ですし…

 MF鏡胴は、ほとんどが金属製ヘリコイド装置によって必要なレンズ群の移動を行っています。これは、粘度のあるグリースを使用することで操作抵抗を生み出し、その粘度を調整することで、受ける抵抗の程度を調整しています。

 一方、AF鏡胴はトルクが限られている小さなモーターによる迅速な駆動に支障が無いように、粘度のある潤滑グリースは使いません。湿式潤滑が不要で軽いプラスチックのヘリコイド装置が用いられています。このため、AF鏡胴でMFすると、「スカスカで軽すぎる。」との苦情が生まれるのです。

 また、鏡胴には絞り装置が取り付けてあります。この絞り装置を操作する機構も鏡胴に設ける必要があります。その操作方法として、従前は鏡胴外周に設けた「絞り環」を用いる方法が使われていましたが、近年、露出を自動にする(プログラムAE)必要性から、カメラ側から絞り開度を操作できるようになり、それが嵩じて「絞り環」を廃止してしまい、カメラ側からしか絞り開度を操作できない構造の鏡胴が主流となっています。手動によって絞り開度を設定するのも、カメラに設けた電子ダイヤルを操作して行います。

 「絞り環」による絞り設定とカメラ側からの絞り設定の両方式を備えていると、互換性のために、レンズ側からの絞り値伝達機構を設けなければならないことのほかに、開放測光をしているカメラが絞り値とシャッター速度との組み合わせを計算・実行する上で、両方式間の誤差を修正する仕組みが必要であるなど、製造コストを押し上げる要因となる欠点があります。

 撮像がデジタル化した現在、カメラの作動が電気無しには不可能になっていることから、機械的な機構による仕組みが省かれて行くのは時代の趨勢と言えるのかもしれません。PENTAXが絞り環の省略を他社に遅れてデジタル一眼からようやく本格実施したのは、ユーザー本位という企業姿勢の表れであると 亭主は高く評価しています。

 交換レンズをカメラ本体に取り付ける装置であるマウントは、多種多様な交換レンズを使うという性質上、それぞれの交換レンズのレンズ群の位置を撮像面に対して正確に配置するために高い精度が必要です。それと同時に、交換レンズをカメラに容易かつ確実に取り外し出来なくてはならないという必要性もあります。そこで、このマウント装置というのは、レンズ交換式カメラにおいては特別重要な位置を占めているのです。

1 マウント装置の発達

 マウント装置に求められる機能は、カメラの進化に伴って次第に多くなってきました。その必要性が新たに生まれる度に、新機能が付け加えられてきたという歴史があります。

 また、従前の規格のマウント装置では機能の追加が困難であることなどで、それに求められる性能を満足できないとなると、まったく新しい方式の、新旧間の互換性が大きく損なわれてしまう 新規マウント規格へと変更したケースも多くあります。

 PENTAXの35o判一眼レフは、これまでに大きなマウント変更を一度行っています。それがネジ ・マウントである「Sマウント」から、バヨネット・マウントである「Kマウント」への変更です。

 初期のマウント装置に与えられていた機能は、交換レンズをカメラの正しい位置に確実に取り付けるということだけでした。この用途では、ネジマウントが作り易さの点で優れていました。たとえ使用によって磨耗しても、強く締めることでがたつきが出ませんし、何より、必要な精度を保って安価に、容易に製造することができました。そのシンプルさが、その時代の性能要求に最も叶っていたということです。

(1) 自動絞り

 交換レンズが一眼レフに使われるようになると、レンジファインダー機に比べて見え方の劣るファインダー性能を向上させるという要求のために、自動絞りの機構がカメラに付与されます。 このためには、カメラ側から絞り装置を操作しなければなりません。そのための連結機構がマウント装置に付け加えられました。PENTAXにおいては、これはSマウント時代に半自動絞りの「Auto Takumar」を経て、「Super Takumar」で完成しました。

 自動絞りとは、普段は明るい絞り開放でファインダーを見ていて、シャッター作動直前に設定している絞り開度に瞬間的に閉じて、撮影完了後、また瞬間的に絞り開放に復帰する仕組みです。

(2) 開放測光

 カメラに露出計が内蔵されると、一眼レフではレンズを通って来た光、TTLで測光するようになります。当初は撮影のときと同じように絞り込んで測光する方式でしたが、ファインダーが明るい絞り開放のままで常時測光したいという欲求が出てきて、そのために必要な仕組みとして、交換レンズから絞り開度情報をカメラに伝える機構がマウント装置に付け加えられました。

 PENTAXでは、Sマウント時代の最終期に作られた「SMC TAKUMAR」と、大きなマウント変更後の「Kマウント」がそれです。これらは、開放F値と、それに対して絞り環の位置が現在どこにあるのかを機械的にアナログで伝達するものでした。このため、絞り環の一段あたりの移動量は等間隔になっていました。

