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つい先日、昔よく通っていた飲み屋に久しぶりに顔を出した。 |
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つい先日、昔よく通っていた飲み屋に久しぶりに顔を出した。
そこのマスターには昔から世話になっていて、マスターの名前が自分と同じ"学"という名前にも妙な親近感があり、ちょっと尊敬している人だ。
その"学"の先輩にSさんという無口な渋い方がいて、奥さんと二人で居酒屋を経営をしているのだが、その日はSさん家族もたまたま飲みに"学"の店にきていた。
自分も何度かSさんの店に"学"と飲みに行った事があるのだが、その無口のSさんとはほとんど会話らしきものをしたことがなかった。
その日"学"の店で会った時は、あいさつを軽くしたぐらいで、奥さんが「『拝啓父上様』を観たわよ、いきなり出てきたからびっくりしちゃった。」
と言ってくれ、Sさんも「あー観た、観た。」と少しはにかみながら言ってくれた。自分も「あっ、ありがとうございます。」
と頭を下げ、それぐらいの会話で、その後は別々のテーブル飲んでいた。
二時間ぐらいしてSさん家族が帰ろうとした時にSさんがふと「ハマちゃん駄目だよ。
尊敬している板前の先輩に久しぶりに会えるってゆーのに、ネクタイが曲がってちゃ。あれは料亭だろ。
ネクタイしめてる板前は絶対そんな事はしねーよ。」と、とても厳しい顔で自分に問いかけてきた。
そう、あの『拝啓父上様』での自分の役はワンシーンだけの出演だが、梅宮辰夫さん演じる"竜次"の昔の弟子で、
尊敬している"竜次"に久しぶりに自分の料理を食べてもらい、無理を言って"竜次"がいる客間に伺い再会をする、というシーンだったのだ。
その時にネクタイが曲がっていた。
気がつかなかった。演じているときも、オンエアーを観ているときも。ほんの少しだったのかもしれない。
でも、そこに気がつかなかった…。Sさんは板前だ。同じ板前がそういう粗相をする所を許せなかったんだと思う。
どんなにきびしい芝居のダメ出しよりも心に響いた。もちろんSさんは芝居の事など一切言わない。
その役の、板前の心構えを教えてくれたのだ。「まあ、がんばれや。」
と何も言えずにいる自分に声を掛けSさんは帰っていった。
自分が情けなくなった。
ネクタイが曲がっていたという見た目の事もそうなのだが、その役の当たり前な心構えを理解せず、もっともらしい芝居をした自分に腹が立った。
自分達の仕事は他人を演じる。他人だからこそ自分達は、その人物の心構えや細かい所に注意を払い、カメラの前で存在しなければならないのだと思う。
そういう当然な事をこの日は改めて教えてもらった。感謝!感謝です!とてもありがたいと思える一日でした。
ありがとうございます、Sさん。
余談だが、その日の自分の格好はTシャツに短パンというラフな格好だった。今度はもう少しちゃんとした格好でこの店に来よう。
ちょっと尊敬するもう一人の"学"の店だから。そうして、その"学"と一緒に又Sさんの店に行こう。二人してネクタイをしめて。
怒られるかな?(笑)
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