6267(EF86) CR型イコライザーアンプ


はじめに

このイコライザアンプを作るまでははCDしか聞いていませんでした。でもLPのレコードはモーツアルト、シューベルトを中心に300枚位はあるので、CDを買うときには、既にLPがあるからとつい他のジャンルのものを買ってしまうので、一番好きなジャンルのCDが比較的少ないのです。                               そこでプレーヤーとカートリッジは大事に取ってあるので、イコライザーアンプさえ作れば全て丸く収まると言う目論見です。以前に使っていた部品があるのですが、回路をどうしようと考えているばかりでなかなか進みません。                 (2000.2.25)ちょっとだけ前進です。結局、回路を松並式WE310を使ったCR型イコライザーにすることにしました。NF型は CR型と比べて作り難いという声もありますが、実際には測定器さえ使えればキチンとした特性を得ることはずっと簡単です。いっぽう、CR型は使用するパーツの性質や誤差がもろに入ってくるので音質は良いと言われてはいるもののRIAA特性に合わせることは勿論、左右の特性を合わせることさえ一苦労ということになりかねません。
ケースを小さくしたかったこともあり、WE310を並べるとケースがかなり大きく(背が高く)なってしまうので、涙をのんで<笑>6267(EF86と同等)を使うことにしました。これなら 球を立てても高さ10cm位で収まります。作業を開始、ケースの穴あけまでできました。全体の構成は次の機会にアップしたいと思います。             (2000.3.5)

 位置が気に入らずに何回もやり直して、フロントだけですが、やっとこレタリングをしてから配線を始めました。途中までですがまあ、見てやって下さい。ケースの高さが10cmなので裏の配線の高さ方向の余裕が全くありません。といって上の方はシールドケースを真空管にかぶせると、これまた余裕は全くないのです。特別な部品を使うつもりはありません。段間のコンデンサーにはASCをRIAAイコライザー回路にはディップマイカを、抵抗類は通常の金属皮膜でいくつもりです。セレクターとボリュームは東京光音(上の写真ではアルプス)のものを使っています。 (2000.5.7)
 ようやく一応音が出るまでになりました。シャーシー内部を上から見た写真と裏から配線の様子を見た写真を載せておきます。最大出力はEQ段で15Vrms(増幅度は内蔵MCトランスの2次側以降で約46dB=200倍)、バッファー段は5Vrms(増幅度は約-1dB)です。RIAA偏差はざっとあたっただけでは2dB位あるようで、これから微調整しなければなりません。音質云々するまえに、まずは本当に久しぶりにLPレコードを聴くことができるのが嬉しい、、、、
 結局、回路は松並さんのMJ1999年1月号のWE404AとWE417Aを使ったCR型のEQアンプの回路を6267に合うように定数を若干変更して、使わせて頂くことにしました。 松並さんに感謝します。 初段は5極管接続とし、二段目とバッファー段は3極管接続としたオール6267という構成です。この段階ではRIAA用のCRの定数は同じにしてあります。回路、部品表と特性は次回更新時に公開するつもりでいます。

内部を上から見たところ                  配線の様子

RIAA偏差(当初のもの、調節が必要のようです)
(2000.5.17)
まずなにはともあれ昔使っていたLPプレイヤーを引きずり出してきて接続、、、しかし、出てきた音はえ〜といったつまらない音、こんなに手間を掛けて作ったのにと、本当にがっかりするようなものでした。RIAAカーブも合ってないからということにして、CDをかけてみましたが、フラットアンプだけなのにこれまた駄目でがっかりの二乗、、、、、、。まあ入力ショートならハムも聞こえないし、イコライザー段もノイズはフルボリュームでシャーノイズがやっと聞こえる程度というのがせめてものなぐさめです。
松並師匠に窮状を訴えたところ、プリは初めはみんなそんなもんだよと言われ、エージングを勧められました。そこで24時間体制のもと2〜3日電源入れっぱなしにしてから、聞き直したところさすが経験からのアドバイスは大したもので、あら不思議、音がぐんぐんと改善して行くじゃあ〜りませんか。  これって耳が変な音に慣れただけなのかしら?  (2000.5.23)

回路図

各段のゲインを測定しました。それによると、MC用入力トランスのゲインは24倍。これは巻線比が26とのことでほぼ一致しています。初段の6267のゲインは40dB、1kHzに於けるMC用入力トランス以降のCR型EQ回路のオーバーオールのゲインは44dBとなっています。またフラットアンプは-1.4dBでした。電源部を含めた全回路図を上に示しておきす。
MC用入力トランスはTAMURA THS-REPというDENON DL-103用製品のリバイバルの試作品です。箱の中に「レポートが欲しい、、、、」と書いてありました。一次側をフルに使ってDL-103用に、センタータップで巻線の半分を使って、ORTOFON MC-20用として使っています。  (2000.5.29)

     部品表 (2000.6.14)
6267    x6 松下
MC用入力トランス TAMURA THS-REP
電源トランス TANGO CV-2
電源チョーク ノグチ
セレクター 東京光音(2回路6接点)
入力ボリューム 東京光音 100kΩA
シャーシー タカチ
ブリッジダイオード B+ 0.2A, 800V
ブリッジダイオード F ファストリカバリ
配線材 ベルデン#20
抵抗(記載無し) 1W金属皮膜(東京光音)
抵抗(*印) 1/2Wカーボン(理研)
カソード抵抗 1/2W金属皮膜(東京光音)
抵抗(5W) 酸化金属皮膜(松下)
フィラメント回路5Ω、8Ω 5Wセメント抵抗
容量0.047、0.22μF  ASC
容量0.01μ,2200pF メタライズマイカ
容量0.47μ400V フィルム
容量47μ10V ATOM
容量47μx2 、33μ450V 電解コン(セラファイン)

