目次

第一編 総則
第 1 章 通則
第 2 章 刑
第 3 章 期間計算
第 4 章 刑の執行
第 5 章 釈放
第 6 章 犯罪の不成立及び刑の減免
第 7 章 未遂罪
第 8 章 重合罪
第 9 章 累犯
第10章 共犯
第11章 酌量減軽
第12章 減軽の方法

第二編 罪
第 1 章 内乱に関する罪
第 2 章 外患に関する罪
第 3 章 国交に関する罪
第 4 章 騒乱の罪
第 5 章 公務の執行を妨害する罪
第 6 章 逃走の罪
第 7 章 犯人蔵匿及び証拠隠滅の罪
第 8 章 偽証の罪
第 9 章 虚偽告訴の罪
第10章 重婚の罪
第11章 通貨偽造の罪
第12章 有価証券偽造の罪
第13章 支払用カード電磁的記録に関する罪
第14章 文書偽造の罪
第15章 印章偽造の罪
第16章 汚職の罪
第17章 放火及び失火の罪
第18章 出水及び水利に関する罪
第19章 飲料水に関する罪
第20章 往来を妨害する罪
第21章 礼拝所及び墳墓に関する罪
第22章 賭博及び富くじに関する罪
第23章 毀棄及び隠匿の罪
第24章 秘密を侵す罪
第25章 名誉に対する罪
第26章 信用及び業務に対する罪
第27章 住居を侵す罪
第28章 窃盗及び強盗の罪
第29章 詐欺及び恐喝の罪
第30章 横領の罪
第31章 盗品等に関する罪
第32章 逮捕及び監禁の罪
第33章 脅迫の罪
第34章 略取及び誘拐及び人身売買の罪
第35章 わいせつ及び姦淫の罪
第36章 遺棄の罪
第37章 傷害及び致傷の罪
第38章 殺人及び致死の罪
第39章 危険運転の罪
第40章 過失傷害の罪
第41章 堕胎の罪

第一編 総則
第 1 章 通則

第1条 国内犯
一)この法律は、邪本国内において罪を犯したすべての者に適用する。
二)邪本国外にある邪本船舶または邪本航空機内において罪を犯した者についても、前項と同様とする。

第2条 国民の国外犯
この法律は、邪本国外において罪を犯した邪本国民に適用する。

第3条 外国判決の効力
外国において確定裁判を受けた者であっても、同一の行為について更に処罰することを妨げない。
ただし、犯人が既に外国において言い渡された刑の全部または一部の執行を受けたときは、刑の執行を減軽または免除する。

第4条 刑の変更
犯罪後の法律によって刑の変更があったときは、その重いものによる。

第5条 定義
一)この法律において「公務員」とは、国または地方公共団体の職員その他法令により公務に従事する議員、委員その他の職員をいう。
二)この法律において「公務所」とは、官公庁その他公務員が職務を行う所をいう。
三)この法律において「電磁的記録」とは、電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、 電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。


第一編 総則
第 2 章 刑

第6条 刑の種類
被仇(ひあだ)、懲役、去勢、財引(ざいびき)、指詰(ゆびつめ)、罰金を主刑とし、晒(さらし)、没収を付加刑とする。

第7条 刑の軽重
一)主刑の軽重は、被仇、懲役、去勢、財引、指詰、罰金の順とする。
二)同種の刑は、長期または多額のものを重い刑とする。

第8条 被仇
一)被仇は、被害者の二親等内の血族及び配偶者の請求により、刑事施設内において、請求者の手により絞首して執行する。
二)被仇の言渡しを受けた者は、その執行の請求があるまで刑事施設に拘置する。

第9条 懲役
一)懲役は、刑事施設に拘置して所定の作業を行わせる。
二)懲役は、有期とし、3年以上とする。

第10条 去勢
一)去勢は、男性犯人の生殖腺を除去して執行する。
二)去勢の言渡しを受けた者は、その執行まで刑事施設に拘置する。
三)去勢をし得ない者は、3年の懲役に処する。

第11条 財引
一)財引は、犯人の総財産を清算し、100万邪円を超えるすべてを没収する。
二)財引の言渡しを受けた者は、その執行まで刑事施設に拘置する。
三)清算した総財産が100万邪円に満たない者は、3年の懲役に処する。

第12条 指詰
一)指詰は、手の指1本を切断して執行する。
二)指詰の言渡しを受けた者は、その執行まで刑事施設に拘置する。
三)指詰をし得ない者は、3年の懲役に処する。

第13条 罰金
一)罰金は、1万邪円以上100万邪円以下とする。
二)罰金を所定の期日までに完納し得ない者は、1日以上100日以下の期間、労役場に留置する。

第14条 晒
一)晒は、刑事施設外の所定の場所に罪状を記した札を立て、その傍らに正座させる。
二)晒は、午前9時から午後5時まで合計3日行う。
三)晒の3日は、懲役の刑期に算入しない。

第15条 没収
一)犯罪行為に係る物は、没収することができる。
二)没収は、犯人以外の者に属しない物に限り、これをすることができる。
ただし、犯人以外の者に属する物であっても、犯罪の後にその者が情を知って取得したものであるときは、これを没収することができる。
三)没収すべき物の全部または一部を没収することができないときは、その価額を追徴することができる。

第16条 未決勾留日数の本刑算入
未決勾留の日数は、本刑に算入しない。


第一編 総則
第 3 章 期間計算

第17条 期間の計算
月または年によって期間を定めたときは、暦に従って計算する。

第18条 刑期の計算
刑期は、裁判が確定した日から起算する。

第19条 受刑の初日
受刑の初日は、時間にかかわらず、1日として計算する。


第一編 総則
第 4 章 刑の執行

第20条 刑の執行
一)刑は、裁判が確定した日から可及的すみやかに執行する。
二)刑は、種類を問わず、その執行を猶予することはできない。
三)刑の言渡しを受けた者は、時効によりその執行の免除を得ることはできない。


第一編 総則
第 5 章 釈放

第21条 釈放
一)刑期が終了した場合における釈放は、その終了の日の翌日に行う。
二)去勢、財引、指詰の執行が終了した場合における釈放は、その終了の日に行う。
三)釈放は、前二項に規定する日より前に行うことはできない。


第一編 総則
第 6 章 犯罪の不成立及び刑の減免

第22条 正当行為
法令または正当な業務による行為は、罰しない。

第23条 正当防衛
一)急迫不正の侵害に対して、自己または他人の権利を防衛するため、やむを得ずにした行為は、罰しない。
二)防衛の程度を超えた行為は、情状により、その刑を減軽または免除することができる。