 絞り開放で測光した値に基づき、絞り環で設定している絞り開度の状態に換算した露出値を得るために必要なシャッター速度として露出計に表示したり、自動露出(AE)に利用するというのがその仕組みです。これには理論換算値と自動絞り作動時の実際の絞り開度に誤差があると露出の狂いとなる欠点があります。絞り環の表示と絞り開度を一致させるために、絞り装置の精度が求められる仕組みでもあります。

(3) 絞り自動制御

 絞り優先から始まった自動露出に対する欲求は更に高進し、プログラムAEのために絞り開度も自動で操作する必要性が生じました。このため、カメラ側から絞り開度を精密に操作する機構がマウント装置に付け加えられました。カメラ側から絞り開度を操作するためには、交換レンズ側から最小絞り値と、その最小絞りから開放絞りが何段目にあるのかをカメラ側に伝える必要があります。カメラ内で電子的に処理するために必要なその情報を、マウント面に設けた電気的な導通と絶縁の単純な組合せだけで実現したのが「KAマウント」です。この時点で、本来交換レンズ側での絞り操作装置である「絞り環」は不要となったのですが、それ以前のカメラへの互換性対応のためにそれが残されました。新製品から見た互換性を下位互換と言いますが、新製品であるKAマウントレンズを旧製品のKマウントカメラで完全に使える関係で、これは完全な下位互換ということになります。

 ちなみに、上位互換というのは旧製品から見た互換性で、KマウントのレンズをKAマウントのカメラで使うという場合、カメラ側からの絞り操作はできないので、不完全な上位互換ということになります。

 また、この「KAマウント」では、絞り連動レバーの作動量と絞り開度との比例関係も、従前の「Kマウント」とは違うものに変更されています。そのため、従前の「Kマウント」レンズにカメラ側から絞り開度を操作するように細工したとしても 、正しい絞り開度が設定できず、露出に誤差が生じてしまいます。

 この「KAマウント」は、当時の有力他社が行っていたような、シャッター速度優先AEでも作動後の絞り込みによる再測光でシャッター速度の微調整を行うというような姑息な手段を取らないための 、まさに大英断のマウント変更です。カメラ側の絞り込み電動アクチュエーターは、その全行程をレンズごとの絞り段数に応じた等分距離で作動します。これに応じてレンズ側は、絞り連動レバーの等分移動に応じた絞り羽根開度となるリンク構造になっています。この関係が 従前の 「Kマウント」では与えられていなかったのです。Kマウント制定のときにそこまで配慮して規格を定めていたらと、「たら・れば」の最たるものとなっています。

 亭主は、PENTAXの写真哲学が「写真の質を決めるのは絞りである」というものだったことが、その原因にあるのだと推測しています。露出を決めるにあたってシャッター速度を先に決めて、絞り開度をカメラ任せにするなどという発想が希薄だったのは当然のことでしょう。このことはNikonも同様でした。その時々のご都合主義が社是であるらしい某有力メーカー以外にも、フィルムメーカーでもあった小西六(コニカ)がシャッター速度優先AEから一眼レフの自動化を始めているのは、何とも皮肉な事象ですが…

(4) オートフォーカス(AF)

 露出の自動化の次に来たのは、ピント合わせの自動化です。これのためにはレンズ群をカメラ側から前後させることが必要になり、そのための機構がマウント装置に付け加えられました。カメラ内に設置したモーターの動力を交換レンズに伝達する機構です。

 また、自動露出やAFのためには、焦点距離やズームによる変動などの交換レンズごとの固有情報を電子的に作動するカメラが知らねばなりません。そのためには、その多くの情報を電気的にカメラに伝達する機構が必要になり、鏡胴内に情報を記憶させたメモリー(ROM)を載せた電子基板が内蔵されて、マウント装置にその電気的接続ための電気信号接点が設けられました。これが 「KAFマウント」です。

  つまり、「KAマウント」と「KAFマウント」の電気接点では、まったく異なる機能を含んでいるのですが、従前のカメラや交換レンズとの互換性を保つ仕組みが設けられています。

 今日の交換レンズの中には、「Canon EOS」などのように、交換レンズ鏡胴内AFモーター以外にも電動絞りを採用するなど、電気無しにはまったく機能しない存在になっているものもあります。そんな中で、PENTAXの交換レンズには比較的機械動作が残されているので、手動操作が楽しめる存在なのです。

(5) 電気信号接点の仕組み(PENTAX)

 PENTAXの電気信号接点はマウント面に設けてあります。これは他に例を見ない方法です。鋼球をコイルスプリングで保持しているという大きなコストがかかる構造ですが、導通不良などの起き難い仕組みです。

