何かとお役立ち情報館

 

… 前書き …

 今時のカメラは電気やコンピューターで動きます。そのために電気信号の伝達機構やコンピューターを動かすためのプログラムなどが搭載されています。それらについての知識があると、カメラをメーカーの公開している方法以外で操作したいと望んだときに役立つことがあります。そんな情報についてここに載せています。非公開情報なだけに、扱いを誤るとカメラ等の機能を完全に破壊する可能性のある危険なものばかりですから、そのつもりで…

… 目次 …

PENTAX  「KA」 及び 「KAF」 マウント の接点情報

K10D「うらメニュー」の表示方法及びAF修正方法

バージョン1.20以下のものを1.10にバージョン・ダウンする方法 (初期化法)

ファーム・バージョン1.30を1.10にバージョン・ダウンする方法

ファーム・バージョン1.30のままDebug Modeに入り、AF調整をおこなえるようにする方法

K-7等においていわゆる「うらメニュー」を表示する方法

*istDサービスメニューの表示方法

Kマウントの派生・変遷(カメラ側からの視点で)

整備・改造に役立つ道具・資材の入手に役立つお店…

トリウムガラスを用いたアトムレンズの黄変対策

バルサム切れした貼り合せレンズの分離法

Windows 7などのちょっとお役立ち小技

玄関に戻る

PENTAX  「KA」 及び 「KAf」 マウント の接点情報  (接点番号は、マウント上部から付番)

接点番号

接点の役割

摘   要

1

KAマウントでは「開放絞り値」を伝達する。2番と4番との「導通と絶縁」の組合せで伝達する 4種類の「最少絞り」ごとに、5番と6番とこの接点との「導通と絶縁」の組合せで 「開放絞り値」を交換レンズからカメラに伝達する。

KAFマウント以降の交換レンズはROMとつながっている。カメラ側から+電流を交換レンズ側に伝達する。

KAマウントでは、これが導通することで、5番と6番で伝達した開放値より半段明るいことを伝達する。

2

「最少絞り値」を伝達する。この接点と4番との「導通と絶縁」の組合せで「最少絞り」情報を交換レンズからカメラに伝達する。

 

3

交換レンズのA位置情報をカメラ側に伝達。絞り環をA位置にすると導通状態になる。DAレンズは常に導通状態。カメラ側接点がマウント面より沈んでいるので、Takumarレンズ、KレンズやMレンズだと絶縁状態になる。 カメラ側から+電流を交換レンズ側に伝達する。

KレンズやMレンズでも、これをマウント面と導通させると、最小絞りにしておくことでP・T・Vの各オートが可能になる。

しかしながら、それらはAレンズ以降とは絞りレバー作動量と絞り面積の比率が異なるので、露出精度は落ちるが…

4

「最少絞り値」を伝達する。この接点と2番との「導通と絶縁」の組合せで「最少絞り」情報を交換レンズからカメラに伝達する。

 

5

KAマウントでは「開放絞り値」を伝達する。2番と4番との「導通と絶縁」の組合せで伝達する「最少絞り 」ごとに、この接点と1番と6番との「導通と絶縁」の組合せで「開放絞り値」を交換レンズからカメラに伝達する。

KAfマウント以降の交換レンズはROMとつながっている。カメラ側から+電流を交換レンズ側に伝達する。

KAマウントでは、この5番と6番の組合せで、開放絞り値が最少絞り値から 5段から8段目までの範囲の明るさの内のどれであるかを伝達。

それに加えて1番が導通することで、それより半段明るいことを伝達する。

6

KAマウントでは「開放絞り値」を伝達する。2番と4番との「導通と絶縁」の組合せで伝達する「最少絞り 」ごとに、この接点と1番と5番との「導通と絶縁」の組合せで「開放絞り値」を交換レンズからカメラに伝達する。

KAfマウント以降の交換レンズはROMとつながっている。カメラ側からの電流は無い。

7

この接点はKAfマウントから増設。ROMとつながっている。 カメラ側から+電流を交換レンズ側に伝達する。

KAfマウントカメラは、この接点から流す+電流が機能しないことでKAfマウント以外の交換レンズであると認識する。

KAfマウント交換レンズは、この接点から+電流が来ないことでKAマウントに接点機能を切り替える。

KAfマウント以降の交換レンズ側にはROMが内蔵されていて、このROMから識別IDや焦点距離を含むレンズ情報を伝達するようになっている。

     

KAマウント  接点機能一覧表   (下表は、マウント面に上から下へ並んでいる接点を、左から右の順に表示)

       ※ 1は導通、0は絶縁、☆は絞りリングA位置のとき導通を表す。★はKAf以降マウントのみ

 下表の見方ですが、二つの赤の数字が最少絞り値を伝達し、三つの黒の数字の組合せが開放絞り値を伝達するものです。開放絞り値が最少絞り値より 「何段」明るいのかを伝達するロジックになっています。この構造では、それが「5段」であるとするものから「8段半」であるとするものの間を表示することが可能です。

 KAマウントでも、絞込みレバーのマウント部での移動量は、絞り1段分がどのレンズでも等しいわけではありません。絞込みレバーが一番下のときが開放であり、一番上になったときが最小絞りになっているのです。その間隔を間隔の段数で等分して動くと、絞り開度もそれに比例して変化する関係を持たせたのです。

 Kマウントは、レンズを外すと常に最小絞りになろうとする構造です。カメラが絞りを操作するためには、その最小絞りと開放絞りの間隔をカメラが知る必要があるのです。

開放絞り値

最少絞り値 f/16

最少絞り値 f/22

最少絞り値 f/32

最少絞り値 f/45

f/1.2

10001★

11111★

 

 

f/1.4

00001★

8段目 01111★

 

 

f/1.7

10010★

11101★

11011★

 

f/2.0

00010★

7段目 01101★

01011★

 

f/2.5

10000★

11110★

11001★

10111★

f/2.8

00000★

6段目 01110★

01001★

00111★

f/3.5

 

11100★

11010★

10101★

f/4.0

 

5段目 01100★

01010★

00101★

f/4.5

 

 

11000★

10110★

f/5.6

 

 

01000★

00110★

f/6.7

 

 

 

10100★

f/8.0

 

 

 

00100★

  「*istD」にマウントアダプターKを使用してSマウント交換レンズを装着したときに、6番を除く接点のどれかをマウントと導通させると、フォーカスインジケーターを作動させることができます。Sマウント交換レンズのマウントはアルマイト加工がされていて、これは電気絶縁性が高く、導通しにくいのです。

 これは、後に出た他モデルの場合には、カスタムファンクションにより設定することが可能になりました。

 「KA」マウントは接点の導通と絶縁の組合せで絞り情報だけを伝達する仕組みでしたが、「KAf」マウントは交換レンズ内にROMを内蔵し、絞り情報以外に焦点距離情報や固有IDなども伝達する仕組みになり、接点の役割が変更されています。そのため、純正やOEM生産をしたことのあるTamronの「KAf」マウント交換レンズには「KA」マウント機能 との互換が実現されていて、「KA」マウントカメラにおいても正常に使用することができますが、シグマの「KAF」マウント交換レンズは「KA」マウント機能互換になっていないので、「KA」マウントカメラやリヤコンバーターAに装着すると正常に機能しません。

 KレンズやMレンズでも、マウント面より沈んでいるカメラ側3番接点について、アルミ箔を接点内に充填する等してマウント面と導通させると、カメラは「絞りリングA位置のKAマウント交換レンズ」として認識 しますが、他の接点がすべて導通状態になってしまうので、どれでも「最少絞りf/22」で「開放絞りf/1.2」の交換レンズとして認識してしまい、絞込みレバーをそのつもりで作動させるので、露出オート時には開放絞り値が暗いものほど露出の狂いが大きくなります。

 露出狂いについて、「最少絞りf/22」で「開放絞りf/3.5」の交換レンズを例にすると、カメラのオート機能が絞りをf/4に するのが適正露出と判断した場合、本当ならば絞込みレバーの作動を全行程の約0.5/8.5動かして絞り込むのが適正露出なのに、絞込みレバーの作動を全行程の約3.5/8.5動かして絞り込みます。この結果、大きく露出不足の画像となってしまうのです。この露出誤差は、カメラ側絞り設定を絞り込むほど小さくなります。

 このことを改善するためには、交換レンズ側マウント面の1番、5番、6番位置に、その開放F値に対応した穴を開ける方法があります。つまり、「開放絞りf/3.5」の交換レンズなら、5番、6番位置に穴を開けるのです。

 この対策を行っても、KレンズやMレンズにおける絞込みレバー作動量と絞り面積との相関関係がAレンズ以降とは異なっているので、露出の精度は落ちてしまいますが…

 絶縁のためにマウント面に穴を開けるのはなかなか大変な作業になるのですが、これを簡便に行う方法があります。レンズマウント面は信号ピンのある部分が一段凹んでいて、この部分に必要な個所だけ絶縁性テープを貼ることで同じ目的を達することができます。その材料としては住友3Mのメンディングテープが使えます。これは薄くて滑りが良く、丈夫で絶縁性も十分あり、何より入手が容易で安価…