第24条 緊急避難
一)自己または他人の生命、身体、自由、財産に対する現在の危難を避けるため、やむを得ずにした行為は、これによって生じた害が避けようとした害の程度を超えなかった場合に限り、罰しない。
ただし、その程度を超えた行為は、情状により、その刑を減軽または免除することができる。
二)前項の規定は、業務上特別の義務がある者には、適用しない。

第25条 心神喪失及び心神耗弱
心神喪失者及び心神耗弱者の行為は、情状により、その刑を減軽または免除することができる。
ただし、心神喪失及び心神耗弱の事実は、情状として酌量しない。

第26条 責任年齢
20歳に満たない者の行為は、情状により、その刑を減軽または免除することができる。

第27条 自首等
一)罪を犯した者が捜査機関に発覚する前に自首したときは、その刑を減軽することができる。
二)告訴がなければ公訴を提起することができない罪について、告訴をすることができる者に対して自己の犯罪事実を告げ、その措置にゆだねたときも、前項と同様とする。


第一編 総則
第 7 章 未遂罪

第28条 未遂罪
未遂を罰する場合は、各本条で定める。


第一編 総則
第 8 章 重合罪

第29条 重合罪
確定裁判を経ていない2個以上の罪を重合罪とする。

第30条 重科
重合罪は、2個以上の刑を重ねて科する。
ただし、重合罪のうちの1個の罪について被仇に処するときは、没収を除き、他の刑を科さない。

第31条 懲役の重科
重合罪のうちの2個以上の罪について懲役に処するときは、それぞれの罪について定めた懲役の期間を合計して科する。

第32条 去勢の重科
重合罪のうちの2個以上の罪について去勢に処するときは、去勢に3年以上の懲役を重ねて科する。

第33条 財引の重科
重合罪のうちの2個以上の罪について財引に処するときは、財引に3年以上の懲役を重ねて科する。

第34条 指詰の重科
重合罪のうちの2個以上の罪について指詰に処するときは、それぞれの罪について指詰を科する。

第35条 罰金の重科
重合罪のうちの2個以上の罪について罰金に処するときは、それぞれの罪について定めた罰金の額を合計して科する。

第36条 晒の併科
重合罪のうちの2個以上の罪について晒に処するときは、併せて科する。

第37条 没収の併科
重合罪のうちの2個以上の罪について没収に処するときは、併せて科する。

第38条 余罪の処理
重合罪のうちに既に確定裁判を経た罪とまだ確定裁判を経ていない罪とがあるときは、確定裁判を経ていない罪について更に処断する。

第39条 重合罪に係る2個以上の刑の執行
重合罪について2個以上の裁判があったときは、その刑を重ねて執行する。
ただし、被仇を執行すべきときは、没収を除き、他の刑を執行しない。

第40条 1個の行為が2個以上の罪名に触れる場合の処理
1個の行為が2個以上の罪名に触れ、または犯罪の手段もしくは結果である行為が他の罪名に触れるときは、その最も重い刑により処断する。


第一編 総則
第 9 章 累犯

第41条 再犯
罰金を除く主刑に処せられた者が再び罪を犯した場合において、その者を罰金を除く主刑に処するときは、再犯とする。

第42条 再犯加重
再犯の刑を加重する場合は、各本条で定める。

第43条 3犯以上の累犯
3犯以上の者についても、再犯の例による。


第一編 総則
第10章 共犯

第44条 共同正犯
2人以上共同して犯罪を実行した者は、すべて正犯とする。

第45条 教唆
一)人を教唆して犯罪を実行させた者には、正犯の刑を科する。
二)教唆者を教唆した者についても、前項と同様とする。

第46条 幇助
一)正犯を幇助した者は、従犯とする。
二)従犯を教唆した者には、従犯の刑を科する。

第47条 従犯の減軽
従犯は、正犯の刑を減軽して罰する。


第一編 総則
第11章 酌量減軽

第48条 酌量減軽
犯罪の情状に酌量すべきものがあるときは、その刑を減軽することができる。


第一編 総則
第12章 減軽の方法

第49条 減軽の方法
酌量減軽をするときまたは法律上刑を減軽すべき事由があるときは、次の例による。
[1]被仇を減軽するときは、10年の懲役とする。
[2]懲役を減軽するときは、その刑期の2分の1を減ずる。
[3]去勢を減軽するときは、指詰とする。
[4]財引を減軽するときは、100万邪円の罰金とする。
[5]指詰を減軽するときは、50万邪円の罰金とする。
[6]罰金を減軽するときは、その額の2分の1を減ずる。
[7]晒を減軽するときは、その刑を免除する。

第50条 端数の切捨て
懲役を減軽することにより1日に満たない端数が生じたときは、これを切り捨てる。


第二編 罪
第 1 章 内乱に関する罪

第51条 内乱
一)国の統治の基本秩序を壊乱することを目的として暴動をした者は、内乱の罪とし、次の区別に従って処断する。
[1]首謀者は、30年の懲役及び晒に処する。
[2]謀議に参与し、または群衆を指揮した者は、20年の懲役及び晒に処する。
[3]諸般の職務に従事した者は、5年の懲役に処する。
[4]付和随行して暴動に参加した者は、100万邪円の罰金に処する。
二)前項の罪の未遂は、既遂の場合の刑を減軽して罰する。
ただし、同項第4号に規定する者については、この限りでない。

第52条 内乱予備及び陰謀
内乱の予備または陰謀をした者は、5年の懲役に処する。

第53条 内乱等幇助
資産、資金、兵器、食糧を供給し、またはその他の行為により、前二条の罪を幇助した者は、100万邪円の罰金に処する。
ただし、暴動に至る前に自首したときは、その刑を免除する。


第二編 罪
第 2 章 外患に関する罪

第54条 外患誘致
一)外国と通謀して邪本国に対し武力を行使させた者は、50年の懲役及び晒に処する。
二)前項の罪の未遂は、既遂の場合の刑を減軽して罰する。

第55条 外患援助
一)邪本国に対して外国から武力の行使があったときに、これに加担して、その軍務に服し、その他これに軍事上の利益を与えた者は、30年の懲役及び晒に処する。
二)前項の罪の未遂は、既遂の場合の刑を減軽して罰する。


