Vol.24 - 22 Nov. 2002

もう11月も終わりに近づいているんですね。
10月中に一度は送ろうと思っていたこの「ノンキな通信」も、ふ
としたはずみで11月にずれこみ、それでも半分位まで打ってい
たところで、不本意なことにも入院するハメになってしまい、今
に到ってしまいました。
皆さん、身体には本当に気をつけましょうね。
そんなわけで、昨日退院してきたばっかりの私ですが、退院報
告も兼ねて、今回の「ノンキな通信」は、病院ネタです。

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ボクが入っていたのは、ひとりひとりのベッドが薄いカーテンで
仕切られた8人の大部屋。堅めの寝床、寝返りを打つ度に軋み、
金属パイプの音が聞こえるベッド。眠れずに寝床の上で動き回
る周りの病人、そのたびに思いの外大きな音を立てる寝具、そ
の音に反応して止まる誰かのいびき、始まる歯ぎしり。
−そんな中、ほぼ一日中眠ったり目覚めたりの生活が続いて
いると、夜の眠りは浅くなるのでしょうか。悪夢というわけでは
ないけれど、短編映画のような夢をつぎつぎと見ます。
これがまた過剰な自意識の表われといかにも自分らしい都合
の良さや自己矛盾への意識の欠如などに充ちていて、ツッコミ
どころが満載です。
そんな中からひとつを紹介いたします。
文中「>> 」部分は、言わずもがな、目覚めてからのツッコミです。

自由が丘駅、二子玉川方面に向かう大井町線のホームにある
南口改札。
赤ん坊を抱いてその改札を入ってきたレバノン人の女性に、擦
れ違いざま、液体状の爆薬を塗りつけられた。チューブから直
接ひねり出したような直径
1mm程の軟膏状の純白のクスリが、ボクの右の二の腕に1cm
足らず塗りつけられていて、その周囲が透明の液体で濡れて
いる。
これはイスラム反政府主義者たちが自爆テロを企てる時に、被
害の拡大を狙って周囲にいる外国人に塗りつけるという、あの
クスリだ。

>> 「あのクスリだ」って、どんなクスリだよ…。そんな爆薬って、
>> あるのかな?
>> 「レバノン人」は、ロンドンでホームステイしていたころ、一時
>> 期レバノン系ブラジル人の女の子が来ていて、似ていたか
>> ら決めつけているようです。

ボクはすかさず相棒に爆薬のことを告げる。すると彼はボクの
右の二の腕を見て、「間違いない。爆薬だ。これだけで充分な
破壊力があるはずだ」と言った。「液体には触るなよ。ロウだか
ら乾かせばいい」
「そうか、わかった」
相棒はボクの左腕をつかむと、ホームから線路に飛び降りよう
とさせた。
万が一のことを考えて、人込みから遠ざかろうとしたのだろう。
相棒の後に続いてボクも線路に飛び降りた。周囲の視線がボ
クと相棒に集中する。その中に駅員の姿もある。駅員は何ごと
か大きな声をあげ、すると数人の駅員がホームから飛び降り、
ボクと相棒の方に向かってきた。
相棒はボクの左腕を引っ張って、線路の先に広がる電車の留置
線に向かって走り始めた。線路の砂利のせいか、ボクはなかな
かうまく走ることができない。
でも相棒がボクをぐいぐい引っ張ってくれる。引っ張られながら
ボクは右の二の腕を大げさに振り回してみる。ロウを乾かすた
めに。しかし、爆薬の状況を確認するヒマは今、ない。
ふと後ろを振り返ると、追っ手が増えている。警棒を手に帽子を
押さえながら走ってくる駅員たちと、黒いサングラスをかけた黒
服たち。
「追っ手が増えたみたいだぞ」ボクは息を切らしながら相棒に告
げる。
「対応が思った以上に迅速だ。まずいな、早く逃げないと」
ボクと相棒は留置線に停められた電車の間を抜け、崖にせり出
すように建てられた住宅街を目指した。「急ぐんだ」

>> いつの間に追われる存在になったんだ? で、黒服って、何
>> 者だ?
>> ところで、駅員がなんで“警棒”持っているんだ?
>> それから、自由が丘駅のすぐ近くに「崖」なんかないけどなぁ。

 
自由が丘駅から電留線方面を望む (2004年11月20日)

