耳そうじ中の顔は、
みな哲学者のよう。

耳かき

穴の奥にあるクソを取り除く。
それについては、鼻も耳も同じです。
けれども、その行為から受ける印象は、
月とスッポンほどに違います。
鼻そうじが間抜けなのに対し、
耳そうじはどこか知的です。
繊細な道具を手に、
耳の奥に潜むアカを慎重に探り取る。
その表情は、思索にふける哲学者のようです。

『ラ・ロシュフコー箴言集』(文庫)