エッセイ

風水、家相学、考察



 古代中国で生まれた風水や家相学は宮廷技官や大陸からの渡来人により日本にもたらされ、江戸時代に入ると民間にも広がり都市の発展と共に風土慣習の影響を受けて変化しその土地にあった家相が生まれ、書は数十種に及ぶにいたっています。
これらの家相書は因習や迷信の様な所から発生したもの。現代科学でも十分説明できない陰陽五行説によるものから駄洒落の様なものまで含まれ不可解な装いを成し難解なものとなっています。一方、先人達の経験と知恵の大集成された家相の言葉は近隣の環境、敷地の形態、方位、間取り、構造、材料の使い方、選び方、設備計画の立て方まで、現代の建築工学に十分に通じる真理、根拠を多数含まれ、これから住い作りを始める方に沢山のヒントを与えてくれます。最近は文章をかみくだいた言葉で書かれた書籍も増えているので一度目を通して見てはいかがでしょうか。読んで見て「ナルホド」と思われた所だけ取り込んでいけば良いかなとも思います。

 風水に付いては平安の時代より都市の築造や軍事戦略にその手法を取り入れ歴史的決断にも数々のたずさわりをもっています。江戸の町作りにも社寺、街道、治水等に風水の考え方が取り入られています。今の東京とヨーロッパの町並みと比べ、貴方の住む町と比べ、成功と見るべきか否かどの様に感じられますか。昨今、風水がもてはやされていますが、風水の観立てでこの方位の部屋は赤、あの部屋は黄色、貴方のラッキーカラーはピンク、などと言われてもネ。やはり、自分好みの色彩や人間工学に基付いて配色された空間が日々の疲れを癒し家族の団欒をもたらしてくれるのではないでしょうか。

 陰陽五行説について説明します。陰陽説と五行説とは相互に関係しているが独立したものです。陰陽説とは、宇宙は陽と陰の二つの原理からなり相反する二つの性質が循環し、融合し、変化するところに、この世の現象が起こると考えたものです。陽と陰はさらに二つに分かれ太陽、小陽、太陰、小陰となり、またそれが二つに分かれて乾(けん)、兌(だ)、離(り)、震(しん)、巽(そん)、坎(かん)、艮(ごん)、坤(こん)、の八つになりそれが八卦でありそれぞれに季節・方位・時間・動物・人間関係・体の部分などの意味合いを持たせ、それを組み合わせて未来を占うのが、易占いです。二元論の陰陽説に対して五行説は、自然は、木・火・土・金・水の五つの要素で形成され、 自然現象や運命、人生観、宇宙観のすべてが推移すると考えています。また、五行説は二つの考え方があり五行相勝あるいは五行倉剋説と呼ばれるもので、お互いを対立の関係で考えたものです。もう一つの考え方は、五行相生説で五つの要素を循環、並立、相乗の関係でとらえています。自然現象・都市計画から個人問題までこの二説によって判断し吉凶を占なっていました。説により、同一現象もまったく異なる指針をさす事も少なくありません。
陰陽説と五行説はそれぞれ別に起こり発展したものですが次第に深い関係を持ち組合わせる様になり、相性により運命を占なうようになりました。
 風水も家相も根底に通じる事は同じですが、家相は住み良い家を作るための知恵と経験の集成に未知魍魎とした未来予見術の装いを着せ、素人には理解しにくくする事で家相見の権威を付けたものです。その難解で不可解な部分を除いてみると現代に十分通用する真理を見ることができます。自然の摂理に融合した空間。生活のキーワードにどうぞ。



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