 貼る位置を決めるためには、KAfマウント金具があると確実容易に作業できます。安価なジヤンクが手に入り易いので、一つは入手しておきましょう。

 KAマウントとKAfマウントとの互換の仕組みは、KAfマウントから増設された7番接点の導通がスイッチになっています。カメラ側接点からは+電流が流れていて、これが端子の無いマウント面に導通することでカメラは装着されたのがKAfマウント以外の交換レンズであると認識しています。このとき同時にカメラ側3番接点から流れている+電流が導通すると、A位置レンズ、すなわちKAマウントレンズであると認識し、1番・2番・4番・5番・6番の各接点の導通・絶縁によってレンズ情報を取得し、それによって作動するのです。

 交換レンズ側は、7番接点から+電流が導通しないとKAfマウント以外のカメラであると認識し、1番・5番・6番の各接点の導通・絶縁をその交換レンズの開放絞り値を表示する組合せに切り替えます。最少絞り値を伝達する2番・4番接点はKAウントレンズと共通の接点機能です。

追加情報 2010/5/3

 K20D以前の機種では、カスタムファンクションで絞り環の使用を「許可」すると、レンズを取り付けていない場合でも、Mモードではグリーンボタン押しやプレビューにより絞り込みレバーが作動していましたが、K-7では、その場合測光のみしか行いません。つまり、マウント面の接点が導通していないと絞り込みレバーは作動させない電子回路に変更されているのです。

 マウントアダプター併用によるSマウント交換レンズの場合、レンズ側で設定した実絞りでしか使用しないので自動絞りを作動させる必要が無いことから、マウント面が塗装やアルマイト加工されていることにより導通しないSマウント交換レンズを取り付けたときに絞り込みを行うアクチュエーターの無駄な作動を省くという設計思想なのでしょう。作動には電池を消費しますから、合理的な考えではあります。

 しかし、このことから発生する問題として、マウント面を塗装したり、アルマイト加工としたKマウン交換レンズの場合、絞り開放でしか測光が行えないし、撮影も行えないという弊害があります。Kマウントは自動絞りなので、絞り環設定がどこであっても、取り付けた状態では常に絞り開放になるからです。撮影時にも絞り込みレバーは作動しないので、絞り開放のままということになります。 そのような仕様のKマウントレンズはほとんど存在しないでしょうが…

 

K10D「うらメニュー」の表示方法及びAF修正方法 (注意!! ファームウェア・バージョン1.11以降を導入すると表示できなくなる。)

 「OK」ボタンと「画像表示」ボタンを押しながら電源を入れるとファームバージョンが表示される。

 素早く「Fn」ボタンを2度押してから「Info」ボタンを押して「Menu」ボタンを押すと、「うらメニュー」が表示される。

 これらの操作は5秒以内に行う。

 うらメニュー1
DEBUG MODE <DIS>   これを<EN>に変えると、メニューの詳細設定タグの中に設定項目が追加される。AF修正が可能に
CARDDOOR OPEN <DIS>  これを<EN>に変えると、メモリーカードスロットのドアを開けたままで操作できるようになる。
WRITE CARD VNDR<DIS>
SCRIPT EN MODE<DIS>
USR DAT CLEAR
DUMMY RELEASE

 うらメニュー2
SWITCH TEST        
実行するとスイッチ類が正常に機能しているかテストできる。
RELEASE AGING<AUTO>
LENS COM CHECK
AF PINT DISP        
実行するとAF調整値 の状況を表示する。  
DSP ADJ DAT READ    
実行すると「KB421.ADJ」をSDのルートから読み込む。
DSP ADJ DAT WRITE   
実行すると「KB421.ADJ」をSDのルートに生成する。

 うらメニュー3
EEPROM LOAD from FILE   
実行すると「KB421.EEP」をSDのルートから読み込む。
EEPROM SAVE to FILE   
実行すると「KB421.EEP」をSDのルートに生成する。
EEPROM READ/WRITE    
実行するとEEPROMのデータをアドレスを指定して書き換えることができる。ライン・エディタ
CPU ROM SAVE to FILE    
実行すると「KB421CPU.BIN」をSDのルートに生成する。
DSP ROM SAVE to FILE    
実行すると「KB421DSP.BIN」をSDのルートに生成する。

 うらメニュー4
LENS ROM LOAD from FILE 
実行すると「LENSEEP.LNS」をSDのルートから読み込む。
LENS ROM SAVE to FILE    
実行すると「LENSEEP.LNS」をSDのルートに生成する。レンズロムのファイルへの書き出しを行える 。
LENS ROM READ/WRITE    実行するとレンズロムの内容をアドレスを指定して書き換えることができる。ライン・エディタ
BOARD VER        実行すると電子基板のバージョンを表示する。
DUST REDUCTION TEST  実行すると「ゴミ取り作動」を行う。
DSP CHIP VER       実行するとチップのバージョンを表示する。

 DEBAG MODEを十字キー右押しで<EN>に変えて「OK」を押すとDEBAG MODEになる。

 このとき「Menu」 ボタンを押すと「詳細設定」タグの最終ページに「テストモード」が表示できるようになる。

「AFテスト」でAFの修正が可能。前ピン症状ならマイナスに、後ピン症状ならプラスにすることで修正する。 試写して適正な数値を求める。

 DEBAG MODEから出るには、電源を切ってから再度「うらメニュー」表示操作を行い、DEBAG MODEを 十字キー右押しで<DIS>に変えて「OK」を押す。

※バージョン1.20以下 ( 1.30は 、この方法では出来ない。!!) のものを1.10にバージョン・ダウンする方法 (初期化法)

 1.10ファームファイル「k10v110w.exe」を解凍し、実行ファイル「FWDC162B.BIN」 のファイル名を「KB421.BIN」に書き換えて、SDカードのルートへコピーする。

 バッテリーが十分あることと、電源レバーOFFを確認してSDカードをK10Dに挿すと、扉を閉めず、電源レバーをONにしなくとも

      DETECTED DSP F/W FILE
      COMPLETE LOADING
        (中略)
      >>> EJECT CARD <<<

 と表示される。

 指示どおりSDカードを抜くと、ダウン・グレードが開始される。電源が切れるまで何もしてはいけない。

 電源が切れたら、メニューボタンを押しながら電源を入れなおして、ファーム・バージョンを確認する。

 通常のバージョン・アップの場合と違い、カスタム設定等は総て初期化され、国の設定から開始することになる。EEPROMがリセットされるようだ。

 この操作は、ファームファイルが破損した場合など、正規のインストールが不可能な場合の修復機能として作られているものと思われる。

バージョン1.30をインストールしている機体では、 他の何らかのチェックのための別ファイルも要求する仕掛けが施されるようだ。

 このファームファイル「FWDC162B.BIN」、すなわち「KB421.BIN」は、インストールのときにDSP ROMにKB421DSP.BINとして、CPU ROMにKB421CPU.BINとして、カメラ内では分割して記憶されるようだ。

 特に、うらメニュー3の「DSP ROM SAVE to FILE」を実行して得られるKB421DSP.BINは、「FWDC162B.BIN」の前半部とまったく同一である。うらメニュー3の「CPU ROM SAVE to FILE」を実行して得られるKB421CPU.BIN「FWDC162B.BIN」の後半部を比較すると、一部変わっている部分があるので、設定の変更等によってその部分が書き換わっているものと推定できる。うらメニュー3の「EEPROM SAVE to FILE」を実行して得られるKB421.EEPは、その変更した設定を記録するファイルであろう。このKB421.EEPは、うらメニュー3の「EEPROM LOAD from FILE」を実行することで、そのファイルに保存した設定に戻すことが可能なのであろう。

※ファーム・バージョン1.30を1.10にバージョン・ダウンする方法

 1.10ファーム・ファイル「k10v110w.exe」を解凍し、実行ファイル「FWDC162B.BIN」 をバイナリーエディタで開く。

 2行目の14番目(D)「0A」を「1E」に、16番目(F)「08」を「12」に書き換えて、上書き保存する。 なお、これは1.30のヘッダである。

 書き換えたファイル「FWDC162B.BIN」をSDカードのルートへコピーし、標準のファーム・バージョン・アップ手順を実施すると、表示はバージョン1.30であるが、中身は1.10のファームとなり、 「うらメニュー」に入ることが出来る。

 この操作をしても、 既存の設定等はまったく初期化されないので、カスタムメニュー等は設定し直す必要が無い。

 なお、これはあくまで表示だけの贋1.30だが、正規の1.30へは、通常のファーム・バージョン・アップ手順で戻すことが出来る。

 K10Dのファームウェアは、下位のバージョンをインストール出来ないようにしているが、同位以上のバージョンについてならインストールするようになっている。

 従って、バージョンを識別する部分を現在インストールされているバージョンと同等にすれば、下位のバージョンの中身をインストールすることが出来るということである。

 これらは推理と、それに基づく予備実験によって確信したことである。そしてバージョン識別部分の発見・抽出は、各バージョンをバイナリーエディターで表示して比較すれば至極容易なことであった。

