Vol.32 - 11 Aug. 2003

東京都大田区矢口ということころに、ボクの勤める会社があり
ます。
今日はこの、下町でありながら情緒とか人情という言葉とは、
ちょっと縁遠いと思わざる得ない、大田区矢口で見たり、感じた
りしているお話です。


東急多摩川線 矢口渡駅

−その1−
いつもボクの頭の中を混乱させる、会社の脇を走る道路の名称。
その名も「国道1号線」、略して1国(いちこく)。
ところが、京浜間の主要幹線道路に付けられた名前として、「第
2京浜」という通称もある。
国道として名誉ある「1号」を与えたのだから、京浜間の主要道
路としてもうひとつ別の番号をつけるのはやめてほしい。
都営地下鉄1号線が改名して「浅草線」になった(…って言って
ももう25年も前の話だ)けど、「浅草線」と聞くたびに「営団銀座
線」と混同してしまうのと同じくらいややこしい。

−その2−
会社の近くに「手作りパンの鈴木ベーカリー」というパン屋がある。
どこかの工場で作られたコッペパンに、カツやら焼きそばやらを
挟んで売るので「手作り」を称しているお店なのだが、この店は
秘かに「すいませんパン屋」と呼ばれている。
店のおばちゃんの口癖が「すいません」だからだ。
「あら、いらっしゃい、すいません」に始まって、注文を受けるた
びにけっこう丁重な「すいません」を語尾にくっつける。
「ハムカツひとつ」、「ハイ、ハムカツひとつね。すいません」。
「それからカレーパンひとつ」、「ハイ、カレーパン。すいません」。
「あと牛乳もね」、「ハイ、牛乳ね。すいません」。
「合計で460円ですね」、「じゃ500円で」、「ハイ、40円のお返し
ですね。ありがとうございます。どうもすいませんでした」
これだけ「すいません」を連発されて最後に「どうもすいません」
なんて言われると、むしろ後味が悪い。だから最近は、だいた
いパン3個で5個の「すいません」がつくわけだ、などとポイント
かマイレージの一種のように考えて、おばちゃんが「すいません」
を言い出すようになった由縁などは想像しないことにしている。
そんな中、最近発見したこと。
どうしてもクリームパンが食べたかった日に、そのクリームパン
が品切れ。「あ、今日はクリームパン、ないんだぁ」、「ハイ、売
り切れちゃったんですよ…」
品切れの時には、そう、「すいません」は出ないのだった。

−その3−
夕暮れ時の商店街の雑踏を縫って、おばちゃんがミニバイクで
走ってきた。なにかひとりで話しをしている。
いや、そうじゃなかった。フルフェイスではないジェット型と呼ば
れる、顔は全部見えるひさしの付いたヘルメットの右耳あたりに、
なんと携帯電話がスポッと挿してあるじゃないか!
両手はハンドルをしっかり握り、そのハンドルにはスーパーの
手提げ袋が左右にそれぞれ。
荷物をぶらんぶらんさせながら、ボクの脇を大声出しながら走り
抜けていった。けっこうなスピードで。

−その4−
2年前についにマクドナルドがオープン!
蒲田店のサテライト店といえども、地元初のナショナルチェーン
ブランドの到来だった。
(国内有名チェーンとしては、いくつかのコンビニと西友がある
だけなんですね、これが)

国道1号線と環状8号線が交差するところと言えば、交通の要所
といった印象があるかもしれないけれど、電車は東急多摩川線
という、たった3両のワンマン運転のローカル線で、バスも近所
を通る路線は2系統しかない。
あの近辺は完全にマイカー社会なのかも知れない。
けれども、高速道路を使おうと思うなら、これまた何kmも走らな
ければならないという、やっぱり“僻地”。
なんでこんなところにウチの会社はあるのだろう?
毎日、なんだか疑問に感じています。


東急多摩川線の電車


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