KT-66 (GEC) シングルアンプ
Valvo-DaからR-120と変身してきました

Valvo-Da  もくろみ シャーシーの加工 測定と回路定数の決定 NFBを掛ける 初段を五極管

R-120  出力管変更 回路と特性

KT-66  出力管とOPT変更 回路と特性

Valvo-Da シングルアンプ

もくろみ
ドイツの電話用真空管でウエスタンのWE 205Dに相当すると言われている直熱三極管Daを使って小型シングルアンプを作り始めました。Daにはメーカー、時代により何種類かありますが、ここでは手に入れることができたValvoのSTタイプのものを使いました。
Daの電気的な規格(動作例)はEu Valve ホームページにGerman Post tubesとして

ITEM

Vf(V)

If(A)

Va(V)

Vg(V)

Ia(mA)

Ri(ohm)

Gm(mMho)

u

Ra(ohm)

Po(W)

Pa(W)

Da

5.8

1.1

220

-30

50

1.45K

2.5

3.6

1.5K

1.0

13

とあるくらいで、プレート出力特性どころか詳細なデータは不明です。予定している構成は
      in---> 6SF5GT (TUNG SOL)-->Da(Valvo)-->OPT (Tamura F475)
AC--->PT(Tango MX135)--->80 (TUNG SOL) --->AF Ch (Tamura A396 )--->

初段に高利得の3極管を使たCR結合で2段ですますといういたってシンプルなアンプを計画しています。いちおう、NFBは3dB かけるつもりでいます。        .

動作条件はVb=280V, Vpk=250V, Ip=40mAという条件を考えています。 

シャーシーの加工
 
主な部品をシャーシーの上に並べて  バルボのDa、仏風ドイツ球。
みたところです。                       .

タムラの出力トランスとタンゴの電源トランスはグレーのハンマートーンに塗り直してあります。タムラのは例のそっけないグレーだし、タンゴはグレーのハンマートーンとは言うもののネズミ色で斑も大柄で品がないし、コア周りまで同色で気に入らなかったからです。         .
タンゴのてっぺんの金色シール、お願いだからデザインなんとかして    m(_ _)m
(1999/12/21)

我が愛用のドリルとホールソーの活躍でイメージにそってシャーシー(20cm x 30cm) に穴あけをしました。まあまあでしょ? 実際にパーツを全部乗せたらどんな感じになるのか楽しみです。  (1999/12/24)
暮れの忙しいときなのに、濃いめのパールブルーに塗装しました。いかがでしょうか。

 

トランスを初めとして全部の部品を固定しました。実物はこの写真より綺麗で、かわいいのですが!自分としては最初のイメージ通りです。左が上から見たところ、右はシャーシーの内部です。この内部の配置を決定するのにああでもない、こうでもないとまるまる一日かかってしまいました。それだけ考えても、少しも代わり映えしないと言わないで下さい。出力管を小さなサブシャーシーを使って沈めたのは、出力管をソケットの違うVT-52やE406Nに容易に換えることができるようにするためです。 (2000/1/1)

配線して、いちおう完成

さあ、いよいよ完成です。どんな音がするのか楽しみな瞬間です。
左に少し見えているのはVT-62シングルアンプです。比べてみると小さいでしょ。



(2000/1/6)

測定と回路定数の決定


現在の回路(大きい図はクリック)


ほぼ対象に飽和してます

左に現在の回路(まだNFBは掛けていない)を示します。
 当初は自己バイアス用のDaのカソード抵抗は1.0kΩ、出力トランスの一次側インピーダンスを二次側の接続をを適当に選んで3.3kΩとしました(2.5, 3.3, 5.0, 10kΩが選択可能)。整流管には5Y3を使ったので、Vpk=231V, Ip=40mAという条件でテストがスタートしました。この動作条件は最初のもくろみどおりで、内心やったねといった気分です。
 6SF5のドライバー段は増幅度57倍で出力電圧35Vrmsまでは出せるので、ここではこのまま先に進み、後でチューニングすることにします。
 まず入出力特性を測定してみました。すると出力0.7Wでゼロバイアス側(左図では下側)できれいな?飽和をしているのに対して反対側はまだまだ延びていきます。これは明らかな動作点の不良です。Daのカソード抵抗をいじったくらいでは改善されず、結局、Rk=1.0~1.2kΩとし出力トランスの一次側インピーダンスを2.5kΩとして、左のオシロ波形のように上下はぼ同時に飽和するようになりました。これはWE 102D等と同じように「負荷インピーダンスはプレート抵抗の2倍」ということと、どこか通じているような気がします。
 それでも出力は0.7W程度なので、思い切って整流管を5AR4に変更し電源電圧をあげることにしました。それに伴いプレート電流も約50mAとなり、プレート損失いっぱいになってしまったので、カソード抵抗を1.2kΩに増し、Ip=41.3mA, Vpk=277V, Dp=11.4Wとしました。この変更で出力は一躍1.88Wにまでアップしました。
 残留ノイズはL=0.35mV, R=0.50mVでした。


