☆☆ KOPIL の残照 ☆☆

 

今は無き「小林精機製作所」の足跡

 

2018/11/16 更新

 

… 前書き …

 「KOPIL」というのは、旭光学工業(PENTAX)、千代田光学精工(ミノルタ)、小西六写真工業(コニカ)、東京光学(トプコン)、ペトリ、ミランダ、フジタなど多くのカメラメーカーのためにベローズ装置を 「OEM製造」していた「小林精機製作所」の輸出用自社ブランドで、これによりプラクチカ(M42)やエクサクタ(トプコン&マミヤ)、ミノルタSR、ペトリ(スピゴット)、ミランダ(ダブル)、ニコンF、ライカL、コンタックスなど各種カメラマウントのベローズ装置を製造・輸出していました。

 その多くの「OEM製造」の中で最も長く、数多く製造したのが旭光学工業(PENTAX)向けの製品です。それは1952年に発売された「ASAHIFLEX」用の「BELLOWSCOP」から始まり、1968年頃の倒産時に製造していた「ASAHI PENTAX BELLOWS UNIT」まで多くの変遷を経て続きました。その変遷の経緯については ここでは扱わず、別室にて少し詳しく掲示しています。

 

 ところで、ベローズ装置の主要な用途は「接写」にあります。「小林精機製作所」が創業したのは1949年以降のことでしょう。当時、高級カメラの主流は「レンズ交換式距離計連動カメラ 」で、ライカとコンタックスがその双璧でした。「小林精機製作所」はこれらのためのマウントの製品を製造しましたが、これらのカメラでベローズ装置を使うためには別にフォーカスのための「ミラーボックス」が必要で、そのための特殊な専用レンズなどを考えると、あまり実用的ではありません。しかし、プラクチカやエキサクタマウントなどの一眼レフなら接写用として好適でした。

 しかし、新興未成熟な一眼レフ市場向けに、そのためのニッチな分野の接写アクセサリーであるベローズ装置を製造輸出するというのは、これは相当に尖鋭的です。一眼レフが本格的に市場に出て来たのは1950年以降のことです。同時期からそのためのベローズ装置を製造輸出した同社の、経営感覚の先取性に驚きます。

 なお、同社の主力製品は輸出用のレギュラー8ミリ(ダブル8ミリ)撮影機でしたが、1965年に始まった「コダック・スーパー8」や 「富士フィルム・シングル8」の大波をかぶって倒産しました。

 

 この倒産の時期ですが、その本社工場設備を用いた「(株)橘製作所」の設立は1968年とのことですから、それ以前ということになります。これはその後 「Nikon水戸工場」となり、その事業所は変遷を経つつも継続しているとの由…

 倒産後の工場群と設備は、「(株)橘製作所(後のNikon水戸工場)」と、「富士写真光機(株)」が1968年3月に全額出資して設立した「水戸機器(株)」とに分けて引き継がれたそうです。 技術者・技能者も同様だったのでしょう。なので、このいずれかで特許である一本丸レールベローズ装置の「OEM製造」が続けられた可能性がありますが、それについては未解明です。

 なお、「水戸機器(株)」というのは、種々の離合変遷を経て、現在は「富士フィルムオプティクス(株)」というレンズ製造を主体としたメーカーになっています。

 ところで、富士フイルムのカメラ「フジカST801」用として販売されたベローズ装置は、その形状特徴からすると、「BELLOWSCOP」とは違う製造元がOEM製造したことが有力です。 そのベローズ装置はカメラが発売された1972年以降に作られたことは確実ですから、もし「水戸機器(株)」がベローズ装置製造の後継者であったとしても、その時には製造を止めていたのでしょう。

 側聞するに、小林精機製作所の創始者は「小林 知」という人で、戦前から東京で日本光学の下請協力工場を経営していたようです。シャッターで著名な「COPAL」の創業者の一人でもあったようですが、共同経営者との反目で同社を離れ、小林精機製作所を分離立ち上げしたのだそうです。その「COPAL」が株式会社化されたのは1949年とのことですから、その時期だと思われます。「KOPIL」という同社ブランド名は、「COPAL」を意識したものだったという話もうなずけるものです。「K」は「KOBAYASHI」の「K」なのでしょう。

 倒産後の事業所が「Nikon」に引き継がれたというのも、日本光学の下請協力工場をその沿革に持つというところからなのかもしれません。

 

 なお、以前は輸出用だけだと思っていた「KOPIL」ブランドのベローズ装置が、国内販売もされていたという証拠を2017年10月に発見しました。そのベローズ装置は「ライカLマウント」で、日本語の使用説明書が付属しています。使われている部品から推定できるそれが製造されていた時期には、国内で「Canon」など多くのカメラメーカーが「ライカLマウント」のレンズ交換式距離計連動カメラを製造していましたから、本家ライカのカメラ以外にも、それら類似あるいは模造品カメラユーザーを顧客として販売したものと思われます。なお、使用説明書には、一眼レフ用として「M42」と「エクサクタ」も販売していたことが書いてあります。

 その国内販売されたと考えられる「KOPIL FOLDING BELLOWSCOPE」は、小林精機製作所が製造したベローズ装置としては最も初期の型に属するものと思われます。その根拠は、ダイヤルなどそれに使用されている部品が最も初期の形式であることと、レンズ台座に付いている「ライカLマウント」金具が4本ビス止めではない点です。そのマウント金具の取り付けがネジ込みだとすると、マウントネジの切始め位置の不安定さが製造上大きな制約となったのではないかと考えられます。その後の製品はマウント金具を4本ビス止めに変更することで安定性と製造の容易さを確保したものと考えられます。

 

 「KOPIL」ブランドで造られたベローズ装置としては、大きく分けて3系統あることが知られています。それは

 1  「一本丸レール」の「BELLOWSCOPE」、

 2  「 二本丸レール」の「DUO-TRACK-BELLOWSCOPE」、

 3  「太い一本丸レール」で「あおり装置」の付いた「BELLOWSMAT」

です。それぞれに丸レールが「折り畳めるもの(FOLDING)」と、「折り畳めないもの」とが作られました。

 しかし、国内カメラメーカーへのOEM製品としては「BELLOWSCOP」の系統だけで、他の系統は自社ブランド「KOPIL」でしか作らなかったようです。

  なお、一本丸レールの「BELLOWSCOPE」の系統としては、レールの太さが11.4mmのものと、それより太い12.9mmのものがありました。太い方はバヨネットマウントのために金具外径が大きくなったものに用いられ、千代田光学精工ミノルタSRや小西六コニカARにOEMしたものはこの系統に属するものです。

 

 3系統あるベローズ装置のうち、多くのカメラメーカーにOEM提供した一本丸レール「BELLOWSCOPE」については、レンズ台座下部の構造が、「丸レールが折り畳めるもの 」と「折り畳めないもの」とが同一となっています。他の2系統は別の構造としていますから、この差は何かという疑問に突き当たってしまいます。

 なお、旭光学工業に最後にOEM提供した「ASAHI PENTAX BELLOWS UNIT」については多くの部分がまったく別の構造ですから、このことの例外です。

 また、千代田光学精工と小西六にOEM提供した品も特注部分が多いものでした。

 

 ところで、海外では「KOPIL」ブランドのベローズ装置は「eBay」などの中古市場にかなり出て来ますが、国内の中古市場で入手するのは相当に困難です。何らかの方法で里帰りした品が僅かに市場に出て来ていると思われます。亭主が入手した品々もそのようなものだと思われます。

