Vol.43 - 17 Aug. 2004

今週が夏休みというせいもあって、けっきょく連日オリンピックの
中継を真夜中まで観てしまっています。昨夜、というよりは今朝も
昨日の晩からテレビを見続けていて、でも睡魔には勝てずにほん
の僅かな時間だけ眠って起きたら、眠りに就く前に観ていた体操
の男子団体で、28年ぶりに金メダルを獲得とのこと。これぞまさに
寝ても覚めてもオリンピックという状態です。
開会式までは男女サッカーやソフトボールなど、特定の種目にしか
興味も湧いていなかったオリンピックでしたが、ここにきてなんだか
自分一人で盛り上がってきています。
とにかく、日本のメダル獲得数が多くて、期待以上の満足感です。

ところで、テレビ中継を観ていてふと思ったのですが、最近は機器
のめざましい進歩や、そもそも日本人の海外渡航の経験が劇的に
増えたせいなどもあって、ボクが子供だったころの海外からの衛星
中継の決まり文句だった、
「日本の皆さん、こんにちは」
っていう喋り出しは、さすがに聴かなくなりました。

「日本の皆さん、こんにちは」
あのフレーズ、なんでも日本のアナウンサーたちにとって、口にして
みたい夢のフレーズだったのだとか。
選手だけでなく、放送に携わる人たちにとっても、オリンピックという
大会は日本の御旗を世界に誇示する一大イベントだったのでしょう。
その大会を中継することも「日本代表」。
アナウンサーも背中に「日の丸」を背負っていたんだなぁと、今さら
ながらに思い起こしています。

それに比べて、最近の選手は「日の丸」に関してだけはずいぶんと
リラックスしてきているように感じられます。
“自分のために”ストイックに、“記録のために”科学的に、練習を重
ね、結果を客観的に受け止めるアスリートたちが、もうほとんどだと
思います。
「自分のためにがんばる」−ボクはそれでいいと思います。

一方で、アナウンサーの人たちはまだなんだか「日の丸」にご執心
の様子です。まあ、他力本願でメダルを望んでいるわけですから、
「日の丸」のためにメダルを獲って欲しいということしか、テレビ中継
の盛り上げどころはないわけなので、致し方ないところではあるの
ですが…。

ただ、ときどき耳にする、アナウンサーの不勉強ぶりとか、逆にアナ
ウンサーの過度な“日本贔屓ぶり”をムリやりに差し込んでくること
だけはなんとかしてほしいものと思います。
サッカーや野球などの団体競技で、相手国の選手の名前すら言わ
ない実況中継なんて、失礼な話だと思いませんか? 相手チームが
あってこその競技なのですから。いくら自国の試合の放送であって
も、相手のチームや選手、あるいは国家や民族を尊重すべきです。
日本選手が圧倒的な強さで勝ってしまったとしても、負けた相手の
選手も讃えるような、そんな素敵な放送を期待したいものです。

「日本の皆さん、こんにちは」と言っていた時代には、日本を代表して
オリンピック会場に来ているといった誇りと自負があったのでしょう。
思い返してみても、自国への応援は過度でなく、相手選手の紹介は
きっちり行われていたように思います。

4年ぶりにオリンピックを観て、改めて、日本人として海外に出ていく
ことについて考えてみようかと思い始めたところです。
…きっと、真夜中になると眠くなっちゃって、オリンピックが終わると
そんなことすっかり忘れちゃうんでしょうけど。


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ノンキな通信  I.Z.'s Attic




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