半熟英雄 魅惑の要素

〜半熟英雄を「オチャメなゲーム」たらしめているもの〜

前章の延長線になりそうなのですが、又々うだうだと語らせていただきます。



全編頑ななまでのバカ一徹

 どんな強敵が出てこようが、どんな事件が起ころうが
話にいまいち緊張感というものがありません。シリアスな場面でも
ギャグで、ダジャレで、漫才で、固い雰囲気をぶちこわしてくれます。
このゲームに、真面目なんて言葉はありません。四六時中どこかヌけてる
それが半熟英雄というゲームなんです。


パロディ?和風?変幻自在のすぎやまサウンドを見れ〜!

 半熟英雄、音楽はあのすぎやまこういち先生が担当しているのですが
ポップなものからクラシックがかったもの、和楽器の使い方がカッコイイ
和風なものに、どっかで聞いたような半熟名物パロディまで、半熟の雰囲気に
マッチした最良の音楽でした。個人的には、エッグモンスター召還後の
「起っきろよ起っきろよ皆起っきろ〜 起っきなきゃ艦長さんに叱られる〜」
(でしたっけ?)のパロディが好きです。


個性どぎつい愛すべきキャラクター達

 半熟英雄の魅力は、彼らぬきには語れません。
中でも、毎回話の始めと終わりに入る主人公と大臣、その他のキャラの
掛け合い漫才(?)は、このゲーム独特のバカな雰囲気をしっかり
形作っている、いわば骨組の様な物です。
では、その魅力的なキャラの一部を紹介していきましょう。

主人公:アルマムーン国の若君。かつては全土を統一した名君だったが、
現在はひどい平和ボケで、臆病だわおねしょはするわ鼻水たらすわ
お話をしないと寝付かないわと、幼児と変わりないありさま。
卵料理が好きで、趣味はつまみ食い。ちなみに前作でノースコリンズ国の姫と
結婚していたが、主人公のあまりのアホぶりに早々に逃げられてしまった。

大臣:先代の王の時代からアルマムーンに仕えていた。
文武両道に長けており、王の右腕として王からも信頼されていた。
・・・が、今は若君の養育係として胃薬の欠かせない苦労の日々を
送っている。育児ノイローゼに陥ることもあるようだ。
好きな食べ物は紀州の梅干しとしらす干し。
ヒーローがいなくても大臣がいればアルマムーンは安泰と、人々は
口をそろえて言う。

将軍達:アルマムーンに仕える将軍。一人一人勝ちセリフや
負けセリフに個性あり。

あ・た・し:事あるごとに物やお金をせびる”自称”美人。
あげた物が気に入らないと帰ってくれないタチの悪い方。

エッグマン:全てのエッグモンスターの基本となるモンスター。
正義感は人一倍強いが、すぐ負けるわ攻撃できないわと全くの役立たず。
だが何故か憎めない。たまごの使用回数が0回になると、彼に出会えます。

お百姓さん:アルマムーン国領内の農家の方々。豊作だと農大名物
大根踊りをしてくれる。半熟値上げに挑戦してくれたりも。

ゲンさん:屋台のきりふだ売り。チャルメラが聞こえたらフィールドを
探してみよう!頑固さの中の優しさが、世の中に疲れた将軍達に人気。


その他もろもろお楽しみ要素

●話をクリアすると、次の話の予告が、四つ足テレビでヒーロー物っぽく
行われます。「強敵、大王を倒したヒーローの前にまた新たな敵が立ち
はだかる!最強のたまごを使う、完熟ブラックナイトに勝つ術はあるのか!?
戦え、ヒーロー!今こそたまごを割る時だ!次回、『酒と泪とたまごと女』に、
エェ〜ッグ キィ〜ック!!」・・・といったそのもののノリで・・・。

●次の話の予告が終わると、テレビではCMが行われます。それは将軍の斡旋を
行っている将軍援護会だったり、屋台のきりふだ売りゲンさんだったり
半熟温泉だったり・・・ゲーム内の施設やコマンドについての効果、説明も
同時にしてくれる面白くためになるイベントなのです。

●前記した「月一コマンド」の画面は、舞台のようになっており、兵士達が
客席に座っています。主人公達は舞台の上で演じているわけですね。
場面や大道具が変わるところでは、黒子が出てきて大道具を下げたり、
緞帳が降りて来たりするこだわりよう。緞帳に描かれた、富士山を望む
磯に立ち、決めポーズを取るエッグマンもかなりいい味だしてます。

●あと、このゲームはエンディングが素晴らしいです。
主要人物のみなさんや今までに戦った敵がクリアに対して祝辞をくれます。
(また、「祝!半熟終了!!」と書かれた花輪や、それに名物の緞帳も
赤・緑・黒の地に桜が描かれ「劇終」と染め抜かれた物に変わります。
この小道具の充実ぶり、こだわりに、思わずむむっと唸ってしまいます。)
 登場人物達も最後の最後まで半熟テイスト溢るるギャグを飛ばしてくれますし、
難しい最後のほうの攻略の疲れも吹き飛んでしまうでしょう。