 「KAマウント」の電気信号接点は6個です。それに対して、AF化された「KAFマウント」は7個です。これらの各信号接点の役割について、以下に概略を述べます。

@ 「KAマウント」の電気信号接点

 「KAマウント」の電気信号接点は、交換レンズ側については、単に導通と絶縁という機能しかありません。交換レンズ内部に電子基板やROMなどは搭載されておらず、唯一電気的な部品は、絞り環がA位置にあるときにだけ導通するスイッチと、それと信号接点を結ぶ電線だけです。この信号接点 のみが、交換レンズ側では唯一スプリングで保持された鋼球可動接点となっています。

 カメラ側信号接点は、すべてコイルスプリングで保持された可動接点です。その内の上から3番目だけが平型可動接点で、これはマウント面より少し沈んでいます。他の5個はすべてマウント面から出ている鋼球可動接点です。

 カメラ側接点からは、6番目を除いて「+電流」が出ています。これらの電流が交換レンズ側の信号接点またはマウント面と導通するか絶縁するかの組み合わせで、その交換レンズの最小絞り値と、それから何段目に開放絞りが在るのかという情報をカメラは受け取る仕組みです。

 カメラ側で唯一平型接点である3番接点は、交換レンズ側で唯一の可動鋼球接点と向かい合います。これが交換レンズの絞り環がA位置にあることを伝達する信号接点です。カメラ側からの「+電流」が導通することで、カメラは交換レンズがA位置にあることを認識し、プログラムAEやTvを可能とする機能を働かせるのです。「Kマウント」だと3番接点はマウント面と接触 しないし、また、絞り環をA位置以外にした「KAマウント」以降の場合も、接点で繋がった先は絶縁しているので認識しないのです。

 最小絞り値を伝達する役割を担っているのは、3番の平型接点を挟む2番と4番接点です。この二つの信号接点の導通と絶縁の組み合わせで、4種類の最小絞り値を伝達するのです。伝達可能な絞り値は、F16とF22とF32、そしてF45です。

 開放絞り値については、それが最小絞り値から何段目にあるということを伝達する仕組みです。開放絞り値の絶対値を伝達するのではありません。カメラとしては、そのレンズの絞り装置がどれくらいの可動幅であるのかを知ればよいのですから…

 ただし、測光の仕組みがフォーカシングスクリーンの輝度を測定するもののため、実際に撮像センサーが受ける輝度と、常時絞り開放であるフォーカシングスクリーンの輝度に差があるため、その誤差を修正するために実際の開放絞り値が必要なので、最小絞り値の伝達が必要なのです。これがあるために露出の精度が高められているのです。これを利用できない 「Kマウント」レンズなどは、絞り開放付近の露出誤差が大きいのです。

 開放絞りが最小絞りから何段目にあるのかを伝達するのは、1・5・6番接点です。この3個の接点の導通と絶縁の組み合わせで伝達するのですが、そのうち5番と6番の導通と絶縁の組み合わせによってまず4段階を伝達し、次に1番接点が導通することで、それより半段明るいことを伝達するロジックなのです。

 なお、この電気信号接点による電子回路は、マウント面をグランドとして利用していますから、マウント金具自体が電子回路とグランド線で繋がっている必要があります。PENTAXの今時のカメラはマウント金具を取り付けているミラーボックスがプラスチックのため、マウントが電子回路のグランドとは絶縁していることがほとんどだからです。金属ボディー時代には、そのような配慮は不要だったのですが…そのために、カメラ側のマウント金具内部の部品であるスプリングリングにグランド線をハンダ付けしていますので、分解時にはそれに気を付けましょう 。それが断線するとAE機能がエラーとなります。

A 「KAFマウント」の電気信号接点

 MFレンズの時代には、「KAマウント」の信号接点の仕組みはシンプルで必要十分なものでしたが、AF化とともに、もっと多くの情報を伝達することが必要になりました。そこでマウント面にカメラ内モーターからの動力伝達用のAFカプラーを設けると同時に、電気信号接点を1個追加して7個としました。しかし、その他の既存電気信号接点について、その役割をまったく異なったものに変えたものがあります。

 平型接点である3番とその両側の2番、4番については、「KAマウント」と同じ役割です。2番と4番については、互換のために残されているもので、これが無かったとしても 、「KAFマウント」同士なら支障なく作動します。増設した7番と1・5・6番は、交換レンズ側も鋼球可動接点です。この4つの信号接点は、交換レンズ内に設置された電子基板に電線で繋がっています。電子基板上にはROMがあり、その中にその交換レンズのID、開放F値や 最小絞り値、焦点距離などの固有情報が格納されているのです。ズームレンズで焦点距離によってF値が変わるものも、それが正しく表示されるのはそのためです。

