Vol.8 - 25 May 2000

今回は、東京にはない関西独自の便利なもの。
とかく「東京と比べて不便だ」とか「なんか違うぞ」などということ
ばかり毎回書いてきていますが、「けっこう便利だぞ」とか「これ
はいいね」というものだって、もちろんあります。
そんなものをちょっと紹介いたします。

●580円タクシー
大阪は京都と並んでタクシーが全車一律という料金制度に例外
を認めた都市。
市内には通常660円(小形は640円)に対して、600円やら580円
などの看板を掲げたタクシーが走っています。
安いタクシーといえども他のタクシーとなんら違いはなく、同じ
区間を乗るならば通常に対して1割以上も安いお得な分、便利
さを感じます。
でもその安さを知ってしまうとついつい乗りたくなってしまうという
弊害がありますね。
初乗り料金といえどもバスの運賃200円か210円に比べれば、
やはりタクシーはかなり割高ですから。

●JR主要幹線の緩急並走サービス
例えば東京の御茶ノ水から代々木まで行くことを考えてみます。
黄色い電車の総武線に乗っていくのが普通ですが、四ッ谷まで
は赤い中央線に乗っていく方が早いですよね。
でも、御茶ノ水駅はさておき四ッ谷の駅で中央線から総武線に
乗り換えるには跨線橋を越えなければなりません。
そんな乗り換えをしているうちに、御茶ノ水で後に出たはずの
各駅停車の総武線がやって来て、結果的には同じだったという
ことになって、それならば面倒な乗り換えを避けて、各駅に停ま
るけれども総武線を初めから利用しようということになります。
逆にいうと、四ッ谷も御茶ノ水のような線路配置になっていれば
もしかしたら1本早い総武線に乗り継げるかもしれないということ
です。JR中央線と総武線、総武線と総武快速線、京浜東北線
と高崎線や東海道本線、山手線と埼京線など、すべての線で
基本的には不便にでき上がっている東京圏のJRですが、関西
のJRは京都−神戸間の全ての駅が「御茶ノ水」駅と同じような
路線配置になっていて、便利にできています。
自分の乗る駅で1番速い電車に乗って、目的地に最も近い駅で
その目的地で停車する電車に乗り換える。それが最速の方法
ということになりますね。
それが関西では実現されているのです。
京都−大阪−神戸間は、私鉄の阪急や京阪、阪神などが並走
しそれぞれが競争関係にあるので、こういったサービスが戦前
から提供されているのだそうです。おかげでJRでは現在、「新快
速」という電車が日中15分置きに時速130km運転をおこなって
おり、例えば30km弱の東京−横浜間より30km強の距離のある
大阪−三宮(神戸の繁華街)間の方が所要時間がおよそ5分短
いなどのサービスが提供されています。
因みに新快速には特別料金の設定はないので、普通運賃だけ
で利用することが可能です。

●JR以外の私鉄やバスに乗り放題のカード“スルッとKANSAI”。
東京ではJRから私鉄、地下鉄から私鉄に乗り換える際などには
必ず改めて切符を買わなければなりませんが、関西にはJR以外
の私鉄ではたいてい使えるという“スルッとKANSAI”というカード
のシステムがあります。
西は山陽電鉄の姫路から北は京都市営地下鉄、東は南海電車
の高野山、南も南海の和歌山まで、現時点で関西地域各公営
交通も含めて24社。(2000年3月25日時点)
電車だけでなくバスでも利用できるようになっていて、東京でい
えばJRのイオカードと同じく、カードで切符を買うのではなく直接
自動改札に差し込むことのできるカードであることも便利です。
カードの名前は各社それぞれ異なっていて、例えば阪急電車は
“ラガールカード”といい、大阪市営では地下鉄路線が7本ある
ためなのか“レインボーカード”といいます。また阪神電車では
このカードの便利さをそのまま表した“らくやんカード”という名称
です。−「あ、このカードだと楽やん!」

●対向車のパッシングは“この先でねずみ捕りしとるでぇ!”
ニュータウンの中の片側2車線の走りやすい道の交差点を通過
しようとした時、対向車に無意味なパッシング(ヘッドライトを点滅
させて何らかのサインを対向車に発すること)をされました。
お互い右折をするわけでもなく、それは本当に私にとっては無
意味に思えました。
しかし助手席に座っていた私の上司がひとこと。
「この先でねずみ捕りしてるから注意せぇちゅうこっちゃ」
関西ではこのサインが一般的らしく、そのままクルマを進めると
その通り、木陰でねずみ捕り(スピード違反取り締まり)が
おこなわれていました。
身勝手で乱暴ともいえる運転をする人の多い関西ですが、こう
した、見ず知らすの人との連携は素晴らしいと思いましたねぇ。
この時はもちろん全く問題なかった私ですが、先日中央高速で
40kmオーバーで覆面パトカーに捕まってしまいました。トホホ…。

●豊富な“うどん定食”・“そば定食”
最後は食の話。
ランチタイムのメニュー選択に煮詰まるのは東京も大阪も同じ。
毎日昼食時に事務所を出ながら「今日はなに食う?」。
しかし東京では値段のわりにボリュームが足りないということが
よくありますが、関西では丼もの+うどん・そばというメニューが
充実していて、そのうどん・そばが上手い具合にボリューム感を
補ってくれていて、しがないサラリーマンは助かっています。
薄味のだし汁も丼と併せて食べるにはくどくなく、丼ものさえ別の
ものを選んでいけば、意外なことに毎日同じだし汁のうどんは食
べ続けることができるのです。
基本的に食費が安いからできるサービスともいえますね。
残念ながら東京では望めないもののひとつです。


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