●エンディングでは、制作に携わったスタッフ名と、デザイナー・プログラマー
スペシャルサンクスなどの役職(?)が発表されますが、その中には、
「ダジャレ指導」なる役の方がおりました。どういう方か会ってみたいものです。


この悲壮感のなさはどこから来るんだろう

 戦争ゲーム・・・当然戦争だから人が死にます。それも大量に。
しかし、このゲームには悲壮感なんて物はみじんもありゃしません。
Why?それは世界観自体がバカなせいもありますが、やられた敵や味方は
画面上をぽんぽんはずんでとてもかわいい。
とてもFFを作った会社とは思えない人死に描写です。
それにやられた味方将軍は、しばらくするとひょっこり敵軍にいたり、
(さすがに主人公が負けるとゲームオーバーですが。最も、
主人公が負けて三途の川を渡るところも結構笑えますが。)
将軍募集すると一回死んだはずの将軍が来たり。
こんなに人を殺してもあとを引かないゲームも珍しいです。



ぼくらもみんな生きている(一応)

 前章で、人命軽すぎみたいなことを書きました。確かに人命は軽いんです。
しかし!将軍達は駒のくせに結構カワイイ奴らなのです。え、なんでって?
 実はこのゲーム、将軍一人一人に「趣味」があるのです。
その上、将軍の名前は、ギリシャ神話の神々、ハーブ、食品、ワイン・酒、
ファイナルファンタジー歴代のキャラなどからつけられているのです。
それらに思い入れがある人(料理屋さんとかFFマニアとか酒飲みとか)なら
お気に入りの将軍が出来るのも時間の問題(の筈)!!

例を挙げてみましょ(思いつくままに抜粋)

ギリシャ神話
ゼウス:ご存じいっちゃんエラい神。スターティングメンバー。趣味は武道全般。
ヴィーナス:アワから生まれた美の神。彼女もスタメン。趣味テニス。
アポロン:色男の音楽の神・・・だったかな。強いよ。趣味はワイン。
ヘスティア:マイナーな線で炉の女神様。ヨットが趣味だって。
アルテミス:月の女神?内政に強い。趣味はバンデット。ジェットコースター?

ハーブ
チコリ:白菜みたいなやつだっけ?趣味はパッチワーク。
ミント:北見名物ハッカ?趣味は女性らしく食べ歩き。
コリアンダー:スモークサーモンに入ってる。趣味ハニワ。しぶー。
オレガノ:バジルと合わせてトマト料理に。趣味トライアスロン。
サフラン:ブイヤベースに。結構高いのよ、これ。趣味は昆虫。

食品
ココット:卵料理だよね、確か。彼もスタメン。趣味は乗馬。
フェットチーネ:きしめん状のパスタ。趣味森林浴。緑はいいやね。
シュガー:砂糖。趣味は茶の湯。現代には珍しい大和撫子?
バゲット:パンやね。趣味は数学。し、信じられん・・・
コンポート:果実の甘煮?洋ナシとか。趣味は写経。うーむ・・・

ワイン・酒
バランタイン:洋酒ですね。趣味インテリア。最近は人気のある趣味かも。
ソーピニヨン:ワインの原料のブドウの銘柄?趣味ゴルフ。
ジン:スピリッツって言うのかな。趣味ゴーカート。良い趣味をお持ちで。
リースリング:これもワインのブドウ。趣味ショッピング。
アクアビット:良くわからんが確か洋酒。結構強い。趣味はカクテル。

ファイナルファンタジー
レオンハルト:スカシ系。主人公と同じエラベルエッグを使える。趣味格闘技。
フリオニール:脂性っぽい気がせんでもない。エラベルユーザー。趣味ポエム。
カイン:見た目トゲトゲの竜騎士。下院と変換しやがった。趣味は大リーグ。
リディア:珍しい女のコ。一番優秀な将軍じゃなかろか?趣味アメフト。こわ。
グレイ:どーも灰色宇宙人を想像してしまう。趣味戦争ゲーム。

せっかくだからおもしろ趣味集
ブラウニー:お月見、チキータ:カエルの解剖、ジキタリス:家庭医療
マスカット:ランバダ、シュゼット:・・・なビデオ、ロックフォール:おっかけ
ミモザ:ダジャレ、マンゴスチン:いじめ、リゴット:文通
グリッシーニ:戦(いくさ)、ブレッツェル:昼寝、ショコラ:一発ギャグ

 あと、ここには乗せていませんが、キャラによって勝ちセリフや負けセリフ
なども違って「コイツはこーいうヤツ?いや、あーいうヤツだ」と、
お気に入りのキャラの性格を考えてみるなんてのも楽しいと思います。
 人命の軽さ、キャラクターの魅力。これは相反しそうな物ですが、
半熟英雄は、この2つのいいとこどりを非常に上手くやってのけてます。




戻る