自作アクセサリー自慢

 

… 前書き …

 カメラのためのアクセサリーはたくさん上梓されていますが、そんな中にも無いものや「高価」なものは、自分で何とかするしかないでしょう。そこで、既存のアクセサリーにいろいろと改造を加えたりすることで、使える便利道具が次々と生まれています。そんなものを紹介してみようと思います。

… 目次 …

ケーブルレリーズ変換アダプター(異種プラグ変換機能付き)

Kマウント⇔P(S)マウントリバーシブルキャップ兼マウントアダプターKホルダー

O-ME53用アイピースシャッター

ストロボ・デフューザー

ダブルレンズマウントキャップ

携帯用外部電源

オートベローズ連結ネジ棒

リバースリングライトホルダーS

リバースリングライトホルダーK・52o

インナーワンタッチ型レンズキャップ

Sマウントヘリコイド接写リング用マウントカバーリング

ライカLマウント引伸しレンズ取り付けアイテム

ライカLマウントレンズ用ヘリコイド

延長ストラップ

超小型三脚と一脚を結合してストロボスタンドなどに使える自立一脚を作る

望遠レンズサポーターを利用してカメラ側あおり装置を作る

ベルボンQRA-6Lで使えるアルカスタイルのクランプ

DIN規格のベルボンQB-145を、アルカスタイルクランプで使えるようにする

玄関に戻る

● ケーブルレリーズ変換アダプター (異種プラグ変換機能付き)

  

 究極の接写道具であるオートベローズの機能を完璧に使うためには「ダブルレリーズ」が不可欠です。ところが、K-7などの今時のカメラには 、シャッターボタンにケーブルレリーズを取り付ける仕組みがありません。 それが単なる電気的な押しボタンスイッチになってしまったからです。

 そこで、今時のカメラにおける外部からの遠隔操作であるレリーズ・スイッチ用のソケットを使って「ダブルレリーズ」を取り付ける方法を模索することになります。残念ながらPENTAXからは、そのためのアクセサリーが用意されていません。でも、Canonからは、旧ソケット用ですが変換アダプター(ケーブルレリーズアダプターT3)が販売されていました。これを利用してK-7などで使える変換アダプターを作ったのが左上の写真です。 カメラに接続するプラグが異なるのでコードを途中で切断し、そこに市販の「3.5o径ステレオ・ミニ」プラグを取り付けています。こうすることで、その先に様々な機種のカメラに適合したプラグを繋ぐことができるのです。なんと、PENTAXだけでも4種類以上の異なるプラグがあるのですから…

 右上の写真は、PENTAXの「ケーブルスイッチ F」を改造して変換アダプターを作ったものです。このハンドセットは少数派の縦型なので、押しボタン部を取り去ったあとに 「ケーブルジョイント」を装着することで、比較的簡単に改造できます。

  

 必要なのは左上の写真のような下駄状部品を木で作る若干の工作ですし、このハンドセットにはマイクロスイッチが使われていますから、ゴリゴリした感じのCanonの変換アダプターより操作感は遥かに良好です。これに取り付けたプラグは「3.5o 径ステレオ・ミニ」です。

 この 「異種プラグ変換システム」を構築したことで、右上の写真のようにタイマー付など各種のハンドセットと異なったソケットのカメラを結ぶことができるようになりました。亭主は 常日頃互換性、汎用性ということを重要視しています。旧ミノルタ、現αのホットシューなどのように、たいして意味も無く独自仕様にする独り善がりの設計思想には、唾棄の念を抱かずにはいられません。

 なお、上記Canonの変換アダプターは既にカタログから落ちています。量販通信販売のカタログからも落ちています。いよいよ中古市場で調達するしかないようです。

 上記のようにプラグを付け替えるなどコードを加工する場合、注意すべきなのが極性です。テスター等を使用してプラグ等の極性と一致させる必要があります。K-7などに使われている「2.5o 径ステレオ・ミニ・ミニ」プラグの場合、先端の中心電極がレリーズボタン全押し時の 「+」で、側面電極の前部分がレリーズボタン半押し時の「+」です。側面後半部分は共通の「−」(グランド)となります。

