22. サラリーマン最後の日

今までおよそ20年間、勤務医として生活してきました。会社勤めとはだいぶ違いますが、サラリーマンであったことに違いありません。いつでも最終的には、自分の上に大きな組織がありました。その中でぬくぬくとしていたわけです。しかし、9月末、ついに勤務医を終える時がきました。

正直言って感傷に浸る雰囲気はありません。やはり目の前に大きな目標があり、それに向かって突っ走っている状態ですから、退職も過程の一つでしかありません。ただ、5年間以上に渡って見させていただいた患者さんも少なくなく、その方々に申し訳なく思います。ほとんどの方が東京・都下・埼玉・千葉などからいらっしゃっているので、神奈川で開業する自分のところでは引き続き診察をさせていただくには、だいぶ遠いです。皆さんが、今後も病気を悪化させずに元気に生活していけることを願っています。

また、手術についても、もしかしたらもうすることは無いかもしれません。これは、整形外科医としては、少し心で泣いている部分です。手術が楽しくて、手術をしたいからここまで勤務医にしがみついていた部分があるのはまちがいありません。主として手の外科を担当してきた関係で、術後の経過を見ることが重要なため7月中にほとんどの予定手術を終了していました。9月にはたまたま神経の手術を2つさせていただき、どちらも術後に大変痺れが減ったのでほっとしています。また、この数年間で最もおおくやった腱断裂再建手術も、偶然9月にもう一度できました。最後だろうと思って、実は思いっきりタイムトライアルをしてみたのですが、集中した分いつもよりかなり少ない時間で終了しました。まだまだできるうちにやめるのも一つの道ですよね、清原さん。

ここであらためて、今までお世話になった看護師・理学療法士・放射線技師・検査技師・薬剤師・医事総務の事務員・その他の本当に大勢の病院関係者の方々にこの場をかりてお礼を申し上げます。ありがとうございました。

さぁ、あとはクリニックだけだぞーっ!!

大学から見た新宿副都心の高層ビル群。5年6ヶ月の間、見慣れた景色です。アメリカの同時多発テロの時は、ここでも起こるかもしれないと本当に思いました。