Vol.5 - 26 Mar. 2000

会社の事務所が引っ越して、今までの大阪市郊外、吹田市の
江坂から大阪市内中心部、西区西本町まで通ようことになりま
した。
『西本町』…大阪中心部の「本町(ほんまち)」の西に位置する
「西本町」は「にしほんまち」と読みます。関東でこう書くと「にし
ほんちょう」と読むのがふつうですが、関西では「町」は訓読み
で「まち」と読むのが一般的のようで、一方で地名の方は音読
みすることが多いようです。

さて、その西本町まで通うときに使うのが、大阪市営地下鉄の
「四つ橋(よつばし)線」(西梅田−住之江公園間 11.4km)。
その四つ橋線を利用する際でも、大阪の目抜き通り、御堂筋を
南北に貫く大動脈、御堂筋線に乗る時でもいつも思うことがあり
ます。それは大阪の地下鉄は東京の地下鉄と違って、なんだか
ニューヨークの地下鉄に似ているということ。
大阪の街そのものが、中心部は碁盤の目状に街が広がってい
るため、ニューヨークの中心部・マンハッタンに似ていなくもない
ので、そんなせいもあるのでしょう。
地下鉄のルートは市内中心部では基本的にまっすぐ進むので、
東京の地下鉄のように大きく迂回するようなルートを取ることが
少なく、目的地までは1回だけ乗り換えれば、まず到達できる
ようになっています。また遠くまで乗って、途中駅で乗り換えが
必要な場合には、いくつか乗り換えのパターンがあるというのが
ふつうです。


大阪市営地下鉄御堂筋線の車輌

ここまでなら世界中のその他の碁盤の目状に発達した都市とも
変わらないのでしょう。しかし、なんとなく似ているという点は他
にもあります。
駅の構造も、一本の通路を乗り換え用と一般地下道がフェンス
で仕切って使用している区間が多いところも似ていますし、さら
に、車輌についてはもっと似ているように思えます。
車輌は、デザインが似ているというのではなく、どの線にも同じ
デザインの車輌が走っていて、そのデザインが他の鉄道会社と
比べていまひとつあか抜けていないところ。つまり、地下鉄の
車輌はあくまで輸送の道具であって、編成ごとに差異がなく、
規格の統一された車両がどんどん来ればいいのだと割り切って
しまっているようなところが、これまたなんだか似ています。
ただし大阪の名誉にかけて付け加えておきますが、大阪の地
下鉄にはNYの地下鉄のような落書きは全く見受けられません。

さて、大阪の地下鉄がNYの地下鉄に最も似ていると思われる
点は以上のようなことにおさまりません。
私が利用している区間は、主に“キタ”の梅田(大阪)駅から
“ミナミ”のなんば駅辺りまでなのですが、電車はその先、住之
江公園やあびこ、なかもず、八尾南などに向かって行きます。
つまり地下鉄電車は市内郊外を起点に、中心部を通り抜けて、
反対側の郊外に向かっていくわけで、そういった点でもNYマン
ハッタンの場合も同様です。


御堂筋線心斎橋駅
ドーム状の空間が閉塞感から解放してくれる
(2004.12.10)

中心部にターミナル駅(終着始発駅)は少なく、多くの路線は
街の真ん中を通り抜け、郊外に向かっていくのですが、どうした
わけか、その地下鉄の線路に沿った周辺地域の治安状況を耳
にする機会が多いというのが、大阪市営地下鉄の印象です。
考えてみれば、東京近辺で「治安が悪いといわれている地域」
ということさえ聞くことは滅多にありません。
大阪の人たちは“柄(がら)の悪い”といいますが、東京では柄
が悪いのはあくまで個人であって、地域全体が押し並べて柄
が悪いなどということはありません。
東京にも人種問題や差別問題がないわけではありません。
しかし「怖いから行かない」なんていわれるエリアがあるという
ところには違いが見られます。

ガイドブックには「NYの地下鉄では先頭や最後尾の車両には
乗らないように」との注意書きがあります。大阪の地下鉄では
そんな危険性はもちろんありませんが、路線の末端まで乗る
ことを嫌っている人はいるようです。
どうやら大阪の地下鉄がNYの地下鉄に似ているということでは
ないようです。大阪の街がNY・マンハッタンとその周辺地域に
似ていると、そういうことのようです。
そうそう、この関西通信のVol.2で書いたとおり、大阪の地下鉄
は終電が異常に早くて、路線や区間によっては毎日終夜運転
をおこなっているNYの地下鉄とは大違いの一面もあります。

日本とアメリカの、首都ではないが“商業都市”を走る地下鉄。
そんなところから2つの都市の類似点を見いだしてみました。


次へ

トップへ
関西通信トップへ



*** I.Z.'s Attic ***
Copyright - I.Z. - 2004 - 2010 All Rights Reserved