Vol.59 - 19 Jun. 2005

そんなわけで、思い立って「バンダイミュージアム」に行って来
ました。
「バンダイ」は、「機動戦士ガンダム」や「仮面ライダー」シリーズ、
「ゴレンジャー」から現在に至るまでの「スーパー戦隊シリーズ」、
また「プリモプエル」や「たまごっち」などでも有名な、キャラクター
戦略の得意な玩具メーカーです。
「バンダイミュージアム」は、そのバンダイのキャラクターが一堂
に会する、文字通り「バンダイの博物館」という施設です。

上野駅から約18km、常磐線快速電車で20分。千葉県、松戸駅
の東口のすぐ脇にそのビルは建っています。
1階、2階がアミューズメントスペース、3階、4階にはパチンコ・パ
チスロ。駅前広場に広がる歩行者用デッキで直結している3階の
メインエントランスからエスカレーターを上がった5階から8階まで
の4フロアが目指す「バンダイミュージアム」です。

5階は、「萬代屋」「萬代小路」といったバンダイのキャラクター商品
を販売するお店が並び、一周するだけで取扱キャラクターの豊富
さを実感します。
6階は、「わくわく広場」や「ウルトラマントレイン」といった幼児向け
遊具が並べられたスペースになっていますが、一方で、6階、7階
に展開する「キャラクターワールド」と、7〜8階にあるこの施設最大
の売り物である「ガンダムミュージアム」に客の流れを振り分ける
緩衝のスペースにもなっています。
「キャラクターワールド」と「ガンダムミュージアム」は有料なので、
無料で入れるのはここまでということになります。

6階でエスカレーターが途切れるので、7階にはエレベーターか階
段で昇ります。
7階は「ガンダムミュージアム」のエントランス。エレベーターで到着
すると、アムロ・レイのコスチュームを着た係員に迎えられ、自販機
で「ガンダムミュージアム」の入場券を購入します。
入場料は3歳以上が300円。せっかくだったので、公式ガイドブック
(700円)も購入してみました。
高校時代にガンダムブームが起きた、いわゆる“ガンダム世代”の
一期生とも言えようボクの世代ですが、アニメには興味がなかった
せいで、今日に至るまで「ガンダム」に関する知識はほとんど皆無
です。従って、宇宙船の通路をイメージさせる導入口を進んでいく
ボクには、わくわくするような気分の高まりは一切ありません。
そんなテンションの低いボクにさらに冷や水を浴びせるように、やた
ら小さい文字を使った案内板が目に入ってきます。
『ようこそ当モビルスーツ・ミュージアムにご来館くださいました』
“モビルスーツ”、久しぶり目にする、違和感のある言葉…。

通路の先に、大きな宇宙ステーションのような模型が展示されて
います。『スペース・コロニー』の1/30,000の模型。そして壁面には
1957年の世界最初の人工衛星スプートニク1号の打ち上げから、
1981年のスペースシャトルの打ち上げ、1998年の国際宇宙ステー
ションの建設開始と続いて、宇宙世紀0050年の宇宙移民90億人
突破までが年表として掲示され、「機動戦士ガンダム」のストーリー
の背景を説明しています。
続いて、いかにも宇宙船の中で使われているような、左右のドアの
端がジグザグに切られている自動扉が開いて抜けたホールには、
モビルスーツ『ザク』の頭部が中央に据えられています。
『ザク』は、「ガンダム」側の「地球連邦軍」の敵、「ジオン公国軍」の
モビルスーツなので、この展示では“捕獲した”という表現を使用
しています。
自動車でもミニバンぐらいの大きさのある、緑色の『ザク』の頭部
は、時折、“モノアイ”という単眼である赤いサーチライトのような
“目玉”が左右に動き、臨場感を盛り上げています。
そして続くコーナーでは、その『ザク』の大きさやスピード、推力や
ジャンプ力から値段まで、動物などと比較した形でわかりやすく解
説しています。…え、「値段」?
正確な値段は資料を紛失していてわからないのだそうですが、61
式戦車5台分で、一般的な乗用車の1,500倍なのだそうです。
(一般的な乗用車を250万円と見積もった場合、37億5,000万円!)

