釣営の歌

釣営(ちょうえい)の歌

釣ってくるぞと勇ましく
誓ってうちを出たからは
釣果上げずに死なりょうか
船頭(せんど)のマイク聴く度に
瞼に浮かぶ竿頭

海も天気も浪と荒れ
果て無き海路掻き分けて
進むスパンカ遊漁船
ダイワのリールを撫で乍ら
明日の釣果欄誰れが知る

・・・
竿もケースもクーラーも
暫し休憩船酔いだ
ひょっこり出てきた船頭に
「トラベルミンを飲むといい」
醒めて睨むは他の船

思えば今日の戦いに
釣り上げられてピチピチと
忍んで締めたカワハギに
「おいしく食べてあげます」と
つぶやく聲が忘らりょか

釣りをする身は予てから
棄てる覚悟でいるものを
鳴いてくれるなうみねこよ
今夜のおかずの為ならば
何んの命が惜しかろう


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