Vol.68 - 13 Dec. 2006

ボクのブログの読者である勤務先の先輩が、ボクの記事には
ワンコの写真は多いがネコの写真がないとおっしゃっていると
のこと。
…なるほど。
そんなわけで、今日はネコの話を。



これは東京都庭園美術館のカフェレストラン
「cafe 茶洒(サーシャ) kanetanaka」の前で
ひなたぼっこをしていたネコです
(2005年4月23日撮影)

ボクがネコのことを記事に書かない大きな理由に、ネコに接す
ることができないということが挙げられます。
いや、ネコが怖いというわけではなくて、ネコアレルギーなんで
すよね。
子どものころから、我が家にはワンコもネコもいないという生活
を送ってきました。
そういったこともあって、ボクがネコアレルギーだと知ったのは、
実は大人になってからだったのです。
それは、14年ほど前のなんとも大切な日のデキゴトでした…。

ボクが、当時のカノジョ(今のカミさん)の実家に初めて行った
日のこと。
カノジョの家には、一平(ミニチュアシュナウザー♂)にケンタ
(スコッチテリア♂)というワンコ2匹に、チーちゃんという白に茶
色の混じった端正な顔をした女の子のネコが一匹いました。
ボクは生まれてこの方、金魚とミドリガメ以外の動物を飼ったこ
とのない家に育ったので、ワンコやネコにはちょっとした恐怖心
すらあったのですが、カノジョの家のワンコ、一平がとてもフレン
ドリーだったので、その日はワンコにもネコにも初めて心を開き
つつあったのでした。
寒い季節だったので炬燵に入ってお話をしていたところ、一平
はあぐらをかいたボクの膝に乗ってきて、甘えん坊ワンコらしく
“撫でて攻撃”の末にお休み。
ややあって一平がボクの膝を離れると、今度はチーちゃんが膝
に乗ってきました。
短毛で柔らかな巻き毛の一平に対して、同じ短毛でも柔らかい
直毛のチーちゃんも撫で心地が気持ちよく、ついついいつまで
も背中を撫でてあげていたのです。

カノジョやお母さんが出してくれるお菓子に手を伸ばしながら、
いろいろなお話をしていました。
実はこの日、カノジョと結婚したいという意向をご両親に伝えよ
うと思って伺っていたのです。
横浜から関西まで出かけていって、キメなければいけない日、
だったのです、が…。

なんだか額や鼻頭が痒くなってきて、無意識のうちに指先で
掻きにいくようになってきました。
左の額になんだかざらざらするモノがあるなぁなんて、意識の
端で思うようになったころには、鼻をすすらざるにはいられない
ような衝動にも駆られていて、鼻に手を持って行くとそのまま
眉間も掻きたくなって…。
顔面が熱くなってきて、首筋から背中も痒くなり、左の目から
涙が出続けるようになったころ、カノジョがボクの異変にようや
く声をかけてくれました。
「ど、どうしちゃったの?」
「わ、わかんない…」
チーちゃんがボクの膝からすっと降りていきました。
ボクは2階に連れて行かれ、きれいな布団に横にさせてもらい
ました。
左顔面が崩れ落ちているような感じがして、涙でキチンと前が
見えていない状況です。

階下でお母さんが休日診療をしてくれる病院を問い合わせて
くれている間に、カノジョはアイスノンと黒糖のかりんとうをボク
のところに持ってきてくれました。
なんでも、じんましんには黒糖が効くのだとか。すごい民間療
法です。
でもまあ、ボク自身眠くて寝床に入っているわけでもなく、また
ヒマだからといって雑誌か何かを読めるような眼の状態ではな
いので、黙って目を閉じてアイスノンで顔の左半分を冷やした
状態のまま、かりんとうを食べることにしました。

やがて対応してくれる診療所が見つかり、お母さんの運転で
病院に向かい、医者に身体を見てもらいました。
赤く晴れ上がっている部位は、顔から首筋を通って背中まで、
また腕は肘を中心に肩から手の甲まで及んでいました。
しかし、どうでしょう。カノジョの家の2階で身体を横にしてかり
んとうを食べる前ほどには、ひどい状態でもなくなっていました。
患部を冷やした効果か、はたまたかりんとうの効果か…。

病院では血液を採取し、その検査の結果、ここで初めてネコ
アレルギーであることが明らかとなりました。
ネコアレルギー!?
一平は大丈夫で、チーちゃんがダメということだったのです。
病院に着くまでに腫れが引いてきていたのは、チーちゃんと
距離がおけたことと時間が経ったことによるもの。
「黒糖がいいと聞いたので、食べていたんです」
医者にこう言うと、「あぁ〜」とビミョーな半笑いでした。

カノジョの家に戻ってくると、もう帰りの新幹線の時刻が迫って
いました。
結局、カノジョと結婚したいという意向は帰り支度のバタバタ
の中でほんの伝言のように伝え、それに対してお父さんが
「あ〜、はいはい」と答えてひとまず目的は達しました。
でも今思えば、ネコアレルギーに救われたのかもしれません。
カジュアルな形で済ますことができて、ボクにとって楽だった
だけでなく、それはお父さんやお母さんにとっても、わざわざ
硬いあいさつにならずに良かったのかもしれないのです。
お互い、かしこまったことにはちょっと苦手意識があるもので
すから…。

というわけで、以上がボクの、唯一のネコに関するお話です。



(2006年11月5日撮影)

この写真は深大寺の境内にあるお蕎麦屋さん「深水庵」にいた
ネコ。
行列ができるほど混み合った店内を悠然と歩き回っていました。


…と、ここまで書いてきて一旦カミさんに読んでもらったところ、
重大な事実が判明しました。
ボクがネコアレルギーであることを知らせてくれたチーちゃん。
記事中には女の子と書きましたが、実は男の子でした!
あれから今まで14年ほど、ボクはチーちゃんを女の子だと思い
続けていたのでした。ゴメン、チーちゃん!

 
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