 コードは、一般的には2芯の周囲をシールド編線で覆っているものを使っています。シールド編線が「−」(グランド)であるのは共通ですが、2芯の白色(または青色)と赤色のうち、全押しにどれを使っているかはメーカーによって異なっていますから、事前の導通確認が必要です。

 なお、通常のハンドセットに付いているコードに市販の「2.5o径ステレオ・ミニ・ミニ」プラグを取り付けるのは、コードが太すぎてとても困難です。市販「3.5o 径ステレオ・ミニ」プラグなら比較的容易に取り付けられますから、素人工作で異種プラグ変換アダプターとする場合は、こちらの方がずっと楽です。

 PENTAXが*istシリーズ以降のカメラに使う「2.5o径ステレオ・ミニ・ミニ」プラグは、それをモールド取付したコードが市販されていますから、 それを使えます。MZシリーズなどに使われていたFプラグは 、「ケーブルスイッチ F」から切断して使います。中判カメラやMZ-S用のワンタッチプラグは、「レリーズタイマースイッチTS-110」から切 り取りました。MEシリーズのワインダーMU用なども作ってあります。

 「3.5o径ステレオ・ミニ」プラグから「2.5o径ステレオ・ミニ・ミニ」プラグに変換するブロックも市販されていますから、*istシリーズ、Kシリーズ等のカメラにならこれを使えます。「3.5o 径ステレオ・ミニ」プラグ ・ソケットの延長コードを用意すれば、遠隔レリーズも容易になります。

 市販の三極ソケット「3.5o径ステレオ・ミニ」などに2芯シールド線を取り付けるときには、ソケットのどの端子に2芯を取り付けるのか、導通確認が必要です。この場合、ソケットにプラグを挿入し、プラグの端子との間でテスターにより確認すると容易です。

 三極プラグや三極ソケットの端子に電線を半田付けするときには、最初にシールド線を仮止めし、それから2芯を半田付けすると作業が容易です。2芯の出の長さを適正にしておくのが大前提ですが…

 なお、市販モールド済み「2.5o径ステレオ・ミニ・ミニ」プラグの配線は、先端電極が白線で、2番電極が赤線、3番電極がシールド線であることが多いようです。

 また、市販「2.5oステレオ・ミニ・ミニ」プラグの端子配置は、3番電極が後部に伸びたシールド線用で、それを下にして横たえたときの左側端子が先端電極、右側端子が2番電極であることが多いようです。そして、その左側端子は白っぽいクローム色、右側端子は赤っぽい薄銅色ですから、左側端子には白線、右側端子には赤線を接続すればよいことになります。

● Kマウント⇔P(S)マウントリバーシブルキャップ兼マウントアダプターKホルダー

 P(S)マウントレンズたちを使うためにマウントアダプターKを取り付けたカメラをレンズを外して持ち運ぶ場合、マウントキャップはP(S)マウント用のものを使います。でも、アダプターKを取外すと、今度はKマウント用のものが必要になります。そこで、両方に使えるリバーシブルのマウントキャップを考案して自作しました。P(S)マウント側は取外したマウントアダプターKの保管場所にもなる超スグレモノです。

 製造法は至極簡単です。市販のKマウントボディキャップとP(S)マウントボディキャップを、背中合わせに床材接着用などの厚みと弾力のある両面接着テープで貼り合せただけです。工作に必要な道具は、両面接着テープを適当な大きさに切るための鋏のみ…

 

● O-ME53用アイピースシャッター

  

 写真のように、ごく簡便なアイテムですが、実用新案級のスグレモノと自画自賛しています。スライドさせるだけですから、ファインダーからの逆入光を避ける必要がある三脚リモートAE撮影には絶大な効果…

