Vol.29 - 16 May. 2003

ここ数日は雨が降ったりやんだりしていますが、もうすっかり夏
の気配を感じる季節になってきました。特に晴れた日の日中は、
湿度が低ければ、これが日本の真夏なのだと宣言でもしてもら
いたいくらいに気持ちの好い、もしかしたら一年中で一番気持ち
の好い日々なのかもしれません。これからはじめじめ暑い梅雨
に入ります。

そんな気持ちの好い日の朝、睡眠から覚醒へと変わる、目覚
めの気持ちの良さを決するその瞬間に、ボクはけっこう激痛に
見舞われることがある。
眠りから覚めようとするほんの僅かな間に、目覚めてしまうとど
うしても思い出すことのできない夢を見る。
夢の中でほんの些細な何かの行為を行なう。脚を組むとかそん
な、目覚めたら忘れているのだけれど、たぶんそんな無意識な
行為をしようとするのだろう。
そして、どうしてか夢の中だけではなく、寝床の中にいるボクの
身体も 脚を組もうとする。と、その瞬間である。
あっと気付いた頃にはもう遅いのである。
遠くの方から何かがこちらに向かってくるように、どこからかボク
の右脚の芯が掴まれでもしたかのように、否応ない激痛が右脚
のふくらはぎを襲う。
ついほんの数秒前までのあの幸せな眠りはどこに行ってしまっ
たのか。
数秒の間に激痛に見舞われ、右脚を微妙に宙に浮かせたまま、
苦痛に脂汗までかきはじめる。僅かに身体を動かしながら、激
痛に唸り声さえ出そうになる。
しばらく身をよじってこの激痛をどこかに逃がしてやることはでき
ないかと模索する。…でも、ない。見つからない。
身をよじりながら、痛む右脚の膝を折って、右足の親指をなんと
か掴む。そしてすかさずぐっと反らせる。…するとようやく痛みが
和らぐ。
そのまましばらくそのままの体勢で待つ。それでやっとまともな
呼吸ができるようになる。

一般的に「こむらがえり」と呼ばれたり、カラスに舐められたとで
も言いたいのだろうか、「からすなめり」とも言うらしいし、「転筋」
とも言う。
確かにスネの筋肉がひっくり返りでもしたかのような激痛から
「転筋」と言う感覚はよく分かる。
ふくらはぎの筋肉が突然、収縮する発作がボクの脚に起きてい
る。
水泳などをしている時に脚がつることがあるけれど、症状は全く
同じ。
何らかの原因によって脚の血行が悪くなって起きるのだそうで、
家にあった「家庭医学大全科」という分厚い書籍には、冬には
ふとんの重みでなることもあると書かれていた。
…え、何? なんだって?

膝を押さえて脚の親指をぐっと反らせることによってその場の痛
みを抑え、あとは患部を温めたり、湿布を貼ったりして治るのを
待つしか完治への道はないそうである。一度起こしてしまうと、
その日一日はなんだか脚に力が入らず、僅かに脚を引きずる生
活を強いられる。
日中は暖かいけれど、朝晩は気温が下がる日などに、眠ってい
る間に無意識にふとんから脚を出して寝ていたりするのが誘発
の原因。つまり、寝相が悪いのがいけないということ。
そんなこと言われてもねぇ。寝相の悪さと歯ぎしりは治りません。

ところでこの「こむらがえり」、中には「コブラがえり」と思われて
いる方もいらっしゃると思います。コブラがのたくっているような
図柄をイメージされるかもしれない。決して悪くない連想だけど、
あいにくでした。
脚のすねの後ろ側の膨らんだ部分、つまりふくらはぎのことを
「腓(こむら)」というのだけれど、「こぶら」とも呼ぶそうで、漢字
で書けばどちらも「腓返り」。

とまあ、蘊蓄はこの辺りまでとして、どなたか二度とこんな起き
抜けの激痛に襲われないための方法を知りませんか?
寝覚めが悪い上に、1日脚が重いんじゃ、たまりませんから。


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ノンキな通信  I.Z.'s Attic




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