Vol.002…風鈴市 (神奈川・川崎大師)


年に一度の人間ドックの検査のためお休みをいただいた平日。
検査を終えた脚で、カミさんに誘われて、ちょうどこの7月20日から
24日の日曜日まで開催されている川崎大師の「風鈴市」に出かけ
てみました。
ここを訪れるのは昨年1月の初詣の厄払い以来、1年半ぶり。
あの時は、大本堂の板の間で1時間あまりお護摩の修行。
5日後に椎間板ヘルニアを発症して入院してしまったわけですが、
修行が終わったあとの腰の痛みは、発症の予告だったのか、それ
とも修行が発症の呼び水になったのか? その辺はよくわかりま
せんが、とにかく、そんな時以来の川崎大師です。

朝から曇りがちで、暑さも湿度も低め。ほどよく風も吹いて、意外と
快適な平日の昼間でした。
山門(大山門)まで続く仲見世通りでも風鈴の音は聴くことができ
ましたが、「風鈴市」は山門の内側で開催されています。山門を
くぐり大本堂を目の前にした途端、その右手から一斉に鈴の音が
響いてきたのでした。

川崎大師のホームページによれば、全国47の都道府県から750
種類、23,000個の風鈴が出品されているのだそうです。
訪れた7月22日は、イベントも催された初日と2日目を終えた3日目
でしたから、この日まで"23,000個"というわけではないでしょう
が、それでも青いビニールシートが屋根代わりに張られたテントの
中には、それはそれは数多くの風鈴がかけられていました。
幸いにもこの日はそよ風が吹き抜けていたので、その強さに合わ
せて、一斉に涼やかな音色が響き渡っていました。

ボクが子供のころ住んでいた目黒の家にも、父方の田舎の静岡
の家にも、緑色をした釣り鐘の形をした風鈴が下がっていて、とき
おり澄んだ音を響かせていましたから、ボクがイメージする"風鈴"
は、銅に吹いた緑青(ろくしょう)のような色をした鉄製のものです。
(実はそれを青銅製だと思っていたのですが…)
ところが、風鈴というのは、実にいろいろなものを素材として作られ
ているのだということを知りました。
最も数が多かったのは、ガラス製のものでした。
見れば「あ〜なるほど」と思えるのです。確かにテレビのドラマなど
で夏を表す小物として使われているのは"ガラス製"のものです。
その他には、竹製のモビールのようなもの。これは、ガラス製がや
や高い音でちりんちりん鳴るのに対して、乾いたからからという音
がします。また、陶器のものや竹炭や備長炭といった“炭”ででき
た風鈴もありました。炭の風鈴は、陶器や金属ほど余韻のない、
どことなく艶消しでシックな音色です。

また、ガラスや陶器の風鈴でも、籐で作られた細工が添えられて
いるものや、絹糸できれいに飾られた鞠が下げられている屋外に
飾れるものなのかどうかが疑わしいものもありました。
風鈴にも実にたくさんの種類とデザインがあるのだということが、
よくわかりました。

やはりボクの中の固定観念は払拭できず、岩手県・南部の鉄製
風鈴と、川崎大師オリジナルというガラス製のだるまが描かれた
風鈴のふたつを買ってきました。

南部の風鈴は、魚の形をした本体の下に小さな魚が隠れていて、
それが本体に当たった時に、ちょっと低めの澄んだ音が響きます。
購入の決め手になったのはやはり音色です。
もうひとつの川崎大師オリジナルは、ちょうど大きめのトマトぐらい
のサイズのガラスに、内側からだるまの絵が描かれているもので
す。ひとつひとつ手作りですから、上から吊られた実物を見て、気
に入った顔つきのものを選んで、それを箱に入れてもらいます。
赤いだるまと白いだるまがいるのですが、我が家では白い方を購
入してきました。
透明のガラスに内側から絵を描く時は、まず目玉の黒目や髭から
描きはじめ、ついで目玉の白目や顔の肌色などを塗ってから、最
後にだるまの白い袈裟を描くという、ふつうの絵画とは逆の工程で
彩色するのだそうです。全体像から細部を仕上げていく一般的な
描き方に対して、できあがりのバランスをとるのがむずかしいよう
な気がします。
この川崎大師オリジナルは、ご祈祷済みなのだそうです。

名物「とんとこ飴」の、名前の通り♪トントコ、トントコ♪飴を切る
軽快な包丁の音が、軒を並べるほとんどの店から聞こえている
仲見世通りを抜けて、なぜか折り返す形で駅に向かって伸びる
表参道には、だるまを売る店と名物「久寿餅(くず餅)」の店が、
多く並んでいます。
なぜ「とんとこ飴」と「久寿餅」が名物なのかを知らしめるようなもの
はなにもないのですが、とにかく観光客というか参拝の客だけに
生計を委ねた、同じような店が軒を連ねています。

平日とはいえ、「風鈴市」というイベントのために門前町はほどよい
賑わいを見せていました。閑散としているわけでもなく、でも休日
のような人混みでもなく、実に好い感じの賑わいです。
忙しい毎日の中、たった一日だけ有給休暇を取って、ちょっとだけ
散歩してみるのもいいものです。


大本山川崎大師平間寺の大山門


大山門をくぐり抜け境内へ


風鈴市の会場とその賑わい


岩手県・南部鉄の風鈴


川崎大師オリジナルのだるま風鈴

 
高知のくじらの風鈴(左)に、
特別出品の18金の風鈴(右)。なんと30万円!


味わい深いオリジナルのだるま風鈴


とんとこ飴の飴切り音が鳴り響く「仲見世通り」


【川崎大師】 (かわさきだいし)
場 所: 大本山 川崎大師平間寺 (へいけんじ)
神奈川県川崎市川崎区大師町4-48
クルマ: 国道15号線(第一京浜)「競馬場前」交差点から国道409号線
を約2km
(川崎大師参詣・信徒専用駐車場「大師河原駐車場」の利用 がベストでしょう)
鉄 道: 京急川崎駅(JR川崎駅から地下街で連絡)から京急大師線 で5分
川崎大師駅下車徒歩8分
訪問日: 2005年 7月22日

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