 「KAFマウント」ズームレンズ鏡胴の内部には、焦点距離が変わるに従ってそれを検知し、電子基板に伝える仕組みが設けてあります。それは、ズーム環の回転によって生じる電気接点の断接の組み合わせによってデジタル信号を生成する仕組みです。従って、ズーミングに従って連続的に変化する焦点距離・F値に対してリニアに変位するのではなく、ポイント毎のものとなっています。

 このように、「KAマウント」と「KAFマウント」では、一部の電気信号接点の役割が変更になっていますが、PENTAXはその伝統的社是である互換性を確保しています。「KAマウント」のカメラに「KAFマウント」の交換レンズを取り付けても支障が無いように、「KAFマウント」レンズには取り付けられたカメラが「KAマウント」であった場合に、7番信号接点から「+電流」が来ないことで、その1・5・6番信号接点を「KAマウント」での導通・絶縁と切り換えるのです。この互換の仕組みがシグマの「KAFマウント」レンズには搭載されていないので、「KAマウント」カメラでは正常な露出が得られないのです。唯一の現役AFリヤコンバーターである「F AFアダプター1.7X」は、レンズ側は「KAマウント」ですから、これでシグマの「KAFマウント」レンズは正常に使えないことになります。

 一方、「KAFマウント」のカメラに「KAマウント」の交換レンズを取り付けたときには、7番信号接点が導通することでそれが「KAFマウント 」レンズでは無いことを知り、その電子回路を「KAマウント」用に切り替えています。

  

      カメラ側KAF2マウント                          レンズ側KAF2マウント

※KAマウント接点機能一覧表

開放F値

最小絞り値F16

最小絞り値F22

最小絞り値F32

最小絞り値F45

F1.2

10001★

11111★

   
F1.4

7段目 00001★

8段目 01111★

   
F1.7

10010★

11101★

11011★

 
F2

6段目 00010★

7段目 01101★

8段目 01011★

 
F2.5

10000★

11110★

11001★

10111★

F2.8

5段目 00000★

6段目 01110★

7段目 01001★

8段目 00111★

F3.5  

11100★

11010★

10101★

F4  

5段目 01100★

6段目 01010★

7段目 00101★

F4.5    

11000★

10110★

F5.6    

5段目 01000★

6段目 00110★

F6.7      

10100★

F8      

5段目 00100★

 上表は、マウント面に上から下へ並んでいる接点を、左から右の順に表記しています。

 8段目とか7段目というのは、最小絞りからの段数です。

 「1」は導通、「0」は絶縁、「☆」は絞りリングA位置のとき導通を表します。「★」はKAF以降マウントにのみあります。

 二つの赤の数字が最少絞り値を伝達し、三つの黒の数字の組合せが開放絞り値を伝達します。

 開放絞り値が最少絞り値より 「何段」明るいのかを伝達するロジックになっています。この組み合わせの構造では、上表のようにそれが「5段」であるとするものから「8段半」であるとするものの間を表示することが可能です。

 KAマウントでも、絞込みレバーのマウント部での移動量は、絞り1段分がどのレンズでも等しいわけではありません。 交換レンズの絞込みレバーが一番下のときが開放であり、一番上になったときが最小絞りになっています。その間隔を間隔の段数で等分して動くと、絞り開度もそれに比例して変化する関係を持たせています。

 Kマウントは、レンズを外すと常に最小絞りになろうとする構造です。カメラが絞りを操作するためには、その最小絞りと開放絞りの間隔をカメラが知る必要があるのです。

 KA以降のマウントにある3番信号接点は、絞り環がA位置にあることを伝達するのがその役割です。A位置というのは、絞り装置の機械的には最小絞りの状態です。わざわざA位置などというものを設けなくても、 機械的なシステムとしては成立しているのですが、それを設けた理由は、フールプルーフのためとしか考えられません。

 プログラムAEやシャッター速度優先AEは、カメラ側から絞りを操作する必要があります。そのときに絞り環が最小絞りになっていないと、必要な絞りにまで絞り込めないことも生じてしまいます。それでは露出過剰な画像になってしまうことになり、PENTAXはそれを恐れたのでしょう。最小絞りにしていなければプログラムAEやシャッター速度優先AEを作動させない仕組みにしておけば、そのような誤りは防げるはずです。そのためのA位置の創造だったのでしょう。

 また、「Kマウント」のレンズでは絞り機構がカメラからの操作に対応していません。そのための対策でもあったのでしょう。この仕組みに近いものはNikonも採用していますが、これほど徹底した仕組みではありませんでした。

 このA位置を設けることで随分とコストが必要になっています。使用する人がその機能を理解し、確実に設定して扱えば必要の無いはずの機構にコストをかけているということです。 コストが必要だとしてもこの「フールプルーフ」に配慮するという社風はPENTAXの伝統です。Sマウントに開放測光の仕組みを組み込んだ時にもそれを行っていますし…

