Vol.44 - 09 Sep. 2004

また今年も9月11日がやってきます。
あの惨劇から3年。ボクたちが子供だったころには明るく
素敵なものになると信じていた21世紀は、逆に、年が進
めば進むほど陰惨で冷酷な様相を呈しています。
ちょうど、20世紀の終わりには“世紀末”と表現していた
ような事態が、世紀を跨いでなお続いているのが、今日
このごろです。

その原因のひとつとボクは信じて疑わない事実を、話題
の映画「華氏911」を見ることで改めて確認してきました。
監督であるマイケル・ムーアの著書「アホでマヌケなアメ
リカ白人」をすでに読んでいたので、ボクにとって特に耳
新しいことは何もなかったのですが、今この時期に見て
おくことに大きな意味があるということは確信しました。

テロ行為の仕返しを装って、実は石油の利権を得るため
にイラクに派兵したブッシュ大統領。大統領の座に納ま
るために、民主党に投票しそうな人種・階層から投票権
を剥奪してしまう。開票結果を歪めるFOX TVでのニセ報
道とその情報に、裏を取ることもなく追随した全米の3大
ネットワーク。

映画では、ジョージ・W・ブッシュ氏の無邪気な行為や発
言に対して、単なる揚げ足取りのような表現になってい
る箇所もあるように見受けられますし、とても大切なこと
を訴えなければいけないにもかかわらず、遊びすぎてし
まっているような表現もあるようには思いました。
しかし、マイケル・ムーア監督がこの映像によって訴え
かけたいことは一貫していて、その内容は全部がウソだ
とは否定できないものだと思います。

ブッシュ氏を再選させないために、ムーア監督はこの作
品を今のこのタイミングで上映させているのだとのこと。
アカデミー賞にもエントリーするようですが、劇場公開か
ら9ヶ月以内にテレビ放映やインターネットで配信された
作品はドキュメンタリー賞はノミネーションの対象になら
ないという規則があるので、監督は大統領選挙の前に
なんとか全米でテレビ放映をしたいと考え、オスカーで
は作品賞に目標を変更しました。監督は賞を獲った際
のスピーチの機会、それを狙っているに違いありません。
2003年の3月23日、オスカー受賞後の有名なスピーチ
は、日本語ではこう訳されています。
「ブッシュさん、恥を知りなさい」

決して、映画館の巨大な画面でなければいけない理由
などありませんし、THXなどという高音質である必要もあ
りません。しかしこの映画についてはビデオ化やDVD化、
あるいはテレビで放映されるまで待つなどということは
全くのナンセンスです。
今このタイミングだからこそ見て知っておくべきだと思い
ます。
アメリカのメディアが追求しないテーマ。そしてそれは、
日本でも、映画そのものの話題性はニュースとして取り
上げられていますが、監督が取り上げている論点、提供
している素材そのものについては、なぜかマスコミが突っ
込むことはないのです。

こんな背景があったからこそ、2001年9月11日の惨事が
引き起こされたのだということを、知っておく必要があると
思います。

映画「華氏911」以外にも、前述のムーア監督の著書でも
いいと思います。また、ブッシュ氏の大統領選挙での情報
操作に関しては、オムニバス映画「10ミニッツ・オールダー
人生のメビウス」の中に収められているスパイク・リー監督
の作品「ゴアVSブッシュ」でもよくわかります。
今一度、2001年9月11日の世界について、理解し直して
みることをお薦めしたいと思います。


東京へのテロ攻撃の可能性が叫ばれ、3月23日に一斉に
撤去された東急電鉄各駅に設置されていたゴミ箱


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