18. 内装プラン

荒川さんには、いくつかのレイアウトプランをすでに渡して、検討に入ってもらっていましたが、いくつかのポイントがありました。コンセプトその1、あすなろからくる木のやさしいイメージを大事にする。コンセプトその2、良好な眺望を最大限に生かす。コンセプトその3、患者と従業員のアメニティを最大限に提供する。文字で書くと簡単ですが、実際に考える方は大変ですよね。

さらに、その中から具体的なリクエストをしていきます。診察室は二つ。サブの診察室は、ギプスを巻いたりの処置を主として行うが、通常の診察室としても使用できるようにする。注射の準備や採血などのスペースが必要。リハビリ室との連携も考えて、これらは最短の導線で結ぶ。待合室はリラクゼーションスペースと考える。

これらの中で、患者プライバシーをどこまで守れるかが問題です。特に議論になったのが、診察室の閉鎖性でした。患者の立場からは視覚的・聴覚的に密室性が求められます。入り口のドアについては、あまり問題はありませんが、荒川案では後ろもドアになっていて閉まっている。これは医者にとってはつらい。プライバシーの観点からは理解できるのですが、実務上後ろが開いていないと不便なのです。それも思い切り開いていて欲しい。これは、患者さんと、特に女性の患者さんと二人きりになることを避けるためです。いつでも看護師がついていてくれればいいのですが、そういうわけにもいきません。推理小説風に言うなら「開かれた密室」が欲しい。

院長室は診察室としての機能も持たせて、カウンセリングに使用しつつも、通常の応接にも利用し、なおかつ院長の隠れ家であって欲しい。いざとなったら泊まれるようにして。なんてわがままなんでしょう。

いろんなことをいっているうちに、平面図案ができてきました。基本的なことは荒川さんの作品として受け入れ、実務的に問題なところを修正してもらい、何度かの修正後、ついに現場で床にテープを貼って、説明をしてもらいました。まだ三次元的な広がりが無いので不明なところもあるのですが、大筋が理解できて大変よかったですね。いよいよ本格的な設計図面の作成に入ります。荒川さんは朝型の人間のようで、朝の五時半とか六時とかにメールが来るんです。でもって返事を出すと、またすぐに返ってくる。たいしたもんです。

荒川さんに作ってもらった基本となる内装のたたき台。下が入口で、リクエスト通り患者さんに南側の一番景色の良い場所を提供しています。中央で患者導線とスタッフ導線が重なるのは避けられない。