 

 少し脱線した話ですが、戦後すぐの時期は、Nikon、Canonなど国内のカメラメーカーのほとんどが、ドイツのカメラ及びレンズ、そしてアクセサリー類をモノマネした製品を作っていました。それは今の支那の図々しい振る舞いを決して嗤えない状況でした。そんな中で、「小林精機製作所」の輸出した「KOPIL」ベローズ装置は、「エクサクタ ・マウント」の本家であるドイツ(恐らく東)でそっくりな機構のモノマネ製品を作られたという栄光に浴しています。その特許独自機能が如何に優れていたのかを物語るものでしょう。

 

 ※参考資料

 

 この「KALIMAR」というのはアメリカの輸入商社で、その「ブランド」でカメラ関係のOEM製造を行っていたのは国内にも何社かあったようです。 中では「藤田光学工業」が知られていますが…

 

…  もくじ …

・・

KOPIL FOLDING BELLOWSMAT

KOPIL BELLOWSMAT

KOPIL FOLDING BELLOWSCOPE 初期型

KOPIL FOLDING BELLOWSCOPE 中期型

KOPIL FOLDING BELLOWSCOPE 後期型

KOPIL DUO-TRACK-BELLOWSCOPE

 KOPIL FOLDING DUO-TRACK-BELLOWSCOPE

KOPIL BELLOWSCOPE Minolta SR マウント

KOPIL FOLDING DUO-TRACK-BELLOWSCOPE Minolta SR マウント

FUJITA 66

EXTENSION BELLOWS for Minolta-SR (改)

KONICA EXTENSION BELLOWS U

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… KOPIL FOLDING BELLOWSMAT M42マウント …

 亭主の「BELLOWS」蒐集黎明期からの憧れと念願だった「M42・プラクチカマウント」の「BELLOWSMAT」です。レールが折り畳めるものと、そうでないものの2種類があるのですが、これは「折り畳めるもの」です。あおり装置の組み込まれた重 く大きなレンズ台座のために、一本丸レールは太くなっています。

 レンズ台座にはスイング機構とライズ・フォール機構が組み込まれています。カメラ台座にもライズ・フォール機構が組み込まれています。これらのあおり装置により、究極の画像や特異な画像を得ることが可能です。簡易型ベローズ装置としては究極 至高の存在と言っても良いでしょう。その特筆的構造は、レンズ台座とカメラ台座のそれぞれ右側面に刻まれているラックギヤをつまみネジ装置にあるウォームギヤで駆動するものです。

 太い一本丸レールの両側に刻まれている倍率定規は右がf=58mm、左がf=105mmです。これの想定しているレンズが何だったのか、新たな興味と疑問が湧いて来る…

 この個体は「白地ステッカー式」のネームプレートですから、1958年以降の製造と考えられます。また、折り畳み機構のダイヤルがネームプレートを兼ねたコイン型になっていますから、それであることを補強しています。

 さらに、クランプダイヤルに蓋がされず、表記が黒地に白文字の彫り込みですから、1958年以前の製造の可能性があります。 このことから、まさに1958年に製造されたので間違いないでしょう。

 なお、これより以前、「黒地ネジ止め式」のネームプレートで、ムービングダイヤルがアルミ地金の時代もありました。それは1952年前後のごく初期の品と思われます。

 ところで、あおり撮影の時にイメージサークルが小さなレンズを使う場合、レンズをスイング(チルト)したときには、シフト(ライズ・フォール)を同時に行うことで、撮像面のアパーチャーをイメージサークル内に収める可能性が高まるのですが、この 「BELLOWSMAT」のように、スイング時にライズ・フォールではその効果が得られません。単に個別の機能を利用するというだけということです。

 これは最縮長が42mmと長いので、デジタル一眼レフで無限遠を出せるバレルレンズは焦点距離105mm以上になります。 ただし、ミラーレス一眼なら75mmでも可能かもしれません。

 「K-3」は、おでこがほんの少し出ているので、取付には工夫が必要です。ライズ・フォール用のレールが邪魔になるのです。ライズフォール位置を目盛りで8から12の間にしないと取付が出来ません。

 

 上画像のようにチルトを使うには、正位置で取り付けてから、このように90度回します。この位置のままの取り付けは裏面のレール折り畳み用ボルトが干渉するので不可です。

 なお、この位置にすると、ピント合わせ用のダイヤルが下部に来るため、左手での操作にはかえって便利です。

 このように取り付けるためには、カメラ側マウント金具に市販品の「フランジ付きマウントアダプターK」を装着し、レンズ側に「42-39マウントアダプター」を装着しなければなりません。フランジ付きでない純正の「マウントアダプターK」では、カメラ側マウント金具の外径が小さいためにガタが出てしまうので使えません。

 

 手持ちでもチルト撮影が可能なのはこの機種ぐらいでしょう。他のそれが出来る機種に比べると非常に軽快です。

データ

マウント M42プラクチカ

最縮長(マウント間)  42mm

最伸長(マウント間) 146mm

折畳式丸レール径       12.9mm

固定ボルト 21.5mm 蓋付印字

蛇腹断面寸法     50mm

カメラマウント金具外径  46mm   取付穴径 40mm

ダイヤル外径  右19.5mm (蓋付)白地赤文字MOVMENT 左14.3mm 掘り込み白文字CLUMP

ライズ・フォール幅   12mm

スイング機構付

重量           407g

倍率定規 左105mm 右58mm

ネームプレート 白地ステッカー式 表記 KOPIL BELLOWSMAT

… KOPIL BELLOWSMAT エクサクタマウント …

 これは同じ「BELLOWSMAT」でも、一本丸レールが折り畳めない形式の品です。しかもライズ・フォール用のレールの片側が少し短いタイプで、 亭主はこのようになったものは他に例を見ていませんが、そのことで、この機種には変異種が多かったことが窺えます。

 「白地ステッカー式」ネームプレートですし、クランプ・ダイヤルの表記が薄緑色なので、1959年以降の製造と思われます。しかし、そのクランプ・ダイヤルの蓋表記についてですが、これまで確認している中では、緑文字と赤矢印のものは この「BELLOWSMAT」にしか使われていません。他は緑一色です。

 これは、この機種に最も残存数が多いと思われる「エクサクタマウント」です。残存数が多いのはそれだけ売れたということで、これが作られた時期には、世界的には最も売れたカメラのマウントだったのでしょう。わが国でも東京光学が1963年に「Topcon RE Super」で採用しました。

 

 この個体は、カメラ側マウント金具を「ASAHI PENTAX BELLOWS UNIT」から取り外したアルミ製「Sマウント」に交換しています。取付部内径が40mmと小林精機製作所製品に共通なので換装は容易です。これで上画像のように市販品のフランジ付きKマウントアダプターを併用することで、PENTAXの現役デジタル一眼レフカメラで使える品とすることができました。

 しかし、エクサクタマウントの長焦点「バレルレンズ」は入手困難なので、それが比較的容易な標準レンズなどでは逆チルト撮影などのあおり機能が生かせる無限遠付近での使用は出来ません。その場合、レンズ逆付けでの使用が一般的でしょう。そのための 「リバースアダプター」は昔トプコンから出ていましたが、元々付いていたカメラ側マウント金具を使っての改造も可能です。「49→46ステップダウンリング」などを用いれば比較的容易かも…

