死はゆっくり歩いてくるの?





「きみは何が一番大事?」

お月さまみたいな握手をしたまま
急に聞かれてどうしていいのか判らなくなる

困っている私を見つめた瞬間に
彼の白い髪と胸元の黒いタイが風に舞う


「僕は静かに呼吸を出来る事が一等大事。だってそうしないと何も見えなくなるから」


そう言われて、呼吸を忘れている自分に驚く

呼吸は空気と同じで
私には自覚出来ない自然的なものだ