 ちなみに、バイナリーエディタで表示した二行目右端にあるバージョン識別部分は、ファーム1.10は「01 0A 00 08」、 ファーム1.11は「01 0B 00 0C」、ファーム1.20は「01 14 00 0E」、ファーム1.30は「01 1E 00 12」である。

 これらを分析すると、4桁のうち、一番右側はチェックデジットであろうが、実際のバージョンを表示するのは左から2桁で、01はそのまま10進数の1、0Aは「10」、0Bは「11」、14は「20」、1Eは「30」で あるから、「10」とは1.10の10を表し、「11」とは1.11の11を表し、「20」とは1.20の20を表し、「30」とは1.30の30を表すであろう事は、容易かつ明白に判断できることであった。

 このことから、この部分を書き換えたファームウェアをインストールすると、中身は別でも、カメラはこの部分をファーム・バージョンとして表示するのである。

 「バイナリーエディタ」とは、コンピューターで使用する「バイナリー」すなわち2進数を16進数で表されるコードで記述するためのツールである。「.BIN」という拡張子の付いた実行ファイルを見たり書き換えたりするためには必要なツールである。

 16進数のコードは2桁で1組になっていて、10進数なら「0から255まで」となる。2進数だと8桁であり、通常はこれで1byteである。つまり、バイナリーエディタで2桁1組のコードを記述すると、1byteの機械語を記述できることになる。

 通常のバイナリーファイルは一行が16組の2桁16進数で構成されている。2進数なら16byte(128bit)になる。1byteは256種類の文字等を割り当てることが出来るので、英数字などならこれで十分だが、漢字などではとても足りない。そこで、2byteを組み合わせて使うことで256の2乗である65536種類の文字等を割り当てる仕組みになっている。それなので、漢字などを2byte文字と言うのである。

 「バイナリーエディタ」は、フリーソフトとして公開されているもので十分である。WEB上に各種置かれているので、これらを利用できる。

 なお、ファーム・バージョン1.10を1.30にバージョン・アップする際には、1.30のヘッダを1.10のものに書き換えてからインストールすると、中身は1.30で表示は1.10となるので、通常のインストールで正規の1.10へのバージョン・ダウンが行える。

   捨る神拾ふ神あり世の情け   雌山

※ファーム・バージョン1.30のままDebug Modeに入り、AF調整をおこなえるようにする方法

 パソコンにフリーのユーティリティ・ソフトをインストールし、K10DをパソコンとUSBケーブル接続して、ソフトからコントロールする。

 ユーティリティ・ソフトの名称は「GX10-K10D Debug Mode Control」と言う。ロシア語版があることからロシア製のようだが、英語版も存在する。

 このユーティリティ・ソフトの機能はDebug Modeに出入りするだけで、うらメニューを表示するものではない。Menuの詳細設定にテスト項目が追加になり、そのうちのAFテストでAF調整ができるようになる。 この方法はうらメニューにある他の機能を研究したい人には向かない。

 ダウンロードしたユーテイリテイ・ソフトのインストーラーを実行すると、途中でパスワードを要求される。そのパスワード は、「penta-club.ru」である。

 注意しなければならない点は、Debug Mode時には背面モニターの電源が入りっぱなしになるため、電池容量を早く消費することである。

 Menuボタンを押しながらカメラの電源を入れると、ファームバージョンとCPUバージョンを表示する。通常時はファームバージョンだけで ある。

 ちなみに、追加される項目にCAPTURE/SYSTEMテストという項目があるが、これによって表示される内容を整理したのが下表である。

 番号を選択してOKボタンを押すと、下表の内容を表示する。

 他を選択したいときには、前の選択を0に戻さないと新たな選択にならない。

 

0

1

2

3

4

Test Item 0

なし

なし

なし

なし

なし

Test Item 1

なし

なし

なし

なし

Test Item 2

なし

LV

BVD

BATTERY INFO

なし

Test Item 3

なし

BV LIGHT SOURCE ADJUST

なし

なし

なし

Test Item 4

なし

なし

なし

なし

 

※AEやAFの作動状態をあらわすらしい2桁の16進数、シャッター作動総回数とか機体内温度とか、スイッチ類の作動確認をする2桁の16進数の出るページ

   カーテンの向ふの風の変りけり   雌山

K10Dのときに話題になった「うらメニュー」ですが、K-7にも同様なものが存在します。その表示の仕方ですが、「メモ帳」などの普通のテキスト・ファイルエディターに

 [OPEN_DEBUG_MENU]

と入力して(アルファベットの前後の[ ]も入力する。)

MODSET.474

というファイル名で、SDカードの「ルート・デレクトリ」に保存します。

 そのSDカードを K-7 にセットして、メモリーカード・ドアを「開けたまま」電源を入れると、背面液晶モニターに「Development Menu」が表示されます。これがいわゆる「うらメニュー」です。ここでメモリーカード・ドアを閉めても開けたままでも、以後の操作は可能です。

 メモリーカード・ドアを閉めたまま電源を入れると通常の起動になり、「Development Menu」は表示されません。このことから、K-7で使用するSDカードの全てにこのファイルを保存しておくと、随分と運用が手軽になるでしょう。K10Dのときのアクロバティックなボタン操作による起動より遥かに楽です。

 

Development Menu 1

DEBUG MODE         <DIS> または <EN>

CARDDOOR OPEN       <DIS> または <EN>

WRITE CARD VNDR     <DIS> または <EN>

SCRIPT EN MODE       <DIS> または <EN>

AUTO TEST MODE      <DIS> または <EN>

USR DAT CLEAR

REGION CODE        <00>、<01>または<02>

[MENU]Cancel        [OK]OK

 

十字ボタンの上・下で項目を選択し、左・右で<DIS> または <EN>などを変更します。決定するときはOKボタンを押し、MENUボタンを押すと「Development Menu」は終了します。メモリーカード・ドアを閉めていればそのまま撮影に入れます。開けたまま電源を入れ直せば、またメニューに入れます。

「上・下ボタン」を押し続けると、別ページに替わります。後電子ダイヤルを回しても、ページは切り替わります。

 

Development Menu 2

SWITCH TEST             実行するとスイッチ類が正常に機能しているかテストできる。

RELEASE AGING      <AUTO>または<MAN>

LENS COM CHECK

AF PINT DISP               実行するとAF調整値 の状態を表示する。

CAMERA  LOG  DISP          実行するとカメラ・ログを表示する。        

DSP ADJ DAT  CAMERA=>SD    実行すると「KB474.ADJ」をSDのルートに生成する。

DSP ADJ DAT  SD=>CAMERA

[MENU]Cancel        [OK]OK

 

Development Menu 3

CPU ADJ DAT  CAMERA=>SD    実行すると「KB474CPU.ADJ」をSDのルートに生成する。

CPU ADJ DAT  SD=>CAMERA

CAMERA  LOG   CAMERA=>SD       実行すると「KB474CAM.LOG」をSDのルートに生成する。

CPU ROM DAT  CAMERA=>SD    実行すると「KB474CPU.BIN」をSDのルートに生成する。

DSP ROM DAT  CAMERA=>SD    実行すると「KB474DSP.BIN」をSDのルートに生成する。 

[MENU]Cancel        [OK]OK

 

Development Menu 4

LENS ROM DAT SD=>CAMERA

LENS ROM DAT  CAMERA=>SD   実行すると「LENSEEP.LNS」をSDのルートに生成する。

LENS ROM EDIT R/W          実行するとLENS ROMの内容を書き換えることの出来る簡易エデイターが起動する。

LENS CPU FWUP            これを用いてLENS ROMのバージョンアップを行うのかも?