セレクターを交換しました

セレクターには当初、東京光音電波の小型のものを使いましたが、切り替えの感じがすっきりしません。そこで同じく同社のBTS規格品(2R6:2回路6接点)に変更しました。
信頼性抜群の見かけと回した感じですが、ごつんといった感じの回しごこちはオーディオファンにはちょっと固すぎます。そこで真鍮のカバーをはずして、中を調べてみるとクリック感を作っているのは小さい金属ボールとそれを押しているスプリングということが分かりました。そこでスプリングを一巻だけ切って短くしてしまいました。これで回すのが柔らかくなったので、カチッという感じになり、満足できるようになりました。固定側の接点は無垢の金属ピンであるなど、構造はさすがBTS対応だと納得させられました。


ラインアウト・トランスを使うことにしました

タムラ製作所のTD-2というラインアウトトランスが手に入ったので、プリアンプの出力用に使おうと、周波数特性を測ってみました。入力インピーダンスは10kΩ、出力インピーダンスは600Ωで、大きさから考えて電流は流せそうもありません。マッチングを取って測ったところ右図のようでした。 -0.5dBで10~40kHzといったところでしょうか。これなら特性的には十分です。


改造後のフラットアンプ回路

左上はラインアウトトランスを使った改造後の回路部分、右上は改造後の内部写真です。以前のものと比べると、チョークコイルの大きさと位置が変わり、リアの出力端子近くにグレーの四角いTD-2が置かれています。これまでのカソードフォロワを使った低インピーダンスの出力段から、600Ωの定出力インピーダンスでゲインが6dBの回路に変わった訳です。フォロワの回路はインピーダンスが低いということになっていますが、パワーを取れる訳ではなく、個人的にひっかかりがあったので、音を云々する前にすっきりしたと言うのが本当のところです。 (2001.9.3)

ラインアウトトランスTD-2を入れてからスピーカーから少しですがブーンというハム音が聞こえるようになってしまいました。「メインのボリュームを絞ると消える、プリアンプのメインボリュームを絞っても消えない」ということから、ラインアウトトランスが電源トランスのリーケージフラックスを拾っている(磁気的に結合)と考えました。そう言えば、いくらプリ用の電源トランスといってもラインアウトトランスとは隣同士(上図参照)です。これではしかたないでしょう。そこで電源トランスの移動となったわけです(右図参照)。ついでに大きすぎたチョークを30H, 30mA(ノグチトランス)のものに変更しました。この結果ハム音は完全にゼロではないものの気にならない程度まで減少しました。 (2001.11.16)


ハム撲滅運動

制作者の意地でなんとかハムをゼロと言えるところまで減少させたいと考えて、いろいろと試みてみました。もとはと言えば、スピーカーをアルテック620Bに換えて能率アップと引き替えにこの騒動が始まったんです。
これまでの段階ではボリュームを絞り切ったところで、フラットアンプの出力(ノイズ)電圧は2.2mVでした。チョークからの電磁誘導かということで、チョークを抵抗(5.1kΩ)に交換したところで1.7mVに減少、B+用のブロック型ケミコン47μFx2をチューブラー型100μF 2個に、フィラメント電源平滑用のブロック型ケミコン4700μFをチューブラー型6800μFで2段に変更したところでフラットアンプのノイズ電圧は0.07mVと劇的に減少しました。しかしイコライザー段のノイズは、以前として辛うじて実用にはなるものの、満足のいくレベルではありません。
しかたなく、チューブラー型100μFを追加投入するとともに、30H 30mAのチョークを再登板させ、ダイオードブリッジ・1.5kΩ・100μF・30Hチョーク・100μF・5.1kΩ・100μFと、あとは定電圧しかないところまでやってみました(下の回路図参照)。しかし、相変わらずのEQ段のハムです。諦め半分でシャーシーをひっくり返してなんとなく眺めていて、はたと思いつきました「やってあるはずだけど、ヒーター電源はアースしてあったっけ?」。
配線を追ってみると、案の定どこでもアースに落ちていません。トランス出力に改造したときに外したままだったようです。アースに落としてみると、あら不思議、たった5cm程の線で今までのハムが嘘のように無くなってレコードの針音だけとなり、静かそのもの、、、、、、
ついにハム追放に成功しました。よかったよかった!

これが現時点でのプリアンプの内部配線の様子です。このページの上の方に示している当初のものと較べると、左側の合計5個のケミコンが増えていることがお分かりと思います。これらが上図にあるケミコンなのです。シャーシーの高さが低いのもあってぎゅうぎゅう詰めなことが良く分かります。


小さな改良

東京光音のボリュームが一カ所で接触不良のような動作することがわかりました。気にしなければ何でもないのですが、、、、そこでセイデンの50kΩアッテネータ組立キット(若松通商)に変更することにしました。約3時間で92本の抵抗をはんだ付け終了し、さっそく交換しました。減衰のカーブはこのほうが使い易い様な感じです。音が変わったかどうかは、まだ何とも言えません。
ゲインが少し大きすぎるので、出力はOPT(TD-2) の中点までと変更しました。従って出力は1/2、出力インピーダンスは150Ωとなっています。   (2002.05.19)

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