B KAF2マウントの電気信号接点

 交換レンズによってはズームを鏡胴内のモーターで行うもの(パワーズーム)が現れ、これに電源を供給するための電気信号接点がマウント内部に2個追加されました。「KAF2マウント」がそれです。PENTAXは後年、鏡胴内にAF用の超音波モーターやDCモーターを設けたときに、このパワーズーム用の電気信号接点を利用しています。K-5のようにパワーズームとレンズ内AFを互換で使える機種と、K-rのようにレンズ内AFのみの機種があります。

 KAF2マウントの電子回路は、マウント面からのグランドを利用していませんが、パワーズームを使うときだけはそれが必要です。手動ズームモードなら不要で、同じ増設マウント内接点を使うレンズ内モーターによるAFには必要としていないのですが…

2 ヘリコイド装置

 ピント合わせをするためには、レンズ群全体を繰り出すのが一般的な方法です。そのための機構がヘリコイド装置です。

 ヘリコイドというのは、回転運動を直進運動に変換する機構です。鏡胴外周に設けた「ピント環」を回す動作を、レンズ群を繰出す前後動作に変換するのです。

 MF交換レンズのヘリコイドは、「外筒・中筒・内筒」という三重の筒で構成されていて、各筒は相互にネジ溝により結合しています。外筒と中筒は粗いピッチの数組のネジ溝で、中筒と外筒はごく細かいピッチの逆ネジ溝によって結合しています。そして内筒と外筒は、前後にスライドする回転止めによって結合しています。

 「ピント環」はヘリコイドの中筒に数本のビスで押さえつけられていますから、「ピント環」を回すことで中筒が回転し、それにネジ溝で結合している内筒も回転しようとするのですが、鏡胴に固定された外筒にスライドする回転止めで結合しているので回れません。そこで仕方なく粗いピッチのネジ溝に沿って前後に大きく移動することになります。

 また、「ピント環」を取り付けた中筒も、動けない外筒と細かいピッチの逆ネジで結合しているため、その回転でわずかに前後することになります。レンズ群と絞り装置は内筒に取り付けられていますから、近距離にピントを合わせるために必要な繰り出しができるのです。

 この原理を簡単に言うと、ボルトとナットの関係を利用したものと言う事ができます。ピント環を取り付けた中筒はナットです。レンズ群と絞り装置を取り付けた内筒はボルトです。ナットは前後に動かないようにして、ボルトは回転しないようにします。このときにナットを回すとボルトは前後するのです。

 このナットにあたる中筒を精密に保持し、ガタ無く回るようにする仕掛けとして細かいピッチの逆ネジを利用していることが優れた仕組みだと思います。

 なお、現在の交換レンズの中には、レンズ群の中間の一部だけを前後させることによってピント合わせを行うものがあります。この仕組みを「インナーフォーカス」と言います。この技術は、4グループ式ズームレンズの技術を応用したものです。それは4グループのうちの2グループ目を動かすことでズームするのですが、このことで結像面が移動するのを3グループ目を動かして撮像面と一致させるように補正するという原理を応用しているのです。

 近接撮影では結像面が後方に移動します。これを撮像面に一致させるためには、インナーフォーカス方式では、レトロフォーカス度を高めたり、テレフォト度を低めたりして、長くなってしまったバックフォーカスを短くすれば良いのです。このため、合成焦点距離も短くなって、近接になるほど画角が大きくなり、周辺のディストーションが大きくなります。

 PENTAXのDA☆望遠200oと300oでは、絞りより後グループの中のダブレット凹成分を前後させることでテレフォト度を調整しています。これが後に行くほどバックフォーカスが短くなりますから、それによって近接による結像面の後方移動を相殺することが出来るのです。

 ヘリコイドによる全群繰り出しの場合は、焦点距離が長くなるのと同じことです。このため、近接になるほど画角が小さくなります。 同じ焦点距離でもフォーカス方式の違いによって、近接撮影のときには、下の写真のように大きな画角差となります。

 

      ※ 全群繰出し135oレンズ 1.5m時                ※ インナーフォーカス135oレンズ 1.5m時

 インナーフォーカスでも、4グループ式ズームは、凸成分である第1グループの中のレンズ群を前後に動かしているので、全群繰出し式と同じような画角変化となります。高倍率ズームに多い3グループ式のインナーフォーカスは第2グループを移動させているので、ズームすると結像面の移動が大きく、再フォーカスが必要です。最新のDA18-135oF3.5-5.6DCはそれが顕著です。18o時に合焦させて135oにズームすると、まったくのボケボケ画面になります。AFであるから成立していると言えるのでしょう。 この辺が機械補正の入っているDA☆16-50oSDMとは違うところです。

