Vol.74 - 18 Feb. 2008

カミさんが持っているCDの中に、映画のサウンドトラックを集め
た一枚があります。
フランスで1990年に企画・制作されたCDのようで、ジャケットの
裏面に書かれた各曲のタイトルがフランス語で書かれている
ようです。(フランス語かどうかを判断するだけの語学力がない
ので、正しいのかどうかもわからないのですが…)

収録されている音楽は、映画『DIVA』であったり『Black Rain』
であったり、バラエティに富みながらも音楽だけを聴いてみても
充分に芸術性のあるものばかりで、最初に聴いた時以来、ボク
にも気に入った一枚となりました。

全14曲中のちょうど中盤、7曲目に聞き覚えのある懐かしい曲
が収録されていました。
ボクの耳に慣れたその曲は、ギターソロのトレモロがなんとも
淋しげな旋律を持った印象の曲でした。しかしこのCDに収めら
れている曲では民族楽器などを使用したエスニックなイメージ
です。パンフルートのような木管楽器を使った繊細なイントロに
始まり、エンディングに向けてはパーカッションが加わってエキ
ゾチックなアレンジになっていて、それはそれで素敵な一曲に
仕上がっているので、その後もふとした時に思い出して聴きた
くなるような音楽です。

ジャケットをみると曲名と思しき箇所には「La Dechirure : Etude」
と書かれています。
カミさんに訊けば、映画『The Killing Field (キリング・フィールド)』
の曲だとのこと。
『キリング・フィールド』は、ポル・ポト政権下のカンボジアにおけ
るクメール・ルージュによる大量虐殺などをテーマに描かれた
作品です。
−しかし、残念ながらボクは見たことのない作品でした。
そもそも「La Dechirure」と書かれていていても、それを『キリン
グ・フィールド』であると翻訳することすらできないので、まずは
単純に“キリングフィールド サウンドトラック”でネット検索をし
てみることにしました。
その結果、この曲には『エチュード』という邦題がつけられてい
ることや、この音楽を担当したマイク・オールドフィールドがイギ
リスの作曲家でありマルチプレイヤーだということもわかってき
ました。
そして、「タルレガの『アルハンブラの想い出』のアレンジ」という
一文を見た時に「あー、なるほど」と納得したのです。

子供のころ、半日で帰ってきた土曜日の午後によく聴いていた
TBSラジオ「土曜ワイド ラジオ東京」という番組の中に、聴取者
(当時はまだ“リスナー”とは言わなかったのです)から送られ
てきた手紙を読むコーナーがありました。
パーソナリティは、永六輔氏から三国一朗氏に代わりましたが、
そのBGMとして『アルハンブラの想い出』が流されていました。
昭和40年代の半ばから後半ですから、読まれる手紙の内容は
まだまだ戦争中の話が多く、子供ながらに無情さを感じること
の多いコーナーでした。
さらに検索してみたところ、トレモロの多いギターソロはどうやら、
スペインのギタリスト、ナルシソ・イエペスのものらしい…。
今どきのインターネットの世界は、とても便利に進化しているの
ですね。冒頭の30秒ほどを試聴できるサイトがあって、それに
よってボクの聴きたかった曲であることがわかったのでした。

ネットの恩恵で、映画『禁じられた遊び』のテーマ音楽でも有名
な、ナルシソ・イエペスまでたどりつくことができました。
でも、もしイントロだけでなく一曲全てを手に入れようと思った時
にはネットからのダウンロード販売ではなく、やはりCDショップ
で探し出して買いたいと思ってしまうのです、なぜだか。
 
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