Vol.51 - 28 Nov. 2004

先週、3日間のうち4回も、自動改札を通り抜けようとした時に、ボク
のすぐ前で人が自動改札に拒絶され、迷惑を被りました。
要精算のキップ、定期券の期限切れ、パスネットの残額不足、定期
券の代わりに今時テレフォンカードを入れちゃった、などなど。
拒絶の理由は4人4様ですが、ひとりだけちょっとした“猛者(もさ)”が
いました。
キップも定期もパスネットも、全く何も挿入させようとする行為もなし
に自動改札に入っていったご婦人です。視線は、自動改札の先の
天井から下げられている、電車の発着時刻案内の電光掲示板。
「この電車に乗れれば、3つ先の駅で急行に乗り換えられるわ…」
そんなことでも考えていらっしゃったのでしょうか。
小綺麗な白いスーツに小降りのハンドバッグという、仕事中なのか、
それとも有閑マダムなのかはわからない服装のご婦人だったのです
が、とにかく自動改札にずんずんと突き進んでいって、そして当然の
結果としてゲートが強制的に閉じられ、ピンポンピンポンという警告音
が鳴り響きました。
そこでようやく気づいたようです。
ただ、リアクションがちょっとだけ「違うでしょ、それは」とツッコミを入れ
たくなるようなものでした。
「あら、ダメなの? いいじゃない別に…」
そんな表情でした。
でも、次の電車が来るまでにはまだ十分の余裕はありました。ご婦人
は振り向くと、ハンドバッグを開けようとしながら、キップ売り場の方に
向かっていき、その後、プラットフォーム上ではボクと同じ電車に乗り
込む姿も見かけました。

このご婦人が確信犯だったのか、単なるおとぼけだったのかは判り
ません。とにかく、ボクは自動改札を前に、そのピンポン鳴り響く音が
止まって、機械の向こう端で閉まっている扉が開くまで待たされること
になりました。不本意なことに。

そんな不本意な“待ち時間”が、3日間で4回もあったのです。東横線
の渋谷とか、JRの恵比寿とか、朝、会社に行く時とかに。

“猛者”のご婦人は、キップを買っていなかったので、拒絶されて当然
なのですが、キップや定期券、あるいはカードなどを挿入したにもかか
わらず拒絶されてしまったという人たちに、ひとつだけ言いたいことが
あります。
どうか、お願いですから、自動改札がピンポンピンポン鳴ったからと
いって、拒絶されたキップなり定期券なりを、すぐさま隣の自動改札
機に突っ込もうとするのだけはやめてください。
ダメなものはダメなんです。

地震による落石や崖の崩落などによって河川の流れが堰き止められ
てしまうことを“河道閉塞”というのだそうです。それを一般にもわかり
やすく“天然ダム”と呼んだところ、被害の深刻さが伝わらないとのこと
で、“天然ダム”という表現は不適切と、今は“震災ダム”などという、
別の表現に切り替えられています。
自動改札でひとりが拒否されたために、乗降客の流れが一旦止めら
れてしまうのも、これもひとつの“天然ダム”でしょう。−“人災ダム”。
ボクが毎朝使っている東急多摩川線の駅は、自動改札が3台しか設
置されておらず、うち1台は対抗する導線専用ですから、電車から降
りた場合は、実質2本しか通り抜けるところがありません。ここで誰か
が拒絶されてすぐさま隣の機械にもう一度投入してしまったりしたら、
電車から降りてきた客全員が、一旦駅に軟禁状態にされてしまうの
です。“人災ダム”と呼べますよね、これって。
都市圏ではもうほぼ完全に普及したと言えるであろう自動改札機。
いい加減に、もう皆さん、慣れましょうよ、ね。




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