 

 なお、亭主は下左画像のように、他のベローズ装置から取り外したカメラ側マウント金具を利用して「ライカLマウントアダプター」を自作しました。 「ライカLマウント」の雌として使用した部材は、引き伸ばしレンズ「LUCKY」の保管ケースから外した真鍮のマウント雌ネジです。旋盤を持たない亭主は、外周をヤスリで根気よく 丁寧に削り、マウント金具内径にぴったりに仕上げて篏合し、エポキシ接着剤で接着しました。これで強度的にはまったく無問題…

 ところで、このライカLマウント素材は真鍮なのでヤスリでの切削が容易です。 アルミの製品もありますが、そちらは壊したり変形させないように慎重な作業が求められるでしょう。この部材は「SMC TAKUMAR 1:1.4/50」鏡胴を利用した引き伸ばしレンズ用ヘリコイド装置など、様々なライカLマウント化改造に役立ちますから、それだけを目当てにしても、極めて安価 であることが通例な「LUCKY」を入手しておくと「LUCKY」…

 

 「エクサクタマウント」はバヨネット金具内径が33.5mmしかないので 、内径39mmのライカLマウントアダプターをマウント内に設置することは出来ません。そのため、どうしてもマウント前方に外付けとならざるをえないので、その分だけ光路が伸びてしまいます。 亭主自作のものは6.8mm伸びます。カメラ側マウントアダプターの伸びを加えると最短光路は51mmにもなりますが、焦点距離105mm以上の引き伸ばしレンズなら無限遠が可能なものがあります。しかし、あおり操作の余地を考慮すると、焦点距離135mmのものが望ましいでしょう。

 

 

 上右画像は「EL-NIKKOR 105mm 1:5.6 N」ですが、このレンズ、絞り開放での無限遠画像は極めて優秀で、色収差の滲みは確認不能です。 しかし、旧型の方はフランジバックが短いので無限遠が来ません。それはそれで固有の優れた使い道がありますから、両方入手して損無し…

 

 他には、レンズ台座のエクサクタマウント金具を取り去り、そこに汎用性の高いM42マウント金具を直に移植する道もありそうです。しかし、まだ世に数多残存する「エクサクタ ・マウントレンズ」を使える利点の為に、この個体は改造せずそのままにして置くつもりです。実用としては、多くの「引き伸ばしレンズ」群が使えるだけで十分…

 ところで、正規に取り付け可能な「エクサクタ・マウント」の交換レンズには自動絞りのものがあります。それらの中には自動絞りだけで実絞りに出来ない構造のものがありますので、入手にあたっては注意が必要です。「Topcon」や「Zeiss」とかなら大丈夫ですが、安価でも「メイヤー」は駄目です。そのために「駄目嫌」と陰口を言われるのかも…

データ

マウント カメラ側 Sマウント(M42)換装

      レンズ側 エクサクタ

最縮長(マウント間)  41mm

フランジ付きマウントアダプターK及びライカLマウントアダプター使用時の最縮長  51mm

最伸長(マウント間) 142mm

丸レール径       12.9mm

蛇腹断面寸法     50mm

カメラマウント金具外径  46mm   取付穴径 40mm

ダイヤル外径  右19.5mm (蓋付)白地赤文字MOVMENT   左14.3mm (蓋付)白地緑文字CLUMP矢印のみ赤

ライズ・フォール幅   12mm

スイング機構付

重量           400g

倍率定規 左105mm 右50mm

ネームプレート 白地ステッカー式 表記 KOPIL BELLOWSMAT MADE IN JAPAN

… KOPIL FOLDING BELLOWSCOPE 初期型  ライカLマウント …

 

 

 この個体は国内販売されたと思われる品です。その根拠として、日本語の使用説明書が付属しています。

 これは「ライカLマウント」ですが、レンズ台座のマウント金具が通常の4本ビス止め式ではありません。レンズ台座に対して捻じ込みで取り付けているのか、単に挿入して接着なのか不明です。ダイヤルなどの部品が知る限りで最も初期の形式ですから、これが小林精機製作所が創業後最初に作った機種である可能性が高いと考えています。青色である伴箱上面の表記も「FOR …」となっておらずに「L.E」とのみ表記しています。

 

 戦後すぐの時期に、国内ではライカの機構やマウントを模倣したレンズ交換式カメラをCanon、ニッカ、レオタックスなど多くのカメラメーカーが作っていました。そのユーザーに販売するために、まずは「ライカLマウント」で作り始めたというのが沿革ではないかと推定できる品です。その後、キネ・エクサクタ、プラクチカなど一眼レフカメラが台頭すると、それらはベローズ装置がより便利に使えるため、そのマウントであるプラクチカやエクサクタを作り始め、その時に レンズ台座マウント金具を製造互換性の高い4本ビス止め方式に変更したものと推定します。

 1952年には国産一眼レフカメラの先達、旭光学「ASAHIFLEX」のためのレンズ台座マウント金具4本ビス止め方式製品をOEMで作っていますから、 この品はそれより前の時期に作られたことが強く推定できます。

 なお、付属していた使用説明書には「M42マウント」一眼レフである「コンタックスS」のことが書かれていますから、それが発売された1949年以降の製造であることも確実でしょう。

 また、折り畳んだ一本丸レール後端の固定穴は素材のアルミに穴を開けただけで、後の時代のもののようにはその場所に真鍮の受け金が挿入されていません。これは「ASAHIFLEX」用も同様の作りなので、真鍮の受け金の存在が確認できている1957年より以前に作られたものであることをも示しています。

 

 これに使用するレンズは「ライカLマウント」のものということになります。なお、世の中に夥しく存在している「引き伸ばしレンズ」の多くは「ライカLマウント」ですから、それらの内、焦点距離が105mm以上のものであれば、 どれでも現役のデジタル一眼レフに取り付けて無限遠から使えると思います。「引き伸ばしレンズ」の一般撮影における性能はまったく問題がありませんし、絞り羽根枚数の多いものもあるので、優れた画像が得られ易くなります。

  さらに、ミラーレス一眼であれば焦点距離75mmでも無限遠から使えるようにすることが可能だと思います。その焦点距離75mmの引き伸ばしレンズは66判フィルムのプリント用に使われていましたから、35mmフィルム用の焦点距離50mmのものと並んで数多く中古市場に存在しています。

 カメラ側については、適合するマウントアダプターを併用することで、現存するほとんどのデジタル一眼に取り付け可能に出来ます。PENTAXにおいても、純正「マウントアダプターA」と純正「マウントアダプターK」 を併用することによって取り付けることが出来ます。「小林精機製作所」が起業後すぐの時期に製造したと推定できるこの品ですが、十分現役稼働の存在という事です。

 

データ

マウント  ライカL(M39)

最縮長(マウント間)  38.5mm

最伸長(マウント間) 139mm

丸レール外径     11.4mm

カメラマウント金具外径  46mm   取付穴径 40mm

蛇腹断面寸法     50mm

ダイヤル外径  17.5mm

重量            250g

倍率定規 

 

… KOPIL FOLDING BELLOWSCOPE  中期型 M42マウント …

 

 

