Vol.22 - 24 Jul. 2002

梅雨も明けて、ホント、暑い日々が続いていますね。
皆さん、夏風邪や冷房病などにはかかっていませんか?
私は、6月にW杯サッカーに熱中しすぎたというわけではないけ
れど、腰痛に悩まされて、7月になってから病院に行ったら、そ
の日からコルセットを装着することになってしまいました。
コルセット、日本語で言うと腰部固定帯。
思い返せば、大学浪人していたころに腰痛がひどくて初めて病
院に行ったことがあって、それ以来凡そ20年間も腰痛がときど
き顔を出していました。それでもコルセット装着という事態まで
陥ったことはなかったのですが、ついに来てしまったのです。
…コルセット装着の日。

軽いぎっくり腰のような状態で、医者によれば、骨盤から立ち
上がる背骨の下から2番目と3番目の間がふつうより少し狭く
なっていて、そのジョイント部である椎間板に炎症があるとの
こと。
いわゆる椎間板ヘルニアというほどひどい状態ではないとのこ
とで、病院から処方されたクスリは「痛み止め」と「胃薬」と「湿
布」と、それから「コルセット」でした。

それでなくとも「マディソン郡の橋」が一冊読めてしまうほどの
長時間を待たせる総合病院で、受付を待つ間、診察を待つ間、
レントゲン撮影の順番を待つ間など、あの微妙な硬さで柔らか
さの「待合室のイス」に、もしボクが植物だったら根っこが生えて
養分が吸えるようになってしまうくらい長いこと座らされた。
ボクの腰にとっては、あの微妙にしっくりこない硬さと柔らかさ
だけでなく、あの微妙に落ち着かない、しゃがむわけでもなく腰
を掛けるわけでもない中途半端な深さと高さの座面もしんどい
ものでした。
整形外科の受付の前で座っている間は、じっと小説を読んでい
たのですが、ひとたび呼ばれた時には「人は立ってみないこと
にはわかんないもんだねぇ」と感心されそうなぐらいひどい格好
で立ち上がり、呼ばれたにもかかわらず悠然と、でも小さい歩
幅で軽く「う〜」なんて言いながら進まなければならない状態で
した。
順番待ちの人たちにはその総合病院に入院している人も含めて
高齢者が多く、そんな中に入ってしまえば一応若者に属する方
のボクなんかが、どこが悪くて病院なんかにきているのかとでも
思われているのでしょう。アンタみたいな若造が多いからアタシ
たちの順番がなかなかまわって来やしないんだよ。
そんな風に思われているのかいないのか、とにかくもしそう思わ
れているとしたら、そんな思いに面目躍如とでも言わんばかりに
「あら、気の毒」と言われそうなくらいの歩き方で診察室やレント
ゲン室に向かっていたのでした。

待たされたわりには、ちょっとした触診と仰向けの状態での脚の
曲げ伸ばし、ついでにゴムの槌で膝の皿の下をちょいと叩かれ
て“脚気(かっけ)”の検査までされて、ほんの5分程度の診察が
終わって、外で待つように言われました。待合室に出るとすぐに
看護婦さんがやってきて「コルセットの装着の仕方を教えますか
らこちらの待合室に出てきては困ります」などと言われながら、
処置室という看板の下がった部屋へと入れられました。
「ハイ、ズボンを下ろしてくださいね。Mサイズでいいですか?」
20歳代前半にしか見えない小柄で化粧っ気のない看護婦さん
がそういうので、「あ、いつも着ているものはLですね。脱いだら
すっごいんですよ…」といいながらベルトを緩めてGパンを少し
下げると、その看護婦さんが真っ白いコルセットを手に説明を始
めました。

コルセットは思っていたものとは全く違っていて、なんだかダイ
エット腹巻きとか1マイルウエストサウナなどと呼ばれているよう
なもので、テレビの通販番組でも売っていそうな、真っ白な単な
る「腹巻き」でした。
ただひとつそこらの腹巻きと違うところは、腹を巻くものではなく
て、腰からお尻の上のあたりを守りながら内蔵の金属棒で腰の
背骨を真っ直ぐ固定するというものでした。気の効かないウエス
トポーチのような印象です。
お腹の真ん前でマジックテープをベリっと留めると、背中側から
左右に羽状にまた別に取りつけられたストレッチ素材のマジック
テープをお腹側に引っ張ってきてがっちりと腰を固定します。
締め様によってはかなりきつく固定することができ、締め具合に
よっては靴下を履くことが困難になったりもしますが、固定してし
まってからは不思議や不思議。
今まで何を痛がっていたのかと思うくらい、ふつうの生活が送れ
るようになりました。
中腰の姿勢から重い荷物が持ち上げられるということがわかっ
たときが、もっとも驚きました。とにかく、ふつうの状態での生活
が戻ってきて、特にイスから立ち上がる時に、小声で「よいしょ、
痛たたた…」といいながら腰に手を遣る生活から解放されたこと
が一番嬉しかったですね。

炎症は飲み薬と貼り薬で解消されるそうです。ホタテのような形
をした円柱状の背骨の間隔が元通りになるのは若干の時間が
かかるそうです。
先日、処方されたクスリが切れたので再診に行ったところ悪化
はしていないとの説明を受け、まあ治りつつあるのだろうと安心
しています。
これからは再発を防止するべく、ストレッチなどを始めなければ
いけないようです。
やれやれ。外出から帰ってきてコルセットを外して、不本意にも
できてしまったアセモをぽりぽりと掻きながら、ストレッチって何
をすればいいんだ? などと思いながらも、結局は何もしていな
い今日このごろです。

腰は長引きそうです。皆さんも気をつけましょう。


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ノンキな通信  I.Z.'s Attic




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