愛すべき三茶うどん

この冬(注:2002年)は空前のうどんブーム。『恐るべきさぬきうどん』から火が
つき、02年には渋谷にはなまるうどんが進出、情報誌はこぞってうどん特集の秋冬
でした。新しいブーム、安い、おいしい、低カロリーと、時代をおおうスローライフ
の気分にはまった。
で、三茶近辺のうどん屋に行ってみると、有名店あり隠れ名店あり行列の出来る店あ
り新規店あり、なかなか楽しいんである。
うどんにはちょいとウルサイ私が、三茶のうどん屋を御紹介しよう。

花背
 朝4時まで営業、環7近くの246沿いという特殊性ながら、いつ見ても行列ができ
ている店。狭いカウンターに肩を寄せてすする暖かいうどんのうまいこと!カップル
率高し。ねぎ、生姜、ごまの薬味も効いている。つーんとくる生姜の香りは、うどん
の快楽に欠かせないものだ。なぜか名曲揃いのBGMが好き。

卯京
 カウンターとテーブル2つの狭い店だが、味は本格的。500円台のメニューが多数
並び、リピーター気分をそそる。つるんと弾力性のある麺と薄味だし、それにねぎ、
生姜の薬味がいい。天ぷらなどトッピングも豊富。素朴だが良質の幸福。
 隣はらーめんの来来来。茶沢通りのクリエを左折したここは、日本ローカルグルメ
路地と呼びたい。

お山のすぎの子
 さかえ通り中程。座敷席のある比較的広く落ち着いた店で、家族連れに適。女性客が
多く、着物姿の給仕が京都気分を盛り上げる。うどん、そば、甘味など多彩なメニュー。
徳島・祖谷(いや)産のそば粉を用いている。

すぎの子
 お山のすぎの子の姉妹店。小さなカウンターの店内で、うどん+甘味の京風スタイル。
酒も飲めるので、一人で時間を過ごすのになごめる店。場所は駅南口から昭和女子大方面
の信号手前。

夢吟坊
 246三宿交差点の近くにある京うどんと麦とろの店。花背と姉妹店だが、こちらの
ほうが面積も客層も広い。東京の伝統的そば屋のような雰囲気。「そじ坊」「夢吟坊」
と並べてみると、麺料理のルーツは精進料理に行き着くのかもしれない。(要リサーチ)
 「そじ坊」はそば打ちにのめり込むあまり修行の道を忘れてついにそば屋になった
坊主の話。最近では、神戸の公立校教員が研修休暇中にオーストラリアでうどん屋を
経営。繁盛のあまり雑誌に紹介されて職務規程違反で処分、というニュースがあった。
麺フリークは時代を超える!?

麺作 2005年1月 おしくも閉店
 すずらん通りに2002年オープンしたうどん屋。店員がインテリアやりましたカフェ
のうどんや版というか、野趣あふれる藁葺きの店内には香川県の写真がある。テーブル
席の他、のれん付きの小さく仕切られたブース席がある。団子のようにごつごつした
うどん。安い、駅から近い、がウリ。高知直送かつお、鳴門直送昆布、香川直送いりこ
天などを使用。ソーキうどんもある。カレー丼、かつ丼など丼物メニュー(サラダ付き)
も充実。

はなまるうどん三軒茶屋店 NEW!
 ついに上陸!はなまるうどんこそは東京で'食える'さぬきうどんである。東京の
さぬきうどんは、はなまる以前とはなまる以後に泰然と分けられるといっても過言
ではない。麺・つゆのうまさと手頃な値段。飽きの来ないトッピング。香川の「大衆
セルフ」が全国どこでも味わえる。

うどん屋 NEW!
 「うどん屋」という名のうどん屋。昭和女子大並び。新宿の飲み屋で出したうどんが
好評でうどん屋になったそう。鶏ガラだしとごま風味の新感覚うどん。深夜2時まで営業。

草部うどん のらや NEW!
 246駒沢方面、旧道入り口にできた泉州草部うどんの店。つやとコシがあり、無添加
で後味がよいのがウリ。民家風の外装・店内は地方の伝統的うどん屋そのもので、値段も
ざるうどん2枚290円〜と手頃なことから、東京の伝統的そば屋のようなくつろぎ空間
となって繁盛している。

(番外編)
中川屋
 よく雑誌に紹介されるカレーうどんの中川屋。駒沢大学駅西口そば。しっかり出汁
を取った上にカレー味が乗ったカレーうどんが人気の秘密。トッピングなどバリエー
ションもある。HipHopのBGMなど、うどん=和風という図式に挑戦するかのような
店だ。うどんより、もっとギラギラしたカレー。男性的・都会的で、駒沢に合うのか
もしれない。


(他地域)

東京麺通団 NEW!
 讃岐うどんブームの立役者・麺通団が出した店。出汁や麺に麺通団のこだわりが
感じられる。飽きのこない日常の味。日本酒もあり。場所はHPを見て探索すべし。

一心 NEW!
 羽村市川崎1-7-1。丸亀で修行した主人が1人でやっている店。『東京1週間』に
載っていたのだが、電話で場所を聞くと怒られた。ああ職人気質。ぶっかけがうまい。

小島屋 NEW!
 東村山市野口町3-10-3。武蔵野うどんの店としてTVによく出る。日本映画のセット
のような木造一軒家の薄暗い店内で食べる肉うどんは、心の中に甘く香る。


<参考文献>

恐るべきさぬきうどん―麺地創造の巻」麺通団 (著), 新潮OH文庫
恐るべきさぬきうどん―麺地巡礼の巻」麺通団 (著), 新潮OH文庫


三茶グルメマップに戻る