 

 

[MENU]Cancel        [OK]OK

 

Development Menu 5

BOARD VER             実行すると 電子基板のバージョンを表示する。 

DSP CHIP VER           実行すると 搭載チップのバージョンを表示する。

DUST REDUCTION TEST     実行すると「ゴミ取り」が作動する。

MEDIA TEST

DISPLAY TEST            実行すると ディスプレイの色などのテスト表示をする。

MEMORY TEST

 

[MENU]Cancel        [OK]OK

 

 このメニューは、ファームウェアを操作するコマンド起動ツールになっているようです。DOS時代に同様なコマンド起動のための選択メニューを作ってあれこれと操作していたのを懐かしく思い出しました。

Development Menu 1 の DEBUG MODE   <DIS> または <EN>で正規メニューにタグが増設され、これによってAFの精度を操作できるのは従前と同様ですが、正規メニューに操作項目があるので、あえて「うらメニュー」に頼る必要は無いようです。他の危なそうな機能の方が魅力的…

 なお、ファイル名のMODSET.474」 のうち、拡張子「.474」の部分を別の数字に変更することで、他の機種にも使えるようです。

 亭主はこれらの機種を所持していないので未確認ですが、
   K20D
  : MODSET.442
   K200D   
MODSET.445
   K-m
  : MODSET.464(電源投入時にゴミ箱キーを押している必要があるらしい…)

   K-x   : MODSET.492(電源投入時に+/-キーを押している必要があるらしい…)

とのことです。

 さらに、SDM対応バージョンである1.30のファームウェアにしている「K10」については、ファイル名を MODSET.TXT とすることと、 ファイルに記載するテキストの [OPEN_DEBUG_MENU] の後に「改行」を入れることが他機種の方法と異なっています。改行が入っていないと実行されません。K-7の場合は改行があっても無くても実行するのですが…

 1.10以前のファームウェアの場合は、MODSET.421です。

 K-5についてはMODSET.***」の***部分が不明で、どうも[OPEN_DEBUG_MENU]という呪文では「うらメニュー」は表示されなくなったようです。

 あるフリーソフトの操作で正規メニューにタグが増設され、これによってAFの精度を操作することができるということはありますが、あまり使い道はありそうにない…

 また、このフリーソフトはK-7ではエラーになって使えません。K10Dでなら使えます。

 「MODSET.***」というテキストファイルは、その中に様々なコマンドを記述することでカメラのファームウェアを操作できる道具です 。つまり、コマンド実行型ファイルなのです。

 [OPEN_DEBUG_MENU]というのも、そんなコマンドのひとつで、多くのコマンドをそこから起動できる選択メニュー(うらメニュー)を起動するコマンドです。

 この実行型ファイルの中で実行されるコマンドには、以下のようなものがあります。

コマンド 作用
[DEBUG_MODE EN] デバッグモードに入る。うらメニューからも実行可能
[DEBUG_MODE DIS] デバッグモードから出る。うらメニューからも実行可能
[RELEASE_AGING] うらメニューからも実行可能
[SW_DEBUG_MENU EN]  
[SCRIPT_EN_MODE EN] うらメニューからも実行可能
[SCRIPT_EN_MODE DIS] うらメニューからも実行可能
[VLENS_CONTROL]  
 

 コマンド実行型ファイルとしては、ほかに「SYSPARAM.TXT」というファイルがあります。このテキストファイルの中にコマンドを記入することで、デバッグモードにおいて実行されます。

 その使い方ですが、

 SDカードのルートにMODSET.***を置き、その中に[DEBAG_MODE EN]と記述します。.***はカメラ機種ごとに違います。[ ]も必要です。

 同じくルートにSYSPARAM.TXTを置き、そのなかに[*****]1@と記述します。*****はコマンド名です。[ ]も必要です。

 [*****]1@[*****]1@[*****]1@[*****]1@のように続けて記述すると、それらを連続して実行します。

 デバッグモードから抜けるためのSDとして、

 SDカードのルートにMODSET.***を置き、その中に[DEBAG_MODE DIS]と記述します。.***はカメラ機種ごとに違います。[ ]も必要です。

K20D用のコマンド例 他の機種でも実行可能なものがあります。

コマンド 作用
[STOREPREBAYER] PREBAYER RAW をSDのルートに生成する。
[STOREBAYER] BAYER RAW をSDのルートに生成する。
[STOREPREDARK] PREDARK RAW をSDのルートに生成する。
[STOREGEN] 情報をSDのルートに生成する。
[STORECPU] CPU 情報をSDのルートに生成する。
[STOREAE] AE 情報をSDのルートに生成する。
[STOREAF] AF 情報をSDのルートに生成する。
[STOREWD] WD をSDのルートに生成する。
[STOREIQWD] IQWD をSDのルートに生成する。
[STOREDP] DP をSDのルートに生成する。
[STOREDEFECTPIEXLDATA] 欠陥ピクセルデータをSDのルートに生成する。
[FORCENR] ノイズリダクションを強制的にかける。
[DISABLENR] ノイズリダクションを切る。バルブ時の長秒時ノイズリダクションは切れないようだ。
[DISABLBLC] BLCを切る。
 
 
 
 
 

 他にもコマンドはたくさんあるようですが、その全容は不明…

*istDサービスメニューの表示方法 (AFの修正はできない。)

「INFO」ボタン+「AE-L」ボタン押しで電源を入れるとファームバージョン表示するので、素早く「MENU」ボタンを2度押して「INFO」ボタンを押すと「サービスメニュー」が出る。

DEBUG MODE <DIS>   これを<EN>に変えると、メニューの最後に設定項目が追加される。
CFDOOR OPEN <DIS>    
これを<EN>に変えると、メモリーカードスロットのドアを開けたままで操作できるようになる。
WRITE CF VNDR<DIS>
SCRIPT EN MODE<DIS>
USR DAT CLEAR
SWITCH TEST  これを実行すると、スイッチを点検する画面が出る。スイッチの機能が正常かどうかテストできる。

EXIT

「MENU」ボタンを押すとメニューのページが切り替わる。

EEPROM LOAD
EEPROM STORE    実行すると「KB321.EEP」をCFのルートに生成する。 テキストファイルのようだ。
CPU ROM STORE  実行すると「KB321CPU.BIN」をCFのルートに生成する。

EEPROM READ/WRITE

DSP ROM STORE  実行すると「KB321DSP.BIN」をCFのルートに生成する。  

EXIT

DEBAG MODEを「十字キー」右押しで<EN>にして「OK」をボタンを押し、「MENU」ボタンを押すと「メインメニュー」の最後に設定項目が追加されている。

このモードから出るには、「サービスメニュー」を出す操作を行ってDEBAG MODEを<DIS>に戻して「OK」ボタンを押す。

Kマウントの派生・変遷(カメラ側からの視点で) 2011/7/13現在

K

1975年制定

バヨネット接続と自動絞り、開放測光のために絞り環連動爪を備えたマウント。KシリーズとMシリーズのカメラとレンズで使われた。規格を公開したので、他社でも採用している。

絞り込みレバーや絞り環連動爪などをマウント内に設置したので、マウント外に連結可動部分がまったく露出していない。このため、防塵性が高い。「LX」の防塵 ・防滴は、このマウントだから比較的容易に実現できた。

前期型と後期型が存在する。前期型はレンズマウント面ロックピン受け穴がU字形だが、後期型は楕円形に改良している。前期型はマウント金具外周突起部も切り欠いているため防塵防滴性が劣る。 後期型は1980年の「LX」発売に合わせての改良である。

絞り込みレバーの移動量と絞り開度との比例関係を持たせていないのが、結果的に最大の欠点となった。

KF

世界初のAF一眼レフであるME-Fでのみ設定されたマウント。レンズ内電源とモーターによりAFを実現。AFボタンはレンズにあり、コントラスト式のAFである。対応レンズは1種類のみ。マウント面に電気接点が設けられているのはKAと同様であるが、設置位置が反対側で、KA以降の機能との互換性はまったく無い。派生としても徒花的存在…

KA

カメラ側からの絞り開度制御を実現したマウント。レンズ絞り環にA位置を設け、レンズ側から最少絞り値と、そこから何段で開放になるのか及び絞り環がA位置であるか否かを伝達する電気接点 6個をマウント面に設けた。これによりシャッター速度優先AEとプログラムAEが可能になった。

エンコーダーを用いて絞りを正確に制御する。レンズ側の絞り制御機構も従前のものとは異なり、絞り込みレバーの移動量と絞り開面積を比例させた。これがKのときに実現していたら、KAマウントは数年早く実現していただろう。

Aシリーズのカメラとレンズで使われ ている。これ以後、規格特許は非公開。

レンズ内にメモリーなどは持たず、単に6個の接点の絶縁・導通の組合せでレンズ情報をカメラ側に伝達する仕組みなので、伝達できる情報量は少ない。ズームレンズの場合、開放F値が焦点距離によって変動する場合も可変できない。

KAF

KAマウントより電気接点を1つ増やし て7個とし、カメラ内モーターによるAFのためのレンズ駆動カプラーをマウント面に設けた。A位置と最小絞り値以外の情報はレンズ内電子基板上のROMから読み出す方法に変わった。ズームレンズの可変する焦点距離情報なども伝達するので、ズームレンズの変動F値にも対応する。SFシリーズ、Zシリーズ、MZシリーズのカメラとFシリーズ、FAシリーズ、DFAシリーズのレンズで使われている。

1、5、6、7番接点がレンズ内電子基板上のROMと繋がっていて、これにより焦点距離を含むレンズ情報をカメラは読み出す。

シグマのKAFレンズはKA互換を維持していないので、KAマウントカメラに取り付けると正しいレンズ情報にならない。KAFマウント以降のカメラでも、純正リヤコンバーターAを併用すると、 例えば最少絞り値がF22のレンズの場合、開放F値はすべてF1:1.2と伝達されてしまう。

KAF(機能限定版)

