本当を見抜く人。

山本夏彦

山本夏彦の書いたものを
もっと多くの人が読むべきである、
などと言う気はさらさらない。
山本夏彦の言葉は品物でいうなら稀少品で、
ベストセラーとして流通する乱造品とはモノが違う。
一部の愛好者が溜飲を下げたり、
快哉を叫んだりするための珍品である。
これを山本夏彦のあちら側の者はへそ曲がりといい、
こちら側の者は皮肉揶揄風刺という。

『最後の波の音』(文庫)