入出力特性と周波数特性をお目に掛けます。出力は入力電圧0.8Vで1.88W出ます。これはサブアンプとしては十分な出力で、ジャズでもクラシックでも大音量で無い限り(家庭用としてはかなり大きい音でもOK)満足できるレベルです。ただ、これから少量とはいえNFBを掛けるには利得に余裕がないのでドライバー段の若干の手直しも考えなくてはいけないようです。周波数特性は20~40kHzで-1dBと、容量結合無帰還アンプなりの素直な特性をしています。これからNFBを掛けるともっと延びて行くでしょう(必要ないですが)。

NFBをかける

NFBを掛けると言ったものの、自分の中では結構満足(まさしく自己満足)していたのでほったらかしになっていました。ところが2000年2月20日に狭山のエイフルさんで場所を借り、3W以下のミニワットアンプ検討会と称して有志がアンプを持ち寄る会を催すことになりました。そこで、まあそれようにということで重い腰を持ち上げ約3dBのNFBをトランスのNFB巻線から初段のカソードへ掛けることにしました。           改造した箇所は(1)初段カソードのバイアス抵抗の下にNFB用に100Ωを追加、(2)NFB巻線からNFB用100Ωの上にNFB用抵抗750Ωで結ぶ、(3)NFBによるゲインの低下を補償するため初段の負荷抵抗を120kΩに、Daのグリッドリークを270kΩに増加した。回路はここをクリック音はちょっと一般受けするようになったと思います。以前はボーカルが得意だったんですが、今度はだいたいどんなソースでもこなすようになったかな????????

ドライバーを五極管に

どうも平板な感じがして(特色の無いのが特色?)、はんだ鏝の虫が疼いてきました。その結果、ドライバー段を五極管にしてミニWE91型に改造してみようと思い立ちましたが、初段を310Aにしたのでは見た目のバランスがとれる訳はありません。それならいっそのこと真っ赤なMullardのEF37Aを使えばアクセントになって可愛いミニアンプになるのでは、、、我ながら良いアイデアとばかりに、早速トップグリッドのための穴をソケット脇にあけて、回路定数はそれらしい値にしてドライバー周りだけ組み直してみました。   (2000.9.4)
    


気まぐれか?R120に変えてみました(独から仏に)

フランスの球は形が綺麗ですが、今回使ってみたRT(Radio Technique)のR120という球も中が見えないけれど、細身の良い形をしていて、通の中にはかなりのファンがいる球です。良い球が少ないと言われる傍熱型3極管の中でも、評判の良い球の一つでもあります。
変更前と見た感じが似てますね! 音はどうでしょうか。出力トランスはタムラのF475なので、インピーダンスを2.5kΩとするため16Ω端子に8Ω負荷をつないでいます。これだと16Ωのスピーカーが繋げません。ちょっと困りました。 (2001.9.03)

取り敢えず、周波数特性を測りました。低域が持ち上がっています。これは単に出力管を交換しただけで、高域、低域のスタガ比を全く考慮しなかったためと考えられます。カソードのバイパスコンデンサーの値を変更することで解決できるでしょう。
飽和出力は約6Wです。 (2001.9.18)

R120を本格的に使ってみる
R120は本当に使い易くて良い球だと思います。特性的には2A3を傍熱管にした6B4-Gのようなものですが、フランス管特有の姿形というだけでなく、素性の良い音がします。前回の手抜きの改造ではEF37のせいか、高域への延びが今ひとつという印象でした。
そこで、中高域用のアンプとして使いたいという目論見もあって、初段を超高周波用の球であるWE-418Aに変えることにしました。動作条件は「MJ誌」の松並さんの記事を参考にさせていただきました。カソードのパスコンにはバイアスが約1Vと低いこともあり、高域での音質改善を祈って(結果は不明ですが)、OSコンを使ってみました。