 素材は3.5inchフロッピーの外殻が薄くて、丈夫で、黒くてと、至極手頃です。鋏と鑢だけで工作が可能だし…

 後日談です。これをカメラに取り付けて携帯していると、シャッター片がずれてアイピースを覆ってしまうことがあるのです。カメラを構えて覗いても見えないとか、見え難いとかが頻発するのです。これを改善するために、シャッター片の両面に黒色弾性接着剤を塗布・乾燥させました。それで滑り難くなって、至極良い塩梅です。

 

● ストロボ・デフューザー

 市販のストロボ・デフューザーは高価です。単に光を減散するだけなのですから、乳白色のポリ袋を何層か重ねて調光したらいいのだろうと考えて自作しました。結果は…大成功です。ダンボールで枠を作り、何層か重ねた乳白色のポリ袋の間には薄手のパッキング材を挟んで、最後に黒のガムテープを一巻きして出来上がり…

 厚手白ポリ袋は東急ハンズの包装袋です。原料費はほとんど0円…製作も簡単ですから、幾つも作って、ほとんど使い捨て状態…

● ダブルレンズマウントキャップ

  

 交換レンズをウエストバックなどで携帯する場合、このようにレンズマウントキャップを背中合わせにすると、2本裸で携帯してもぶつかり合ったりしません。ちょっとしたアイディアなり…

 レンズキャップ同士を接着剤や両面接着テープだけで固定した場合、重くて長いレンズ同士だと剥がれる恐れがあります。このようにビス止めすれば安心…

● 携帯用外部電源

 「*istD」の外部電源ソケットは汎用品なので、乾電池などを利用した携帯用外部電源が容易に作れます。これはニッケル水素二次電池5本(約7V〜5V)を使うもので、3組を並列にすることで大容量を確保できます。電圧が5Vになるまで使え、 このときには電池容量のほとんどを使っていることになるので、驚くほど大量の撮影が可能です。全ショットストロボ使用でも、電池切れなどまったく心配無し…

 ちなみに、純正の外部電源装置は6.5Vです。

 電池ホルダーは6本直列用(東急ハンズなどで容易に入手可能)ですから、1本分を50o長ボルトで手軽にショートカットしています。マイナス側に嵌め込んだだけですが、これでショートもしません。電導性の良い真鍮やアルミ棒を使えばなお良いのかも…

 ニッケル水素二次電池を6本直列に使うと、完全充電状態では電圧が高すぎて*istDは作動しません。安全のためには5本にとどめる必要があります。4本では、外部電源として ではほとんど作動しません。

 このセットの製作には特別な工具は必要ありません。電線を切る刃物ぐらいです。電線同士の結合部分の導通をより良くしたいのなら、半田 付けをするのもいいかも…

 要求電圧の高い「K10D」は、外部電源ソケット形状を特殊なものにしています。そのプラグを入手するのは一般的ではありません。安価で入手出来さえすれば 、「K10D」用の携帯用外部電源も作りたいのですが…専用電池の持ちがよいので、あまり必要性を感じていない、というのが本音かも…

 なお、「K10D」の純正外部電源は8.3Vです。電池は公称7.4Vですから、ニッケル水素電池を使うのなら7本直列が適正でしょう。8本直列用ホルダーを使えば成立することになります。

● オートベローズ連結ネジ棒

 複数のオートベローズを連結すると、繰出量を増やしたり、長焦点の凸レンズで望遠レンズを作ったりというように、色々と遊べます。蛇腹同士は接写リングで結べますが、角レール同士は端のネジ穴を利用してM4ネジを切った棒で結ぶことができます。 そのM4ネジ棒の制作は…長いM4ボルトを切断するだけ…

 それぞれの三脚座で重量を支える必要がありますが、角レールを連結しておけば、どれか一つの三脚座を操作することで全体を動かすこともできます。操作は少し重いですが…

● リバースリングライトホルダーS

  