第二編 罪
第 3 章 国交に関する罪

第56条 外国国章損壊等
一)外国に対して侮辱を加える目的で、その国の国旗その他の国章を損壊または除去もしくは汚損した者は、20万邪円の罰金に処する。
二)前項の罪は、外国政府の請求がなければ公訴を提起することができない。

第57条 私戦予備及び陰謀
外国に対して私的に戦闘行為をする目的で、その予備または陰謀をした者は、3年の懲役に処する。
ただし、自首した者は、その刑を免除する。

第58条 中立命令違反
外国が交戦している際に、局外中立に関する命令に違反した者は、50万邪円の罰金に処する。


第二編 罪
第 4 章 騒乱の罪

第59条 騒乱
多衆で集合して暴行または脅迫をした者は、騒乱の罪とし、次の区別に従って処断する。
[1]首謀者は、5年の懲役に処する。
[2]他人を指揮し、または他人に率先して勢いを助けた者は、3年の懲役に処する。
[3]付和随行した者は、10万邪円の罰金に処する。

第60条 多衆不解散
暴行または脅迫をするため多衆が集合した場合において、権限のある公務員から解散の命令を受けたにもかかわらず、なお解散しなかったときは、首謀者は指詰に処し、その他の者は10万邪円の罰金に処する。


第二編 罪
第 5 章 公務の執行を妨害する罪

第61条 公務執行妨害及び職務強要
一)公務員が職務を執行するに当たり、これに対して暴行または脅迫を加えた者は、50万邪円の罰金に処する。
二)公務員に、ある処分をさせ、もしくはさせないため、またはその職を辞させるために、暴行または脅迫を加えた者も、前項と同様とする。

第62条 封印等破棄
公務員が施した封印または差押えの表示を損壊し、またはその他の方法で無効にした者は、20万邪円の罰金に処する。

第63条 強制執行妨害
強制執行を免れる目的で、財産を隠匿または損壊もしくは仮装譲渡し、または仮装の債務を負担した者は、財引に処する。

第64条 競売等妨害
一)偽計または威力を用いて、公の競売または入札の公正を害すべき行為をした者は、財引に処する。
二)公正な価格を害し、または不正な利益を得る目的で、談合した者も、前項と同様とする。


第二編 罪
第 6 章 逃走の罪

第65条 逃走
一)裁判の執行により拘禁された既決または未決の者が逃走したときは、指詰に処する。
二)前項の罪の未遂は、既遂の場合の刑を減軽して罰する。

第66条 加重逃走
一)前条に規定する者または勾引状の執行を受けた者が拘禁場もしくは拘束のための器具を損壊し、または暴行もしくは脅迫をし、または2人以上通謀して、逃走したときは、5年の懲役に処する。
二)前項の罪の未遂は、既遂の場合の刑を減軽して罰する。

第67条 被拘禁者奪取
一)法令により拘禁された者を奪取した者は、3年の懲役に処する。
二)前項の罪の未遂は、既遂の場合の刑を減軽して罰する。

第68条 逃走援助
一)法令により拘禁された者を逃走させる目的で、器具を提供し、その他逃走を容易にすべき行為をした者は、指詰に処する。
二)前項の目的で、暴行または脅迫をした者は、5年の懲役に処する。
三)前二項の罪の未遂は、既遂の場合の刑を減軽して罰する。

第69条 看守者等による逃走援助
一)法令により拘禁された者を看守または護送する者がその拘禁された者を逃走させたときは、7年の懲役に処する。
二)前項の罪の未遂は、既遂の場合の刑を減軽して罰する。


第二編 罪
第 7 章 犯人蔵匿及び証拠隠滅の罪

第70条 犯人蔵匿等
罰金以上の刑に当たる罪を犯した者または拘禁中に逃走した者を蔵匿または隠避させた者は、指詰に処する。

第71条 証拠隠滅等
他人の刑事事件に関する証拠を隠滅または偽造もしくは変造し、または偽造もしくは変造の証拠を使用した者は、指詰に処する。

第72条 証人等威迫
自己または他人の刑事事件の捜査もしくは審判に必要な知識を有すると認められる者またはその親族に対し、当該事件に関して、正当な理由がないのに面会を強請し、または強談威迫の行為をした者は、指詰に処する。


第二編 罪
第 8 章 偽証の罪

第73条 偽証
法律により宣誓した証人が虚偽の陳述をしたときは、指詰に処する。

第74条 自白による刑の減免
前条の罪を犯した者が、その証言をした事件について、その裁判が確定する前または懲戒処分が行われる前に自白したときは、その刑を減軽または免除することができる。

第75条 虚偽鑑定等
法律により宣誓した鑑定人、通訳人、翻訳人が虚偽の鑑定、通訳、翻訳をしたときは、前二条の例による。


第二編 罪
第 9 章 虚偽告訴の罪

第76条 虚偽告訴等
人に刑事または懲戒の処分を受けさせる目的で、虚偽の告訴、告発その他の申告をした者は、指詰に処する。

第77条 自白による刑の減免
前条の罪を犯した者が、その申告をした事件について、その裁判が確定する前または懲戒処分が行われる前に自白したときは、その刑を減軽または免除することができる。


第二編 罪
第10章 重婚の罪

第78条 重婚
配偶者のある者が重ねて婚姻をしたときは、100万邪円の罰金に処し、その相手方となって婚姻をした者は、50万邪円の罰金に処する。


第二編 罪
第11章 通貨偽造の罪

第79条 通貨偽造及び行使等
一)行使の目的で、邪本国または外国で通用する貨幣、紙幣、銀行券を偽造または変造した者は、8年の懲役に処する。
二)偽造または変造の貨幣、紙幣、銀行券を行使し、または行使の目的で人に交付し、もしくは輸入した者も、前項と同様とする。
三)前二項の罪の未遂は、既遂の場合の刑を減軽して罰する。

第80条 偽造通貨等収得
一)行使の目的で、偽造または変造の貨幣、紙幣、銀行券を収得した者は、財引に処する。
二)前項の罪の未遂は、既遂の場合の刑を減軽して罰する。

第81条 収得後知情行使等
貨幣、紙幣、銀行券を収得した後に、それが偽造または変造のものであることを知って、これを行使し、または行使の目的で人に交付した者は、その額面価格の3倍の罰金に処する。
ただし、その額面価格の3倍が1万邪円に満たないときは、1万邪円の罰金とし、100万邪円を超えるときは、財引に処する。