この先には、博物館らしく『ザク』の製造工場を再現した展示や、
「1年戦争」と呼ばれる戦争の中から、「オデッサ作戦」の1シーンを
再現したジオラマ、「ジオン公国軍」主力航空艦「ムサイ級巡洋艦」
の模型、シャア専用ザクの模型などが展示され、そのひとつひとつ
に文字が細かすぎる説明パネルが添えられています。

そして最後に、このミュージアム最大の呼び物であるガンダムの
“実物大”の胸像があります。ミュージアム内の7階と8階を吹き抜
けにして、そこに高さ5.6mという“実物大”を据えているのです。
それはいささか唐突に姿を現し、ガンダムを知らない者にとっても
その迫力は伝わってきます。なんたって、デカいんですから。

第一印象は、“ガンダム型の大仏”でした。胸から上の部分と右の
掌を上に向けた具合から、そんな感じがしたのです。
しかし、じっくり見上げてみるに連れて、いろいろな思いが交錯し
始めました。
「デカいっ!」
「よくこんなデカいモノを運び込んで組み上げたなぁ」
「作るの、たいへんだったろうなぁ」
「組み立てた人たち、楽しかっただろうなぁ」

「ガンダムミュージアム」は、数あるガンダムシリーズの中でも最も
初めのシリーズ、“1st ガンダム”などと呼ばれているシリーズの、
そのストーリーの柱となっている「1年戦争」についての“戦争記念
館”というコンセプトで作られています。つまり、長崎の原爆資料館
の展示室やアメリカ・サン・アントニオにあるアラモの砦の博物館と
同じものとして作られているということです。
しかし、こちらは実際の戦争ではなく、言うなれば“虚構博物館”。
つまり、ガンダムのテーマパークと言うことができると思います。
ちょっとまじめに見学をしたおかげで、ガンダムの用語や物語の
世界観などはそれなりに理解できたつもりです。高校生のころ、
カノジョにつきあってガンダムを見ていれば、今ごろ盛り上がって
見学できていたのかもなどと思ったりもしました。
しかし、けっこうしっかりと見学しないと、ガンダムを知らない者に
とっては興味を抱かせるきっかけもなく、新しいガンダムファンを
創出できるような施設とはなっていないような感じがします。
こういっては言い過ぎかもしれませんが、作った人たちが一番
楽しめたであろうテーマパーク、そんな施設という印象でしたが、
ガンダムファンの方々の考えはいかがなものでしょうか。

8階には「ガンダムカフェ」という名のレストランがあります。ボクは
利用しなかったのですが、ここには緑色のほうれん草のパスタに
プチトマトをトッピングしたと思われる『ザクパスタ』や、『ザビ家の
食卓』などといったガンダムミュージアムにふさわしく、遊び心の
あるメニューが取り揃えられているとのことでした。

「ガンダムミュージアム」があまりに濃厚だったので、本当ならば
もっと興味があったはずの「キャラクターワールド」の方は、見学
するのを忘れてしまいました。
「ゴレンジャー」に始まる「スーパー戦隊」シリーズは世代的にも
見ていないのですが、「ウルトラマン」シリーズや「仮面ライダー」
シリーズは、実写のヒーローもの番組をよく見ていたボクにとって
は、まさに“ど真ん中”な展示のはずなのに…。
まあ、それほどまでに“虚構博物館”は重かったということなので
した。次回行く機会があれば、今度は「キャラクターワールド」だけ
見学して帰ってくることにします。

さて最後に、「バンダイミュージアム」全体の印象を総括しておき
ましょう。
−やはり、キャラクター商品を売る会社の展開する「ミュージアム」
ですね。キャラクターに親しんでもらうというよりは、やはり“売る”
ためのスペース展開でしかなく、キャラクターに興味のないボクに
は、わくわく楽しくなるようなことはなにひとつありませんでした。
着ぐるみが歩いているとか、店のスタッフにもう少しアトラクティブな
要素が加わっているだけで、だいぶ印象が良くなると思います。
たぶん「ミュージアム」という考え方が、結局は半端なのでしょう
都心から離れた郊外にある立地、しかも“何ゆえに松戸なのか”と
いう理由も明解でなく、。「テーマパーク」でもなく「ショップ」でもない
コンセプトに、果たしてリピーター(また訪れる人)がいるのだろうか
と考えずにはいられないような、そんな施設でした。

松戸駅東口を出ると、すぐに見つかる


5階の「萬代屋」 家族連れが多い


6階「わくわく広場」 とにかくキャラクター!


7階、「ガンダムミュージアム」入口


『ザク』 戦闘によるキズや汚れも再現


「ザク」右隣の説明、字が細かすぎ


「ザク」ぞくぞく…


「オデッサ作戦」のジオラマ


これが“実物大”『機動戦士ガンダム』


…って、比較できるようなものがない


後頭部には工業製品らしくマーキングが


ガンダムの視線の先に「ガンダムカフェ」


ガンダムミュージアムショップ「G-base」
“ガンプラ”から限定品まで、ファン垂涎
映画「電車男」の「百式」Tシャツもあります

(訪問日:2005年6月12日)

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