 上の画像の左側がそれです。ダイヤルやネームプレートなどの使用部品の形式からすると、1959年か1960年の製造だと思われます。前後とも「M42マウント」です。右側に並べている同時代の旭光学工業にOEMした「ASAHI BELLOWS UNITS」との違いは、ネームプレート表記と、折畳レール固定ボルトが「クロームメッキ」であることと、丸レールに刻まれた倍率定規の目盛りです。旭光学工業にOEMしたものは、この時代には折畳レール固定ボルトが「梨地メッキ」でした。

 

 なお、同じ焦点距離58mmの目盛りを比べると、「ASAHI BELLOWS UNITS」の方が操出量が多くなっています。つまり、公称焦点距離は同じでも、旭光学工業の「Takumar」の方が実質の画角がツァイスの「Biotar」より小さいという事です。多分「Takuamr」の焦点距離の方が正確だったということでしょう。

 ダイヤルは左が赤色表記の蓋付き、右が緑色表記の蓋付きで、径は両方同径です。青色の伴箱の表記には「CONTAX S (PENTACON)」用であるとも書かれています。ちなみに、「CONTAX S」と「PENTACON」はともに東独ツァイスの製品で、両者中身は同じです。西独ツァイスとの商標訴訟の結果、西側世界への輸出は後者の名称で行うことになりました。

 

 KマウントのPENTAXで使う場合、カメラ側マウント金具は外径が小さいので、純正の「マウントアダプターK」ではガタと光漏れがあって使えません。フランジ付きの社外品か、別にドーナツリングの併用が必要です。 これ、常識かも…

 

データ

マウント  M42

最縮長(マウント間)  33.5mm

最伸長(マウント間) 133mm

丸レール外径     11.4mm

カメラマウント金具外径  46mm   取付穴径 40mm

蛇腹断面寸法     50mm

ダイヤル(蓋付)外径  19.5mm 左白地赤文字MOVEMENT 右白地緑文字CLAMP

重量            225g

倍率定規 右58mm用 左105mm用

 

… KOPIL FOLDING BELLOWSCOPE 後期型 M42マウント …

 

 折り畳める丸レールの基部はアルミですが、折れる先の部分はクロームメッキの硬質金属(真鍮かも?)製です。そのため、重量軽減のために全体に中空加工がされています。この穴にはネジ切りがされていないので、「カメラ小ネジ」が捻じ込めるというわけではありません。 もっとも、その内径は5mmなので、1/4インチ(カメラ小ネジ)のタップを通せそうではありますが…

 前面のネームプレートは白地のステッカー式です。ダイヤルの形状やその表記文字色などと合わせて勘案すると、1959年以降の製造だと推定できます。それはPENTAXだと「BELLOWS UNITS」以降の時代です。「KOPIL」は製造された年代によって仕様が少しずつ異なっていますが、ダイヤルの形状やその表記文字色からすると、1961年には別の形状になっていますから、1960年前後に製造されたのでしょう。

 丸レールをそれまでのアルミでなく、中空の硬質金属製にしたのは、関節部付近のラック・ギヤの耐久性にクレームを受けてのことではないかと推察します。従前のアルミのものは、その部分の操作に極めて細心の注意が必要で、機構の原理や問題点を知らぬ者が無頓着な扱いをすると、軟らかなギヤ山がすぐに潰れてしまいます。その対策のためとしか考えられません。

 前後のM42マウント金具を黒アルマイト加工のアルミ製にしているので、全体の重量は従前のものより軽いのですが、レール部が重いので持ち重りがします。

 最縮長が36mmなので、PENTAXの「Bellows-Takumar 1:4/100」が2mm繰出した位置で無限遠を出せます。それは丸レール関節部を過ぎてからですから、安定したフォーカスが可能です。

 

 これもカメラ側マウント外径が46mmと小さいので、旭光学工業純正の「マウントアダプターK」ではガタと光漏れを生じてしまいます。必ず社外品のフランジ付きアダプターを使用するか、別にドーナツ板を併用しなければなりません。

 レンズ側マウントは、旭光学工業の「Sマウント」規格ではありません。あくまで「プラクチカ・M42マウント」です。ここに開放測光マウント 「TAKUMAR」を取り付けると酷い目に遭います。それは、マウント面にある4本の取り付け小ビス穴の窪みに開放測光マウント「TAKUMAR」のマウント面にある「馬鹿者対策」小ピンが落ち込んで進退極まってしまうからです。この卑劣な落とし穴からの脱出は…気合い以外にはありません。えい、やっ…

 

 この品の丸レールには倍率定規は刻まれていません。単にcm目盛りが入っているだけです。そのため、特定のレンズを想定したものではありません。M42マウントというものが国際標準マウントの地位を占めていたことによるのでしょう。

 

データ

マウント  M42プラクチカ

最縮長(マウント間)  36mm

最伸長(マウント間) 138mm

丸レール外径     11.4mm

丸レール内径       5mm

カメラマウント金具外径  46mm   取付穴径 40mm

蛇腹断面寸法     50mm

ダイヤル(蓋付)外径  19.5mm 左白地赤文字 右白地緑文字

重量            215g

倍率定規 左cm目盛り

… KOPIL DUO-TRACK BELLOWSCOPE ライカLマウント …

 アルミ製の丸レールを2本並べたことで、強度と光軸精度を向上させた「BELLOWSCOPE」です。他社製の二本丸レールの製品が非常に重いのに比べて、驚くほど軽くなっています。この個体は二本丸レールが折り畳めないタイプですが、別に折り畳めるものも作られました。

 このシリーズが旭光学工業を始めとした国内カメラ各社のOEM製品とならなかった理由が分かりません。重量や強度など優れているので謎の存在です。国内の特許の関係とかがあったのかもしれません。ミノルタが西独ノボフレックスにOEM製造させた「オートベローズU」を国内販売しなかったらしいのも、そのためなのかもしれません。

 前面のネームプレートは「白地ステッカー式」です。それに加えて「CLAMPダイヤル」は緑文字で、「MOVMENTダイヤル」は赤文字ですから、これの製造は1958年頃だと思います。その「MOVEMENTダイヤル」が右側なので、手持ち撮影のときは使い難くなっています。三脚での使用なら左程支障とはなりませんが、手持ち撮影には不便です。

 しかし、「CLAMPダイヤル」を一杯にまで緩めればこれをフォーカスに使えますので、実質的には両ダイヤルをフォーカスに使えることを発見しました。

 ・

 この個体は「ライカLマウント(M39P=1近似)」なので、ライカのレンズ群の外に、世上数多ある「引き伸ばしレンズ」たちの母艦となります。f=100mm付近のものなら無限遠撮影も可能でしょう。上画像は「FUJINAR-E1:4.5 f=105mm」を取り付け、無限遠時の状態です。

 これの不満点の一つは、レールの長さに対して蛇腹の長さが不足気味なことです。最長にすると蛇腹は伸び切ってしまいます。あと1山欲しいところです。

 カメラ側は、「M42-M39マウントアダプター」と「マウントアダプターK」の2枚を使用することで、亭主偏愛の現役PENTAXデジタル一眼レフで使えます。また、 その他現役の各社デジタル一眼には「M42マウントアダプター」や「ライカLマウントアダプター」が存在しますから、それらを使うことで、どのデジタル一眼カメラでも使用可能ということになります。

 なお、この個体はカメラ側を「ASAHI PENTAX BELLOWS UNIT」のアルミ製Sマウント金具に換装しています。上記画像はその状態です。そのため「FUJINAR-E1:4.5 f=90mm」でも無限遠が来ます。 しかし、その焦点距離が限界短でしょう。カメラ側マウント金具の取付穴径が40mmと共通なので換装は簡単です。元々付いている「ライカLマウント金具」はなぜか光路が異様に長いので、この換装は最短光路の大幅な短縮となって、無限遠で使える 「引き伸ばしレンズ」の焦点距離範囲が増えるのです。精々励むべし…