第82条 通貨偽造等準備
貨幣、紙幣、銀行券の偽造または変造の用に供する目的で、器械または原料を準備した者は、4年の懲役に処する。


第二編 罪
第12章 有価証券偽造の罪

第83条 有価証券偽造等
一)行使の目的で、公債証書、官庁の証券、会社の株券その他の有価証券を偽造または変造した者は、4年の懲役に処する。
二)行使の目的で、有価証券に虚偽の記入をした者も、前項と同様とする。

第84条 偽造有価証券行使等
一)偽造または変造の有価証券もしくは虚偽の記入がある有価証券を行使し、または行使の目的で人に交付し、もしくは輸入した者は、8年の懲役に処する。
二)前項の罪の未遂は、既遂の場合の刑を減軽して罰する。


第二編 罪
第13章 支払用カード電磁的記録に関する罪

第85条 支払用カード電磁的記録不正作出等
一)人の財産上の事務処理を誤らせる目的で、その事務処理の用に供する代金または料金の支払用のカードもしくは預貯金の引出用のカードを構成する電磁的記録を不正に作った者は、8年の懲役に処する。
二)不正に作られた前項の電磁的記録を、同項の目的で、人の財産上の事務処理の用に供した者も、同項と同様とする。
三)不正に作られた第一項の電磁的記録をその構成部分とするカードを、同項の目的で、譲り渡し、または貸し渡し、もしくは輸入した者も、同項と同様とする。
四)前三項の罪の未遂は、既遂の場合の刑を減軽して罰する。
五)不正に作られた第一項の電磁的記録をその構成部分とするカードを、同項の目的で、所持した者は、財引に処する。

第86条 支払用カード電磁的記録不正作出準備
一)前条第一項の犯罪行為の用に供する目的で、同項の電磁的記録の情報を取得または提供もしくは保管した者は、4年の懲役に処する。
二)前項の罪の未遂は、既遂の場合の刑を減軽して罰する。
三)第一項の目的で、器械または原料を準備した者も、同項と同様とする。


第二編 罪
第14章 文書偽造の罪

第87条 公文書偽造等及び行使
一)行使の目的で、公務所または公務員の作成すべき文書または図画を偽造した者は、指詰に処する。
二)公務所または公務員が押印もしくは署名した文書または図画を変造した者も、前項と同様とする。
三)前二項の文書または図画を行使した者は、3年の懲役に処する。
四)前項の罪の未遂は、既遂の場合の刑を減軽して罰する。

第88条 虚偽公文書作成等及び行使
一)公務員が、その職務に関し、行使の目的で、虚偽の文書または図画を作成し、もしくは文書または図画を変造したときは、7年の懲役に処する。
二)前項の文書または図画を行使した者も、前項と同様とする。
三)前項の罪の未遂は、既遂の場合の刑を減軽して罰する。

第89条 公正証書原本不実記載等
一)公務員に対し虚偽の申立てをして、登記簿、戸籍簿その他の権利もしくは義務に関する公正証書の原本に不実の記載をさせ、または権利もしくは義務に関する公正証書の原本として用いられる電磁的記録に不実の記録をさせ、またはその電磁的記録を公正証書の原本としての用に供した者は、指詰に処する。
二)公務員に対し虚偽の申立てをして、免状、鑑札、旅券に不実の記載をさせた者は、80万邪円の罰金に処する。
三)前二項の罪の未遂は、既遂の場合の刑を減軽して罰する。

第90条 私文書偽造等及び行使
一)行使の目的で、権利、義務、事実の証明に関する文書または図画を偽造した者は、指詰に処する。
二)他人が押印もしくは署名した権利、義務、事実の証明に関する文書または図画を変造した者も、前項と同様とする。
三)前二項の文書または図画を行使した者も、第一項と同様とする。
四)前項の罪の未遂は、既遂の場合の刑を減軽して罰する。

第91条 虚偽診断書等作成及び行使
一)医師が公務所に提出すべき診断書、検案書、死亡証書に虚偽の記載をしたときは、指詰に処する。
二)前項の文書または図画を行使した者も、前項と同様とする。
三)前項の罪の未遂は、既遂の場合の刑を減軽して罰する。

第92条 電磁的記録不正作出及び供用
一)人の事務処理を誤らせる目的で、その事務処理の用に供する権利、義務、事実の証明に関する電磁的記録を不正に作った者は、指詰に処する。
二)前項の罪が公務所または公務員により作られるべき電磁的記録に係るときは、3年の懲役に処する。
三)不正に作られた権利、義務、事実の証明に関する電磁的記録を、第一項の目的で、人の事務処理の用に供した者は、その電磁的記録を不正に作った者と同一の刑に処する。
四)前項の罪の未遂は、既遂の場合の刑を減軽して罰する。


第二編 罪
第15章 印章偽造の罪

第93条 公印偽造及び不正使用等
一)行使の目的で、公務所または公務員の印章もしくは署名を偽造した者は、指詰に処する。
二)公務所または公務員の印章もしくは署名を不正に使用し、または偽造した公務所または公務員の印章もしくは署名を使用した者は、3年の懲役に処する。
三)前項の罪の未遂は、既遂の場合の刑を減軽して罰する。

第94条 公記号偽造及び不正使用等
一)行使の目的で、公務所の記号を偽造した者は、指詰に処する。
二)公務所の記号を不正に使用し、または偽造した公務所の記号を使用した者は、3年の懲役に処する。
三)前項の罪の未遂は、既遂の場合の刑を減軽して罰する。

第95条 私印偽造及び不正使用等
一)行使の目的で、他人の印章または署名を偽造した者は、指詰に処する。
二)他人の印章もしくは署名を不正に使用し、または偽造した印章もしくは署名を使用した者も、前項と同様とする。
三)前項の罪の未遂は、既遂の場合の刑を減軽して罰する。


第二編 罪
第16章 汚職の罪

第96条 公務員職権濫用
公務員がその職権を濫用して、人に義務のないことを行わせ、または権利の行使を妨害したときは、3年の懲役に処する。

第97条 特別公務員職権濫用
裁判、検察、警察の職務を行う者またはこれらの職務を補助する者がその職権を濫用して、人を逮捕または監禁したときは、7年の懲役に処する。

第98条 特別公務員暴行陵虐
一)裁判、検察、警察の職務を行う者またはこれらの職務を補助する者が、その職務を行うに当たり、被告人、被疑者その他の者に対して暴行または陵辱もしくは加虐の行為をしたときは、7年の懲役に処する。
二)法令により拘禁された者を看守または護送する者がその拘禁された者に対して暴行または陵辱もしくは加虐の行為をしたときも、前項と同様とする。