  ベローズやヘリコイド接写リングなどを介して逆付けした交換レンズにリングライトを取り付けるためには、そのためのアダプターが必要です。Kマウントのものなら以前純正品が上梓されていたので、店晒しの在庫を探したり中古市場で調達することも可能ですが、P(S)マウント(M42)のものは存在しません。タクマーを逆付けする機会も多いので、そこで自作の手が必要になります。

 P(S)マウントの雌を用意し、それにフィルター枠を取り付ければよいのは自明のことですが、その素材を何にするのかが亭主の旨とする手軽さには重要な要素です。現時点で最も普遍的かつ簡便なのが、純正のP(S)マウントオート接写リングから周囲の芋ネジ3本を緩めて雌部を抜き取り、それを古いケンコー製52oフィルターのガラスを外した枠内に接着する方法です。両者はお誂え向きという言葉がそのまま当て嵌まるほどぴったりなので、何の追加加工も要さずにエポキシ接着剤だけで結合できます。フィルター枠にはガラスを押さえていたCリングを戻しておきます。できたら 、ガラスが無くなった溝にCリングをもう1本追加すると完璧です。

 亭主が所持するリングライトは付属のアダプターが49oと55oだけなので、左上の写真には52→55ステップアップリングを組み合わせています。 右上の写真は、52→49ステップダウンリングとの組合せです。

 なお、これを2つ作ると、オートベローズのカメラ台座にレンズを取り付けるマウントとすることができます。

● リバースリングライトホルダーK・52o

 純正のリバースリングライトホルダーKは49oですが、純正品の販売が終了して時間が経ち、新たに入手することが困難となっています。でも、レンズ逆付け時にリングライトなどのアクセサリーを取り付けるためには必要な品でもあり、他にもカメラ弄りのためにはいろいろと役に立つ存在なので、自作の方法を模索していました。

 Kマウントの雌部としては接写リングがすぐに浮かびます。これを利用することで自作が可能になるはずです。3個セットの接写リングですが、2と3がこの自作資材として利用できます。

 接写リングを正確に輪切りにするのが工作上の難点です。旋盤などを利用できる人は容易でしょうが…

 ステップダウンリング58-52を胴内に接着することで完成です。エポキシや弾性接着剤で接着力は十分です。

 なお、接着するステップダウンリングのサイズを変更することで他の口径のものを作ることが可能です。58oが必要なら、58oフィルターの枠を利用することで作れます。

● インナーワンタッチ型レンズキャップ

 

 市販の安価な汎用品レンズキャップのインナー部は指掛かりが浅く、滑り易いのが難点です。これを改善するために、指掛かり部にカッターナイフで何本か溝を刻みました。これだけのことでとても滑り難くなって、操作性が段違いです。こうしてカスタマイズし、写真用紙を使って自作したシールなどを貼ると、愛着も湧きます。

 なお、PENTAXの純正もこのタイプの新型になりましたが、それは指をかける部分が直線状なので、この品よりもはるかに滑り易く、何らかの加工をしないと 、そのままではまったく使い物にならないと言っても過言ではないでしょう。ここで紹介しているように溝を刻む方法でも良いのですが、もっと強力確実な方法として、荒目の布ヤスリを両面接着テープで貼り付ける方法が簡便で体裁も良く、 何よりその効果が絶大です。

● Sマウントヘリコイド接写リング用マウントカバーリング

 Sマウント時代のヘリコイド接写リングは薄いため、引伸機レンズを流用するときに焦点距離75oのレンズまで無限遠が出せます。

 でも、カメラ側のマウント外径がKマウント口径より小さいので、マウントアダプターKを経由するとガタがあり、光漏れもします。そこで、マウントを覆うドーナツリングを作りました。

 1o厚のアルミ板を用いて外径60o、内径42oのリングを切り出しました。作り方は、デバイダーでケガいた線に沿ってドリルで近接した穴を開けていき、その穴同士をニッパで切りつなげてからヤスリで仕上げたものです。これでガタも無くなり、光漏れもありません。