KAFマウントにあったレンズ側からの絞り環位置情報の伝達機構を省略したマウント。レンズには絞り環が無い。*ist及び*istDシリーズのカメラと K100D、FAJシリーズ、DAシリーズのレンズに使われている。

KAF2

KAFマウント内部に電源接点を2つ増設して、パワーズームに対応したマウント。MZシリーズ以降のカメラでは、パワーズームレンズの一部の機能しか使えない。Zシリーズ、MZシリーズのカメラとFAシリーズのレンズに使われた。

KAF2(機能限定版SDM・DCにも対応)

パワーズームレンズとSDMレンズのいずれの機能にも対応するKAFマウント。レンズ側からの絞り環位置情報の伝達機構は省略されている。 パワーズームも全機能対応ではない。K10D、K20D、K-7、K-5に使われている。

KAF2(機能限定版SDM・DC専用)

SDMとDCレンズだけで、パワーズームレンズには対応しない。K100Dsuper、K200D、K-m、K-x 、K-rで採用。

KA2

MF専用機であるMZ-Mにのみ使われたプラスチック製のマウント。KAFからAF用レンズ駆動カプラーを取り去ったもの。その他の機能はKAFと同等。 カメラにのみ使われている。

KAF3

カメラ内モーター用のレンズ駆動カプラを持たないKAF2マウント。SDMとDCにしか対応しない。レンズ側だけに使われていて、このマウントのカメラはまだ無い。

 

整備・改造に役立つ道具・資材の入手に役立つお店

店の名前とアドレス

主な扱い商品

フォトショップサイトウ

http://www3.yomogi.or.jp/gadsaito/index.html

マウントアダプター

八仙堂

http://store.shopping.yahoo.co.jp/hassendo/index.html

ステップリング、リバースアダプター、ボディキャップ、レンズマウントキャップ、レンズキャップ 、金属レンズフード

青木カメラ店

http://www7.airnet.ne.jp/camera/

マルミ・フィルター、ステップリング

ジャパンホビーツール

http://www.japan-hobby-tool.com/

カメラ用工具・用品

宮本製作所

http://homepage2.nifty.com/rayqual/index.htm

マウントアダプター

BORG

http://www.tomytec.co.jp/borg/product/parts/index.html

マウントアダプター 、ヘリコイド

 

☆☆ トリウムガラスを用いたアトムレンズの黄変対策 ☆☆

 PENTAXは、1965年ごろから1977年ごろまで、酸化トリウムを含む光学ガラスを購入して 小川事業所でレンズに加工していたとのことです。これは2005年9月にPENTAXが発表しています。

 このトリウム入りレンズは、高屈折で低分散であるという現在のEDレンズに相当する高性能なものでした。これを用いている交換レンズとしては、 「Super&SMC Takumar 55mmF1.8」、「Super&SMC Takumar 50mmF1.4」及び「Super&SMC Takumar 35mmF2」の3種類がよく知られています。これらに使われているトリウム入りレンズは、現在どれも「黄変」していて、同一のホワイトバランス設定の場合、得られる画像の色彩が通常のレンズより黄色くなることや、透過率の低下による露光時間などへの影響が出ています。

 また、トリウムは放射性元素なので、放射線を出しています。この放射線量は、交換レンズ後端で計測すると自然界のレベルの数10倍から100倍程度の値を示すとのことです。このことから、トリウム入りレンズは、アトムレンズとも俗称されています。放射線を出して崩壊していることが「黄変」の原因なのかもしれません。中性子線が照射することによるブラウニング現象であるとも言われているようです。これにより、トリウム入りでない周囲のレンズも 「黄変」させるとのことです。

 現在のEDレンズは、倍率色収差の補正に大きく役立つものです。これと同等の性能を有するトリウム入りレンズを使用しているのですから、収差の少ない、解像感の優れた画像を得られるこれらトリウム入りレンズの組み込まれた交換レンズの 「黄変」による弊害を除去出来るのなら、その利用価値は大きく高まるというものです。

 この「黄変」を緩和除去できる方法があるという情報を得て、亭主は所有する複数の「Takumar 55mmF1.8」から当該レンズ玉を取り出し、同程度の「黄変」を示している2枚について、その内の1枚だけに黄変緩和策を施してみました。その策というのは、陽のあたる屋外に放置するというものです。2枚の内1枚だけをそうしたのは、施行後に 両方を比較することで、この策の効果の程度を検証するためです。

 情報によれば、紫外線照射により「黄変」が緩和されるということは、随分以前から知られていたようです。マニキュアライトで照射するなどの方法で黄変緩和を実現しているなどの情報も開示されています。紫外線が直射日光に多く含まれているのは、海水浴後の肌の酷い日焼けのことからも明白なので、亭主はこれを利用する方法で紫外線被曝を行ってみました。2011年4月末から5月上旬にかけての6日間に行ったその実験の結果が下の写真です。

 今年のこの時期は曇りがちで日照がとても少なく、十分な紫外線被曝が得られていないのですが、それでも、これほどまでに劇的な効果がありました。屋外放置法では、1ヶ月程度は必要なのかと思っていたのですが…

 亭主が行った屋外放置の方法ですが、レンズ玉単体にしたものをポリ袋に入れて、陽のあたる場所に放置したのです。ポリ袋にはアルミ箔を敷いて、その上にレンズ玉を置きました。レンズを透過した紫外線も反射させて利用する仕掛けです。

 鏡胴内に組み込んだままで屋外放置する場合、トリウム入りレンズの組み込まれている位置によっては、その効果に差が出るものと思われます。「Takumar 55mmF1.8」のようにレンズ群の最後部にあるものは、これに近い効果が期待できるでしょう。「Takumar 50mmF1.4」の場合は後から2枚目ですから、屋外放置期間をより長くする必要があるかもしれません。

 鏡胴ごと屋外放置する場合は、陽に向ける後玉部以外の鏡胴全体をアルミ箔で覆って、紫外線被曝の悪影響が他に及ばないようにすると良いかもしれません。前玉もアルミ箔で覆うことにより、後玉から入った紫外線を反射して利用する効果が期待できますし…

 こうして「黄変」が緩和されたトリウム入りレンズも、鏡胴に組み込むと再び「黄変」する可能性があるのかもしれません。交換レンズというのは、前後にキャップをして保管することがほとんどだと思います。もし紫外線を遮断した環境に置くことで 「黄変」するのだとしたら、これらトリウム入りレンズを使った交換レンズは、キャップをせずに紫外線量の高い環境に置くことが求められるのかもしれません。紫外線はカビの繁茂をも防止する効果があるとのことですから、交換レンズの保管法としては、わざわざドライボックスなどを用意して入れておくより、埃よけのためにポリ袋に入れて、裸のまま陽の光の差し込む窓辺に放置するというのが一番良いということなのかもしれません。

 なお、1971年に開放測光オートのESシリーズ用として作られ、その後マニュアル機SPFシリーズ、絞込測光リバイバル機のSPUに組み合わされていたゴム巻きピント環の 「SMC Takumar 55mmF1.8」のうち、後期のものには、このトリウム入りレンズは用いられていないようです。それがどのシリアルナンバーのものからなのかは、それをPENTAXが開示していないので知る由もないのですが、実際に亭主の目にしている限りでは、7桁であるシリアルナンバーの最初の数字が「7」以降のものは、トリウム入りガラスではない可能性が大です。逆に、「6」以前のものは、トリウム入りであるという可能性が大ということになります。 なお、「71」代のもので「黄変」を報告している例がありますから、今のところ「72」代が分かれ目かも…

 絞込測光SPと露出計不搭載SL用として作られたアルミ切削加工ピント環の「Super Multi Coated Takumar 55mmF1.8」は1973年までの製造のようですから、これにはすべてにトリウム入りレンズが使われていたのかもしれません。

 Kマウント化がされたのは1975年ですから、冒頭に記したように1977年までトリウム入りレンズが作り続けられていたとすれば、「K55mmF1.8」にも使われていた可能性があるということですが、実際には、Sマウントのものでも上記のようにトリウムが入っていないものに切り替わっていますから、おそらく使われていないのでしょう。

 小川事業所で1977年ごろまで作られていたというのは、「K35mmF2」であるという可能性があります。このレンズは販売数が少なく、中古市場にほとんど出てこないことと、あっても高価なので未入手ですが、多くの個体で 「黄変」があるとの情報もあるので、もしそうなら、これが最後まで作られたトリウム入りレンズということになりそうです。

 Mシリーズの開始は1976年ですが、Kシリーズのレンズ群は、Mシリーズの後継が出るまではしばらく併売が続いていたようです。「K50mmF1.4」は初期のものにはトリウム入りレンズが使われていますが、後期のものには使われていません。これは、レンズIDが10ではじまるものと15ではじまるもので判別できます。

 このことから考えられるのが、放射線の弊害についての認識が生じて設計の変更は行ったものの、需要の少ない「50mmF1.4」や「35mmF2」については、数の出る普及品の「55mmF1.8」より後回しになったというのがその実態なのかもしれません。