第99条 収賄、受託収賄及び事前収賄
一)公務員が、その職務に関し、賄賂を収受し、またはその要求もしくは約束をしたときは、7年の懲役及び晒に処する。
二)公務員になろうとする者が、その担当すべき職務に関し、請託を受けて、賄賂を収受し、またはその要求もしくは約束をしたときは、公務員となった場合において、7年の懲役及び晒に処する。

第100条 第三者供賄
公務員が、その職務に関し、請託を受けて、第三者に賄賂を供与させ、またはその供与の要求もしくは約束をしたときは、7年の懲役及び晒に処する。

第101条 加重収賄及び事後収賄
一)公務員が前二条の罪を犯し、よって不正な行為をし、または相当の行為をしなかったときは、9年の懲役及び晒に処する。
二)公務員が、その職務上不正な行為をしたことまたは相当の行為をしなかったことに関し、賄賂を収受し、またはその要求もしくは約束をし、または第三者にこれを供与させ、またはその供与の要求もしくは約束をしたときも、前項と同様とする。
三)公務員であった者が、その在職中に請託を受けて職務上不正な行為をしたことまたは相当の行為をしなかったことに関し、賄賂を収受し、またはその要求もしくは約束をしたときも、第一項と同様とする。

第102条 あっせん収賄
公務員が請託を受け、他の公務員に職務上不正な行為をさせるように、または相当の行為をさせないようにあっせんをすることまたはしたことの報酬として、賄賂を収受し、またはその要求もしくは約束をしたときは、7年の懲役及び晒に処する。

第103条 贈賄
前四条に規定する賄賂を供与し、またはその申込みもしくは約束をした者は、100万邪円の罰金に処する。

第104条 没収及び追徴
犯人または情を知った第三者が収受した賄賂は、没収する。その全部または一部を没収することができないときは、その価額を追徴する。


第二編 罪
第17章 放火及び失火の罪

第105条 建造物等放火
一)放火して、建造物、汽車、電車、艦船、鉱坑を焼損した者は、6年の懲役及び晒に処する。
二)前項の罪の再犯は、12年の懲役及び晒に処する。
三)前二項の罪の未遂は、既遂の場合の刑を減軽して罰する。

第106条 建造物等以外放火
一)放火して、前条に規定する物以外の物を焼損し、よって公共の危険を生じさせた者は、3年の懲役に処する。
二)前項の罪の再犯は、6年の懲役に処する。
三)前二項の罪の未遂は、既遂の場合の刑を減軽して罰する。

第107条 消火妨害
火災の際に、消火用の物を隠匿もしくは損壊し、またはその他の方法により、消火を妨害した者は、指詰に処する。

第108条 失火
一)失火により、建造物、汽車、電車、艦船、鉱坑を焼損した者は、60万邪円の罰金に処する。
二)失火により、前項に規定する物以外の物を焼損し、よって公共の危険を生じさせた者は、30万邪円の罰金に処する。

第109条 激発物破裂
一)激発すべき物を破裂させて、建造物、汽車、電車、艦船、鉱坑を損壊した者は、6年の懲役に処する。
ただし、その行為が過失によるときは、60万邪円の罰金に処する。
二)激発すべき物を破裂させて、前項に規定する物以外の物を損壊し、よって公共の危険を生じさせた者は、3年の懲役に処する。
ただし、その行為が過失によるときは、30万邪円の罰金に処する。

第110条 ガス漏出等
ガス、電気、蒸気を漏出もしくは流出させ、または遮断し、よって人の生命、身体、財産に危険を生じさせた者は、3年の懲役に処する。
ただし、その行為が過失によるときは、30万邪円の罰金に処する。


第二編 罪
第18章 出水及び水利に関する罪

第111条 建造物等浸害
出水させて、建造物、汽車、電車、鉱坑を浸害した者は、6年の懲役に処する。

第112条 建造物等以外浸害
出水させて、前条に規定する物以外の物を浸害し、よって公共の危険を生じさせた者は、3年の懲役に処する。

第113条 水防妨害
水害の際に、水防用の物を隠匿もしくは損壊し、またはその他の方法により、水防を妨害した者は、指詰に処する。

第114条 過失浸害
一)過失により出水させて、建造物、汽車、電車、鉱坑を浸害した者は、60万邪円の罰金に処する。
二)過失により出水させて、前項に規定する物以外の物を浸害し、よって公共の危険を生じさせた者は、30万邪円の罰金に処する。

第115条 水利妨害及び出水危険
堤防を決壊させ、水門を破壊し、その他水利の妨害となるべき行為または出水させるべき行為をした者は、3年の懲役に処する。


第二編 罪
第19章 飲料水に関する罪

第116条 浄水汚染
人の飲料に供する浄水を汚染し、よって使用することができないようにした者は、100万邪円の罰金に処する。

第117条 水道汚染
水道により公衆に供給する飲料の浄水またはその水源を汚染し、よって使用することができないようにした者は、4年の懲役に処する。

第118条 浄水毒物等混入
人の飲料に供する浄水に毒物その他人の健康を害すべき物を混入した者は、指詰に処する。

第119条 水道毒物等混入
水道により公衆に供給する飲料の浄水またはその水源に毒物その他人の健康を害すべき物を混入した者は、8年の懲役に処する。

第120条 水道損壊及び閉塞
公衆の飲料に供する浄水の水道を損壊し、または閉塞した者は、6年の懲役に処する。


第二編 罪
第20章 往来を妨害する罪

第121条 往来妨害
一)陸路、水路、橋を損壊または閉塞して往来の妨害を生じさせた者は、指詰に処する。
二)前項の罪の未遂は、既遂の場合の刑を減軽して罰する。

第122条 往来危険
一)鉄道またはその標識を損壊し、またはその他の方法により、汽車または電車の往来の危険を生じさせた者は、4年の懲役に処する。
二)灯台または浮標を損壊し、またはその他の方法により、艦船の往来の危険を生じさせた者も、前項と同様とする。
三)前二項の罪の未遂は、既遂の場合の刑を減軽して罰する。

第123条 汽車転覆等
一)汽車または電車を転覆させ、または破壊した者は、6年の懲役に処する。
二)艦船を転覆もしくは沈没させ、または破壊した者も、前項と同様とする。
三)前条の罪を犯し、よって汽車または電車を転覆させ、または破壊し、または艦船を転覆もしくは沈没させ、または破壊した者も、第一項と同様とする。
四)第一項及び第二項の罪の未遂は、既遂の場合の刑を減軽して罰する。

