Vol.37 - 26 Apr. 2004
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週末の土曜日(4月24日)に、テレビのニュースを見ていたら、
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米国産牛肉の輸入再開に関する日米の代表者協議が1月以来
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BSE(牛海綿状脳症)について、食用にされる牛の全頭について
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検査をおこなってほしいと要求する日本側に対して、米国側は
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歩行困難などを示した月齢30ヶ月以上の一部について検査を
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おこなうとのことで、主張は平行線のままですが、24日の話し
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合いで協議機関を設置することで問題解決への道を探ろうと、
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今後の協議次第では、昨年12月以来続いている輸入禁止措置
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が解除されて、この秋にも輸入が再開されるとのことです。
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昨年12月26日から日本では米国産牛肉等について、食品衛生
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この措置に伴い、日本の市場には安価な牛肉が流通することが
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なくなり、その結果、吉野家や松屋、なか卯、すき家などの大手
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牛丼チェーンをはじめ、多くの飲食業者が多大な影響を被ること
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中でも牛丼チェーン最大手の吉野家はマスコミの注目を集め、
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蓄蔵の在庫が底を突いた2月11日には東京都内各所の店舗に
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ファンの行列ができ、最後の1杯を口に運ぶ人々の姿が各局の
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入院中だったボクはナースステーションの前でテレビを見ながら、
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これはアメリカによる一種のテロリズムだと思いました。
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吉野家のホームページに拠れば、吉野家は1899年に東京・築地
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で牛丼店を開いて以来の歴史を持つ老舗。そのポリシーである
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「はやい、うまい、やすい」という言葉は、吉野家の牛丼を食べた
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ことのない人でさえも聞いたことのあるフレーズだと思います。
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そのポリシーを守るために米国産牛肉を信じ続けてきた吉野家
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は、米国産牛肉を使うことで「牛丼」という日本のファーストフード
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その、今や日本を代表する食文化のひとつが、音を立てて崩壊
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2001年9月11日から2年と5ヶ月。手軽に食べられていた牛丼が
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2004年2月11日に、まるでニューヨークにあったワールドトレード
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センターのツインビルのように、消えてなくなってしまったのです。
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独善的な態度で他国の文化を踏みにじるアメリカの姿は、大量
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破壊兵器があるからと決めつけて正義を大義名分に他国を空爆
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し、政権を崩壊させたあとも一般人の犠牲者を出し続けるイラク
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どうか、今後の協議で日本側が米国側に妥協しないでほしい
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ものです。全頭検査が世界的に見ても“不合理”と思われても
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いいと思います。それほど日本は、自国民の健康に気を遣って
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ところで、もしこの秋に牛肉の輸入が再開されたとして、吉野家
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確かな数字があるわけではないのですが、ボクは、感覚的に
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1年間に10食あるかないか、吉野家の動かないスツールの上で
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済ませます。ファンではありませんが、ファーストフードとは言え
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「お米」を食べることで自分自身への説得力があり、決して否定
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しかし、今回の騒動を経て、今後ボクはおそらく吉野家には行か
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米国産牛肉に信用が置けないということで輸入禁止になったのが
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昨年の12月26日。その日から一切牛肉はアメリカから入ってこ
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なくなったわけですが、12月25日以前に入ってきていた牛肉に
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関してもBSEの危険性について疑わしいことに変わりありません。
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つまり、12月26日から2月11日までは、BSEの危険性のある肉
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吉野家に限った話ではありません。12月27日に「不安な牛肉
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なので即刻止めました」と宣言したチェーンがあったでしょうか?
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1ヶ月以上にわたって、在庫がなくなるまで自分たちでさえ信用が
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置けなかったはずの牛肉を、大切なお客様の前に提供し続けた
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マスコミにマイクを向けられていた吉野家をよく利用するという
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人たちは、12月27日の時点で「俺たちを殺す気か!」と声高に
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「なくなっちゃうの、さびしいっすねぇ…」少なくとも、マイクに向
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かって喋るのは、そんなコメントじゃないと思います。
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イラクで誘拐された人たちに対して浴びせかけたような執拗な
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までの誹謗や中傷を、なぜアメリカや吉野家には浴びせないの
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個人攻撃はできるけど、国家や企業に向けてはできないという
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のであれば、個人攻撃もするべきではないでしょう。税金をムダ
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に使われたと思うことより、病気の危険性や生命の危機という
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可能性のある事態に晒されたということの方がよほど腹立たし
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「はやい、うまい、やすい」、ただそれだけでいいですか?
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ノンキな通信 I.Z.'s Attic
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