 なお、マウントアダプターKはストッパーのスプリングを外してありますから、脱着のときにカメラ側に残りません。ドーナツリングにストッパー用穴を開け てマウントに接着すれば完璧な仕事になりますが、他への流用も視野に入れているので、今回はパス…

追記:現在はフランジ付きマウントアダプターを入手しているので、出番は無くなりました。

● ライカLマウント引伸ばしレンズ取り付けアイテム

 

 

 オアシスのM42→M39アダプターを使って、フィルター雌ネジに引伸しレンズを装着できるアダプターを作りました。作ったというより、その組合せを発見したという程度ですが…

 ステップアップリング「49o→55o」の中に、オアシス(BORG社)のフランジ付アダプターがすっぽりと収まります。そのフランジ部をステップアップリング「55o→58o」で押さえているだけです。これの用途は、光学系と絞りユニットを取り去った49o径レンズ鏡胴にセットして、鏡胴のヘリコイドを利用して引伸しレンズのフォーカシングを行うというコンセプトです。52o径鏡胴を利用するなら、ステップアップリングの「49o」が「52o」になります。

 工作に接着は一切行わないので、分解すればすべて元の素材に戻ります。さらに、ステップアップリング「49o→52o」とステップダウンリング「52o→49o」を組み合わせたり、49oフィルター枠などを利用することで、無限遠調整用のエクステンションが作れます。これで複数の焦点距離の引伸しレンズにフォーカス装置ができるというコンセプトです。利用する鏡胴は、M 1:1.7 50o なら光学系と絞りユニットがすっぽりと抜き取れますから一番簡単です。全長も31oと短いので、フランジバックの調整余地が大きいし…

 写真のレンズはLUCKY 90o F1:4.5です。この組合せで無限遠から1.2mぐらいまでが撮影範囲です。軽快で使い易い組合せです。

 

● ライカLマウント引伸しレンズ用ヘリコイド (焦点距離90o用)

  

 SMC Takumar 1:1.4/50 というレンズの光学系は、Kマウント化されてFAシリーズにまで使われた優秀なレンズです。でも、Kマウント化されたKシリーズやMシリーズのものは、貼り合せレンズが必ずと言えるほどバルサム切れする、何とも厄介な存在になってしまいました。ところが、このSMC Takumar時代のものには 、不思議なことにそれがほとんど発生しないのです。それで、これの健全な光学系をKマウント化されたものに移植するという手術をすることになります。レンズ玉の外形寸法は同一ですから移植が可能なのです。 ただし、Super Takumar 時代のものは移植が不可能です。

 レンズ玉を後輩の不始末の尻拭いのために抜かれた鏡胴は、そのままではただのゴミでしかありません。でも、ほんのちょっと工作を加えることで、このように引伸しレンズ用のヘリコイド装置として見事再生するのです。

 これは、Fujinar-E 90oを取り付けると無限遠が来るぴったりの長さで、ヘリコイドを繰出すと1.2メートル程度の近接まで使えます。使っているM39マウントリングは、引伸しレンズの保管用ケースを壊して取り出したものです。外周をヤスリで少し削って、鏡胴内筒の絞りユニットを取り出したところに嵌めています。固定の仕方は絞りユニットを固定する方法と同一で、外周3箇所の芋ネジで押さえています。接着していませんから、多少前後させて無限遠の調整が若干可能です。また、回転させてネジ込む入口位置を調整することもできますから、絞り指標を使い易い位置にすることができます。

 これがこんなにもお誂え向きだとは、改造した亭主自身も驚いています。写真はヘリコイドをいっぱいに繰出した状態です。ヘリコイドを縮めてもまったく干渉しません。現行のフジノンEXも装着できます。これなら、あえて高価なヘリコイド装置を購入する必要がありませんね…

● 延長ストラップ

 斜め掛け用のストラップというものはあまり流通していないので、このための延長ストラップを作りました。ME super用のストラップを切断して、それの金属製締め付けバックルで輪にして、三角環を付けただけですが…