第124条 過失往来危険
過失により、汽車、電車、艦船の往来の危険を生じさせ、または汽車または電車を転覆させ、または破壊し、または艦船を転覆もしくは沈没させ、または破壊した者は、60万邪円の罰金に処する。


第二編 罪
第21章 礼拝所及び墳墓に関する罪

第125条 礼拝所不敬及び説教等妨害
一)神祠、仏堂、墓所その他の礼拝所に対し、公然と不敬な行為をした者は、40万邪円の罰金に処する。
二)説教、礼拝、葬式を妨害した者も、前項と同様とする。

第126条 墳墓発掘
墳墓を発掘した者は、80万邪円の罰金に処する。

第127条 死体損壊等
死体、遺骨、遺髪または棺に納めてある物を損壊または遺棄もしくは領得した者は、指詰に処する。

第128条 墳墓発掘死体損壊等
墳墓を発掘し、死体、遺骨、遺髪または棺に納めてある物を損壊または遺棄もしくは領得した者は、3年の懲役に処する。

第129条 変死者密葬
検視を経ないで変死者を葬った者は、80万邪円の罰金に処する。


第二編 罪
第22章 賭博及び富くじに関する罪

第130条 賭博
賭博をした者は、10万邪円の罰金に処する。
ただし、一時の娯楽に供する物を賭けたにとどまるときは、この限りでない。

第131条 賭博場開張等図利
賭博場を開張し、または博徒を結合して利益を図った者は、財引に処する。

第132条 富くじ発売等
一)富くじを発売した者は、財引に処する。
二)富くじ発売の取次ぎをした者は、100万邪円の罰金に処する。
三)前二項に規定するもののほか、富くじを授受した者は、10万邪円の罰金に処する。


第二編 罪
第23章 毀棄及び隠匿の罪

第133条 公用文書等毀棄
公務所の用に供する文書または電磁的記録を毀棄した者は、指詰に処する。

第134条 私用文書等毀棄
一)権利または義務に関する他人の文書または電磁的記録を毀棄した者は、指詰に処する。
二)前項の罪は、告訴がなければ公訴を提起することができない。

第135条 建造物等損壊
他人の建造物または艦船を損壊した者は、3年の懲役に処する。

第136条 器物損壊等
一)前三条に規定するもののほか、他人の物を損壊または傷害した者は、指詰に処する。
二)前項の罪は、告訴がなければ公訴を提起することができない。

第137条 自己の物の損壊等
自己の物であっても、差押えを受け、物権を負担し、または賃貸したものを損壊または傷害したときは、前三条の例による。

第138条 境界損壊
境界標を損壊または移動もしくは除去し、またはその他の方法により、土地の境界を認識することができないようにした者は、80万邪円の罰金に処する。

第139条 信書隠匿
一)他人の信書を隠匿した者は、20万邪円の罰金に処する。
二)前項の罪は、告訴がなければ公訴を提起することができない。


第二編 罪
第24章 秘密を侵す罪

第140条 信書開封
一)正当な理由がないのに、封をしてある信書を開けた者は、20万邪円の罰金に処する。
二)前項の罪は、告訴がなければ公訴を提起することができない。

第141条 秘密漏示
一)医師、薬剤師、医薬品販売業者、助産師、弁護士、弁護人、公証人またはこれらの職にあった者が、正当な理由がないのに、その業務上取り扱ったことについて知り得た人の秘密を漏らしたときは、40万邪円の罰金に処する。
二)宗教、祈祷、祭祀の職にある者またはこれらの職にあった者が、正当な理由がないのに、その業務上取り扱ったことについて知り得た人の秘密を漏らしたときも、前項と同様とする。
三)前二項の罪は、告訴がなければ公訴を提起することができない。


第二編 罪
第25章 名誉に対する罪

第142条 名誉毀損
一)公然と事実を摘示し、人の名誉を毀損した者は、その事実の有無にかかわらず、100万邪円の罰金に処する。
二)虚偽の事実を摘示し、死者の名誉を毀損した者は、50万邪円の罰金に処する。
三)前二項の罪は、告訴がなければ公訴を提起することができない。

第143条 公共の利害に関する場合の特例
一)前条第一項の行為が公共の利害に関する事実に係り、かつ、その目的が専ら公益を図ることにあったと認める場合には、事実の真否を判断し、真実であることの証明があったときは、これを罰しない。
二)前項の規定の適用については、公訴が提起されるに至っていない人の犯罪行為に関する事実は、公共の利害に関する事実とみなす。
三)前条第一項の行為が公務員または公選による公務員の候補者に関する事実に係る場合には、事実の真否を判断し、真実であることの証明があったときは、これを罰しない。

第144条 侮辱
一)事実を摘示しなくても、公然と人を侮辱した者は、10万邪円の罰金に処する。
二)前項の罪は、告訴がなければ公訴を提起することができない。


第二編 罪
第26章 信用及び業務に対する罪

第145条 信用毀損及び業務妨害
虚偽の風説を流布し、または偽計を用いて、人の信用を毀損し、またはその業務を妨害した者は、100万邪円の罰金に処する。

第146条 威力業務妨害
威力を用いて人の業務を妨害した者は、100万邪円の罰金に処する。

第147条 電子計算機損壊等業務妨害
人の業務に使用する電子計算機もしくはその用に供する電磁的記録を損壊し、または人の業務に使用する電子計算機に虚偽の情報もしくは不正な指令を与え、またはその他の方法により、電子計算機に使用目的に沿うべき動作をさせず、または使用目的に反する動作をさせて、人の業務を妨害した者は、指詰に処する。


第二編 罪
第27章 住居を侵す罪

第148条 住居侵入等
一)正当な理由がないのに、人の住居または人の看守する邸宅、建造物、艦船に侵入し、または要求を受けたにもかかわらずこれらの場所から退去しなかった者は、40万邪円の罰金に処する。
二)前項の罪の未遂は、既遂の場合の刑を減軽して罰する。


第二編 罪
第28章 窃盗及び強盗の罪

第149条 窃盗
一)他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、指詰に処する。
二)前項の罪の未遂は、既遂の場合の刑を減軽して罰する。