 1965年というのはSPが発売された翌年です。SP用として生まれた最初の「Super Takumar 50mmF1.4」は3枚貼り合せ玉を用いた6群8枚{凸凸凹(凹凸凹)凸凸}のレンズ構成でしたが、その後すぐに6群7枚{凸凸凹(凹凸)凸凸}構成に変更になっています。この変更の時期が、トリウム入りガラスを使い始めた1965年ということなのでしょう。

 「Super Takumar 35mmF2」も、初期のものは7群8枚{凸凹凸凸凹(凹凸)凸}構成のフィルター径67mmという、当時のPENTAXとしては異例に太い 鏡胴でしたが、1967年に同じ数のレンズ構成{凹凸凸凸凹(凹凸)凸}ながら、49mmフィルターの細身小型鏡胴のものに変わっています。これらは、トリウム入りレンズを採用することにより得られたものと考えられます。

 1964年から始まった「Super Takumar 55mmF1.8」にも初期型が存在し、それは銘板のシリアルナンバーの位置がその後のものとは異なっていることで判別できるのですが、それについては 「黄変」が無いので、トリウムレンズは使われていないと思われます。1965年から使われ始めたとPENTAXは言っているのですから当然のことなのでしょうが…

※トリウム入りレンズ使用を疑われる交換レンズたち

 Super Takumar 55mmF1.8(初期を除く)

 Super Multi Coated Takumar 55mmF1.8

 SMC Takumar 55mmF1.8(晩期を除く)

 Super Takumar 50mmF1.4(2型)

 Super Macro Takumar 50mmF4 ??

 Super Multi Coated Takumar 50mmF1.4

 SMC Takumar 50mmF1.4

 Super Takumar 35mmF2(2型)

 Super Multi Coated Takumar 35mmF2

  Super Multi Coated Macro Takumar 50mmF4  ??

 SMC PENTAX 50mmF1.4(俗称K(P)レンズの前期型)

 SMC PENTAX 35mmF2(俗称K(P)レンズ)

 PENTAX以外の光学メーカーにおいても、同時代にはトリウム入りレンズを使っていました。CanonにしてもFLシリーズの時代でしたが、これの標準レンズには、F1.2のものを始めとして多くのものに使っていたようで、Nikonの場合は、35mmF1.4に使っていたのは確実のようです。

 M42マウントの交換レンズに唯一F1.2の標準レンズを作っていたことで有名なのが富岡光学ですが、同社はカメラメーカー各社のOEM生産を行っていたため、この55mmF1.2は多くのブランド名で作られました。これらの特徴的な切欠きのある後玉はどれも見事に「黄変」していますから、トリウム入りレンズであることは間違いのないところでしょう。

 コニカミノルタも伊丹事業所などの敷地内に2トン以上の酸化トリウム入り光学ガラス片を保管し続けているとのことですから、その製品に使ったものがあったのでしょう。実際に製品が確認されているCanonとNikonには、使い残しの酸化トリウム入り光学ガラス片の保管に関する情報が無いのですが、それをどのように処分したのか興味の湧くところです。富岡光学の後継企業である京セラにも情報が無い…

 なお、これら酸化トリウム入り光学ガラスは「オハラ」が製造したものと思われます。同社の敷地内で切削屑などが発見されたことが政府に報告された記録があります。どうも、当時は特段の規制がなかったようです。

 

☆☆☆ バルサム切れした貼り合せレンズの分離方法 ☆☆☆

 1975年に誕生したKマウントレンズ群ですが、そのうちの貼り合せレンズについて、その接着面が劣化することで曇りが生じる、いわゆる「バルサム切れ」の発生率が非常に高い機種があります。「K55mmF1.8」と「M50mmF1.4」がそれなのですが、これらと同じ形状のレンズ群を持つ前の時代のSMC Takumarなどにはほとんど発生していない症状なので、これは使用する接着剤を変更しているという疑いが生じざるをえないところです。

 古典的な接着法としては、バルサムという天然樹液を使用するものがあり、これなら加熱によって軟化させて分離する方法があるようですが、1970年代から一般的になった紫外線硬化型ガラス接着剤など化学系接着剤の場合、その強固な接着を剥離する方法が明らかではなかったのです。

 貼り合せたレンズを分離出来たのなら、再び貼り合わせることで修理が可能なのですが、それが出来なかったのです。数多くのバルサム切れレンズを手中にする亭主としては、それらを自前修理することは悲願でありました。

 長年安全な分離方法の発見に努め、各種情報の収集を始めとして、バルサム切れ現象の観察及びその原因の考察、それに基づく剥離方法を色々と試行してきた亭主ですが、2011年6月1日、とうとうそれを発見しました。

 貼り合せレンズの接着面に曇りが生じるのを「バルサム切れ」と称するのですが、「M50mmF1.4」の場合、ほとんどがレンズ周辺部から薄曇りが広がるという症状です。こうなる理由は、「M50mmF1.4」はその接着面の曲率が大きいため、貼り合せた2枚のレンズの厚さが周辺部で大きく異なり、それぞれの膨張・収縮量が周辺部ほど大きく異なるために、周辺部においてより大きなストレスとなっているためではないかと考えました。このストレスが高まることで接着層の劣化は進行するのではと考え、その劣化を人工的に早める方法を取ることで分離に至るのではないかと考えたのです。

 さらに、「M50mmF1.4」と同時期の交換レンズである「M50mmF1.7」にバルサム切れが稀であるという事実があり、これだけが別の接着剤を用いていたとは考え難いので、レンズの形状が大きく影響しているのではとの推論を得ていたのです。

 比較すると、両者の違いは接合面の形状です。「M50mmF1.7」の接合面が平面に近いのに対して、「K55mmF1.8」と「M50mmF1.4」は曲率が大きいのです。これがバルサム切れ発症の多寡を律していると考えるのが自然です。

 これらの推論に基づいて始めた実験なのですが、まず行ったのがホットプレートによる加熱です。およそ180℃程度に加熱したのですが、接着面に変化は見えませんでした。この方法では、加熱・冷却共に比較的ゆっくりとしたもので、膨張と収縮を加速させるという効果に薄いものと考えられます。天然樹脂を用いた接着の場合は、これで分離が可能なのだそうですが…

 熱したレンズを急冷すると、ガラスそのものが破壊される恐れが大きいという情報も得ていたので、それを行うことはありませんでした。急冷による収縮に問題があるとしても、冷却からの急加熱の場合、つまり膨張の方がガラス自体に対する影響は少ないのではと考えて、それを試みることにしました。

 最初は0℃程度にチルド庫で冷やし、40℃程度の湯に入れるという方法でした。これではまったく接着面に変化が見えません。

 次に行ったのが冷凍庫で−20℃程度に冷やしたものを熱湯中に入れるという方法です。これにより、接着面に変化が表れました。曇りが亢進したのです。

 これに力を得て、この「冷凍・熱湯法」を数回繰り返したところ、「K55mmF1.8」の貼り合せレンズは見事に分離したのです。それも2個同時に…

  

        「K55mmF1.8」                             「M50mmF1.4」

 同じく平行して実験をしていたものの、遅れて成功した「M50mmF1.4」については、 「冷凍・熱湯法」の施行回数をより多くする必要があります。直径がより大きいことで、接着力がより大きいものと思われます。

 レンズ周囲の小端塗りのうち、接着層部分をナイフなどで溝状に削る作業を施すことで分離を早めることができるようです。どうせ小端塗りはやりなおさねばなりませんから、このひと手間をかけることで早く分離ができそうです。

 この方法の最後の段階の作業として、レンズを入れた容器の熱湯中に水を加えて手の入れられる程度の温度にし、その中で貼り合せレンズの接着面に両手で横向きの力を加えると、十分接着層が劣化している場合には、ずれるように剥離します。分離したレンズの接着面からは、化学性接着剤の臭いが立ち上ることでしょう…

 この亭主が考案した「冷凍・熱湯法」は、約120℃の温度差による「急膨張」を利用したものです。2枚のレンズの膨張率の違いにより接着層に対する横向きの応力が働くことで剥離が進行するという原理です。膨張に対するガラスの変形はガラスそのものを破壊するには至らないことから、安全に剥離を行うことができると考えられます。最後の作業は容器中の湯の中で行いますから、レンズ表面を傷つけるリスクが少ないものです。万力で挟むなど危険な作業を含みませんから、物理的に破壊するリスクもありません。施行回数はバルサム切れの程度によって変動します。あせらず気長に回数を重ねることで安全に剥離に至ることができます。

 これでついに「バルサム切れ」は不治の難病ではなくなりました。特別の器具・道具を必要とすることなく誰でもが施療可能な、治癒可能な病になったのです。一昔ほど前に自然分離した「M50mmF1.4」を手中にして以来、その再現を希って臥薪嘗胆幾星霜、今まさに「和井内貞行」の心地です。吾幻の魚を見たり…

