300B シングルアンプ
(真空管アンプのスタンダードを目指して)

アンプの構成

 現在の構成は
in---> 6SN7GT (TUNG SOL)-->6SN7GT-->300B (CETRON)-->OPT (Tamura )-->output
PT (Tamura)--->5U4G (RCA) --->AF Ch (Tamura 4004 )--->
 初段-2段間は直結、パワー段はCR結合、NFB=4dB といたって平凡なものです。
 300BはVpk=350V, Ip=75mA, Vgk=72Vという条件で動作しています。回路図はここ

変更1: 最初はSilver Tone(中国製)300Bを使っていましたが、中国製はそのうちガラス内壁が黒っぽくなるという影の声もあり、現在はCETRON を使っています。中国製
はアンプを改造したときのチェック用に出番が変わりました。           

変更2: カソード抵抗を880オームからWEの板抵抗1040オームへの変更により、音が
軽くなったようです。この変化は300Bの変更よりも大きかったという印象でした。 ただ、WEの板抵抗は 大きいし、見かけを全く考えていないので、自分でエポキシモールドしました。写真下の300Bの後ろに立っている2枚のグレーの板がそれです。    

変更3: エルナーの47uF x2 ,500WVのケミコンをSOLENのフィルムコンデンサー
に変更しました。優しい音に変わったような気がしますが、いっぽうで力感が減ったような感じがしています。SOLENの15uF 630WV フィルムコンデンサー4個をブロックコンデンサーのようにして、ケミコンがあった所に立ててあります。4個を入力側15uF、 出力側45uFとして使っています。           (1999/12/06)

アンプの改造箇所


WE-91タイプへの改造

チャーミングな音はVT-62 SEアンプに任せ、300B SEは
基本に返ってみようということで、300Bでは良く使わ
れているWE-91タイプに改造しました。下の写真を上のと
比べてみれば一目瞭然、6SN7 がWE-310Aに変更になって
います。音のほうは、まだエージングが足りないせいか?、
回路定数の追い込みが足りないのか?満足にはほど遠いのが
現状です。

まあ、ぼちぼちと追い込んで行こうと考えています。
シンプルな回路だけにいじれる箇所は少なく、回路定数と
部品の質がもろに出てきそうですね。回路図は音がまとま
ってから載せます。  

<91型なので回路そのものは代わり映えしないんですが>

(2000/1/25)


出力トランスの変更

マグネクエストの出力トランスFS-030を譲って頂いたので、さっそくこれまで使っていたTamuraのF-007を交換することにしました。マグネクエストのFS-030といえば、 WE300B用のトランスということで300Bの製作記事にしばしば登場する出力トランスです。これは載せ換えない訳にはいきませんよね。大きさは縦横共に4mmほど大きかったのですが、シャーシー上に若干の余裕が合ったので良い具合に納めることができました。次はマグネクエストの説明書にプレート電流は60mAまでと書いてあるので、カソードバイアス抵抗の値を変更しなければなりません。ちょうど手持ちに1.5kΩの板抵抗があったので、これに変更することにしました。この変更はこれまで使っていた1.04kΩの板抵抗と同一寸法なのではんだを一時はずしてねじを緩めるだけといういたって簡単にすみました。

      正面から見たところ               シャーシー裏の様子(2000.07.13現在)

本当はこの300Bシングルアンプは アンプ製作時の音の比較のために、自分のアンプ作りの標準としていじらないで置こうと考えていました。 しかし、こんなにすぐにいじってしまうのでは、本当に我ながら仕方のない奴です。今後はこの状態が標準 ということになりますが、それもいつまで持つことやら、、

アンプの部品としては最も音質に影響のある出力トランスの交換ですから変わらない訳がありません。  鳴らしてみた結果は、最初にジャズボーカル(エラ.FJ & サッチモ)をかけたのですが、その生々しさに そのまま聞き入ってしまいました。本当にびっくりす。TAMURAのトランスだって悪いわけではないのですが、 これまでなんとなくつまらなかった(しばらく聞いてているんですが、そのうち特別な理由も 無く換えてしまう) のが、こんな理由でだったんだなと分かったような気がしました。  (2000/6/27)

300Bに流れる電流を監視するために 電圧計を取り付けました。自己バイアス抵抗1.5kΩの電圧降下を測定して電流を測ります。今回使用した小型の電圧計は 小川豊さんのお世話で共同購入したものです。ここで感謝いたします。以前のLEDの穴を左右の球を選ぶためのスイッチに流用し、 メーターの穴(34.5φ)はその横にGT管ソケット用の33φホールソーで開けた後やすりでちょっと広げることで簡単に開ける事が できました。その様子は下の写真で見る通りです。       


(2000/11/12)