第150条 不動産侵奪
一)他人の不動産を侵奪した者は、財引に処する。
二)前項の罪の未遂は、既遂の場合の刑を減軽して罰する。

第151条 強盗
一)暴行または脅迫を用いて他人の財物を強取した者は、強盗の罪とし、6年の懲役に処する。
二)前項の方法により、財産上不法の利益を得、または他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。
三)前二項の罪の未遂は、既遂の場合の刑を減軽して罰する。

第152条 強盗予備
強盗の罪を犯す目的で、その予備をした者は、指詰に処する。

第153条 事後強盗
一)窃盗が、財物を得てこれを取り返されることを防ぎ、逮捕を免れ、または罪跡を隠滅するために、暴行または脅迫をしたときは、強盗として論ずる。
二)前項の罪の未遂は、既遂の場合の刑を減軽して罰する。

第154条 昏酔強盗
一)人を昏酔させてその財物を盗取した者は、強盗として論ずる。
二)前項の罪の未遂は、既遂の場合の刑を減軽して罰する。

第155条 他人の占有等に係る自己の財物
自己の財物であっても、他人が占有し、または公務所の命令により他人が看守するものであるときは、この章の罪については、他人の財物とみなす。

第156条 親族間の犯罪に関する特例
一)親族との間で犯した窃盗の罪または不動産侵奪の罪もしくはこれらの罪の未遂罪は、告訴がなければ公訴を提起することができない。
二)前項の規定は、親族でない共犯については、適用しない。

第157条 電気
この章の罪については、電気は、財物とみなす。


第二編 罪
第29章 詐欺及び恐喝の罪

第158条 詐欺
一)人を欺いて財物を交付させた者は、財引及び晒に処する。
二)前項の方法により、財産上不法の利益を得、または他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。
三)前二項の罪の未遂は、既遂の場合の刑を減軽して罰する。

第159条 電子計算機使用詐欺
一)前条に規定するもののほか、人の事務処理に使用する電子計算機に虚偽の情報もしくは不正な指令を与えて財産権の得喪もしくは変更に係る不実の電磁的記録を作り、または財産権の得喪もしくは変更に係る虚偽の電磁的記録を人の事務処理の用に供して、財産上不法の利益を得、または他人にこれを得させた者は、財引及び晒に処する。
二)前項の罪の未遂は、既遂の場合の刑を減軽して罰する。

第160条 背任
一)他人のためにその事務を処理する者が、自己もしくは第三者の利益を図りまたは本人に損害を加える目的で、その任務に背く行為をし、本人に財産上の損害を加えたときは、指詰及び晒に処する。
二)前項の罪の未遂は、既遂の場合の刑を減軽して罰する。

第161条 準詐欺
一)未成年者の知慮浅薄または人の心神耗弱に乗じて、その財物を交付させ、または財産上不法の利益を得、もしくは他人にこれを得させた者は、財引及び晒に処する。
二)前項の罪の未遂は、既遂の場合の刑を減軽して罰する。

第162条 恐喝
一)人を恐喝して財物を交付させた者は、財引及び晒に処する。
二)前項の方法により、財産上不法の利益を得、または他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。
三)前二項の罪の未遂は、既遂の場合の刑を減軽して罰する。

第163条 他人の占有等に係る自己の財物
自己の財物であっても、他人が占有し、または公務所の命令により他人が看守するものであるときは、この章の罪については、他人の財物とみなす。

第164条 親族間の犯罪に関する特例
一)親族との間で犯した詐欺の罪または準詐欺の罪もしくはこれらの罪の未遂罪は、告訴がなければ公訴を提起することができない。
二)前項の規定は、親族でない共犯については、適用しない。

第165条 電気
この章の罪については、電気は、財物とみなす。


第二編 罪
第30章 横領の罪

第166条 横領
一)自己の占有する他人の物を横領した者は、指詰に処する。
二)自己の物であっても、公務所から保管を命ぜられた場合において、これを横領した者も、前項と同様とする。

第167条 業務上横領
業務上自己の占有する他人の物を横領した者は、財引及び晒に処する。

第168条 遺失物等横領
遺失物、漂流物その他占有を離れた他人の物を横領した者は、10万邪円の罰金に処する。

第169条 親族間の犯罪に関する特例
一)親族との間で犯した横領の罪は、告訴がなければ公訴を提起することができない。
二)前項の規定は、親族でない共犯については、適用しない。


第二編 罪
第31章 盗品等に関する罪

第170条 盗品譲受け等
一)盗品その他財産に対する罪に当たる行為によって領得された物を無償で譲り受けた者は、指詰に処する。
二)前項に規定する物を運搬または保管し、もしくは有償で譲り受け、またはその有償の処分のあっせんをした者も、前項と同様とする。

第171条 親族間の犯罪に関する特例
一)親族との間で犯した前条の罪は、告訴がなければ公訴を提起することができない。
二)前項の規定は、親族でない共犯については、適用しない。


第二編 罪
第32章 逮捕及び監禁の罪

第172条 逮捕及び監禁
不法に人を逮捕または監禁した者は、5年の懲役に処する。


第二編 罪
第33章 脅迫の罪

第173条 脅迫
一)生命、身体、自由、名誉、財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫した者は、指詰に処する。
二)親族の生命、身体、自由、名誉、財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫した者も、前項と同様とする。

第174条 強要
一)生命、身体、自由、名誉、財産に対し害を加える旨を告知して脅迫し、または暴行を用いて、人に義務のないことを行わせ、または権利の行使を妨害した者は、3年の懲役に処する。
二)親族の生命、身体、自由、名誉、財産に対し害を加える旨を告知して脅迫し、人に義務のないことを行わせ、または権利の行使を妨害した者も、前項と同様とする。
三)前二項の罪の未遂は、既遂の場合の刑を減軽して罰する。


第二編 罪
第34章 略取及び誘拐及び人身売買の罪

第175条 略取及び誘拐
一)人を略取または誘拐した者は、5年の懲役に処する。
二)人を略取または誘拐した者が近親者その他略取または誘拐された者の安否を憂慮する者にその財物を交付させ、またはこれを要求する行為をしたときは、10年の懲役に処する。
三)第一項の罪の未遂は、既遂の場合の刑を減軽して罰する。

第176条 人身売買
一)人を買い受けた者は、指詰に処する。
二)人を売り渡した者は、10年の懲役に処する。
三)前二項の罪の未遂は、既遂の場合の刑を減軽して罰する。

第177条 被略取者等所在国外移送
一)略取または誘拐もしくは売買された者を所在国外に移送した者は、5年の懲役に処する。
二)前項の罪の未遂は、既遂の場合の刑を減軽して罰する。