3 絞り装置

 同一の焦点距離のレンズの場合、直径が大きいものほど被写界深度が浅くなります。絞り装置は絞り開度の変化によりレンズの直径を変化させる効果を生じさせます。これにより立体感などの画像効果をコントロールする役割を担っています。球面収差など一部の収差は、レンズ直径によって大きく軽減するものがありますから、絞ることで画像の 鮮鋭さを増すことも可能です。

 また、絞り装置は、レンズを通過する時間当たりの光の量を調整する機能も持っていますから、適正な露出を得るためにも必要なのです。

 この絞り装置は、レンズ群の中間に置かれることがほとんどで、重ね合わせた何枚かの可動羽根で作る開口の変化を利用した仕組みです。羽根は薄くしなやかな金属で作られていて、自動絞り作動のときに互いに高速でこすり合う構造なのですが、粘着を避けるために潤滑油は使っていません。錆が出ないように、表面には酸化防止皮膜加工が施されています。ここへの注油は厳禁ですし、手で直接触れるのも発錆防止の上で厳禁です。潤滑が必要なら、黒鉛微細粉などの固体潤滑が向いています。自動絞りは瞬時に作動する必要があるので、絞り羽根の粘着による作動遅れは露出過多の原因となります。

 絞り装置の絞り羽根の構成枚数は、絞り装置の大きさによっても左右されてしまいます。レトロフォーカスの広角レンズのように絞り装置が小さくなければならない場合、絞り羽根は5枚であることが多かったのです。それが標準レンズや望遠レンズの場合には絞り装置も大型になりますから、絞り羽根の枚数は8枚以上のものもあります。

 絞り羽根が多いほど絞りこんだときの開口形状を円に近付けることが可能なのですが、機構が複雑になることでコストがかかる以外にも、作動抵抗が多くなったり、その抵抗を打ち消すために作動用のバネを強くすることで慣性作動による誤差が大きなるという欠点があります。

 自動絞りが無かった時代の絞り装置の中には、16枚以上の絞り羽根を持つものもありましたが、作動抵抗や慣性作動の弊害を考えなくてもよかったためなのでしょう。

 同じ枚数の絞り羽根でも、その形状の設定によってより円形に近付けることが可能です。

 絞りを操作するのは、鏡胴の外周に設けた「絞り環」で行うのが標準です。自動絞りが無い時代には、「絞り環」は絞り装置のある、繰り出される鏡胴前部に設けていましたが、自動絞りになってからは、特に開放測光対応になってからは、絞り開度情報をカメラ側に伝達するという機能が加わったことにより、繰り出されない鏡胴後部に設けるようになりました。 このことで、「絞り環」の動きを前後に移動する絞り装置に伝達するために、前後に摺動するリンクが必要になりました。

  黎明期のカメラレンズの「絞り環」の回転量は、時間当たりの露出量が2倍となる1段ごとに等間隔ではなく、絞り羽根を必要な面積に開くための作動量と等しかったのです。でも、現在は操作性の向上のために「絞り環」の段ごとの回転量は等間隔にしています。したがって、絞り羽根の開度の動きと比例していません。そのため、非直線形状のカムを介在させて必要な絞り開度を得ています。

 また、開放測光のために開放絞り値と絞り環位置をカメラ側に伝達する機構が必要になり、そのためにも、段ごとの回転量が等間隔である必要性が高いのです。

 Mシリーズの広角レンズの場合、絞り装置を動かすリンク機構に複数の機種の交換レンズと互換性を持たせたものがあります。その場合、交換レンズごとの違いは、ビス止めしているカム部のみを付け替えることで吸収する仕組みになっています。リンク構造や製造時の組み立ては少し複雑になりますが、部品の製造ロット数や補修用部品在庫管理上のメリットがあったのかもしれません。多種類 少量製造を予定した設計と言えるのでしょう。

 また、自動絞りのために、カメラ側からの操作を絞り装置に伝達するリンク機構が必要で、これらはマウント部に組み込まれています。ピント合わせによって前後移動してしまう鏡胴前部に設けてある絞り装置から 垂直に長い棒がマウント部に伸びていて、ピント合わせによって前後に移動するこの棒を、「絞り環」のカムや自動絞り用リンクが、求められる絞り開度面積を作るために必要な角度に円作動させる仕組みです。

 光も電磁波という波ですから、水の波と同じように物の近くを通るときには干渉を受けます。そのため大きく絞ると、その干渉の影響をより多く受けることになります。特にデジタルでは干渉の影響(光の回析)をフィルムより多く感じますから、最小絞り付近はあまり使わない方が鮮鋭な画像が得られます。

