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これで右の写真の
ようなピカピカのシャーシーの出来上がりとなります。 これはUS8ピンのソケットと845用のソケットを取り付けたところです。この後、小物部品を取り付けてから、重い トランスを取り付ける作業になります。 |
トランスを初めとしてシャーシー上の部品を全部取り付けました。後列左よりMQ
RS-500 、サンオーディオ845用電源トランス, RS-500 、中列、板プレート211、STC 5R4GY、CH:タムラ4004、前列6J5、6CA7、タンゴST14と並んでいます。 左右対称の配置は理想に近いとは云うものの、配線は左右に大きく分かれてしまうので、返って難しそうです。 新生タンゴNC-14の色が明るいのは、グレーのハンマートーンに塗り直してあるからです。 |
ドライバー回路用
B+電圧の整流用ファストリカバリダイオードと平滑用のケミコン(100μF、350V)は小さなガラスエポ キシ基板に乗せました。(2001.6.28)
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845シングルアンプの回路を示します。ただし、
これは暫定版です。 (2001.8.8) 前に書いたように、ドライバー段の電源はSiダイオードの両波整流回路とします。リップルフィルターにも手を抜かず に5H,120mAのチョークを使い、100μF, 350Vのケミコンとで構成します。これで電源電圧を有効に使うと共にリップ ル の抑制を効果的に行うことができます。 初段のL63のバイアス電圧は-3Vと大きめなので、大きな入力信号にも余裕をもっ ています。またノイズ、歪みといった面からも重要なのでKMコンをここに当てます。 845をドライブする6CA7の動作条件はこのような無帰還、トランスドライブの回路では音質に大きな影響を持つこと は良く知られています。ここでは、プレート電流を適正にすることを考え、20~25mAとすることを目標とし、カソード抵抗 を調節して最終的に620Ωで23mAのプレート電流としました。この電流の値により6CA7の内部抵抗が変わるので、NC-14とのイン ピーダンスマッチングにも注意する必要があります。 出力管の845のプレート電流も重要です。845のプレート損失は 100Wですが、上限を75W程度と少な目に見積もっておくとプレート−カソード間電圧は約900Vですから電流は最大でも 83mAにしなければなりません。ここで師匠のアドバイス!「音は60~70mAだよ」を参考に、63mAでOKとしました。自己バイ アス用の抵抗は2kΩ、50Wのメタルクラッド抵抗です。 |
プレート特性に動作点と負荷直線を書き込んでみました。これからも分かるように、この動作点では出力トランスのインピーダンスは当初考えていた5kΩでは深く振った側が先にクリップしてしまい実際にも8W程度しか出力が取れません。また音質も10kΩの方がダンピングファクターが大きくなるので切れがよくなることから、予定を変更して10kΩとすることにしました。 |
完成した845シングルアンプの正面写真です。組立途中の写真と違って、だいぶ賑やかです。この写真での前列左右は当初の計画であったというだけでなく、見栄えの上からL63
(GEC) が差してありますが、現在はメタル管の6J5 (KenRad) を使っています。ドライバーは予定どうり6CA7
(松下) です。よく見ると845 (United Elec.) のトリタンフィラメントが光っているのが分かると思いますがいかがでしょうか |
完成したシャーシー内部の様子です。中央に置かれた845のフィラメント用ダイオードの放熱を兼ねた大きなLアングルが重量級の電源トランスや出力トランスに対するシャーシーの補強に役立っています。Lアングルの下半分には高圧の電源用フィルムコン、ドライバー用電源基板、ハムバランスが配置されて結構窮屈ですが、中央の高圧整流回路やドライバー回路は比較的ゆったりとしています。抵抗、コンデンサーなどの部品はUS8ピンソケットの下に置かれた6ピン端子板と、 |
その下に張られたアース母線を使って配線しました。絶縁対策として約1kVの高電圧の配線にはテフロンチューブを被せてあります。初段のカソードバイパスコンデンサーにはKMコンを、カップリングにはジェンセンの錫箔オイルペーパーコンデンサー、ケミコンにはVXを使っています。 残留ノイズ(ハム)は右:0.7mV、左:1.0mVと大出力シングルアンプとしてはかなり小さな値となっています。一応の目安として周波数特性(入力電圧=0.1V)を測ってみました。この結果はインターステージトランスNC-14のそれをほぼ反映しているようです。なお、プレート電流として6CA7には23mA、845には63mAを流しています。 845の負荷は10kΩと大きめにしていますが、この状態でノンクリップ最大出力は約18Wです。 (2001.8.20) |
ようやく完成した845シングルアンプの勇姿です。やはりトリタンフィラメントだけに明るく輝き、これこそ真空管アンプという印象を与えます。出力の余裕のなせる技か、音楽を聞いていても雄大な感じがするから不思議なモノです。 まだ出来たばかりですので、これから少しずつ手直しが必要でしょうが、まづは大編成の交響曲やジャズなどを聞き込んで行こうと考えています。出力トランスのインピーダンスを10kΩにしたので、845のカソードバイアス抵抗を変えるだけで211系の球も使うことができるという副産物もあるので、そのうちに211系も試してみようと欲張ったことも考えています。 試聴の結果、音が滑らかすぎる???=ジャズでは押し出すような感じが弱いという印象を受けました。この点を改善するためにいくつかの対策をとりました。(1)初段をメタルの6J5にする、(2)カップリングコンデンサーをJENSENの錫巻からEROに変更、(3)ドライバー段のカソードバイパスを日ケミのVXからMUSEのバイポーラに変更。 |