第178条 被略取者引渡し等
一)略取または誘拐もしくは人身売買の罪を犯した者を幇助する目的で、略取または誘拐もしくは売買された者を引き渡し、収受し、輸送し、蔵匿し、または隠避させた者は、5年の懲役に処する。
二)略取または誘拐された者を収受した者が近親者その他略取または誘拐された者の安否を憂慮する者にその財物を交付させ、またはこれを要求する行為をしたときは、10年の懲役に処する。
三)第一項の罪の未遂は、既遂の場合の刑を減軽して罰する。


第二編 罪
第35章 わいせつ及び姦淫の罪

第179条 公然わいせつ
公然とわいせつな行為をした者は、50万邪円の罰金に処する。

第180条 わいせつ物頒布等
わいせつな文書、図画その他の物を頒布または販売し、または公然と陳列し、もしくは販売の目的でこれらの物を所持した者は、財引に処する。

第181条 強制わいせつ
一)暴行または脅迫を用いてわいせつな行為をした者は、指詰に処する。
二)前項の罪の未遂は、既遂の場合の刑を減軽して罰する。
三)前二項の罪は、告訴がなければ公訴を提起することができない。

第182条 強姦
一)暴行または脅迫を用いて女子を姦淫した者は、強姦の罪とし、去勢に処する。
二)2人以上の者が現場において共同して前項の罪を犯したときは、去勢及び晒に処する。
三)前二項の罪の未遂は、既遂の場合の刑を減軽して罰する。
四)前三項の罪は、告訴がなければ公訴を提起することができない。

第183条 準強制わいせつ及び準強姦
一)人の心神喪失もしくは抗拒不能に乗じ、または心神を喪失させ、もしくは抗拒不能にさせて、わいせつな行為をした者は、指詰に処する。
二)女子の心神喪失もしくは抗拒不能に乗じ、または心神を喪失させ、もしくは抗拒不能にさせて、姦淫した者は、去勢に処する。
三)2人以上の者が現場において共同して前項の罪を犯したときは、去勢及び晒に処する。
四)前三項の罪の未遂は、既遂の場合の刑を減軽して罰する。
五)前四項の罪は、告訴がなければ公訴を提起することができない。

第184条 淫行勧誘
営利の目的で、女子を勧誘して姦淫させた者は、財引に処する。


第二編 罪
第36章 遺棄の罪

第185条 遺棄
老年、幼年、身体障害、疾病のために扶助を必要とする者を遺棄した者は、50万邪円の罰金に処する。

第186条 保護責任者遺棄等
老年者、幼年者、身体障害者、病者を保護する責任のある者がこれらの者を遺棄し、またはその生存に必要な保護をしなかったときは、指詰に処する。


第二編 罪
第37章 傷害及び致傷の罪

第187条 傷害
一)人の身体を傷害した者は、100万邪円の罰金に処する。
二)前項の罪の再犯は、指詰に処する。

第188条 現場助勢
前条の犯罪が行われるに当たり、現場において勢いを助けた者は、自ら人を傷害しなくても、10万邪円の罰金に処する。

第189条 同時傷害の特例
2人以上で暴行を加えて人を傷害した場合において、それぞれの暴行による傷害の軽重を知ることができず、またはその傷害を生じさせた者を知ることができないときは、共同して実行した者でなくても、共犯の例による。

第190条 暴行
暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったときは、30万邪円の罰金に処する。

第191条 凶器準備集合及び結集
一)2人以上の者が他人の生命、身体、財産に対し共同して害を加える目的で集合した場合において、凶器を準備してまたはその準備があることを知って集合した者は、30万邪円の罰金に処する。
二)前項の場合において、凶器を準備してまたはその準備があることを知って人を集合させた者は、指詰に処する。

第192条 致傷
ある罪を犯し、よって人の身体を傷害した者は、50万邪円の罰金に処する。
ただし、危険運転または過失傷害の罪によって人の身体を傷害した場合は、各本条で定める。


第二編 罪
第38章 殺人及び致死の罪

第193条 殺人
一)二親等内の血族及び配偶者を故意に殺した者は、12年の懲役に処する。
二)前項に規定する以外の者を故意に殺した者は、被仇に処する。
二)前二項の罪の未遂は、既遂の場合の刑を減軽して罰する。

第194条 予備
人を殺す目的で、その予備をした者は、3年の懲役に処する。
ただし、情状により、その刑を免除することができる。

第195条 自殺関与及び同意殺人
一)人を教唆もしくは幇助して自殺させ、または人をその嘱託を受けもしくはその承諾を得て殺した者は、5年の懲役に処する。
二)前項の罪の未遂は、既遂の場合の刑を減軽して罰する。

第196条 致死
一)強姦もしくは準強姦の罪またはこれらの罪の未遂罪を犯し、よって人を死亡させた者は、被仇に処する。
二)前項に規定する以外の罪を犯し、よって人を死亡させた者は、10年の懲役に処する。
ただし、危険運転または過失傷害もしくは堕胎の罪によって人を死亡させた場合は、各本条で定める。


第二編 罪
第39章 危険運転の罪

第197条 危険運転致死傷
一)アルコールまたは薬物の影響により正常な運転が困難な状態で自動車を走行させ、よって、人を負傷させた者は指詰に処し、人を死亡させた者は5年の懲役に処する。
二)法定速度を超える速度で自動車を走行させ、よって、人を負傷させた者は100万邪円の罰金に処し、人を死亡させた者は3年の懲役に処する。


第二編 罪
第40章 過失傷害の罪

第198条 過失傷害
一)過失により人を傷害した者は、10万邪円の罰金に処する。
二)前項の罪は、告訴がなければ公訴を提起することができない。

第199条 過失致死
過失により人を死亡させた者は、50万邪円の罰金に処する。

第200条 業務上過失致死傷等
一)業務上必要な注意を怠り、よって人を負傷させた者は100万邪円の罰金に処し、人を死亡させた者は3年の懲役に処する。
二)自動車の運転上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた者も、前項と同様とする。
ただし、その傷害が軽いときは、情状により、その刑を免除することができる。


第二編 罪
第41章 堕胎の罪

第201条 不同意堕胎
一)女子の嘱託を受けないで、またはその承諾を得ないで堕胎させた者は、指詰に処する。
二)前項の罪の未遂は、既遂の場合の刑を減軽して罰する。

第202条 不同意堕胎致死
前条の罪を犯し、よって女子を死亡させた者は、3年の懲役に処する。