 この三角環には、普通のストラップに鉄砲環などを取り付けたものでも付けられますが、ナス環や鉄砲環などの付いたショルダーバック用の取外し式肩ベルトを取り付けると、とても具合が良い斜め掛けストラップになります。それなら簡単に長さが調節できますから、必要なときにすぐに首掛け式にもできますし…

 右の写真のように切断したストラップの端に三角環を固定したバージョンも作りました。ストラップは黒い弾性接着剤で貼り付けています。これだけでも十分な強度があるのですが、念のため、脚の長い特殊なスティープルで止めています。糸で数目縫ってもいいでしょう。この方法なら、今時のプラバックルで取り付けが出来ます。

 上の例ではもっぱら体裁を重視してニコン巻きで取り付けています。しかし、この方法、別名「プロ巻き」と言う割には、抜けに対する耐性は今一のようです…

 斜め掛けをするために必要なストラップの特性としては、とにかく滑り易い素材であるということです。カメラを持ってアイポイントに持ち上げたときに肩で滑らないと、とても扱い難くなります。既成の首掛け・肩掛け用は裏に滑り止めが施してあるので、これはまったく向いていません。また、ストラップは細い方が滑り易いので、それだけ扱い易くなります。斜め掛けの場合、細くてもあまり負担に感じません。

 カメラのストラップは斜め掛けがベストであると亭主は悟っています。首掛けより断然楽ですし、片肩に掛けるのは落下事故の危険が高いですから…

●超小型三脚と一脚を結合してストロボスタンドなどに使える自立一脚を作る ( 余剰遊休機材の多用途活用法 )

  

 野の花などのマクロ撮影に使えるかと考えて以前入手したVelbonの「ULTRA MAXi SF」ですが、これは旅行などに携帯するのに便利な超小型三脚です。簡単に伸縮できて、雲台が取り外せる優れモノなのですが、残念ながら今は廃番になってしまいました 。これと40シリーズの一脚を組み合わせると、自立式の一脚が作れます。 このアイディアは、Velbonが2010年CP+のブースで展示していた新製品から頂いたものです。それを見た瞬間、3本所持している一脚など遊休機材の活用法として、すぐにこの組み合わせが纏まりました。

  

 組み合わせに用いる材料は、エツミの「雌・雌止めネジ」と、インチネジの「1/4吋ボルト・ナット」だけです。

 一脚の石突部のゴムを外し、パイプの中に1/4吋ボルトを埋め込みます。 ゴム石突とパイプの間に竹串などを挿入するだけで接着は剥がせます。エポキシ粘土などを利用すると、簡単にボルトを植えることができます。

 雲台部1/4吋雄ネジ同士をエツミの1/4吋「雌・雌止めネジ」で結合するだけで組み立ては完了します。三脚の方のネジが少し長いので、ヤスリで削って調節します。

 この組み合わせは、リモート発光させる外付けストロボのスタンドとしても使え、三脚も伸ばすと2メートル以上にまで伸びますから、天井付近から光を落とすことも可能です。遊休機材の活用法としては、かなり使える改造かと…

 なお、一脚の石突部は、外した元のゴムの中に1/4吋ナットをセメダインスーパーXなどで接着すれば、ほぼ前のように装着できますから、 三脚と一脚の組み合わせを分解すれば、元通りの一脚としても使えます。折畳傘の石突部を使っても良いですし…

 バッテリーグリップを取り付けたK-7だと、直立してのアイレベル撮影となると、この組み合わせでの自立設置では剛性的にかなりきびしいのですが、椅子に座った状態のアイレベルなら使える範囲です。観客席などでの利用には十分有効でしょう。三脚を立てるより 座った足回りが窮屈ではないので、何かと便利なアイテムかと…

 