 「冷凍・熱湯法」の手順をあらためて説明します。

 貼り合せレンズの小端塗りについて、接着層部分をナイフの刃などで線状に削ります。こうすることで分離し易く出来るようです。

 家庭用冷凍冷蔵庫の冷凍室の最も低温になる部分に「貼り合せレンズ」を置きます。少なくとも半日程度は置きましょう。

 大きめの丼などに湯を入れ、電子レンジで沸騰させます。その中に冷凍したレンズを投入します。このときに「ピシッ」という音がすることがあり、剥離が進行した音のようです。そのまま電子レンジで2分程度加熱して沸騰を継続させます。

 丼を取り出し(やけどに注意!!)、水を加えて手が入れられる程度(50℃弱)に温度を下げます。湯の中で、両手でレンズに接着面に平行な力を加えます。十分接着層の剥離が進んでいる場合は、ここで「ヌルリ」という感じで剥がれます。

 これで剥がれない場合は、冷凍からの手順を繰り返します。

 手順を1回行うごとにバルサム切れが進行していることが観察できるはずです。交換レンズの機種によって異なりますが、亭主の実績では、2回から5回程度で可能でした。

 この方法により接着面が平面に近い「M50mmF1.7」の貼り合せレンズも分離できました。「M40mmF2.8」や「K50mmF1.2」などバルサム切れ報告の多い同時代のPENTAX交換レンズに使われている貼り合せレンズは、この方法ですべて安全確実に分離可能であると思われます。

 これまでPENTAXの古いレンズの整備を受注している定評のある修理業者が、2011年7月末をもってバルサム切れ修理を終えるとのことですから、これからますます自前修理、素人修理の必要性が高まりそうです。

 無事剥離出来た2枚のレンズですが、これを再度接着しなくては使い物になりません。接着面に残った接着層の残滓は、無水エタノールやピカールを用いれば除去が可能です。

 再接着に使う接着剤としては、古典的材料としてカナダバルサムがありますが、それを用いるにはある程度スキルが要求されるようです。でも、遣り直しが容易なので、 案外素人修理向きなのかもしれません。

 化学系の接着剤の方が作業性が容易と考えられます。紫外線硬化型のものが作業性が良さそうです。エポキシとアクリルがありますが、入手の容易なのは2液型エポキシのようです。最近紫外線硬化型アクリルも店頭で見かけます。

 これでジャンク救出の愉しみが増えたというものかな…

 

 

Windows 7のちょっとお役立ち小技

右クリックメニューの「送る」に送り先を追加する方法

 

 「Windowsキー」と「Rキー」を同時押しすると「ファイル名を指定して実行」が出てくるので、名前に「shell:sendto」と入力して「OK」すれば、エクスプローラのフォルダが開く。これが「sendto」フォルダである。

 ここに送り先のアプリやフォルダのショートカットを作れば送り先にできる。

 ショートカットはこのフォルダで実行ファイルを指定して新規に作る必要がある。ディスクトップなどにある既製のものをドラッグして来ても機能しない。

 ただし、Windows付属の「メモ帳」などのアプリやフォルダは、既製ショートカットのドラッグでも機能する。

 

 

 この「送る」を使ってアプリを立ち上げると、たとえばExcelの場合、ファイルごとに違うExcelを使えるので便利なことがある。ダブルクリックで複数のファイルを立ち上げると同じExcel内に入れ子になってしまうので、赤×押しすると他のファイルも同時にすべて終了してしまうのだ。この「送る」で立ち上げた場合は、同時に立ち上がっている他のファイルは別のExcelなので、道連れにしてしまう虞れが無い。

 ただし、この方法で立ち上がっている二つの以上のExcel間でシートのコピー貼り付けを行うと、セル幅や高さの書式が付いて行かないなどの不都合もある。状況に応じて併用することが肝要…

 

スタートメニューの「すべてのプログラム」にショートカットを復元または追加する方法

 

 スタートメニューにある「すべてのプログラム」にはアプリケーションを起動するショートカットが置かれているが、これは簡単に削除できてしまう。これを復元したい場合や、未登録のものを新規に表示させたいときには、「スタートメニュー」フォルダに表示させたいアプリ等のショートカットを置けば、「すべてのプログラム」に表示されるようになる。

 「スタートメニュー」フォルダの在る場所は、C:\ProgramData\Maicrosoft\Windowsである。

 

 

 

 

 

Virtual PC 2007に、旧OSたちをインストールする

 

 2002年以来7年ほど使い続けて相当に挙動がおかしくなっていたPCを、2009年12月に最新OSであるWindows 7 proの入った新型機に更新したのを機会に、引退した旧PCVirtual PCを構築して、今のOSでは作動しない旧ゲームを作動できる環境の構築を目指しました。

 亭主の旧PCはエプソンダイレクトのAT920Cというコンパクトディスクトップです。Pentiam4 2.6MHz搭載のこの旧PC内に 前は外付けにしていたバックアップ用120GBHDDを取り付け、RAM1GB増設して総容量1.5GBとなったところで、付属のリカバリーCDを用いてWinows XP proを再インストールしました。最新のチップセットドライバーや夥しい数の更新ファイルをダウンロードしたりしてSP3にしたところに無料でダウンロード出来るVirtual PC 2007を導入して、その中に手持ちの旧OSをインストールする作業にとりかかりました。

 新PCWindows 7 proにはWindows Virtual PCというものをWindows XP proモードとともに無償で導入できるのですが、この仮想PCは、PCにレガシーFDDが無いとFDからセットアップする旧OSがインストールできないという代物です。今時のPCにはレガシーFDDが無いのが主流ですから、単に無償提供されるWindows XP proモードを使うためだけの簡易版という感じです。FDCDのイメージファイルからもインストール可能なVirtual PC 2007を用いて仮想PCを構築するほうが使い勝手は優れています。

 Virtual PC 2007上には、亭主所有のMS-DOS6.2Windows 3.1、Windows 95製品版、Windows 95 OSR2.1およびWindows 98製品版をインストールします。それぞれ別の仮想PCを構築してインストールすることで、切り替えて手軽に使える環境となります。

 でも、ホストPCとゲストPCとの間のデータの受け渡しに関しては、共有フォルダーを利用するという道があるのですが、これについてはWindows 98以降のOSにしか提供されていません。Windows 95以前のOSの場合、ゲストからホストへはFDでしか渡せないのです。ネットワーク環境を整備して、それ経由で行うという選択肢はありそうですが…

 

● 「MS-DOS 6.2」のインストール

 まず最初にMS-DOS 6.2をインストールしました。これは簡単で、正規のシステムFD6枚を指示に従って次々と交換していくだけで完了します。 その過程でFDISKやFORMATも実行されます。このことを意識しなくてもインストールできてしまう…

 仮想HDDにはC:のドライブレターが付いて認識されます。パスの通ったC\DOSディレクトリにはDOSの諸システムファイルが格納されます。でも、この状態ではCD-ROMドライブは認識されていません。これをOSが認識して使えるようにするためには、C:\にあるConfig.sysCD-ROMデバイスドライバーを設定し、MSCDEX.EXEをインストールしなければなりません。 このためのスキルが必要に…

 CD-ROMデバイスドライバーはMS-DOSには入っていませんから、どこかから調達するしかありません。これが最初の関門です。これはシステムがCDに入っているWindows 95Windows 98をインストールするときにも必要ですから、何としても乗り越えておかねばなりませぬ。 この時代のCDはCD-ROMブートに対応していないのだ…

 

 亭主の旧PCには、リコーがOEM生産した「RW5125A」というDVD+RW/+RIDE接続光ディスクドライブを装備しています。これ用と特定されたDOSリアルモードデバイスドライバーは、PCメーカーのサイトにも、製造したリコーのサイトにも乗っていないので、他社の互換性があるものを使うしかありません。亭主の場合は、Windows 98のインストールFDの中に汎用品としてOAK社のものがあったのでそれを使用しましたが、システムCDは残っていてもインストールFDが紛失したり、壊れていたり(これが結構多発する)した場合は、使えるデバイスドライバーをどこからか拾ってくるしかありません。

 ネット上を漁ると、汎用性のあるデバイスドライバーが相当の種類ころがっています。そんなものの中では、亭主の機種ではIBM用や、NECと韓国企業が多用している今は無きOAK社系のデバイスドライバーが適合するようです。この同類のドライバーは 、上記のようにWindows 98の\windows\commandに格納されています。松下寿など松下系3社のものや、ティアック、パイオニア、ケンウッド、日立、東芝用のものは全滅です。NEC用のハイポイント製のものは使えます。

 このように、どの機種でもが使えるということではないというのが厄介ですが、ここはあれこれ試してみるしかないでしょう。Config.sysの実行で組み込めさえすれば作動するようです。

 調達したデバイスドライバーはC:\CDROMというディレクトリを作ってそこに格納します。これはどこに格納してもいいのですが、このようにすると分かりやすくなります。使うデバイスドライバーの名称は、仮に「shisanCD.SYS」とします。 なお、このデバイスドライバー・ファイル名は、実際に書き換えても機能します。自分の好きな名称に変えるのも一興…