 「PENTAX BELLOWS UNIT V」のKマウント金具は取付部40mm径なので、それとの換装も可能です。それならマウントアダプターは不要となります。

 なお、2本の丸レール先端部には5mm径の穴が33mm以上の深さまで開けられています。もしかすると、これを利用したスライドコピアなどのアクセサリーが存在していたのかもしれません。単なる軽量化のためだけなのかもしれませんが…

 

データ

マウント カメラ側  Sマウント(M42)換装

      レンズ側  ライカL(M39)

最縮長(マウント間)  32mm

最伸長(マウント間)  138mm

丸レール外径     10mm

カメラ側マウント取付穴径  40mm

蛇腹断面寸法     50mm

ダイヤル(蓋付)外径  19.5mm

重量            212g

倍率定規

… KOPIL FOLDING DUO-TRACK BELLOWSCOPE ライカLマウント …

 

 

 小林精機製作所の製造した同社ブランド「KOPIL」のベローズ装置です。上と同じアルミ製の丸レールを2本並べた機種ですが、これはそのレールが根元から折り畳めるものです。使用されている部品やネームプレートなどの形式・形状からすると、この機種の中でも最も初期に製造されたもので、1950年から遅くとも1957年までの間に製造されたものでしょう。

 ライカやその模造品などの距離計連動カメラのためのマウントですから、使用するのには当然ミラーボックスの併用を前提としたものです。しかし、一眼レフカメラなら単体で使えます。

 フィルム・カメラが滅亡したことで暗室文化が終焉を迎え、そのため中古市場に夥しく存在している「引き伸ばしレンズ」のマウントは「ライカLマウント」のものが大部分ですから、撮影レンズにはそれらを使えますし、その中には 「無限遠」の出せるものも存在しています。「焦点距離105mm」の引き伸ばしレンズの場合、無限遠からほぼ等倍までの撮影が可能です。

 カメラ側はマウントアダプター2種類の併用で 上画像のように現役「Kマウントカメラ」に装着することが出来ますし、 同様にしてその他ほとんどの現役デジタル一眼カメラで使うことが可能という、極めて有用な存在です。

 なお、カメラ側マウント金具は取付穴径が40mmなので、同社製の「M42マウント」に換装することも容易です。これの元々のマウント金具は異様に光路が長いので、短いものと換装することで全体の光路を短縮することが出来て、より焦点距離の短い「引き伸ばしレンズ」を「無限遠」で使用することが可能になります。

 二本丸レールを先端の金具に固定するビスも、後の時代のもののような穴開きではありません。

 

 この二本丸レールの機種が国内カメラメーカーのためのOEMとならなかったのは、その国内特許が他社によって設定されていたためでしょう。この機種の方が、あらゆる点で一本丸レールの機種より優っています。丈夫で軽くて、精度も高い。製造コストも上だったでしょうが…

 

 この二本丸レールのシリーズは「MOVEMENTダイヤル」が右側で「CLAMPダイヤル」が左側です。一本丸レールのシリーズとは反対の配置ですが、これは三脚とケーブルレリーズを使用する場合にフォーカスがやり易い配置だと思います。

 

データ

マウント カメラ側  ライカL(M39)

      レンズ側  ライカL(M39)

最縮長(マウント間)  40mm (マウントアダプター使用時)

最伸長(マウント間)  145mm (マウントアダプター使用時)

丸レール外径     10mm

カメラ側マウント取付穴径  40mm

蛇腹断面寸法     50mm

ダイヤル外径  17.5mm

重量            212g

倍率定規

 

… KOPIL FOLDING DUO-TRACK BELLOWSCOPE Minolta SR マウント …

 

 

 これは「二本丸レール」が折り畳めるタイプです。「ミノルタSRマウント」ですが、レンズ用には純正のライカLマウントへのアダプターも存在します。それを用いれば、多彩な「引き伸ばしレンズ」を使うこと も出来ます。

 前面のネームプレートやクランプ・ダイヤルの表示色からすると「SRマウント」誕生の1958年以降で、1960年前後の製造と考えられます。

 今日、ミラーレス一眼カメラに35mm判などが登場していますから、フランジバックの短いそれらならSRマウントアダプター経由で使える存在です。レンズ側もM42マウントなどへの 社外品マウントアダプターが存在しますので、多くのレンズが使えます。携帯便利で軽く丈夫なベローズ装置、という位置付けでの現役復帰というわけです。

 なお、元箱の中には英文の使用説明書が入っていました。それによると「小林精機製作所」が製造したことが書かれています。英文なので「製作所」は「せいさくじょ」と読むことも分かりました。

 また、ニューヨークから配送されることも書かれています。この品が半世紀以上前にアメリカに輸出され、里帰りした品であることが明白です。

 同じ折り畳み式でも一本丸レールより横剛性が高く、安定した光軸の維持が可能です。

 

この品は、小さなレンズ台座・カメラ台座に無理やり大きなマウント金具を取り付けたという感じです。カメラ側マウント金具も縦位置・横位置切替が出来ませんし、それは左右の芋ビス止めだけでなく接着も併用しているようです。どうしても折畳式二本丸レールのSRマウント製品を作ってやろうということで生まれたのでしょう。カメラを回転することが出来ませんから、横位置撮影しかできませんので、カメラ台座下の三脚穴はダミー同然ということです。

 SRマウントとしては、他に太い固定式一本丸レールの製品が存在しますが、そちらはレンズ台座・カメラ台座・蛇腹を大きなものにし、一本丸レールも「BELLOWSMAT」用 に使っていた太いものを使っています。

 1985年にミノルタがフランジパックを長くした「αマウント」になって以来、フランジバックの短い「SRマウント」レンズ群は、まともに使えるカメラの失われた滅亡マウントのゴミ的存在だったのですが、今日の フランジバックの短なミラーレス一眼台頭により、マウントアダプターを介すことで使える存在に帰り咲きました。まだ中古市場に夥しく残るSRマウントレンズ群や、M42マウントアダプター及びL39マウントアダプターを介して無数とも思えるM42レンズ群や引き伸ばしレンズ群を楽しむための母艦として存在感を示せます。

データ

マウント カメラ側  ミノルタSRマウント

      レンズ側  ミノルタSRマウント

最縮長(マウント間)  39mm

最伸長(マウント間)  145mm

丸レール外径     10mm

カメラ側マウント取付穴径  40mm

蛇腹断面寸法     50mm

ダイヤル(蓋付)外径  19.5mm

重量            290g

倍率定規

… KOPIL BLLOWSCOPE Minolta SR マウント …

 

 

 「ネジマウント」と比べて大幅にマウント外径が大きくなった「バヨネットマウント」のために作られたシリーズの製品です。ほとんどの部材の寸法形状がOEM製造である「EXTENSION BELLOWS for Minolta-SR」と類似していますし、「白地ステッカー式ネームプレート」など、それと同時代のものである特徴を備えています。

 太い一本丸レールですが、これは「折畳式」ではありません。上記「二本丸レール折畳式」のものが小さな外径のマウントを前提として作られた台座に無理やり大きなSRマウント金具を取り付けているのとは異なり、大きくなった台座に余裕で取り付けています。使っているマウント関係の部材は 上記「KOPIL FOLDING DUO-TRACK BELLOWSCOPE」と同じです。