相棒に引っ張られながら小さな商店街を進むと、店の間や軒の
上などから黒服たちがつぎつぎと現れては襲いかかってくる。
「くそっ。とにかく捕まらないように逃げまわるんだ」
相棒が黒服たちと闘っている間、ボクは右の二の腕をかばいな
がら黒服たちの攻撃をよけてまわっていた。
ふとしたすきに右腕の爆薬を見ると、周囲を塗らしていた透明
の液体はロウのように固まっていた。「固まったようだ」
「駄目だ。触るんじゃない。乾いても威力は変わらないんだ」
相棒が黒服のひとりを蹴り倒しながら、またボクの左腕をつか
んだ。
崖にせり出すように家々が建てられている壁のような丘には、
すぐにたどり着いた。
黒服たちがまだ追いついてこないのを確かめると、相棒はボク
を小脇に抱え、崖にむき出しになった岩をぐいぐいと登り始めた。
「雑草や木の枝なんかに右腕が触れないよう、しっかり守って
おくんだ。いいな」
「わかった」ボクは左手で右腕の肘の辺りを胸元に引き寄せる。
ボクの右腕は、すっかり冷たくなっている。

崖の途中にある高圧線の鉄塔を取り囲む金網の柵まで到達し
た時、ついに黒服たちに追いつかれてしまった。相棒はボクを
降ろすとまた闘い始め、そしてボクは逃げまわりながら闘った。
と、その時、上空から一本のロープを使ってサムが飛び降りて
きた。
サムは着地する前にボクにフリース状のラグが巻かれたものを
投げてよこした。そして、着地するやいなや、ボクにそのラグを
使って何かをさせようとジェスチャーで指示を出した。
「え!? 何をすればいいんだ?」
サムは黒服をひとり倒しながらボクの方に駆け寄ってきて、何
もしていないボクを見て一瞬信じられないような顔をしたかと思
うと、今度はものすごくがっかりしたような表情になって、そして
柵の少し向こうにある大きなくぼみに身を投じていった。
「え!? 何?」
すぐ傍にいた黒服が、ふと脱力するのを感じながら、ボクは夢
から覚めた。

>> 黒服ってのも何者だかわからないけれど、「サム」って誰な
>> んだろう。
>> 夢の印象では、「ナイト・ライダー」のマイケルとマクガイバー
>> を足して2で割ったような、そんな感じだったけどなぁ…。
>> それにしても彼のジェスチャーは解らなかった。

とにかく訳が分からないのが夢です。右腕を気にしているのは、
この時は右腕の手首付近に点滴用のチューブが差し込まれて
いたからで、眠っている時も無意識ながら気になるのでしょう。
寝具に擦れて抜けたり痛い思いをしたりしないようにしていた
ようで、“爆薬”が塗られたポイントはそこだけベットの縁に着脱
式になっている鉄パイプ製の柵に触れていました。
起きている間はずっと現在定期刊行中の漫画雑誌「ジョー&飛
雄馬」、つまり「あしたのジョー」と「巨人の星」を読んでいて、特
にこの時は、「巨人の星」で星飛雄馬が伴宙太とバッテリーを
組んで、甲子園の決勝でライバル花形満とあいまみえるあたり
を読んでいたところでした。だから夢の中のセリフがものすごく
クサいのが、我ながら笑えます。
(「巨人の星」は画もストーリーもツッコミどころ満載ですから、
要再確認です)
結局、爆薬は爆破せずに済んだわけですが、それにしてもこの
結末、何でしょうね。
それから自分自身の「設定」が未だに分かっていません。
で、もっともっと不可解なのは、こんなに頼りがいのある「相棒」。
誰なのかということはもちろんのこと、どんな姿形をしているのか
すら、目覚めてしまえば全く覚えてないということ。
つまりボクって、薄情ってことなのでしょうか?

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病名は出血性の腸炎、とのことでした。
結局、急性のようなものだったので、要するに一過性。
10日間の入院期間のうち、はじめの4日間は点滴での養分補
給だけで水も抜き。そして5日目の内視鏡検査ではほぼ問題な
いということがわかったので、その後の6日間は三度三度の三
分粥から始める“お腹の社会復帰”。
その間、点滴こそあれ投薬治療はないので、毎日病院に「いる
だけ」の状態でした。
今日からは自宅での療養。もうしばらく閑なときは続きそうです。
とりあえず、今はもうなんでもなくなりましたので、一部連絡が
いってご心配いただいていた皆さん、ご心配おかけいたしました。
もう大丈夫です。
病名はわかりましたが、その原因は結局わかりませんでした。
皆さんも身体には充分、気を遣ってあげてください。


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