●望遠レンズサポーターを利用してカメラ側あおり装置を作る

 ベルボンの望遠レンズサポーター「SPT-1」は、三脚座の付いた超望遠レンズをサポートする機材ですが、オイルフリュードFDHシリーズのビデオ雲台のクイックシューとしても使える便利アイテムです。これをオートベローズなどと組み合わせると、カメラ側あおり撮影を行える機器とすることもできます。

 あおり撮影においては、レンズ側をあおるより、カメラ側をあおった方が操作性が良いので、これはなかなか有効な改造です。

 カメラ取付部には小型の自由雲台を取り付けます。カメラをその自由雲台に取り付け、レンズ取付部に取り付けたオートベローズのレールからカメラマウント台座を抜いてカメラに取り付けます。レンズマウント台座はレールにありますから、自由雲台を操作することで、カメラのチルト・スイングが自在にできます。

 カメラ取付部の筒を上下させれば、ライズ・フォールが可能です。シフトが必要なら、自由雲台の下に小型の微動台を設置すれば可能になりますが、それを設けなくても、オートベローズのレール取り付けをカメラとは逆の左右に振ることで、相対的にシフトの効果を生み出すことも可能です。

 実際のあおり撮影においては、シフトというのはあまり必要が無く、近接撮影の被写界深度を稼ぐためにはチルトとスイングが有効です。建築写真などにおいて建物の上方すぼまりを補正するためにはライズ・フォールが有効です。

 疑似模型画像の撮影には、光軸に対してレンズ面を上に向けるチルトアップを使います。被写界深度をより浅くして、遠景をよりボカすためです。

●ベルボンのクイックベースQRA-6Lで使えるアルカスタイルのクランプ

 

 三脚の雲台というと、自由雲台、3ウェイ雲台(カメラ雲台)、ビデオ雲台が代表的なものです。このうち自由雲台、ビデオ雲台のクイック装置として国際標準と成りつつあるのがアルカスタイルのクランプです。これは約38o幅の台形断面のプレートの台形斜面を挟み込んで固定する方式ですが、クイックプレートを長辺方向にずらすことが可能なので、様々な長さのクイックプレートを使えるという点で汎用性が優れているのです。

 アルカスタイルと呼ばれるのは、アルカスイス社が自由雲台に採用していることからです。アルカスタイルのクイックプレートの中には、カメラの機種ごとに固有の形状に成型した製品が各社から市販されています。これらはカメラに対して装着安定性が高く、このうちL型プレートは縦位置撮影への切り替えにおいてことのほか操作性が優れているので、それを使うための雲台を用意する欲求が高まるというものです。

 亭主はこれまでベルボンのクイック装置に統一して使用してきました。この製品は機能性と軽量ということでは非常に優秀な品です。手持ちの全ての三脚や一脚の一部をこれにしているので、新たにその全ての雲台をアルカスタイルに変更することは資金的に困難です。そこで、既存のベルボンクイック ベースに取り付けてアルカスタイルクイックプレートが使えるようにする方策を考えました。そのためにはベルボンのクイックプレートQRA-35Lにアルカスタイルクランプを強固に取り付ければよいというアイデアが浮かんだのです。

 クイックプレートQRA-67LやQRA-35Lは上部のカメラ台と下部のクイックプレートとの2ピース構造です。下部クイックプレートは共通なので、分離したこれにアルカスタイルクランプを強固に取り付ければ目的のものは得られます。単に両者をネジ止めしただけでは回転してしまうことで緩むのが不安です。そこでクランプ下部に強力両面接着テープを貼り、その上でネジ止めしました。両面接着テープの水平方向の動きに対する抵抗力は強力で、これで回転は防げます。亭主が入手したアルカスタイルクランプは「KIRK」の3インチのものです。これの長辺は約72oなので、QRA-35Lの下部クイックプレートの長辺にぴったりです。この方法ならば、新たな機械的加工はほとんど必要とせずに 、通常の力では動かすことが困難な強力結合が得られます。