 なお、このシリーズで「折畳式」のものが作られたのかはまだ不明ですが、千代田光学精工・ミノルタへの「EXTENSION BELLOWS for Minolta-SR」のOEM提供と合わせて考えると、作られなかった方が有力と考えています。

 

 「ミノルタSRマウント」というのは、そのままでは使える現役デジタル一眼レフの存在しない「滅亡マウント」だったのですが、今日ではフランジバックが極端なほど短いミラーレスデジタル一眼がありますから、適合するマウントアダプターを使用することで生き返りました。なお、この品は亭主の使用するカメラでは使えないものですが、「KOPIL」一族の一員という事だけで手元に来てもらいました。

 

データ

マウント ミノルタSRマウント

最縮長(マウント間)  42.5mm

最伸長(マウント間)  148mm

丸レール径      12.6mm

蛇腹断面寸法     55mm

カメラ側マウント取付穴径  44mm

ダイヤル(蓋付)外径  24.8mm 左白地赤文字MOVEMENT 右白地緑文字CLAMP

重量            317g

倍率定規 左cm目盛り

 

… FUJITA  66 …

 

 

 

 ※資料画像

 

 これは「フジタ 66・マウント」のモデルです。 残念なことに、前面のネームプレートが剥がれて無くなっています。それが「KOPIL」だったのか、「FUJITA 66」だったのか、それとも「KALIMAR」だったのか、この 個体からは分かりません。 失われているそれが白地のステッカー式だったであろうことは、ダイヤルの形式から推定できます。

 そのダイヤルの表示色からすると、1959年前後の製造だと考えられます。旭光学工業だと「PENTAX S2」前期型の時代です。特異な形状をしていますが、本体形状がこの「菱形」のものは、以前「フジタ」にOEM提供したものを見たことがあります。

 ところで、上の資料画像にある「ミランダ」というカメラは、「外バヨネット」と「内ネジマウント」のダブルマウントという特殊なマウントでした。 内径が44mmネジと大きいことと、フランジバックが41.5mmと短いので、多くの他マウントレンズをアダプター経由で使うことができるというコンセプトのカメラだったようです。当時の一眼レフの双璧マウントだったExakta「口径38o・フランジバック44.7o」とプラクチカ「M42・フランジバック45.5mm」なら余裕でマウントアダプターが成立します。この個体は前後とも「内ネジマウント」でした。

 

  実のところ当初は、この「資料画像」があったのでミランダ用だと思い込んでいましたが、2018/11/12に読者からの教示で「FUJITA 66」用であることが判明しました。

 一本丸レールの左右に刻まれている倍率定規は左がf=150mm、右がf=80mm用です。他の機種と異なって、ストッパーの位置の関係でレール全長の半分ちょっとしか使わない不思議な構造です。しかし、ミランダのレンズに80mmと150mmは無かったようなので、いささか不審でした。それに、ミランダのレンズは、内ネジマウントのものは少数で、プリセット絞りなどの安価なものに限られていたようですから、これは謎でした。

 さらに、「KOPIL」ブランドで「MIRANDA」マウントのものは「ダブルマウント」のものが存在しています。それの場合は形状が標準の「KOPIL FOLDING BELLOWSCOPE」なので、この「菱形」形状のものの素性が謎でした。

 ところで、「ミランダ内ネジマウント」の交換レンズとして、「Soligor Miranda f=135mm 1:3.5」というプリセット絞りの「バレルレンズ」、つまりベローズ専用レンズが存在していて、これを

「MIRANDA Focabell S」とともに入手したのですが、それらの正規な「ミランダ内ネジマウント」とはこの個体は互換性が無い事が分かりました。ネジ部分を比べると極めて近似だと見えるのですが、実際に装着すると最後まで は捻じ込めません。微妙に差があるらしいのです。なので、このベローズ装置は正規の「ミランダ内ネジマウント」とは言えないことが分かりました。

 なお、その後のノギスでの実測では、「ミランダ内ネジマウント」は「P=1」で、この個体に使われているネジマウントは「P=0.75」です。互換性が無い事が分かりました。

 

 現在、レンズ側マウントには「M42変換アダプター」を捻じ込んで、上画像のように、更にライカLマウントアダプター経由で引き伸ばしレンズなどを装着できるようにしています。その「M42変換アダプター」は、この個体に既存の異様に長いカメラ側マウント金具を前後に切断分割して、後ろ半分を利用して 中側に接着することで作りました。

 この元々付いていた「カメラ側マウント金具」は、現役で使えるあてがほとんど考えられないものなので、決断して改造素材に供しました。使えない単なる展示物としての骨董より、現役で使える存在にして置く方を選びました。南無金剛…

 なお、その切断した前半分は中側に金具を接着してカメラ側用の「M42マウント金具」に変造しています。この改造により、「PENTAX K-1」をはじめとして、ほとんどの現役デジタル一眼カメラで使えるように出来ました。

 

 しかし、希少なカメラである「FUJITA 66」用のベローズ装置であることが判明したことで、そのマウント金具を切断改造したことが少し悔やまれます。歴史的遺産の破壊者となったのですから…

 

 ちなみに、「FUJITA 66」というのは、国内では1957年発売の66判(120)一眼レフカメラで、それより前から主としてアメリカのカメラ商社「カリマー」にOEMで出していたようです。 姿は二眼レフカメラを一眼にした縦型形状で、上から覗くファインダーです。正規交換レンズには52mm、80mm、150mmがあったとのことです。1960年代になっても暫くは製造していたようです。

 

データ

マウント カメラ側  M42 (改造換装)

      レンズ側  FUJITA 66ネジ44mmマウント (ミランダのネジマウントとは同径でもピッチに誤差があって互換性無し)

最縮長(マウント間)  47mm

最伸長(マウント間)  112mm

丸レール外径     11.4mm

カメラ側マウント取付穴径  44mm

蛇腹断面寸法     50mm

ダイヤル(蓋付)外径  19.5mm

重量            g

 

…  EXTENSION BELLOWS for Minolta-SR (改) …

 

 今はカメラ事業から撤退してしまった「Minolta」が販売していたSRマウントのベローズ装置で、まだ「千代田光学精工」という会社名だったころの品ですから、「ミノルタカメラ」 へと社名が変わる1962年以前のものということになります。このベローズ装置も「小林精機製作所」がOEM製造していたもので、同社独創の丸レールが折畳める構造です。ネームプレートも、この時期他のOEM製品でも採用していた白地の貼付式です。

 この口径45mmフランジバック43.5mmのSRマウントというのは、1958年から1985年αマウント」に変わるまで27年間使われた同社草創期一眼レフ用のものです。外箱からすると、この品は最も初期のもののようです。いずれにしても、1958年から1962年の間の製造ということになります。

 なお、この品は、社名が「ミノルタカメラ」と変わった1962年以降も販売が続けられ、その頃は「model 1」と命名されていましたから、既に2本丸レールの「model 2」が上梓されていたものと思われます。1969年に「BELLOWS V」が上梓されましたから、それまで販売が続いたのでしょう。OEM製造者「小林精機製作所」が倒産したのは1968年頃の事ですから、それが「BELLOWS V」に代替わりする契機となったのかもしれません。このへんは、同じく「小林精機製作所」からOEM供給を受けていた旭光学工業の「BELLOWS UNIT」が「BELLOWS UNIT U」になったのと同じなのかもしれません。

