Vol.41 - 4 Jul. 2004

2000年10月から使っていたPDAが、ふと気づくと壊れていました。
なにか強い衝撃でも受けてしまったのでしょう。電源は入るので、
壊れた日までに入力していたデータは見ることができますが、ペン
(スタイラス)を使って新たな情報を入力することができなくなってし
まいました。
おそらく、液晶画面に入力された情報を認識する部分までの途中
の部品が壊れてしまったのでしょう。スケルトンのボディを通して、
外れるか壊れるかしてカタカタと揺れているパーツが見受けられ
ます。

そのVisor DeluxeというPDAは、ネットオークションで1万円で競り
落としたものです。機能は最低限のものだけが搭載されていると
いうだけのいわゆる廉価版のモデルです。Windows98のOSを搭
載したPCとの間でデータのやりとりができ、詳細な入力はPC、
簡単なスケジュールの入力はスタイラスを使ってPDAに直接入力
という方法で、購入以来、ずっと便利に使ってきていたものでした。
一回、胸ポケットに入れている時に混み合った電車にでも乗った
のが原因だったのでしょう、液晶画面の一番上のガラス1枚が
きれいに割れてしまったことがありました。その時はメーカーの
サポートで新品と交換をしていただきました。有償でしたが…。
でも、今回はこの機種が既に廃番になっているだけでなく、Visor
そのものが日本市場からいなくなってしまっているので、サポート
も終了しています。ですから、修理という選択肢はないのです。
さて、どうしたものでしょうか…。

PDA (Personal Digital Assistant)は、直訳すると「個人用デジタル
補助装置」ということにでもなるのでしょうか、一般的には「携帯
情報端末」だとか、もっと簡単に「電子手帳」と呼ばれています。
要するに、紙と鉛筆に替わってデジタルでスケジュール管理や
住所録の管理をしましょうという「手帳」のことです。
ボクは特にPDAからメールを送ったり、インターネットに接続しよう
などとは考えていなかったので、ごくごく基礎的な機能として、
予定表とアドレス帳、簡単なメモ帳があるだけの機種が欲しくて、
一番簡単な廉価版の機種を選んだわけですが、3年半も使い続
けてみるとそれはそれなりに、もうPDAなしの生活は考えられない
ものになっていたのです。
PCとのデータのやり取りはWindows98でないとダメということなの
で、通信系の弱さから故障を繰り返していた我が家のPCのOSを
WindowsXPに換えざるを得なくなって以来、PCでの入力ができ
なくて不便には感じていました。しかしついに壊れてしまうに至って、
不便でも曲がりなりにも使えていた方が、完全に使えなくなって
しまうよりもまだ何十倍かマシであることが、よくわかりました。
道具というものは、今まで便利に使えていたものが使えなくなって
しまった時に、その存在のありがたさがわかるものなのですね。
今さらですが…。

仕方なく、会社から支給されている手帳に書き込むことにしてみま
した。しかし、今まで3年半にわたって書き貯めてきたデータとの
差や不慣れなページ組みなど、なかなか素直に受け入れられない
ものでした。
またそれと同時に、PDAの故障と同時になんだか自分の過去が
失われてしまったような感覚にもとらわれていました。PDAが手許
にあった輝かしい日々と、PDAのない不安な日々…。そんな感じと
でもいうのでしょうか。これはもう“依存症”の域に達しています。

そもそも生まれてこの方、手帳自体は持っていたことはあります
が、それに予定をきっちり書き込んでスケジュール管理をするなど
というマメなことは一切したことはありませんでした。スケジュール
に関してはかなりいいかげんな管理をしていたのです。
一方、アドレス帳に関しては大学生のころにどこかから手に入れた
アルファベット順に見出しのついた、システム手帳の別冊みたいな
アドレス帳があって、それにどんどん書き込んでいました。それは
ある意味で“掛け替えのない”データベースになっていたのです。
ところが、そのアドレス帳をなくしてしまったことから、データベース
のバックアップ、つまり“控え”の必要性を痛切に感じるようになった
というわけです。その時熟考の末、PDAを買おうと思うに至ったわけ
です。従ってWindowsXPに換わってデータの同期が取れなくなった
時点で、既にPDAの導入理由の基準を充たさなくなっており、壊れ
るに至っては、もう論外の非常事態に陥ってしまったというわけです。

機械依存症が良くないのはわかっています。でも、かつてなくして
しまったアドレス帳のように、重要なデータが見つからなくなる事態
はもう招きたくないのです。
記憶はつなぎとめておきたい。そんな気持ちもあります。
さてどうしたものかと、思い巡らす日々に突入していったのでした。

…で、どうなったのか。その続きは次号で。


《Visor Deluxe (PDA)って、こんなものです》

    
 ふだんはフタをかぶっている。    フタの裏側には手書文字一覧。   こういう状態で使うのがふつう。

    
      バスより大きい。           茶筒よりも大きい。         …左の単3電池は実物です。


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