4 MF交換レンズの分解整備

 交換レンズを分解しなければならない理由は、カビや汚れの除去のためのレンズ玉の清掃、絞り装置の作動抵抗となる汚れの除去と開度調整、ヘリコイド装置の円滑さの調整と無限遠調整などを行うためです。これらは分解しなくては実施できませんし、それを行うことで、交換レンズとしての本来の性能を維持できるのです。

 絞り装置がレンズ群の中間に置かれるという交換レンズの構造上、また、絞り装置を鏡胴後部から操作する仕組みから、レンズ群の内部は気密状態にはできません。そのため、鏡胴外部から埃が侵入することは防げません。レンズ群内に侵入した埃のほとんどは、絞り装置の前後のレンズ面に付着します。これを除去するためには、前後に分かれているレンズ群のいずれかを外す必要があるのです。

 レンズにカビが繁茂するのは、レンズ面の湿度が過剰になっているからです。また、紫外線が当たらない環境、通風の悪い環境もカビの繁茂を助長します。密封容器などにしまうより、居室の飾棚や本棚などに置いておく方が、カビの発生するリスクは少ないようです。レンズキャップもしない方が防カビ性は高いようです。埃付着による汚れは防げませんが…

 カメラや交換レンズにとって最悪の環境は、革製のカメラケースに入れたままで押入れや納戸にしまうことです。これなら、ほぼ100%カビの被害に遭うことでしょう…

 AF交換レンズは内部構造がより複雑なことと、その鏡胴部材にプラスチックが多く使われていることで組立にカシメや接着を用いている場合が多いので、必要な整備が困難な場合があります。その点、MF交換レンズは内部構造がシンプルで、金属素材なので組立がネジであることがほとんどで、そのため、必要な整備が手軽に出来る利点があります。

 PENTAXの交換レンズのうち、Mシリーズ以前のものは、鏡胴が金属製なことと、電気用の部品を使用していないので、簡単な工具で分解組立が可能です。素人整備にとっては敷居が低いのです。損耗などでの部品交換の必要性が少ないものの、それら補修部品の新品での入手が不可能な今、メーカーによる正規整備は行われておらず、代替品や中古品からの部品取りなどで補修部品を確保している一部のプロショップに依頼する以外は、素人整備しか現実的ではないという状況でもありますが…

 Mシリーズ以前の交換レンズの分解作業は、多くのものが鏡胴先端部の飾銘板を取外すことから始めます。この飾銘板は左回しにすることで外れるのですが、その回すための手がかりがありません。表面に摩擦係数の高いものを押しつけて回すしかないのです。その道具としては、ゴム製のものが市販されているのですが、自作することも容易です。直径が適合する広口瓶などにゴム系防水シール材(バスコークなど)を塗布乾燥させることで具合の良い道具が作れます。下地処理として、ゴム系接着剤を薄く塗布乾燥させてから行う方がはがれ難くなります。

 鏡胴の機械部分の分解には、軸の細い精密ドライバーが必要です。プラスドライバーは0番と00番が必要です。力が入れ易い柄の太いものも別に用意した方が溝をナメるなどの失敗を防げます。Takumarなど古い時代のレンズにはマイナスドライバーが必要になりますが、5本セット程度は必要です。ビス溝とぴったりの刃先が必要ですから、やすりや砥石で調整するぐらいの慎重さが失敗防止につながります。

 レンズ玉を押さえている切欠きリングを回すためのカニ目回しは用意する必要があります。マイナスドライバーをタガネのように使って緩めるという荒業もありますが、仕事の結果が汚くなります。道具の準備が分解には必須と考えた方がよく、道具の収集や自作の工夫も、素人分解整備のたのしみの一部かと…

5 PENTAX単焦点交換レンズの鏡胴構造

 電気的な機能が搭載されていないMシリーズ以前の鏡胴は、機械的な機構だけで構成されています。そのため、分解が比較的容易であるという利点があります。分解に多くのスキルや道具を必要としないのです。そんな鏡胴たちも、交換レンズごとに異なった構造をしています。でも、大きく見ると、幾つかの類型に分けることが可能です。それら類型について、少しふれておきます。

(1) 標準レンズの鏡胴

 焦点距離50o前後の交換レンズを「標準レンズ」という分け方をしています。これらの鏡胴の場合、絞りユニットの保持の仕方が2つに分かれます。一つは 「Super Takumar50oF1.4」から 「M50oF1.4」までの歴代のように、独立した絞りユニット外周をヘリコイド内筒の外周に設けた3本の芋ビス先端で押さえる方法です。他の方法は、「Super Takumar55oF1.8」から「M50oF1.7」 までの歴代のように、絞りユニットが内部鏡胴としての強度部材の一部と一体になっていて、その前後にレンズホルダーを捻じ込んでいるものです。その組み立てられた内部鏡胴をヘリコイド内筒に前方から小ビス3本の頭で押さえる方法です。