 

 この品は縮めた時にカメラ台座部で蛇腹を完全にカバーする箱形構造になっているなど、旭光学工業PENTAXなどの他社が採用している「BELLOWSCOPE」とは少し異なった作りになっています。丸レールも約1o太くなって いますし、蛇腹の断面も大きくなっています。ダイヤルの表記も、一般的には「MOVEMENT・CLUMP」なのを、「FOCUS・LOCK」としています。

 この品の良いところは、携帯時に蛇腹を痛めることがないので、バッグの中に気楽に放り込んで置けることです。レールが太いことで剛性もより高くなっています。

 ところで、ミノルタはOEM製造を委託する場合において、元の委託先製品のデザインを大きく変更させて、独自仕様としている例が多いようです。後年の「AUTO BELLOWS V」もそうでした。汎用性を崩してまで独自色を主張する社風というのは、亭主は好きではない…

 この品は、他のKマウントベローズ装置を入手したときにおまけのように付いていたのですが、レンズ台座のSRマウントに 「ライカLマウントアダプター」が付いていました。そのおかげで「引き伸ばしレンズ」たちのペースとなることができます。この純正アダプターは、「ライカLマウント」だった1961年誕生の「BELLOWS ROKKOR-TC F4/135mm」のために作られたもののようです。従って、このベローズ装置製造の年も1961年であることが濃厚です。ダイヤルの形態・表記色などもその時期であることを示しています。

 SRマウントのままでは使えるデジタル一眼レフが限られるので、カメラ台座のマウント金具は亭主のメインマウントであるPENTAXのKマウントに改造しています。既存バヨネット部の突起3か所をヤスリで削り取り、社外品のフランジ付きKマウントアダプターの内径M42ネジ山をほんの少し削ってぴったりにしてから、金属用エポキシ接着剤で接着しています。材質が真鍮にクロームメッキなので削るのは容易です。肝心の強度も接着だけで必要十分です。

 こうして作った変造マウント金具ですから、ライカLマウントアダプター分を含めて最短光路長は42.5oもあるので、装着する引き伸ばしレンズは焦点距離105oでないと無限遠が来ません。もともと焦点距離135mmのレンズ用だったので当然のことなのでしょうが、もう少し工夫の余地があるのかも…

 ところで、他社ですが「FJICA BELLOWS」のM42マウント金具は取り付け穴径44mmなので互換性があり、これを使えば最短光路を37mm程度にすることが可能です。しかし、そうするとマウント金具ストッパーつまみネジ頭がカメラのストロボ部突起と干渉してしまうので、これを右横に移設する加工が必要になります。既にある芋ビス穴を拡張するだけですから工作としては容易です。つまみネジの径はM2.6並目なので、径2.2mmの下穴に広げればタップが入ります。

 なお、この品は蛇腹が劣化していて、上部山折れ部が1か所5oほど裂けていたので、その部分に内側から墨染め和紙のパッチを当てて補修し、光漏れを止めました。それが裂けた原因はカメラ台座部箱形カバーと擦れたことによるものです。経年劣化により蛇腹が損耗するのは、これは如何ともしがたいこと…必要不可欠な機能部品なだけに、代替品製造の確立が急務か…

 これに使われている蛇腹断面正方形の1辺は55mmなので、他社のベローズ装置でも同じものを使っている機種があります。それを補修用として使うという方法もあります。

 少し余談になりますが、ベローズ装置の蛇腹をより劣化させるものとして喫煙が挙げられます。亭主は中古の機材を入手するのを常としているのですが、煙草臭のするものにあたることがあります。この場合、臭いのしないものと比べて、必ず蛇腹の劣化がより著しくなっています。つまり、煙草の煙の 在る環境に置かれていた蛇腹は、ニコチンやタールなど煙の成分によって腐食されているという疑いが濃いのです。蛇腹は紙で出来ていますから、紙に染み込んだ煙草の煙は紙を硬化変質させて脆くしてしまうようです。煙が酸性のため、酸性紙へと変えてしまうのかもしれません。酸性紙が原因での経年図書の損耗は、古い本を所蔵する図書館などで大きな問題になっていますから…

 レンズ台座のマウントはオリジナルの「SR」のままなので、歴代ロッコールのベローズ用レンズなどが使えるのですが、時代を揃えて、ライカLマウントの「BELLOWS ROKKOR-TC F4/135mm 」なんぞを入手できれば御の字…

 この品は、カメラ側マウント金具の厚さがあるので、上の写真のように、バッテリーグリップを装着した「K-7」に取り付けることができるのがメリットです。これで無限遠が来る引き伸ばしレンズである「Fujinar E 105o/F4.5」を取り付けてみました。

 ところで、この引伸ばしレンズ、御多分に漏れずアクセサリー取付用のネジ類をまったく設けていないので、プリセット絞りリングに49oフィルター枠を取り付ける改造を施しています。このように「Takumar 1:3.5/135」用フードだと、一応はったりも利くようで…

 なお、現在でも「SR-M42マウントアダプター」は社外品なら新品で入手が可能です。でも、このベローズ装置は最縮長が長いので、Sマウントの雄「Bellows Takumar 1:4/100」は無限遠が来ません。なので、あえて入手するほどのこともないかと思っています。あと3.5mm光路を短縮して、38mm以下としないとね…

 その後、もう一つおまけとして入手したものが、下左画像のように蛇腹の取付板の穴をずれて開けていたものをそのまま組み立てていたというとんでもない品で、縮めたときにレンズ台座が傾くという、何ともみっともない代物でした。

 これをOEM製造していた「小林精機製作所」というのはかなり杜撰な仕事をする会社だったようで、まあ、それを検品受け入れした 「千代田光学精工(ミノルタ)」も同罪なのですが、そのままでは腹立ちが納まらないので、正しい位置に蛇腹を取り付け直すことにして、蛇腹を外したついでにミノルタSRレンズマウントを外してしまい、その跡の穴にユニバーサルマウントであるM42マウントを取り付けてしまいました。 下左画像の取付板には正規の位置に穴開け改造するためにケガキを施してあります。

 

 この改造のためのレンズマウントとして使ったのは社外品のフランジ付きマウントアダプターKです。これも奇しくもM42ネジの切り始めの位置を誤っていたエラー物なのですが、とても良心的な販売店がすぐにそれと気付いて正常な代品を送って来てくれて、返品不要ということだったので手元に残った不良品の方というものです。これはそのままでもベローズのカメラマウントとして使うにはネジの切り始めの位置がどこでも支障がないので有難く頂戴したという次第です。

 なお、「BELLOWSCOPE」など、この時代のM42マウントベローズとか純正接写リングセットなどはマウント外周が小さく、純正のマウントアダプターKを取り付けるとカメラに取り付けたときにガタが出たり、光漏れがしたりするのでまともには使えません。そのような場合にこのフランジ付きマウントアダプターKなら問題がありませんから、この時代のものを使う人はこの品を必ず入手すべきです。このように今は使えなくなった滅亡マウント機器を再生させるために便利に使えるアイテムですから、その利用価値は非常に高い…

 

 