 Config.sysに追加する行は、以下のとおりです。これを行なうためのDOSに関する知識が無い人には、この先の作業は到底無理ですから、まずはよく勉強してからのことにした方が…

 

   device=C:\CDROM\shisanCD.SYS /D:MSCD001

   install=C:\DOS\MSCDEX.EXE /D:MSCD001

 

 2行目はAutoexec.batに以下のように追加しても可です。

 

   C:\DOS\MSCDEX.EXE /D:MSCD001

 

 「/D:MSCD001」というのは、OSが認識するときのドライブの固有名で、2バイト文字8字以内で任意に付けられます。 たとえば「shisan01」とかでも良いのです。CD-ROMドライバーとMSCDEX.EXEとの間で共通認識するためのものという役割でしょうか…

 

 なお、C:\にあるconfig.sys等の書き換えの方法ですが、システムFDを作ってそれを利用すると簡便です。 そのシステムFD内のファイルをホストPCのメモ帳で書き換え、autoexec.bat内に 、その書き換えたファイルをC:\に書き込む下記の命令文(copy)を記入しておくことで 、再起動によって簡単に書き換えが行なえます。この手軽さがVirtual PCの最大の利点かも…

 

   COPY A:\confoig.cd C:\config.sys

 

 システムFD内のconfig.cdという名称にしたファイルに必要な命令文を記入しておけば、これでCドライブのConfig.sysの書き換えができます。

 

 亭主所有のシステムディスクはOEMバンドルされていたもののせいか、MOUSE.COMが入っていません。入っているらしい製品版でも、インストールのときには、 そのPCで既存で使っていない場合は解凍しない仕様になっているようです。DOS/V用ゲームのなかにはマウスの使用が前提のものもありますから、無いと困ります。

 MS-DOS 6.2/V に添付しているマウス ドライバのバージョンは 8.21J とのことですが、これの入手が困難です。8.20ならネット上に転がっているのですが…

 

● 「Windows 3.1」のインストール

 

 Windows 3.1、DOSGUIの性格が強いOSです。19935月に日本版は発売されましたが、亭主は発売日(12)に秋葉原でNEC版を購入して、職場のPC9821にインストールしました。当時のPCNEC9800シリーズが圧倒的なシェアでしたから 、どこでもこれだった…

 このOSをインストールするためには、事前にHDDにDOSがインストールされていなくてはなりません。当時の最新バージョンであるMS-DOS 6.2は、Wndows 3.1のシステムFDとは別売りでした。

 より高度に使うためには、メモリを1MB足らずしか管理できないOSの制約上、その少量のメモリ内に常駐するDOSのためにシビアなメモリ管理が必要で、config.sysなどの記載内容を最適化するスキルが求められますが、DOS上でMEMMAKERを実行すると、最適化は 容易です。

 正規版FD12枚からなるOSのインストールは、HDDDOSを立ち上げ、A:に移動してSETUPと入力すれば始まります。あとは指示どおりにFDを入れ換えます。3枚目を読み終わるとGUIが起動し、以後はグラフィカルなWindowsの画面になります。

 なお、キーボードや解像度などの基本設定を変更すると、その都度システムFDを数枚要求されますから、FD1枚ごとのディレクトリ(FD01とかFD02とか命名する。)を作り、その中にFDの中身をコピーしておくと、いちいちシステムFDを用意しなくても対応が容易です。ちょっとした手間ですが、これをしておくと、後々随分と役立ちます。FDが壊れて読み込めなくなったときには、これをFDにコピーすれば再生が可能という利益もあります。

 また、そのファイル群全体を一つのディレクトリ内にコピーしておくと、そのディレクトリ内で「SETUP」を実行すると再インストールが容易にできます。このことから、そのディレクトリをCDに焼いておくと、システムFDが老化によって破損したとしても 、インストールが可能な状態を長く保てます。Virtual PC内ゲストPCにインストールしたWindows 3.1のディレクトリ全体を一遍にホストPCに移す技が無いので、これをするのには膨大な手間が必要ですが…

 MS-DOSのシステムFDも、FDごとのディレクトリを作ってその中にコピーしておくと、FDの破損からの再生が可能です。インストールするHDDへのシステムの転送用に、同一バージョン起動FDを用意しておく必要がありますが…

 なお、これらのFDやCDを仮想化して保存しておくという選択肢もあります。Virtual PC 2007なら、ホストPCから仮想FDDやCDにイメージの装填が可能です 。

 

● 「Windows 95」のインストール

 

 当時亭主が所持していたDOS/VPCにはWindows 3.1がインストールされていましたから、1995年の発売時にグレードアップ版を購入してインストールしました。そのため、正規のインストールFDは含まれていなかったらしく、残っていません。でも、やはり当時購入したノートPCにバンドルされていたOEM版Windows 95用のインストールFDが残っており、これを改造して作りました。 このインストールFDはPC販売会社が作ったらしく、DOSの標準プログラムファイル以外にも実行ファイルが入っていて、ウィルス対策ソフトからトロイの木馬と言われてしまうものも含まれています。メモリ内に留まって実行の機会を待つ挙動がそうされる原因なのかも…

 クリーンインストールは以下の手順で行います。

 

1 必要なDOSのファイルを格納したシステムFDでDOSを立ち上げる。システムFDのDOSのバージョンはWindows 95と表示されるものを使いましょう。中に格納するDOSファイルも、そのバージョンのものを使うこと。必要なDOSファイルとConfig.sysとAutoexec.batはこれ…

2 コマンドプロンプトA:\に「FDISK」と入力・実行し、HDDに領域を確保する。Windows 95マイクロソフト製品版の場合はFAT32がサポートされないので、大容量領域が選択できるFDISK.EXEでもそれは選択しないこと。このバージョンでは認識できない。

3 Virtual PCのCtrl+Alt+Delをダブルクリックして再度システムFDでDOSを立ち上げる。

4 CドライブやCD-ROMドライブを認識していることを確認してから、コマンドプロンプトA:\から「FORMAT /S C:」と入力・実行し、DOSが認識したHDD(Cドライブ)を起動用にフォーマットする。

6 CD-ROMドライブにシステムCDを挿入してから、コマンドプロンプトA:\にCD-ROMドライブ名を入力・実行してそのドライブに移り、コマンドプロンプトに「SETUP」と入力・実行するとインストールが始まる。

 

● Windows 95 OSR2.1のインストール

 

 これはインストールFDが残っていたので、そのままインストールできました。

 

● Windows 98のインストール

 

 亭主所有のこのOSは、当時所有していたPC9821のために購入したグレードアップ版で、DOS/VとPC9800用が1枚に入っていたCDです。インストールFDはPC9821のために作ったものしか残っておらず、Config.sysなどが少し違っていて、そのままではインストールにたどり着けませんでした。それで 、最初はWindows 95からのグレードアップインストールを行いました。こんなことが気軽に行えるのは、Virtual PCならではです。

 その後、Windows 98から作成できる起動ディスク2枚組を作成したのですが、これはHDDが既に領域設定され、フォーマットされているのが前提になっていると思われる内容の起動ディスクで、新設のHDDにクリーンインストールするためには、少し分かり難い内容になっています。ある程度DOSのスキルが無いと、 これでクリーンインストールは難しいかも…

 

 2枚組の起動ディスクの1枚目をA:から立ち上げると、Config.sys上の英文分岐メニューが出てきます。これは英文ででしか作れないのでしょうがない…CD-ROM組み込み用が「1」で、組み込まないのが「2」です。「3」はヘルプファイルを表示します。

 新設のHDDにクリーンインストールするのがVirtual PCでは当然なことですから、このメニューでは「2」のCD-ROM組み込みをしない方を選びます。その方が以後の挙動が速い…後は、指示通りに2枚目を差し替えて読み込ませるとコマンドプロンプトが出て、それで終了です。指示を待っても、このままでは何も起きません。

 指示はありませんが、FDを1枚目に差し替え、コマンドプロンプトをA:にして「FDISK」と入力・実行すると、HDDの領域設定が始まります。 大容量領域を選択して領域設定を行い、Escキーで終了し、そのまま再起動します。

 今度のメニューも「2」を選択し、2枚目が終わってコマンドプロンプトになったら、1枚目と差し替えて「FORMAT /S C:」と入力・実行します。これでHDDがDOS起動用としてFAT32でフォーマットされます。メニュー「2」でないと、FORMAT.EXEを実行するためのメモリーが不足してしてしまうようです。

 また再起動すると出てくるメニューは、今度は「1」を選択してCD-ROMを使えるようにします。2枚目が終了したら1枚目と差し替えて、システムCDを装填してからE:(CD-ROMのドライブ)に移動して、コマンドプロンプトに「SETUP」と入力・実行しします。これでシステムCDからインストールが始まります。

 この手順は詳細な理由の書かれている解説書が無いと、初心者には無理なことだと思われます。DOSのスキルが必要不可欠な時代なのでした…