住宅の内外で発生する骨折や打撲、火傷等の事故の発生件数は交通事故の2倍以上おきているのをご存知でしょうか。住み慣れた処で起きる事故は、安心しきった環境の中での突然のアクシデントの為、大きなけがにつながる事も少なくありません。
知人のお宅で起きた事故をいくつか紹介しながら対策を考えていきます。
A:友人の母親が自宅の浴室の掃除中にスリップ転倒し骨折し完治3ヶ月の重症を負いました。
その浴室は1年ほど前にリホームで壁,床共に30cmのタイル張りにし,浴槽は洋バスに交換しました。ここを掃除用の靴を履いて水洗いしている時に起きたそうです。・・・原因の一つに靴底の材質もありますが、滑り止めの靴底でも水幕に対抗するものは殆んどありません。タイルのサイズや材質、目地の仕上げには重大な原因が有ります。旅先の豪華な浴室でスリップを経験された方も多いと思います。ましてや、スポンジ底の靴で滑り出すとスケートの様です。チョットぐらい凸凹でも滑ります。其れはハイドロプレーン現象の為です。浴室ばかりでなく、ビルの1階周りでも同じ様な現象がよく有ります。豪華さを求めるのか、安全を視点に考えるか、二分します。床の材質を決める時に足裏の水が逃げ易いサイズと工法が必要です。鏡面の石張りや大型陶板の使用は手摺位置、形状等の安全対策と平行して検討を進めましょう。
B:友人の祖父が出勤の時、靴を履くときに片足立ちになり、そのままケンケンしながら扉を押し開いてしまい、ポーチでひっくり返ってそのまま道路まで飛び出してしまったそうです。幸い大事にならなかった様です。その後、そのお宅は玄関に小型の2人掛けのベンチを置いたそうです。接客にも便利だしとご満悦でした。
C:姉が和室の押し入れ上段の戸袋から荷物を出そうとして、踏み台から落ちました。その後遺症は、3年経っても消えません。そもそも、あんな使いずらい収納、なぜ作るのでしょうか。なにをしまって置きたいのでしょうか。もう一度収納物のサイズと使用頻度、収納庫の奥行きと棚位置、扉サイズ等を見直して見ませんか。
D:最近造った住いのキッチンでは、低層収納部の構成が、扉よりも引き出しの方が多く造りました。
その使い方を見ますと、陶器の皿や茶碗、グラス、小物、小瓶の調味料、鍋等を収納しています。
扉の方にはお米や大きいサイズの調味料、若干の食料品、ジュウサーなどの調理道具を収納しています。
中段の硝子扉の収納部には毎日使うお茶のセット、茶菓子、毎日使う消耗品、軽い食料品、飾りの様な陶磁器
上段には軽い雑貨、消耗品のストック、季節の什器程度、スペースが増えてまだ大半が空いています。
キッチンの裏面に、廊下に面してストックヤードを設えています。・・・以前、食器棚上段より陶磁器を取り出す時に崩れ、頭にけがをし、皿をたくさん割ってしまったので、今回の様な収納にしたかった様です。
E:友人が建売住宅を買って、しばらく経ってから訪ねた時の事ですが、案内してくれるままによそ見をしながら階段を下りる途中、下4段の回り階段で踏み外し転落しました。かかとが乗る程度の大きさを承知していたはずなのに、間接の力が抜け滑ってしまいました。友人の家族も全員一度は落ちたと言いながら大笑いされました。これが最上段だったらゾットします。ムリなサイズの階段はやはり無理が在ります。私の実家では直線階段ですが私と弟が幼少の頃に、其れと母が2階から転落しています。その後片側に簡単な手摺が付きました。
F:知人が借りているオフィスのトイレでの事ですが、チョト広めの一人用のトイレにチョト大きめの窓が有りました。ある時、使用中に突然、西日が差し込んで数秒の内にサウナ状態になり、状況把握出来ないまま、全身から汗が噴き出し、目まいが起こり、「アッ、体調がおかしくなった、脱力感で動けない」と思い込んで数分間座り込んでしまいました。夏の西日エネルギーをトンでもない所で体験してしまいました。窓にルーバーや熱線反射硝子が施してあったらまた、状況も変わっていたと思います。