 こうして見事改造成ったこの品に「Bellows Takumar 1:4/100」を取り付けると、最縮時にほんの少しオーバーインフになるという、まことに理想的な状態です。上の画像はその無限遠時と最伸時の姿です。このベローズ専用レンズ、接写だけでなく、無限遠時でも解像感は優秀です。遥か遠方の送電鉄塔のトラスを写しても色収差による滲みはほとんどありません。レンズ構成がトリプレットの高級形であるヘリヤーの威力かもしれません。

 「小林精機製作所」と「千代田光学精工(ミノルタ)」合作による杜撰な仕事のせいで使い物になっていなかった哀れな不良品も、この大改造のおかげで十分使える一人前の「道具」に生まれ変わりました。レールが折り畳めて、縮めたときに蛇腹が露出しない、という取り柄を生かして、カメラパックの中に裸で放り込んで置けます。何はともあれ、怪我の功名、目出度し、目出度し…

 なお、引き伸ばしレンズの場合、接写は優秀でも、無限遠の色収差が今一なものがあります。目的外使用ですから、ある程度はやむをえないことかと…

 その後、2014年11月に、「ミノルタカメラ」と社名変更してからの品を更に入手しました。このレールが折り畳める機種は歴史的アイテムですから、ミラーレス一眼時代の寵児として、これからもずっと生き続けることでしょう。フィルムカメラの衰亡と軌を一にして滅亡の道を辿る「引き伸ばしレンズ」を一般撮影用に使用するための便利な道具として脚光を浴びることがあるかも…

 さらに2015年2月に、本体及び外箱は「千代田光学精工」表示なものの、同梱の使用説明書は「ミノルタカメラ」と表記された品を入手しました。これは社名が変わる1962年直後に販売されたものなのでしょう。

 

 この品の仕様と類似している「KOPIL」ブランドのものも存在します。そちらは折り畳めない太い一本丸レールで、カメラ台座の形状は縮めた時に蛇腹を包み込む形状ではありません。ダイヤルの形状や表記色は同じですが、表記自体は異なっています。同時期に作られたものと思われますが、ミノルタへのOEMの方は差別化がされていたことが明瞭です。

データ

最縮長(マウント間)  42.5mm   37mm

最伸長(マウント間)  148mm   142.5mm

丸レール径      12.6mm

蛇腹断面寸法     55mm

カメラ側マウント取付穴径  44mm

重量           357g

4

… KONICA EXTENSION BELLOWS U ARマウント …

 

 

 1965年に制定されたマウント規格「AR」のベローズ装置です。1960年から始まった「KONICA F」の口径を7mm拡大した規格ですが、「F」とは互換性がありません。折り畳めない一本丸レールが太いタイプで、この製品はダイヤルの意匠が他のOEM製品のそれとはまったく異なっています。「小林精機製作所」倒産の直前時期に製造されたものと考えられます。 あるいは、倒産後にその製造設備や知財権などを継承した企業がOEM製造したのかもしれません。その方が有力だと感じています。

 

 「AR」マウントというのはフランジバックが40.5mmと短いため、無限遠から使えるデジタル一眼レフの存在しない「滅亡マウント」でしたが、ミラーレス一眼の台頭によりマウントアダプターが成立するようになって生き返りました。一般的に「ヘキサノン」は世評が高いので、それらの価値が上がることでしょう。

 なお、コニカは「ARマウント」用のアクセサリーには機器名称表記に「U」の表記を加えているのが通例のようです。「Fマウント」用との混同を避ける工夫かもしれません。

 

 カメラ側マウント金具を汎用性の高い「M42マウント」に換装するためには、取付穴径が44mm、42mm、40mmのいずれかであることが必要ですが、残念なことにこの品は45mmです 。しかし、そこに0.5mm、1.5mm、2.5mm厚のいずれかのインサートリングを挿入することで換装を可能にすることが出来ます。

 なお、48mmに拡大すれば正規「Kマウント」に換装が可能となります。

 

 レンズ側用としては、純正の「AR→M42」マウントアダプターを入手しています。その光路は5mmです。 そのため、引き伸ばしレンズ105mm以上でないと無限遠からの一般撮影は出来ないでしょう。なお、純正のマウントアダプターとしては、ほかに「AR→Nikon F」と「AR→Exakta」が 存在していました。

 

 このモデルに使われている一本レールは太く、また、カメラ台座、レンズ台座も大きなものです。ミノルタの「EXTENSION BELLOWS for Minolta-SR」と寸法的な類似点が多いのです。その理由としては、バヨネットマウントは外径が大きいことで、従前の細い一本丸レールとカメラ台座、レンズ台座では収まらないからだと思われます。

 

 

データ

最縮長(マウント間)    39mm

最伸長(マウント間)  142.5mm

丸レール径       12.6mm

蛇腹断面寸法     55mm

カメラ側マウント取付穴径  45mm

重量           330g

 

 

「KOPIL」等の製造時期を推定可能とする部品の変遷について

 

 「KOPIL」は1949年の草創から1968年の終焉まで20年間の製造期間があると推定しています。その間、どの時期にどのような姿で作られたのかを推理するのは亭主の愉しみの一つとなっています。

 製造年代を表す指標は、その使用部品の形状にありますが、まず第一にネームプレートの形式が挙げられます。最も初期には黒地にメッキ浮き出し文字となったプレート(恐らく真鍮製)を小ビス2本でレンズ台座前面下に取り付けるものです。だだし、大きなスピゴットマウントなどの場合 にはその取り付け位置が失われて、レンズ台座右脇に取り付けているものもあります。

 次の時代には、アルミ製の白地に黒文字のステッカー式となり、窪み内に貼付ける方法に変わっています。これは旭光学工業にOEMしたものは、最終的に黒字に白文字のステッカー式に変わります。この機種は微動機構もその前 のものとは大幅に変更しています。

 アルミ製の白地に黒文字のステッカー式の場合にしても、その表記内容において、「MADE IN JAPAN」の表記が有るものと無いものがあります。これは製造時期というより機種の違いによるという可能性があります。今のところ、新旧を表していないようにも感じています。

 特に「折畳式レール」の場合、固定用ボルトの形状等に時代変遷があります。初期には表面に突起が二か所あるクロームメッキの薄い板ボルトでしたが、次に同形ながら梨地メッキに変わります。そして最後には、円錐部にローレットのある円錐台形ボルトとなって、その表面にロゴ等を印字した蓋を貼り付けています。

 レンズ台座の両側には「MOVEMENT」と「CLAMP」のダイヤルがありますが、その形状が変化して行きます。最も初期にはアルミ地金のままで、表面に表記が黒で掘り込まれていました。次にそれが黒仕上げに変わり、表記は白で掘り込まれます。最後にはダイヤル表面に蓋がされて、表記はそこに印刷されるようになりました。表記の色は「MOVEMENT」が赤で、「CLAMP」は薄緑です。ただし、旭光学工業にOEMしたものは、すぐに「CLAMP」の表記が黒に変わっています。これが最終形では「MOVEMENT」が赤文字で、「CLAMP」は黒 地に白文字となりました。

 また、ダイヤルの外径にも変更が加えられて、次第に大きなものになって行きます。

 最後に、折畳式一本レールの場合、折り畳んだ先の部分の材質が変更になっています。初期にはアルミ製でしたが、後に穴あき真鍮製にクロームメッキしたものになりました。これは折畳部のラックネジの損傷クレームに対応したものと推定しています。

 これらの変更変遷の組み合わせで、ある程度製造時期を推定できると思っていますが、その研究は道半ば…