もっと抜けの良い音を目指して初段の WE310Aを直熱管のWE373Aに変更しようと考えています。このWE373AはMJの松並さんやラ技の新さんがトライしましたが、ハムを 満足のいくところまで除去することが難しかったと聞いています。しかし、音が良いということも同時に聞いていますので、 難しいのは承知でチャレンジしてみようという訳です。ポイントはフィラメント(2V,0.25A)を独立した巻線から取ることと アドバイスも頂いていますので、その線で改造を進めることにしました。
まず、WE310AからWE373AのUS 8ピンへとソケットの交換します。ここでソケットは差し心地の良いシューターを使います。 そのついでに整流管の国産タイトをアンフェノールのタイトへと交換しました。次に、300Bのカソードに使っていたWEの板抵抗の ナイロン製絶縁ワッシャーが若干変形していたので、手作りのテフロン製に交換しました。      (2000/12/11)


改修後のアンプはこのようになりました。左の2本が WE373A、真ん中の2本は言わずと知れたWE300B、右はSTC5R4です。WE300Bの後ろにある板抵抗の足下が白いテフロンに変わって いることが分かります。上で書いたようにWE373Aのフィラメント(2V,0.25A)をどうするかが問題となるわけですが、最初は 電源トランスの6.3Vと4Vの間から2.3Vを取ってファーストリカバリダイオードブリッジで整流0.5Ωと6800μFでフィルタとしま したが、出力で20mV以上と大きく、これは断念。あらかじめ用意してあった3V,0.3Ax2の小さいトランスを取り付け3Ωと6800μF でフィルタしたところ、出力で3.5mVと大幅に減少し、かなり聞ける状態になりました。WE310Aのときと比べるとすっきりとした 音色に変わったようです。こういうのを直熱管の音と言っているのでしょうか。ハムは音が出ていれば分からないのですが、 夜に無音となったときにはやはりブーンと聞こえます。これは1mV前後まで下げないと満足できそうもありません。フィラメントに 加わる電圧をオシロで見ると、まだ100Hzの鋸刃状の波が乗っています。電圧で 33mVですが、これを0V近くまで下げなければなり ません。そうすると対処法としてはトランジスタを1石使った簡単なフィルターか安定化電源ということになります。後者は出力 が2Vと低いので3端子レギュレータが使いにくいことと、半導体アンプを持ち込みたくない(安易に使う人がいますが発振すること もあるので、要注意です)ことから、簡単な回路でいくことにしました。
これならトリマーを付けて電圧の調節もでき、一挙両得です。せっかく付けた小トランスを外して、6.3V端子から落とすことに しました。その結果はたいしたもので、オシロで見てもハムは無しで、ホワイトノイズ(サーノイズ)のみとなりました。スピー カーに耳を付ければまだブーンというハムは聞こえるのですが、ここまで来ればもう一息で満足できるレベルではないかと考えています(2000/12/27)
整流管をSTC 5R4GYにしたのでB電圧が若干低下し、300Bのプレート電流がちょうど50mAになりました。300Bは最適の電圧と電流が350V, 60mAと良く言われていますし、MQ DS-030は電流を60mAまで流せるので、カソードの抵抗(1.5kΩ)に12kΩを並列にして 電流の増加を計りました。これでプレート電流が55mAとなりました。
オール直熱管にしたので、その特徴を最大限に出すようにこれまで付けていた帰還回路を外して、無帰還のオール直熱管アンプとすることにしました。

これまで、いろいろと改造してきたので、シャーシ-は大分くたびれてきたようです。2001年2月24日に、 三鷹での松並さんのヒアリング会に無帰還のオール直熱管アンプという ことでゲストとして、このアンプが参加させて頂くことになりました。音はゆったりした中にも繊細さが出てきたような気がします。 見栄え重視の私としましては、この機会にシャーシーの再塗装をすることにしました。大部分の部品はシャーシー内部に外せるので、 トランス等の配線だけ外して配線全体を外科手術のように取り出しました。次に塗装をはがしてからワインレッドに 塗ることにします。(段ボール上の取り出した回路)

(2001/2/16)


塗装し直した300Bシングルアンプ

きれいなワインレッドでしょ!写真ではかなり 派手に見えますが、実際にはそんなでもありませんよ。(2001/3/23)
低音のしまりを良くしようかと負帰還(NFB)を追加することにしました。まずは小手調べとして3dB弱として聞いてみようと考えています。不安定な動作だと嫌なので、周波数特性を測定してみました。その結果は下の図ですが初段が5極管のせいか、思ったほど延びていません。当初気にしたダンピングファクターはON/OFF法で1.75となっています。この値はもう少し大きくても良いような気がしています。音のほうは、NFBの追加によって締まってきたような印象ですが、もう少し聞いてから善し悪しを決めることにします。 (2002/6/20)

ホームページに戻る