donomichi yorimichi




糞いろいろおのおの飯の名残りかな

その臭い遂にお別れ水洗化

腫物に触る厠の痔ぬしかな

ニンニクやニラはたまらぬ屁の臭い

干し竿やガキ大将が夢の跡

屁の名残りしばし漂うしりのもと

ともかくも漏れずや待ちのから走り

ぴいと鳴る尻声悲しくだりばら

りきむ声隣もナニをする人ぞ

濡れて行く下着かなしき尿の余波

留守に来てくそ跡のこす空き巣かな

折々に吐息をついては便宿り

犬の禍や溝にくい込む靴の底

六時七時目覚ましにかわる尿意かな

易々と出でて息つく朝の行

よく見れば猫のばばある垣根かな

列を待つ淑女の顔やうらめしや

名勝の美景忘るる野ぐそかな

築地には山を描いて立ち小便

寝たる妻や突然無礼屁を二発

何やらがかたちに似たり花林糖

蘭の香や便の臭いに対抗す

むざんやな頭に鳩の落とし物

夢よりもうつつの床ぞ恨めしき

うたがうなウンコのぬしは裏の犬

けつのあなあくや厠の川の上

野うんこに知らぬ木の葉がへばり付く

おトイレやおわい飛び込む水の音

待つ番やあと数分が関の山

液便は大酒呑みの報いかな

朝顔に我は尿出す男かな

さまざまの事思い出すおまるかな

こりゃくさい垣根の下の猫のばば

駅まだか門に指し来る便がしら

電信の柱に伝うゆばりかな

忘るなよ藪でするならチリの紙

かがみては用足す人の気色かな

ちょろちょろとなお止まらぬや老いの尿

いざ行かん雪に隠れる所まで

大したら尻拭く紙がなかりけり

道の辺の柱は犬に放られけり

しばし間も待つや順番千年

古き名のゆばりや床し小の便

気まずさや鼻にしみ入る尻の声

物好きや流れぬ糞にたかる蝿

せつかれて拭き忘れする迂闊かな

水道水あつめて早し汚穢川

京に着きてこの腹痛や漏らすまい





糞は臭へど放りぬるを
色や縒れめ常ならむ
夕餉のおまえ朝越えて
我が痔痛みし拭きもせず




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