 ベルボンのクイックベースQRA-6LにクイックプレートQRA-35LおよびQRA-67Lを固定する方式は精度、強度ともに優れていて、ロック解除時の安全性も優れています。自由雲台などに直付けされているこれを利用したアルカスタイルクランプは、互換性の向上という点でことのほか優れた存在となるのでは…

 上の写真のL型プレートはK-7・K-5用の「KIRK」製です。付けたままでも横のドアの開閉や端子の使用とも干渉しない優れた形状です。K-7・K-5はレリーズスイッチ端子を右側に移していますから、これを付けたままで縦位置撮影ができるのです。設計にあたって 、この品の成立を予定していたのかも…

 なお、上記の方法で作る変換クランプは短辺方向のセンターが偏心してしまう欠点があります。三脚回転軸と光軸を交差させたい場合などのようにこれを嫌う場合は、少し重量が増しますが、クイックプレートQRA-67Lのカメラ台に直接3インチクランプを取り付ける方法があります。両面接着テープを併用すればこれも強固な結合ができますから、間にゴム層が入っても支障は無さそうです。

●DIN規格のベルボンQB-145を、アルカスタイルクランプで使えるようにする

 正規のアルカスタイルプレートは、どれも高価ですし、まだ入手も容易ではありません。安価で入手し易い他のもので代用出来れば、これは懐に優しいものになります。そこで、人柱となる気概を持ってDIN規格を謳うベルボンのQB-145を入手し、使えるかどうかを検証して見ましたが、その結果は、そのままではまったく使えないということが判明しました。蟻型の幅が少し大きく、アルカスタイルクランプを最大に開いても入らないのです。残念…

 覚悟して入手したものの、これを使える雲台を持っていないし、持つつもりもない亭主としては、みすみす無駄にするのは業腹です。そこで、工作を施すことで何とか使えないかと思案観察して、もう少しで入りそうな蟻型を削ることを思い付きました。

 蟻型斜面の角度も異なっていることから、入っても固着がうまく行くか確証は無かったのですが、正方形の蟻型の一方向の両面斜面を均等に削りました。その方法は、平らな台上に平ヤスリを置き、その上で蟻型斜面を気長に擦ることで研削したのです。

 材質は軟らかいので研削は容易です。蟻型斜面と平行に擦るというのがもっとも必要なスキルです。一定の角度を付けて保持するのです。でも、包丁砥ぎの名手を自認する亭主には、さほど困難なことではなかった…

 ベルボンQB-145は同社得意の組立構造で、下部蟻型と上部カメラ台をM4皿ビス4本で結合しています。カメラ台上面のゴム板を剥がすことでビスに取りつくことができます。ゴム板は粘着剤で貼ってあるので、角からゆっくりとめくると剥がせますし、そののままで再利用もできます。カメラ台端が盛り上がっているのでゴム板はずれません。折り畳み式ハンドルが付いたカメラネジ(U1/4-20)は、Eワッシャを外すことで分離できます。ペンチなどの先端を使えば、Eワッシャは簡単に外せます。

 アルカスタイルのクイックは、ジッツオの駄目クイックのように横からスライドして入れるだけではなく、少し大きく開くことで上部からも入れられるのがメリットです。これを出来るようにするためには、蟻型斜面を相当大きく削らねばなりません。それに耐えうるだけの厚みが無いので、程々に止めておかねばならないのです。その状態では、上方から入れるだけの幅にすることができません。最初は、ジッツオ並みに横からのスライド装着だけで満足するつもりでしたが、アルマイト層を失った軟らかい削り面にできるクランプ圧痕を見て、その少し下部まで垂直に削り取れば、上方からも入れることが可能になるのではと気付き、その加工を施しました。その結果、見事上方からの取り付けが可能になりました。これで十分実用になります。折り畳み式ハンドルでの取外しがとても具合のよいものなので、軽負荷の汎用プレートとして大いに役立ちそうです。

 なお、プレート幅が規格より大きいため、プレート中心はクランプ中心から偏心してしまいます。これを前提とした使用が求められます。