あなたは、正常ですか。
わたしは、正常でしょうか。

帚木蓬生 著 『閉鎖病棟』

題名の閉鎖病棟とは、精神病棟のことです。
この本は、そこで生きる人々を主人公にした物語です。
主人公のひとりであるチュウさんは、医師から問われます。
「自分のどういうところが病気だと思いますか。」
このくだりで作者は、暗に読者に問うています。
「自分のどういうところが正常だと思いますか。」
人の心には、異常もなければ、正常もない。
あるのは、悲しみと喜びだけかもしれない。
この本を読んで、そう感じました。

『閉鎖病棟』(文庫)