その結果、滑らかな中にもかっちりした感じがするようになりました。次から次へと聞いていった結果、大パワーのアンプは代えって静かに感じるということと、低域のドライブの力が増すためか音楽が低域で支えられ、落ち着いて聞こえると感じました。ここにハイパワーアンプの価値があるのでしょう。 (2001.10.11) このアンプは2001年12月羽生で催された彩球オーディオクラブの発表会でお披露目されました。 |
211系の送信管での動作も試みてみたいと考えていましたので、オークションで手に入れていたCV-25(4242A)という板(メタル)プレートの球と、これの後期モデルである242Cというカーボンプレートの球を使うように改造することにしました。基本的にはグリッドバイアス電圧の変更だけで済むはずですので比較的容易です。しかし、どうせ改造するならと、アンプ製作の虫が目を覚まし、あっちこっちをいじることになってしまいました。 (2001.10.11) 改造の内容は次のようなものです。 (1) バイアス電圧変更のため、出力段のカソード抵抗を小さくする (2) 初段をWE-437Aに変更する (3) ドライバー段6CA7のプレート電流を増加する (4) カップリングコンデンサーの検討 (5) 出力段プレート電流監視のため電流計を設置 |
改造をしたアンプの様子を右に示します。プレート電流監視用のメーターが中央に取り付けられ、以前そこにあった電源スイッチが右端に移動しました。右手前にある小さな丸っこい球がWE-437Aで、その後ろの大きな球がCV-25(4242A)です。プレートの色からも板プレートということが容易に分かります。 CV-25のグリッドバイアスは53V、プレート電流は60mA流しています。ノークリップでの最大出力は20W、飽和出力は35Wとなっています。プレート損失は75Wだったと記憶していますが、現状の損失は57Wであり、まだ余裕があるはずです。しかしプレートの一部に塗られたジルコニアの部分だけはほんのりと赤っぽく成っているのが分かるので、もう少しだけ電流を減らそうかと考えている最中です。 |
WE-437Aには電流を多めにということで、6mA流しています。この球は利得が大きいことと、機械的な振動に弱いということが印象的です。(2002.1.7) この改造によっていくつかの問題が発生してきました。 (1) 感度が高すぎる(0.1V入力で8W出力) (2) WE-437の繊細な構造のためか、機械的ショックがもろに音に現れる (3) 高感度に起因するのか、ハムノイズが増加した(特にボリュームの中位で) 早急に対処する必要があります。 ここで最大の問題はハムの増加です。音楽をのんびり聞いていられないですからね!考えられる原因を一つずつ解消していくことにしました。まず、入力のボリュームが100kΩと大きいことで、これに対しては50kΩのディテント型に置き換え使い勝手の向上をもはかることにしました。この結果、ボリュームの中位から上での急なハム増加はなくなり、絶対的な大きさも小さくなったものの、ボリュームを上げるに従いハムが増加していく傾向に変わりました。これは、ボリュームから初段グリッドへの配線を容量を嫌うあまり、撚り線としていたのを、細い低容量のシールド線に替えることで解消しました。 小さいながら(数mV)まだハムが残っています。こんどはボリュームの位置に関係有りません。オシロスコープでドライバー段のB+を見ると、思った以上のリップルが乗っています。こんどはリップルフィルターの強化が必要です。CRによるフィルターを一段追加して、やっと高能率のアルテックに耳を近づけてやっと聞こえる程度までハムを減少させることができました。CRによるフィルター追加によりドライバー段B+電圧の揺らぎが大幅に減少したことも付け加えておきます。 |
10月27日羽生での彩球オーディオクラブの発表会に登場した845シングルアンプは出力管を4242に、初段をWE-418Aに大幅改造されて2月16日のMJ誌の松並さんの三鷹での25回試聴会に登場しました。試聴会に対応してカップリングコンデンサーをMIT
Cap 0.22μFに変更してあります。当日は彩球オーディオクラブのメンバーも多く参加され「845の時よりも音が飛ぶようになって良かったんじゃない」との評価をいただきました。 なお、一月ほどこのままで聞き続けていましたが、家で聞くにはちょっと疲れる音質なので出力管を4242から845に再度変更しました。これでも家で聞くぶんには明瞭で、馬力があるのでこのアンプとしてはこの状態で今のところはいちおうの完成と言うことにしておくことにしました。 雑誌「管球王国」から「自作派大集合」に出て貰えないかとの打診を頂きました。かねてから存じている新さんからですので、出していただくことにしました。取材当日はアンプを車に積んで、どんなことになるのかと案じながらステレオサウンド社に出かけました。内容はといえば、アンプの試聴なのにソフトの話題ばかりとなってしまい、自作派の取材とは思えないことになってしまいました。どんなふうに記事になるのか、楽しみでもあります。 |