R120の動作はVpk=230V, Ip=50mA なのでプレート損失は11.5Wと、定格が15Wですから十分な余裕を持っています。全体の回路図を下に示します。現在のところNFBはかけていませんが、今後音を聞きながら検討してみようかと考えています。
問題は見かけのアンバランスです。R120はスマートな背の高いST管ですが、WE-418Aはずんぐりした小さなマグノーバル管なのでどうも釣り合いがとれません。アンバランスの妙と言うしか有りません。(2001.9.03)

回路図

周波数特性

WE-418 - R120シングルアンプの無帰還の場合と6dBの負帰還(Rf=2.7kΩ)を掛けた場合の周波数特性を示します。負帰還を掛けた場合には高域特性がかなり改善されることが分かります。一方、低域ではやはり低域の時定数のスタガ比が適当に配されていないせいか、若干の持ち上がりが見られます。これについては小型アンプでは代えって低域がブーストして音質的には良く聞こえるとの意見もあり、音出しをしながら検討していくつもりです。
なお、オンオフ法によるダンピングファクター:DFは無帰還で1.0、6dB負帰還で2となっています。


KT-66の3極管結合に換えてみる
R120のソケットの空きピンを一寸つないでやるとKT-66や6CA7の三極管結合のシングルアンプとしても使えることに気が付いてしまいました。そこで、KT-66の三結を早速試してみたのがこの写真です。R120とよりもWE-418はずっくりむっくりした形が近しいせいか、バランスが取れているようです。

KT-66のカソード抵抗は510Ωに若干減らし、プレート電流を48mAとしました。使っているタムラの出力トランスは45mAまでのDC電流なので、ちょっと無理をさせているかもしれません。ただ、タムラは規格にかなり余裕を持たせているようなので? (2001.11.10)
出力トランスをマグネクエストDS-025(2A3等用の一次側2.5kΩ)に変更しました。このトランスは一次側直流電流が60mAまでのもので、コアの容積が十分で低域までレスポンスが期待できます。出力トランスの一次巻線の直流抵抗が小さくなったせいか、プレート電流が51mAと若干増加しました。さらにチョークトランスをタンゴのTC10-130(10H,130mA)にに変更しました。こちらはこれまでKT66とチョークの間が非常に狭かったので、熱とデザインを考えてのことです。
暫く鳴らしてみた結果、小型で高音質のアンプができたという印象を持つことができました。昔のマルチアンプシステムでの音が懐かしくもあり、スピーカーも変わったことだし、マルチアンプシステムでの高音用のアンプに使ったらと考えが浮かんできました。そのためにはチャンネルデバイダーを作らなければなりません。ここのところに昔のシステムの弱点があった(マルチをやるうえで一番の難物)ことを忘れてはいません。LCネットワークとマルチアンプをうまく組み合わせてやるのが一番かな、、、、チャンネルデバイダーは真空管で作るかなと考えています。


KT-66を三極管結合としたときのNFB有りと無しのときの周波数特性を測定しました。NFB無しでもかなり良好な特性ですが、NFBを7dB掛けた場合、 20Hz付近に1dB程のピークがあるもののとても広帯域(-3dB@60kHz) なことが分かります。なお、クリップ開始時の出力は3.2Wでした。KT-66のカソードバイパスコンを日ケミのMUSE 100μF 50Vに交換しました。これは高域でのクリアサウンド(なんのこっちゃ?)を狙ってですが、単なる好奇心というのが本当のところです。 (2001.11.27)


最終的なKT66シングルアンプの姿(思えば遠くへ来たものです)


どんな音がするのかというのはかなり主観が入るし、鳴らしているスピーカーによって大きく支配されることは明らかですが、敢えて書くとすれば、とてもバランスが良く聞いていて疲れない音だと言うことです。KT-66は柔らかな?音のする球として良く知られていますが、このアンプでは初段に超高周波用の球を配することで高域まで素直に延びた音が得られたのでしょう。なお、16Ωのスピーカーで鳴らすことも配慮して背面に8/16Ω切り替えスイッチを追加しました。 (2002.1.17)

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