 前者は絞りユニットを単純化出来て、他機種との互換性も期待できる構造ですが、ヘリコイド内筒の形状が複雑になり、工作性が劣ることになります。これは、工作機器を含めた機械加工技術の躍進が可能とした設計であると見ることが出来ます。後者はレンズエレメントと絞り装置を一体にしてヘリコイド装置から独立させていますから、整備性が良くなっています。両者の鏡胴の設計思想に大きな差が感じられますので、設計された時代が違うのと共に、当初の設計者の理念が異なるのだろうと推測しています。

 標準レンズは大口径なので絞りも大型です。そのため、自動絞りで瞬時に絞り込む作動のリバウンドやショックを緩衝する機構がリンク部に設けてあります。それについて「K55oF1.8」の場合はスプリングを用いた緩衝なのですが、「M50oF1.4」や「M50oF1.7」は厚みのある鉄のドーナツ板を用いて、その質量を動かすことによって緩衝する仕組みです。これらの鏡胴を振るとカチャカチャ鳴るのは、このドーナツ板が動く音です。コストとスペースを省略できるアイデアだと思います。

(2) 望遠レンズの鏡胴

 標準レンズより焦点距離が長いものは望遠レンズと言います。レンズ口径が小さな ものの場合は、標準レンズとほとんど同じ構造のものがあるのですが、レンズ口径が大きなものは、鏡胴の前部をねじ込みで結合しています。これは長大な鏡胴を作るために必要な構造なのでしょう。

 この2分割式鏡胴のうち、最も短焦点なのは「Super Takumar135oF2.5」から「K135oF2.5」までの歴代です。これらは、ピント環の前方が前群レンズごと左回しに抜き取れるのです。ピント環より後方の構造は、標準レンズとほぼ同様です。埃などの入り込みやすい絞り前後のレンズ面の清掃が鏡胴前部を抜き取るだけで可能ですから、日常の整備性が非常に優れています。

 また、Mシリーズには、M200oF4、M150oF3.5、M135oF3.5などのように、内部格納式フードが設けられている鏡胴もあります。これらの分解方法は、標準レンズの鏡胴とは大きく異なっています。 飾銘板を外さなくても内部の整備は可能なのですが、分解の手始めにはピント環外周の環状ビニールを外す必要があります。これは破損しやすいので、補修部品の入手が不可能な今、その特殊な形状から適当な代替品の入手も困難 なので、特に慎重な作業が必要です。もし破損させた場合は、適当なビニールシートか天然皮革などで作るしかないでしょうが、継ぎ目の処理が難しい…

(3) 広角レンズの鏡胴

 標準レンズより焦点距離が短いものは広角レンズと言います。超広角のもの以外は標準レンズと同様な構造になっているものが多いのですが、レンズ群がレトロフォーカスである特性上、後部レンズ群が小径なので絞り装置の径も小さく、絞り装置がユニット式になっていないものがあります。それらはヘリコイド装置内筒に直接小さな絞り羽根などが組み付けられていて、絞り装置だけの交換や整備というのが難しくなっています。

6 鏡胴の材質

 初期の交換レンズ鏡胴の材質は真鍮製でした。レンズがガラスであったことと加えて、とても重いものでした。

 レンズを大口径、多枚数にする必要が高まると、鏡胴材質はより軽いアルミに変わり、柔らかいために工作能率も高かったことから、その時代が長く続きました。

 化学が発達して強度や耐久性の高いプラスチックが登場してくると、大量生産性などその加工性の高さに着目してそれが使われるようになりました。コストダウンのためです。PENTAXではMシリーズから飾銘板など鏡胴の一部に使われ始め、Aシリーズでは大幅に用いられています。

 このプラスチック鏡胴は、AF化によって一気に加速しました。瞬発力は優れているものの、トルクが小さいモーターで駆動するためには、潤滑を必要とする従来の金属製ヘリコイドでは、作動のための抵抗が多くて迅速なフォーカスが難しかったことが理由の一つです。FAシリーズ以降は、外装を含めてほとんど全面的にプラスチック化されました。

 複雑なカム形状をしたズームレンズでは、特に製造加工性が良いということから、コストの上でプラスチックに利点があります。このため、現在はほとんどがプラスチック鏡胴の交換レンズとなっています。PENTAXの最上級シリーズであるDA☆シリーズも、このプラスチック鏡胴です。

 そんな中、金属鏡胴の質感を重視した交換レンズも作られています。PENTAXのLimitedシリーズがそれです。アルミ削り出しを多用した鏡胴は、交換レンズの旧来からの重厚なイメージを重視した趣味性の高いものとなっています。

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