Vol.21 - 30 Jun. 2002

前回のVol.20に続いて、ワールドカップの話。

3位決定戦とはいえ、韓国-トルコ戦、なかなかよかったですね。
敗色濃厚ながらロスタイムでのねばる韓国の得点や、試合終
了後の両チームの選手たちが肩を組みながらスタンドのサポー
ターたちにあいさつに向かうところなど、もうなんと表現すれば
いいのかわからないほど、感動のシーンでした。
ふだんは「感動」いう言葉をあまり使いたくないと思っている私
ですが、これには文句なしに「感動」という言葉を使いたい。
それにしてもトルコのゴールキーパー、リュシュトゥ。すごかった。
ドイツのゴールキーパー、オリバー・カーンばかりが注目されて
いますが、試合後半戦の韓国の猛襲を、満身創痍ながら守り
続けたあの執念。
見ごたえありましたねぇ。

こんなに盛り上がったワールドカップも、いよいよ明日の頂上決
戦で4年間のお預け期間に入ります。
さて、そんな決勝戦開催日に、もうひとつの究極の対戦がある
そうです。

今年2月の国際サッカー連盟(FIFA)のランキングで202位の
ブータンと、203位のモントセラトが最底辺を争うという試合が、
ブータンの首都ティンプーで行なわれるというもの。

カリブ海の英国統治領モントセラトは、1995年夏以降の断続的
な火山活動によって、多くの住民がアメリカやイギリスに避難。
サッカーの国際試合ができる唯一の競技場も灰に埋もれたそう
です。1997年にはポール・マッカートニーやエリック・クラプトン、
スティングやエルトン・ジョンなど、大物アーティストがロンドンで
「モントセラト島救済コンサート」を開催したので、それで名前だ
けは知っている方もいらっしゃるかもしれません。
そんなモントセラトは、今回のW杯ではドミニカ共和国に3対1で
負けて、去年の3月には既に日本・韓国には来られないことが
決まってしまった国です。

一方のブータンは、どうやら今回のW杯には予選にも出場して
いないようなのですが、昨年春にロードショーになった映画『ザ・
カップ 夢のアンテナ』は、舞台こそチベットでしたが原作はブー
タンでこの監督が実際に体験したこと。映画のストーリーを説明
しようと思いましたが、これがまたけっこう好い話なので、『ザ・
カップ 夢のアンテナ』というタイトルだけ覚えてお近くのレンタル
ビデオ屋さんに行って借りて観てください。
あ、「モントセラト島救済コンサート」もビデオ化されています。
こちらもぜひ買って観てください。
(エ? 借りて観ちゃダメなの? −ダメなんです!)

閑話休題。この世界ランキング202位対203位の究極の対決を
発案したのは、これまた今回のW杯には来ていないオランダの
広告代理店だそうで、なんとこの試合はFIFAの国際試合に認
定されているのだそうです。
元サッカー・イタリア代表の人気選手ロベルト・バッジオもメッセ
ージを寄せているというこの試合は、サッカーが世界の共通言
語であるという魅力を伝えることになるとのことです。

ゴールキーパー以外は手を使ってはいけないことだけがルール
の至ってシンプルなゲーム、サッカー。
シンプルが故に世界中を巻き込んでの、こんなにも大きな祭典
の開催が可能なのでしょう。
実力や勝負強さだけでなく、運や勝利の女神の微笑みなんか
も引き込みながら、今日、一番強いチームが日本の横浜で誕生
し、一番夢のあるチームがアジア大陸奥地のブータンで誕生し
ます。
どの国も、善戦を期待します!


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