~ いつでも、同じ景色を ~




「ねえ。日向さんって、いつから俺のこと好きでいてくれたの?」

二人並んで横になったベッドの上。
久しぶりに日向さんとエッチして、ものすごく気持ちよかったし、日向さんも満足してくれたと思う。
日向さんはあっちを向いてしまっているけれど、俺はこの綺麗な背中も大好きだから、これはこれでいい。
汗ばんだ滑らかな肌を手のひらで撫でて、そっとキスを落とす。まだ感じてしまうらしく、日向さんの身体がピクリと震えた。

「・・・何だよ。急に」
「だって聞いたことなかったけどさ。不思議に思ってたんだよね」

東邦時代、日向さんに対して押して押して押まくっていた俺だけれど、いざ日向さんがOKしてくれると、思ったものだった。「え!?本当に俺でいいの!?」って。
いや、ものすごく嬉しかったけどね!

「いつ・・って、俺も分かんねえな。いつなんだろうな」
「・・・俺のこと、ちゃんと好きでいてくれてるよね?」

日向さんのことだし、ちょっと心配・・・。それで聞いてみると、日向さんは身体ごと俺の方を振り向いて「馬鹿、当たり前だろ」と言ってくれた。
やっぱり日向さんって、優しいなあ・・・。大好き。

「んー。やっぱアレかな。一人でイタリアに行くことになって、俺も寂しくなったのかな」
「それって、転勤決まったサラリーマンがそのタイミングで彼女にプロポーズするようなもの?」
「あー。違いねえな。そんなもんかもな」

なるほどなるほど。
ということは、ユーヴェ入団をとりまとめた松本さん、グッジョブ!

「じゃあさ、何で俺を選んでくれたの?俺のどこが好き?」

日向さんなら恋人を作るにも、選り取り見取りだった筈だ。
自分で言うのも何だけど、俺よりイイ男だって、可愛い女の子だって、沢山の人間が日向さんの周りにいた。
なのに何故か、日向さんが選んだのは俺だったという訳だ。

「ね。俺のどういうところが好き?」

俺はもう一度繰り返した。対する日向さんは思案顔だ。

「お前のねえ・・・。どういうところがねえ・・・」
「なんかあるでしょ。どっかあるでしょ」
「顔じゃね?やっぱ」
「顔!?」

正直、意外な答えだった。
自分でもそれなりには整った顔をしていると思うけれど、日向さんほどの美形って訳じゃないし、男としてはもうちょい精悍で線が太くても良かったんじゃないかと思うくらいだ。

「お前の顔、俺、結構好きだぞ?眉がキリっとしてるし、目もパッチリ二重で可愛いし、鼻もデカ過ぎなくて可愛いし、唇もちょい薄めで可愛いし。そんで髪もサラサラで可愛いし、肌もモチモチして子供みたいだし・・・いや、実際、お前ってかなり可愛いよな?」
「・・・・・いや、あの・・・。嬉しい、けど」

・・・油断した。
そうだ、日向さんってこういう人だった。本人的には自覚は無いんだろうけれど、傍から見れば立派に天然タラシ。
俺は日向さんにバレないように、熱をもった頬を冷ますので精いっぱい。

「反町?」

顔を隠すようにして反対側を向いた俺を怪訝に思ったのだろう。日向さんが「なんだよ。それじゃ足りないか?じゃあ、えっと性格は    

「いや。大丈夫っす。もう十分っす」
「そうか?」

俺は赤くなった顔を見られる前にと、振り返ってすぐさま日向さんを抱きしめて、想いを込めてキスをした。





END

2017.07.26

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